最弱スライム転生記   作:ぐぐぐああ

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 積み上げてきた何もかもが壊れていく。何もかも無かったこととなる。一瞬にして――――。


優しさ

「痛ってぇ。遠慮なくやりやがって」

 

 事実、成行の体はかなり地面に削られており、血が出ていないことが不思議なほどだった。遅れて傷の部分を赤くする。

 

「君、新入りかい?」

 

 聞こえてきたのは妙に甲高い男の声、だが振り返ると髪の長い黒髪黒目の女性?がいた。

 

「そうですけど……」

「こっぴどくやられたもんだね。けど、良かったね。最初に手を出したのが彼でさ」

 

 カムイによってここまで損傷しているのに、と成行は何を言っているのか理解が出来なかった。

 

「だって、ここってさ、宗教の国だからね。他の奴らにやられるかもしれないし、そんな人体を理解してる訳でもないから骨折でもしてたかも……」

「それじゃあ、もう攻撃はされないってこと、ですかね?」

「さぁ?過激派だったらやるんじゃない?あいつら冒険者から見てもやばい奴らだしね」

「………………(あれは優しさだったのか)」

 

 冒険者になれたのだからすぐここから離れて別の町に移動した方が良いのか、成行は考え込む。

 

「あ、別の町にいくのはおすすめできないよ?近くの町は全部宗教浸透してるし、通行証がいる国境を通らなくちゃいけない」

「う〜ん……」

 

 それじゃあ、このくらいで、と言って女性?はそそくさと去っていった。名前でも聞けば良かったと成行は少し後悔するのだった。

 

◇◆◇

 

 冒険者ギルド内である程度の説明を受けて見たが、いかんせん周りからの視線が多すぎる。まるで別の生き物のように見てる(スライムではある)のが四割、凄い奴が来たと期待しているのが三割、その他、といったところだろう。

 

「はぁ、辛い………」

「?どうしたんですか?」

 

 何気なく言葉を発したが、説明をしていた受付嬢に聞こえていたらしく、ビクッと体を震わせた。

 

「いやぁ、そのぉ、なんて言うかぁ」

「……言いたくないなら黙ってても良いですよ。まぁ、緊張解すために深呼吸しましょう!」

「あ、はい」

 

 息をすることを忘れることがあるが、深呼吸というのはスライムの体でも楽でいい。肺に空気を貯めていって、一気に吐き出す。

 

「落ち着きましたか?私、アレスと言います。辛くなったらいつでもご相談を」

「―――はい」

 

 疲れたが、宿で休む金も無いので説明を受けた‘‘依頼’’を受けに向かった。冒険者ギルドというのは基本どんな依頼も拒まず、冒険者達に依頼を斡旋している。依頼の貼ってあるボードから1枚の紙を手に取る。

 

「薬草の採取か」

 

 新鮮で効果のあるものならば、なんでも良いらしい。

 

「東の森はこの時間にはきついから……」

「西の平原は薬草があるわよ」

「へ?」

 

 声を掛けてきたのは、さっきあった女性?だった。(急に現れるのが趣味なのかな)

 

「何?変な目で見て。親切にしただけよ」

「あ、いや、はは、親切にしていただいてありがとうございます」

「じゃあね」

「………さよならぁ〜(平原に行ってみるか)」

 

◇◆◇

 

 何も整備されておらずスッキリした風景ではあるが、何か薬草があるようには見えなかった。

 

「あるのか?ここに」

 

 何かないか探していると、突如として目の前に魔物が生成されだした。淡い魔力の粒子が一挙に集まり足から全体がどんどん見えてくる。

 

「魔物ってこういう感じで生まれるのか?」

 

 醜悪な顔つき、緑色の肌に異様に伸びた爪。俗にいうゴブリンという魔物だろう。

 

「クルアぁ!」

 

 体をナイフに変形させ、投げる。ただ、そんなもので魔物が止まる訳も無く爪をたてて突撃してくる。剣を生成し、ゴブリンに対抗する。

 

「ふっ!」

「ギャア!」

 

 剣によって手首を切り落とすが、即座にゴブリンが回し蹴りを繰り出し、追撃として引っ掻き攻撃が当たる。

 

「バ〜カ」

 

 腹から杭をだしてゴブリンを貫き、ナイフに使ったスライムによって纏わりつく。

 

「ギャッ!グァア」

 

 煙となってゴブリンが消えた。

 

「ふぅ、やっぱこういう方法じゃないと勝てないな。というか、ここ結構危険―――」

 

 ゴブリンが死んだ場所から草が生えてきているのが見えた。

 

「もしかして、これが薬草?」

 

 その後、薬草だったことが分かり、依頼を達成して宿に泊まるのだった。

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