ソードアート・オンライン ~双角の鬼人~   作:句読仮名丸

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遅れました!申し訳ございません!

投稿頻度、多分これから週3くらいになるかも……
投稿はします!不定期です!お願いします!


第9話 黒の剣士と青の鬼人

 夕飯後、それぞれ別の部屋を取り、わたしは部屋のベッドでに座りながらナギにメッセージを送っていた。

 

『それじゃ、こっちは明日の朝奇襲するってことで。そんなに多くなさそうだから、片付いたらそっち行くわ』

『おっけー、なるはやねー』

『御意』

『あ、ここのチーズケーキマジで美味しかったから、合流したら食べよ』

『ミコトはさっき食ったんだろ?』

『1日空けばリセットじゃない?』

『ええ……』

 

 連絡を終えると、扉がノックされた。

扉を開けるとキリトがおり、明日の確認をシリカの部屋でしようとの事だった。

てことで、シリカの部屋までやって来た。

 

「シリカ、まだ起きてるか?」

『き、キリトさん!?』

「明日の説明を忘れてたんだけど、今大丈夫?」

『み、ミコトさんもいるんですね。分かりました。今行きま……ちょ!ちょっと待っててください!!』

「シリカ?」

 

 扉の向こうから慌てた声がしてしばらく、可愛らしい寝間着を来たシリカが出迎えてくれた。

その顔がほんのり赤かったのだが……ははーん、そういう事か。

 

「シリカシリカ」

「なんですか?ミコトさん」

「体は冷やさないようにね」

「!? 」

「? どういうことだ?」

「も、毛布ないですからね!この宿!寝る時はちゃんと布団被ろって事ですよねミコトさん!?」

「SAOは温度変化までは再現されてないはずだけど」

「み、ミコトさん!早く説明お願いします!」

「はいはーい」

 

 いやー、年頃の女の子を弄るのは楽しいね。

シリカが頬を膨らませてるのを横目に、わたし達は47層の説明を始めた。

キリトがポットのようなアイテムを取り出し、机に置いた。

 

「キリトさん、これは?」

「ミラージュスフィアっていうアイテムだ。こんな風に、階層の全体マップを見せてくれる」

 

 そう言ってキリトがミラージュスフィアを起動させると、プラネタリウムのような、立体的なマップが広がった。

それに、シリカがキレイと声を漏らす。

 

「ここが、47層の主街区の《フローリア》。それで、こっちが《思い出の丘》。どこも花畑ですっごいキレイなんだよ」

「そうなんですか!」

「ここの街道を通って行くんだけど……」

 

 キリトが道筋を言おうとしたところ、急に何かに気付いたように扉の方を向いた。

わたしも、多分同じものに気が付いていた。

 

「キリトさん?」

「シッ、ミコト」

「うん!」

 

 わたしはなるべく音をたてず、且つ走って扉まで向かい、勢いよく開けた。

 

「誰っ!?」

「……聞かれてたな」

「そうみたいだね」

 

 扉の先にはだれもおらず、代わりにすぐ近くの階段を下りる音が聞こえた。

 

「聞かれてたって、ノック無しだと、ドア越しの声は聞けないんじゃ……」

「聞き耳スキルっていう、趣味の悪いスキルがあるんだ。レベルが高いと、ドア越しでも声が聞けたりする」

「そんなの上げてる奴、なかなかいないけどね」

「なんで立ち聞きなんか……」

 

 シリカは不安そうに聞いたが、わたしは何となく分かっていた。

その後シリカに説明を終え解散した後で、わたしはキリトに事を確認した。

 

「キリト、聞き耳してた奴らのこと、目星ついてる?」

「ああ、おそらくだが、宿の前で話した赤髪の女が、タイタンズハンドのメンバーのロザリアだろう」

「だね。どうするの?このままじゃシリカ危なくない?」

「……シリカには悪いけど、このまま行かせてもらう。タイタンズハンドの目的はシリカだろうしな。ミコト、シリカを頼めるか?」

「任せといて。危険な目に合わせるんだから、そのくらいは当然」

「ありがとう。ナギの方は?」

「問題ないってさ。途中で合流できるかもね」

「なら、そのほうがいいな」

 

 森でシリカと会えたのは良かった。

あのままだったら、守れなかっただろうからね。

 

 

◇◇◇

 

 

「わ〜!夢の国みたい!」

「いつ見てもキレイだね〜、ここは」

 

 翌日、わたし達は予定通り47層に来ていた。

転移門を抜けてすぐ、一面に広がる花畑にシリカが目を輝かせている。

 

「この層はフラワーガーデンって呼ばれてて、フロア一面が花畑なんだ」

「街にあるのは、リアルにもある花だけだけど、圏外ならファンタジーっぽい花も色々あるよ」

「見てみたいです!」

「んじゃ、早速行こっか」

「はい!……あっ」

 

 シリカが街の方へ目を向け、顔が赤くなってる。

あー、この層、アインクラッドじゃ珍しい穏やかな雰囲気で、景観も綺麗だから、デートスポットとして人気なんだよね。

今日も例外じゃなく、街ゆく人は基本男女2人だ。

わたしとナギは、のほほんとしたのよりかは、一緒にダンジョン潜った方が楽しめるので、デートでは使わないけど。一応フィールド出ればモンスターはいるし、強いのがいれば今度誘おっかな。

 

「シリカ?どうかしたか?」

「い、いえ!早く行きましょう!ね、ミコトさん!」

「そだねー」

 

 この鈍感唐変木が。

 

「あ、シリカ。念の為これ持ってて。転移結晶、危なくなったらどこの層でもいいから、転移して。絶対ね」

「え、でもお2人は……」

「俺達は大丈夫。だから、約束してくれ」

「……分かりました」

「よし!それじゃ、レッツゴー!」

 

 なんか暗くなってしまった雰囲気を盛り上げ、わたし達は《思い出の丘》に出発した。

モンスターはそんなに強くないし、問題なく到着できる……と、思ったんだけど

 

「いぃやああああああ!」

 

 シリカ、大ピンチ。

でもない。さっきも言った通り、この層のモンスター弱いし。

ただ、シリカを襲っているモンスターが、パッ〇ンフラワーのボスみたいな見た目で、中々にグロいお口をしていらっしゃるので。

パニクったシリカが、短剣をブンブン振り回してるってわけだ。

ついでに言えば、

 

「シリカ!落ち着いて!そいつ凄い弱いから!」

「キリトさん!助けて!でも見ないでぇ!」

「いや、それは無理かも……」

 

 シリカはモンスターの触手(つる)に宙吊りになってる。

そんで装備がスカートタイプなので、見えそうなのだ。中身が。

……白か。

 

「とりあえずキリト。見たら斬り落とすからね」

「昨日のナギといい、お前達は俺の何を斬り落とす気なんだ!?」

「ナニをだよ」

「こんのッ!いい加減に!しろっ!」

 

 わたし達が静観してる間に、シリカは触手を断ち切って、花のモンスターを倒した。

 

「み、見ました……?」

「見てない、見てないから」

「純朴。グッド」

「お前は見ただろ!?」

 

 見てませーん。見えただけでーす。

ちょっと不機嫌になったシリカを宥め、再出発する。

途中、モンスターと出会したら、程よく削ってシリカのレベル上げに使わせて貰った。

その中で、シリカがキリトに話しかけた。

 

「キリトさん、妹さんのこと聞いていいですか?現実の事を聞くのはマナー違反ですけど、わたしに似てるって言ってたので、気になって……ダメですか?」

「あ、わたしも気になる。キリト自分のことあんまり喋んないし」

「ゲームなんだから当然だろ。……妹って言ったけど、本当は従妹なんだよ。生まれた時から一緒に育ったから、向こうは知らないと思うけど、俺の方から距離作っちゃってさ」

 

 キリト、妹にもあのめんどくさい性格発動してたんだ。

考え過ぎだろう。いくら家庭環境が複雑だと言っても。

……まあ、わたしも人のこと言えないか。

 

「祖父が厳しい人でね。俺達を近所の剣道道場に通わせたんだけど、俺は2年で辞めちゃって。そりゃあ叱られるし、殴られたよ」

「そんな……」

「そしたら妹が、自分が2人分頑張るから叩かないでって、俺を庇ったんだ。それから頑張って、全国大会まで行けるようになったんだ」

「凄いじゃないですか!」

「兄が兄なら、妹も超強いんだ……で、それが何がいけなかったの?」

 

 誇らしいことのはずなのに、あまり表情の明るくないキリトに問いかける。

 

「俺は、その事を引け目に感じてたんだ。他にもしたいことがあって、俺を恨んでるんじゃないかって。俺がシリカに妹を重ねちゃったのは、罪滅ぼしをしてる気になりたかったからじゃないかな。……ごめんな」

「……妹さん、キリトさんの事を恨んでなんかないと思いますよ?だって、好きでもないことを、そんなに頑張ることなんて出来ませんよ」

「シリカの言う通りだよ。全国まで行っんだから、きっとホントに剣道が好きなんだよ、妹ちゃんは」

「……シリカには慰められてばっかりだな。……うん、そうだといいな。ミコトも、ありがとう」

 

 世話が焼けるなー、全く。

いつもいつも、キリトは考え過ぎだ。もうちょっと他人も自分も信じてみなよっての。

まあそれが最近はナギなのか。グッジョブ私の旦那。

 

 その後、シリカがグロい(てかエロい)触手モンスターに襲われそうになったりもしたが、無事《思い出の丘》に到着。プネウマの花をゲットできた。

余談だけど、この層にナギとデートに来ることはないと思う。モンスターにグロい見た目のが多すぎる。

 

 私たちは、最初の主街区近くの街道まで戻ってきた。

花を入手出来て上機嫌のシリカの肩に、キリトが手を置いた。

 

「キリトさん?」

「そこで隠れてるヤツら、出て来いよ」

「───私の隠蔽(ハイディング)スキルを見破るなんて、中々索敵スキルが高いじゃないの、剣士さん?」

 

 木の陰から出てきたのは、昨日も会った赤髪の女性プレイヤー、ロザリアだった。

……予想は当たりだね。

 

「その様子だと、首尾よくプネウマの花をゲットできたみたいね。おめでとう、シリカちゃん。……それじゃ、その花渡して貰おうかしら」

「な、何言ってるんですか!」

「そういう訳にはいかないんだよね、ロザリアさん。ああいや、犯罪者(オレンジ)ギルド《タイタンズハンド》のリーダーさん、って呼んだ方がいいかな?」

「……へえ」

 

 わたしの言葉に、ロザリアが目を細める。

否定するつもりはないらしい。楽でいいね。

 

「でも、ロザリアさんのカーソルはグリーンですよ?」

「簡単な手口だよ。グリーンのメンバーが適当なパーティを誘い込んで、オレンジの仲間がいるとこまで行ってバッサリ、てね」

「昨夜、俺達の話を盗み聞きしたのも、アンタの仲間だろ?」

「じゃあ、わたし達のパーティにいたのも……」

「そうよぉ、戦力を確認して、程よくお金が貯まるのを待ってたのよ。1番持ってそうなその娘が抜けて残念だったけど、ちょうどレアアイテムを取りに行くって言うじゃない?ていうか、そこまで分かってて着いてくるなんて、アンタら相当バカなんじゃないの?」

 

 怯えるシリカを後方に退らせながら、わたしはロザリアの挑発に応えた。

 

「そーでもないよ?わたし達もあなたを探してたからさ」

「へぇ、どういうこと?」

「アンタ、10日前に《シルバーフラグス》ってギルドを襲ったよな?リーダー以外の4人が殺された」

「あー、あの貧乏パーティね」

 

その言葉に、わたしは眉間に皺を寄せた。

 

「リーダーだった人はね、一日中最前線の広場で、泣きながら敵討ちをしてくれる人を探してた。それも『殺してくれ』じゃなくて、『牢獄に入れてくれ』って言ってたんだよ。……あなたに、あの人の気持ちが分かる?」

「分かんないわよ、何にも。ここで人を殺したって、ホントに死ぬ証拠なんかないし。それより、自分達の心配をした方がいいんじゃない?」

 

 そう言って、ロザリアが指をパチンと鳴らすと、その横の木から、7人のプレイヤーが出てきた。内6人はオレンジ。

まあ、予想の範囲内かな。

 

「か、数が多すぎます!脱出しないと!」

「大丈夫。わたし達が逃げてって言うまでは、シリカはわたしの後ろに隠れててね。じゃ、キリトよろしく」

「ああ。シリカも、心配しないでくれ」

 

 そう言って、キリトはロザリアの方へ歩いていく。

そのわたしの言葉に、タイタンズハンドのメンバーが怪訝な表情を浮かべた。

 

「……キリト?」

「黒ずくめの服、盾なしの片手剣……まさかこいつ、《黒の剣士》か?」

「じゃあ、後ろの紺色の羽織を着てる奴は、《青の鬼人》?」

「ろ、ロザリアさん、こいつら攻略組だ!」

「はっ!攻略組がこんなとこにいる訳ないじゃない!それにホントにそうなら、あともう1人いるはずでしょ?ほら!とっとと殺しちまいな!」

 

 ロザリアの号令で、オレンジたちが次々とキリトに襲いかかる。

それに対しキリトは、直立不動でただその攻撃を受け続けた。

そこで、シリカが震える手で武器を持とうとしてるのに気がついた。

 

「た、助けなきゃ……」

「問題ないよシリカ。ほら、キリトのHPバー見てみ?」

「……えっ」

 

 見ると、キリトのHPは数センチ減ると自動的にマックスまで回復していた。

いくら切り刻んでも一向に倒れる様子のないキリトに、ロザリアが苛立ちを隠さず叫んだ。

 

「アンタら何やってんだ!さっさと殺しな!」

「……10秒あたり、だいたい400ってところだな。それがアンタら7人が俺に与えるダメージの総量だ。俺のレベルは80、HPは16000、戦闘時回復(バトルヒーリング)スキルで、10秒毎に600ポイント回復する。……どんだけ攻撃しても、アンタらじゃ俺は殺せないよ」

 

 そのキリトの言葉に、ロザリア含めオレンジ達皆が驚愕する。

ちなみに、わたしの戦闘時回復スキルは10秒毎に400ポイントなので、運が良ければ、1日も攻撃してれば倒せるんじゃないかな?

 

「そ、そんなのアリかよ……」

「アリなんだよ。たかが数字の差で理不尽な差がつく。それがレベル制MMOの理不尽さなんだ」

「……ちぃっ……」

「これは依頼人が全財産をはたいて買った回廊結晶だ。1層《黒鉄宮》の監獄エリアが出口になってる。これで全員、牢屋に飛んでもらうぞ」

「……グリーンの私を傷つければ、アンタがオレンジに……」

 

 往生際悪く抵抗しようとしたロザリアの首筋に、剣が当てられる。

キリトのではなく。

そのキリトや、囲んでる男達をぶち抜いてロザリアの所まで一瞬で移動した、わたしの剣だ。

わたしも、キリトと同じくらい怒っていた。我慢の限界だった。

 

「……いい加減にしろ。わたし達はギルドに入ってない。1日2日圏内に入れなくなるくらい、どうって事ないんだよ」

「っ……」

 

 威圧を込めて言うと、ロザリアは観念したように十字槍を手放した。

他のメンバーも降参したようで、大人しく回廊の向こうに歩いていった。

全員を牢屋にぶち込んだところで、わたしは一息ついてシリカに謝った。

 

「ごめんね、シリカ。囮みたいに使っちゃって」

「い、いえ。少しびっくりしましたけど、二人とも無事で良かったです」

 

 そう笑顔で返すシリカが眩しい。

ホントに良い子だなぁ、妹にしたい。

 

「……シリカ、1回お姉ちゃんって呼んでもらっていい?」

「え?急にどうしたんですか?」

「気にしなくていいぞ。それとシリカ。俺からもごめん。君を危険な目に合わせてしまった」

「大丈夫ですよ、キリトさん達がいなかったらきっとわたしは死んでましたから……。さ、早く宿に戻りましょう!早くピナに紹介したいですから!」

 

 そうして、わたし達は宿に戻り、ピナを復活させた。

《フェザーリドラ》であるピナは、名前の通りふわふわな空色の羽に覆われていた。泣きながらピナに縋り付くシリカ同様、ピナも主を見れて幸せそうだ。

 

 前線に戻ると言ったわたし達に、シリカは少し残念そうな顔を浮かべたが、フレンド登録もしたし、ちょくちょく遊びに来ると言ったら嬉しそうな顔をしていた。

 

 これで、《タイタンズハンド》の一件と、竜使いの少女とのお話はおしまい。めでたしめでたし。

 

 

「……で、ナギは今までどうしてたの?」

「……宿に帰ってく途中で見かけたんだけど、なんか、入ってくのも野暮な感じがしたので、声を掛けられませんでした……」

「何をそんな遠慮してるんだよ……」

「だってえ!凄い仲良しな雰囲気出てたんだもん!会ったの昨日なんだよな!?何があったんだよ!」

「特段何も。まあ、俺の話を少ししたくらいか」

「は?オレ聞いてないぞ」

「とにかく、シリカに紹介しに行くよ!まったく、さっき良い感じに別れたのにさ」

「誠に、申し訳ございません」

 

 こういうカッコ悪いところは、少し直して欲しいかなぁ。

Uターンしてシリカのところに戻ると、凄い微妙な顔してた。ごめんねシリカ。マジで。




~二つ名~

ミコ「今ではわたしが《青の鬼人》で、ナギが《赤の鬼人》、2人合わせて《双角の鬼人》なんて呼ばれてるけど、最初の呼び方ひどかったんだからね?」
シリ「そうなんですか?」
キリ「最初は《青鬼》《赤鬼》って呼ばれてたんだ。情報屋に頼んで、今の二つ名で広めてもらったんだよな」
ナギ「赤鬼青鬼だと、オレの方が弱いみたいになるからな」
シリ「? どっちも鬼ですよね?何か違うんですか?」
キリ「ああ、10年前に発売された某妖怪ゲームだな」
シリ「そうなんですか。……ええっ!?お2人とも、どうしたんですか!?」
ナギミコ「「ジェネレーションギャップェ……」」
キリ「まあ、通じないのも無理はないか……」

え?10年前なん?マジ?
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