先生怒らないから出てきなさい。怒んないから。
……すいません。本当にすみません。なんか圏内事件の出来があまり良くなくてスランプ入って投稿めちゃ遅れた大ホラ吹きは私です。
実際12話自体は前から書けてたんですけど……原作なぞり過ぎてほぼ原作と同じになっちゃったので、なんかなあ、と。
もしかしたら、今後圏内事件の話を大幅に変えるかもしれません。本当に、衝動で書く癖を直したいです。
あ、次回から暫くオリ回かもしれません。
もう言っときます。多分投稿遅れます。
黒ローブに逃げられ、オレとキリトは宿に戻った。
部屋に入ると、怒った様子のアスナが剣を抜いていた。
「……不審者じゃないぞ」
「そんな事分かってるわよ!何であんな無茶したの!」
「逃がす訳には行かないだろ。ミコトは?」
「シュミットが怯えててまともに事情も聞けなさそうだったから、帰して貰ってるわ。転移門までだし、そろそろ帰ってくるんじゃない?……それで、どうなったの?」
「ダメだ、転移で逃げられた……クソッ!」
そう悪態をついて、キリトが壁を殴る。
宿屋の中はシステム的な保護が働いており、HPを減らすことも、ましてや攻撃して殺すなんてことは出来るはずがない。
そう思い込んでいた。カインズの前例があるにも関わらず。
「お前だけのせいじゃない、オレの責任でもある。それでアスナ、シュミットは何か言ってたか?」
「……あの黒いローブは、グリセルダさんのものらしいわ。シュミットはグリセルダさんが幽霊になって殺しに来たんだって、怯えっぱなしよ」
「……幽霊なんかじゃない。この圏内殺人には、絶対にシステム的なロジックがあるはずだ」
キリトの言う通り、幽霊なんかこのアインクラッドにはいやしない。
少ししてミコトが帰ってきたので、オレ達は広場のベンチに行った。
キリトの隣に座るアスナが、すっかり暗くなった空を見上げ呟く。
「さっきのローブ、本当にグリセルダさんなのかな。目の前で2回も見せられたら、そうなんじゃないかって思えてくるよ」
「でも、幽霊だったんなら、転移結晶なんて使わないんじゃないかな。それこそ、何も使わずフッと消えちゃえるしさ」
「……転移結晶?」
「キリト?どうした?」
「……いや、何でもない」
4人は思考の袋小路にはまり、長い沈黙が流れた。
『───ぐうぅぅぅう〜〜〜───』
2箇所から鳴った拍子抜けしそうな音が、沈黙を破った。
「……わたしです」
「俺もです」
「……はあ〜……はい」
音の主である黒いのと蒼いのは、弱弱しく手を上げた。
アスナはため息を付き、ストレージから紙に包まれた何かをオレ達3人に手渡した。
「あ、やったー!アスナのサンドイッチ!」
「くれるのか?」
「この状況でそれ以外ある?そろそろ耐久値が底をつくから、早く食べた方がいいわよ」
「そうだぞキリト。んじゃアスナ、ありがたくいただきます」
照り焼きっぽい肉とトマトとポテトが入った、サンドイッチを頬張る。
1口食べて、キリトが美味いと呟き、またかぶりつく。
むしゃむしゃと口を動かしながら、キリトはアスナに言う。
「こんな弁当準備しとくなんて、流石血盟騎士団攻略担当の責任者様だな。ていうか、どこの店のなんだ?」
「……これ、売ってない」
「へ?」
「アスナは料理好きだもんねー。最近食べれてなかったから、いっそう美味しい」
「ゲテモノみたいな食い物が多いSAOで、ここまで美味しいのが作れるのか……負けてらんないな」
「へえ、ナギも料理するの?」
アスナの質問に、オレではなくミコトが答えた。
「ナギも結構作ってくれるよね。和食ならアスナと良い勝負するんじゃないかな?」
「弁当を作る程じゃないけどな。多分アスナのが上手い」
「そう、なんか意外ね……どうしたの?私が料理するのもそんなに意外?」
「い、いや、そんなわけじゃ……」
アスナお手製のサンドイッチだと知り、驚いていたキリトにアスナが目を細める。
ご機嫌斜めなアスナに、キリトはまたしても油を注いだ。
「い、いっその事、オークションにでもかければ大儲けだったのにな!アハハ……」
……キリトよ。お前、シリカとかには割と紳士だったよな?昨日も思ったけど、何でアスナにはこうなんだ?
異性として見てないのか……はたまた気遣わなくていいくらいに思ってるのか。
キリトのノンデリな言葉に、アスナが不機嫌を表すように地面を強く踏む。
それに驚いたキリトの手から、サンドイッチがこぼれ、無残にも地面に広がった。
元々耐久値がギリだったので、サンドイッチは跡形もなく、ガラス片のように砕け散った。
「あぁ……」
「おかわりはありませんからね」
「自業自得」
「今のはお前が悪い」
キリトはガクリと膝を付き、サンドイッチがあった場所を眺める。
……ちょっと待て。
「「ああっ!!」」
「ど、どうしたのよ」
「急に大声出して」
「……俺達は、何も見えてなかった。見ていたようで、実は何も見てなかったんだ!」
「圏内殺人なんてもんを実現させる武器も、トリックも、最初っから存在してなかったんだ!」
オレとキリトの言葉に、ミコトとアスナが首を傾げる。
落ち着いたオレ達は、説明を始めた。
「えっと、まずだな。多分、カインズさんもヨルコさんも
生きてると思う」
「い、生きてるの!?」
「でも、2人ともわたし達の目の前で死んだよ?」
「死亡を偽装したんだ。圏内でHPが減ることはない。けど、オブジェクトの耐久値は減る。さっきのサンドイッチみたいにな」
昨日、カインズに突き刺さっていた剣が削っていたのは、HPではなく鎧の耐久値だったのだ。
つまり、あの時砕け散ったのは、彼の鎧のみ。
鎧が壊れそうになった時、中身のカインズは丁度のタイミングで結晶で転移する。
そうすると、そのエフェクトは死亡時のそれにかなり近いものとなる。
これで、お手軽に死亡を偽装できるって訳だ。
「じゃあ、ヨルコさんは?彼女は直前まで私達と一緒にいたのよ?」
「彼女は、最初からダガーを背中に刺した状態で俺達と話してたんだろう。思い出してみろよ、彼女、あの部屋で俺達に一度も背中を見せようとしなかった」
「服の耐久値が減るのを待って、そろそろってなったら窓に移動。刺された演技をして、窓から飛び降りて転移って流れだな」
「じゃあ、あの黒ローブの中身は……カインズさん?」
「だろうな」
2人は、この方法を使えばこの奇妙な事件、に見えるものを行えると考えついた。幽霊でもないと出来ないような、圏内殺人という演出付きで。
目的は恐らく、指輪事件の犯人を炙り出すためだろう。
「自分たちで自分たちの殺人を作り上げて、幻の復讐者を作ったってことね」
「まあ、実際はシュミットをある程度疑ってたんだろうな」
「ミコト、ヨルコさんとフレンド登録してたよな。まだ残ってるか?」
「えっと……うん、あるよ。19層のフィールドにいる。主街区からはちょっと離れてるけど。行くの?」
「いいや、後は任せよう。内輪の話にオレ達が茶々入れるもんじゃないからな」
これにて、一件落着かね。
人騒がせだとは思うけど、目的が目的なだけに、これは後で謝られても強くは言えないな。
オレ達は一転して和やかなムードとなり、ベンチに背を預けていた。
「ねえ、あなた達のパーティって、すごいレアアイテムがドロップしたらどうしてるの?」
「基本申告してるよ。まあ俺は、ああいうトラブルが嫌でソロやってたってのもあるけど」
「キリトは隠し事してもナギにバレるからね」
「うちは、ドロップした人の物。そういう取り決めにしてる」
「へー、トラブルが少なそうでむしろ良いな」
SAOでは、誰にどんなアイテムがドロップしたかは、全部自己申告だ。オレ達みたいに、気心知れてるパーティなら良いが、人数の多いギルドともなってくると、トラブルを避けるためにはアスナ達のようにするのが1番良い。
「ええ。それに、だからこそこの世界での『結婚』に重みが出るのよ。結婚しちゃうと、2人のアイテムストレージが共通化されるでしょ?」
「あー。今まで隠してきたものとかも、全部曝け出されちゃうからね」
「ストレージ共通化って、すごいプラグマチックだけど、同時にすごいロマンチックじゃない?」
そうしみじみ言うアスナに、キリトが何か言おうとした。
これ、余計なこと言うパターンだな。
「なあアスナ」
「何?」
「お前結婚したことあるのか?」
ほら言った。
そこはアスナの間合いだぞ。剣を抜いてる状態だったら今頃穴だらけだぞ?
案の定、剣に手をかけたアスナに、キリトは慌てて弁解した。
「ち、違う違う。そういう事じゃなくて!ほら、さっきロマンチックだとか、プラスチックだとか言ってただろ?」
「誰もそんな事言ってないわよ!」
「ちなみに、プラグマチックは『実際的』って意味な」
「ほへー」
「解説ありがと、ナギ。分かった?」
「最初からそう言えば……」
「なんか言った?」
「い、いえ……」
何も言ってなかったけど、プラグマチックの意味が分かってなかったらしいミコトが頷き、キリトもアスナに押され頷いた。
プラグマチックなんて、日常じゃそうそう使わないから、分からないのも無理はないけど。
「それで、何でSAOでの結婚が実際的なんだ?」
「だって、ある意味身も蓋もないでしょ?ストレージ共通化なんて」
「確かにな。オレとミコトの場合は、そもそもアイテム見せ合ってたからそんなこと思わなかったけど」
「ん?」
「ストレージが一緒になってるのも、気づくのに3日かかったんだよね。普段から見てると、自分のなのかナギのなのか分からなくなっちゃってさ……」
「ちょ、ちょっと待って!あなた達結婚してたの!?」
「してるけど?」
「聞いてないわよ!」
そうなの?とミコトを見ると、「あ、やっべ」って顔をしてた。お前血盟騎士団の時といい、報告癖がないよね。1回痛い目見る?
オレ達が結婚したのは、50層が攻略されて少し経ったあたり。そういやしてなくね?ってなってしたのだ。二つ返事だった。
『なあミコト』
『なーにー?』
『結婚しね?』
『いーよー!』
はい、《Marriage》。
正直、普段からしてカップルというよりかは夫婦みたいな関係だったので、今更って感じではあった。
ストレージが合体して、アイテム状況が見やすくなって良いね。今や2人で共用の武器もあるくらいだし。
ちなみに、キリトには勿論報告済だ。
言った時は『俺は夫婦の中に挟まってるのか?』と言っていたが、再三言うように別に今まで通りなのだから、気にするなと言った。
断られるとは思ってなかったのか?
オレとミコトだぞ?年季が違うんだよ(交際期間3年足らず)。
驚き固まるアスナを他所に、キリトは何か思案していた。
「……そう言えば、結婚相手が死んだら、アイテムはどうなるんだ?グリムロックはグリセルダさんと結婚してたんだろ?」
「もう1人の方に全部行くんじゃ……あれ?だとするとさ。グリセルダさんが死んだ時、レア指輪は犯人じゃなくてグリムロックさんのとこに行ったんじゃない?」
ミコトの指摘に、オレははたと気がついた。
「指輪は奪われていなかった。いや奪われたのか、グリムロックに」
「じゃあ、グリセルダさんを殺したのは、グリムロックさんなの?」
「いや、多分汚れ仕事はレッドに任せたはずだ。そしてグリムロックは圏内殺人事件の真相を知っている」
「……待ってくれ。今、ヨルコさんと恐らくカインズはシュミットを問いただそうとしてるだろう。事件の真相に近づく人間が、3人できた訳だ。とすると……」
キリトが続けようとした言葉を引き継いで、的を得ていない様子の2人に告げた。
「───グリムロックは、この事件を利用して指輪事件の真相を永久に闇に葬ろうとしている」
オレの言葉に、アスナとミコトが息を飲んだ。
ありえない話じゃない、むしろ可能性は高いだろう。真相へと迫った3人が、都合良く集まってくれたんだ。口封じにまたとない機会だ。
「俺とナギは今すぐ19層に向かう。アスナとミコトは、近くにいるはずのグリムロックを探してくれ」
「分かったわ」
「無茶はしないでよ。レッドがいるんだから」
「3人も人質がいるからな。あんまり荒立てるつもりはねえよ。適当言って退散させるさ」
そう言って、オレたちは急いで19層へと向かった。
◇◇◇
19層に転移してきたオレたちは二手に分かれ、オレとキリトはフィールド内の丘へと向かっていた。
レッド共がいつ来るか、なんならもう来ているかもしれないので、足よりも速い馬に乗って移動している。乗馬の経験など無いが、システムが多少はアシストしてくれるので振り落とされる事はほぼない。
霧が立ち込める森の中を駆ける。すると、前方に人影が見えてきた。
そのうち、こちらに背を向けている4人。
黒いポンチョのような服を被っており、その全員のカーソルはオレンジ色だった。
内1人が、鉈のような肉切り包丁のような剣を掲げている。剣の先にいるのは鎧を着て地面に倒れている男、恐らくシュミットだろう。
4人はオレたちに気がついたのか、その場から1歩後退る。
「───よっと」
「いてっ!」
オレは馬から飛び降り、キリトは馬から降りる前に転げ落ちた。最後までカッコつけないな。
馬の尻を叩いて街に戻させ、オレンジ達に振り返った。
「ギリセーフっぽいな」
「だな。……で、どうする?もうじき攻略組の援軍が到着する予定だ。それまでお前ら4人を相手にするくらいはできるぞ」
「……ちっ」
キリトのハッタリにリーダーの男、PoHが舌打ちし、辛うじて見える口の端を下げる。
「どうすんの?
「……いや、美味くない。退くぞ」
トゲトゲの槍を持っていた男はつまらなそうにしていたが、リーダーに逆らう気はないようで「へーへー」と言い武器を背にかけた。
その時、僅かに見えた右手に掘られた刺青。黒く塗りつぶられた手の甲に、白で描かれた趣味の悪い絵。
オレは槍を持っていた男に、苦々しい顔で言った、
「……やっぱお前らかよ、
「へー、『やっぱり』?」
「グリムロックが作ったあの剣、見覚えがあった。棘のついた、ペインアブソーバーが無けりゃクソ痛そうな剣。………お前が教えたんだろ?
「おっ、覚えててくれてんだ。嬉しいねえ」
2Pと呼んだ男が、その口元を醜く歪める。
以前、こいつらラフコフと遭遇した時、執拗にオレを狙ってきた男。
……あまり思い出したくない。今思い返しても胸糞が悪くなる。
「おい、あんま無駄話してんじゃねえよ」
「少しくらいいーじゃん、兄弟だって黒いのと話したいだろう?」
「お前と一緒にすんな。行くぞ」
レッド4人は、武器をしまいオレたちの横を通り過ぎていく。
去り際、2Pが耳元で聞こえるかギリギリの声で話しかけてきた。
(またね。今度はキミに、最っ高の痛みを味わわせてあげるよ)
オレは反射的に刀に手を掛け、それを2Pに向かって振り抜いた。が、そこにはもう姿はなく、4人は霧へと消えていった。
緊張の糸が切れ、1度深呼吸したオレは呆然としていた3人に目を向けた。
「久しぶり、って程でもないか。また会えて嬉しいよ、ヨルコさん」
「……全部終わったら、改めて謝りに行くつもりでした。と言っても、信じて貰えないでしょうけど……」
「き、キリト、ナギ。助けてくれたのには感謝しているが、何で分かったんだ?アイツらに襲われてるって」
申し訳なさそうなヨルコさんに苦笑していると、シュミットがそう問いかけてきた。
そして、オレたちは事の顛末を3人に伝えた。オレたちの推理は的中していたらしく、更にグリムロックの思惑まで知った3人は驚愕していた。
粗方語り終えると、木の影からアスナとミコトが歩いてきた。ついでに、帽子を被った男も連れて。
「見つけたわよ」
「ご到着だな。詳しいことは、本人に直接聞こうか」
逃げないように、2人に剣を向けられているグリムロック。その口には微小を浮かべていた。
「やあ、また会えて嬉しいよ、皆」
「グリムロックさん……あなたは、本当にグリセルダさんを……」
ヨルコさんの言葉に、グリムロックは何も言わない。それを肯定と受け取ったヨルコさんは彼へと叫んだ。
「何でなのグリムロック!何でグリセルダさんを、奥さんを殺してまで指輪を奪ってお金にする必要があったの!?」
「……フッ。金?金だって?」
グリムロックは涙を浮かべるヨルコさんを嘲笑し、事件の真実を語り出した。
「金のためではない。私は彼女をどうしても殺さねばならなかった。彼女がまだ私の妻である内に」
「どういうことだ」
「……彼女は現実世界でも私の妻だったんだ。仲は円満そのもの。可愛らしく、従順で、ただの1度も夫婦喧嘩などした事はなかった。
しかし、彼女はこの世界に囚われて変わってしまった。強要されたデスゲームに怯え、恐怖し、足がすくんだのは私だけだった。彼女は現実世界よりも遥かに充実した様子で、生き生きとしていた。その時私は気づいたのさ。私が愛した妻は、ユウコは、もう消えてしまったのだと……!」
口調は段々と速くなり、グリムロックの体は小刻みに震え出した。まるで、何かに怒りを抱くように。
「ならば!ならばいっそ、合法的に殺人が可能なこの世界にいる間にユウコを!永遠に思い出の中に封じ込めればいい!そう思った私を、誰が責められる!!」
狂気を孕んでいるとも言える目で訴えるグリムロックに、その場の全員が言葉が出ないようだった。 その中、刀を震わせたミコトが口を開いた。
「……そんな理由で、あなたは奥さんを殺したの?」
「十分すぎる理由さ。君たちにもいずれ分かるさ。愛情を手に入れ、それが失われしようとした時にはね」
「───いいえ、間違ってるのはあなたよ、グリムロックさん」
そう言って、アスナとミコトは剣をしまいグリムロックの前に出た。
「あなたがグリセルダさんに抱いていたのは、愛情なんかじゃない。ただ彼女を手元に置いておきたいという所有欲だわ」
「なっ……!?」
「アスナの言う通りだよ、グリムロックさん。グリセルダさんは、変わってなんかいない。あなたは自分が知らない彼女を見ただけ。本当に愛していたのなら、あなたみたいな事は思わない」
真っ直ぐな瞳で、グリムロックを見据えるミコトとアスナ。2人の言葉に、グリムロックは膝をついた。
そこに、シュミットとカインズが前へ出て、グリムロックの横に着いた。
「皆さん、この男の処遇は私たちに任せてくれませんか?然るべき罰は受けさせますので」
「分かったよ。頼んだ」
そして、グリムロックを抱えた2人にヨルコさんが続き、4人は歩いて行った。
ちょうどその時朝になったらしく、森の中に陽光が差し込んだ。
「もうこんな時間か、徹夜かよオレら」
「あ"──、疲れたなぁ」
キリトと一緒に伸びをしていると、アスナがキリトに聞いてきた。
「ねえ。もし君なら、仮に誰かと結婚した時になって、相手の隠れた一面に気が付いた時、どう思う?」
「え?んー……ラッキーだった、って思うかな」
「へへえ、どういうこと?」
ミコトがキリトに聞き返すと、キリトは頬を掻きながら言った。
「だってさ、結婚するって事はそれまで見てきた面はもう好きになってるわけだろ?その後に新しい面に気付いて、そこも好きになれたら、2倍好きになるだろ」
「うんうん、キリトにしては分かってるね」
「どういう意味だよ」
「……ま、いいわ。早く戻りましょ。2日も前線から離れちゃったし、明日からまた頑張らなきゃ」
「だな。今週中に今の層突破してやろうぜ」
皆疲れたようで、オレたちは街に戻ろうとした。
そこで、何か後ろに気配を感じ、振り返ってみる。
「…………」
「? ナギ、どうかした?」
「……いや、何でも。なあミコト」
「何?」
「オレに隠れた一面があったら、どうする?」
「キリトと同じ。嬉しいよ、まだわたしが知らないナギがいてくれて。死ぬまでに全面暴いてやるから、覚悟しといてね?」
「そか。オレも同じだな。まだまだ知らない事いっぱいあるからな」
「だね!ほら、行こ!2人とも待ってるよ!」
「おう」
オレは、ミコトに手を引かれキリトたちへと走った。
最後に、
墓の近くの朝露が少しだけ、減っていた気がした。
~ポッキーゲーム~
ミコ「今日は11月11日、ポッキーの日である」
アス「いや、もう過ぎて
ミコ「ポッキーの日(滑り込み)である」
キリ「続けるのな」
ミコ「ならばやることは1つ!ポッキーゲーム!さあキリトアスナ!ポッキーゲームをするのだ!」
アス「それでポッキー咥えてるのね。というか、私たちがやるの?まだ本編で付き合ってないのよ?」
ミコ「大丈夫でしょ、どうせ原作知ってる人しか読んでないんだし」
キリ「凄いこと言ってるぞミコト!?」
ミコ「ええいごちゃごちゃ言わない!早くイチャイチャを見せて!」
アス「それが本音でしょ!?」
ミコ「いいじゃん、キスなんか飽きるくらいしてるでしょ!今更じゃん!」
キリ「人に見せるもんじゃないだろ!」
ナギ「悪い、遅れた。何してんだ?」
ミコ「ナイスナギ!キリトとアスナ抑えて!ポッキーゲームさせるから!」
ナギ「……ふーん。(ヒョイ)」
ミコ「あっ、何でわたしのポッキーを……」
ナギ「(チュッ)」
ミコ「!?!?!?」
ナギ「ふう、お前らはやんねえの?」
キリ「……いや、今はいいかな……」
アス「うん、私も……」
ナギ「そ、んじゃポッキーでジェンガでもするか」
ミコ「………………ズルい」
※恋愛的な駆け引きにおいては、ナギのが優勢。
理由:駆け引きに持ち込ませず口(物理)で黙らせるから。
ミコトは満更でもない。キリトとアスナは砂糖を吐いた。