ナギミコの影響により、キリトとアスナは原作より親交が深いです。
加えてアスナはキリトへの好感度がこの時点で結構高いので割とグイグイ行ってます。
前回後書きでお披露目とか抜かしましたが、1話であそこまで行けるはずねえっすね、はい。
鈍足ですみません……。
2024年 10月17日
第74層 迷宮区
爬虫類特有の垂直な瞳孔を赤く光らせ、目の前のモンスターは獰猛に剣を走らせる。
アインクラッドも7割まで到達し、モンスターのレベルはとうとう80を超えてきた。道中にいるモンスターでさえ、油断をしていればこちらが狩られる。
ライトエフェクトが付いた俺の剣が相手の
俺は1度モンスターと距離を取るために背中を見せる。その隙を逃す事はなく、モンスターは右半身を後ろに下げ構えを取る。
地面を滑るかのような突進と共に、曲刀ソードスキル《フェル・クレセント》が俺に迫る。
(かかった!)
間合いに入ったと同時、俺は体を翻しモンスターと対面する。曲刀を避け、カウンターの要領で片手剣4連撃ソードスキル《ホリゾンタル・スクエア》が正方形の軌跡を描き、《リザードマン・ロード》を撃滅した。
「ふぅ……」
「せいっ!せやっ!」
後ろを見てみると、まだミコトが戦闘を続けていた。
派手に吹き飛ばされたモンスターの体は、そのまま空中で爆散した。
「よーし、これで10体。キリトはどうよ?」
「11」
「む~!あと1体狩る!」
「ナギからメッセージだ。『今終わった』だってさ」
「…………帰る!」
「はいはい」
今日はナギが刀の改造でリズのところに行っているため、ミコトと狩りをしていた所であった。少し膨れっ面になったミコトを連れ、俺たちは迷宮区を後にした。
鬱蒼としたジャングルのようなフィールドを歩きながら、ミコトが独りごつ。
「もう10月かぁ。もうすぐ11月だね」
「そうだな。……もう、2年になるのか」
「時が経つのは早いねぇ」
このデスゲームが開始され、もう2年近くが経過した。そしてずっとソロで活動するつもりだった俺も、なんやかんや2人とパーティを組んで10ヶ月だ。最近は2人か3人での攻略の方が板に付いてきた。
(……茅場は、今何を思ってこの世界を見てるんだろうな)
SAOの開発者であり、このデスゲームの発端である茅場晶彦は何処かでこの世界を観察している。
奴はこの約2年という時間を、どう考えているのだろうか。
「(キリト!キリト!)」
「ん? なん……」
「(しっ!)」
急にミコトがヒソヒソ声で話しかけてきたと思ったら、口を塞がれた。
チョイチョイとミコトが指差す方向へ目を向けると、森の方に黄色いモンスターのカーソルが見えた。それも2つ。
「(あれは……)」
(コクコク)
ミコトに視線を戻すと、分かってると言わんばかりに首を縦に振った。俺は腰のホルダーから細い
気取られないようにソッと構え、水色のエフェクトが発生する。
((せー……の!))
投剣スキル《シングルシュート》により放たれた2つの小短剣はほぼ無音でモンスターまで飛んでいった。
『『ピィ──!!』』
見事命中し、モンスターは甲高い鳴き声を上げて倒された。凄いのは逃げ足だけと言うのは本当らしかった。
「うっ、思いの外可愛い鳴き声で心が痛む……。可愛かったなあ、飼えないかなぁ」
「この層にいるんだから、テイムは厳しいだろ。それに、もっと良い方法で使わないと」
「……それもそっか。お命頂きます、兎さん」
「モンスターだけどな」
俺の返答にむっすーと顔を顰めながらも、ドロップ品を確認するミコト。やっぱりお前も楽しみだったんじゃないか。
俺の方も確認すると、ちゃんとドロップしていた。
《ラグー・ラビットの肉》。SAOにおいて、『S級レア食材』と呼ばれる素材……もとい食材である。
◇◇◇
「グッハアアァァ!?!?」
第50層 主街区アルゲードのとある雑貨屋にて、男の悲鳴にも似た声が響き渡った。
カウンターから後ろにぶっ倒れた大柄な色黒の男、エギルは目の前でストレージを見せてきた2人のプレイヤーを瞠目した。
「お、おおおお、お前ら……お前らよぉ……お前ら……なあ……?」
「エギルさんの語彙が死んだ」
「ここまで驚くとは思ってなかったな」
「見せに来た甲斐があったね」
未だ興奮覚めやらない様子のエギルは震えながら立ち上がり、ストレージを指差した。
「え、S級のレア食材……現物を見るのも始めてだってのに、それを2つ?同時?お前らのリアルラックどうなってんだよ……」
「日頃の行いってやつかなぁ、やっぱり」
「ま、ぼったくり価格でアイテムを売るぼったくり店主じゃ、絶対お目にかかれないだろうな」
「ぼったくり言うんじゃねえ。つーか、何で俺のとこに来たんだ?まさか取引してくれんのか?」
少しの期待を込めてエギルがそう言うと、キリトとミコトは1度顔を見合わせた後、爽やかに笑って返事した。
「お前ってそこそこ名の通ったアイテム屋だろ?大体のアイテムは見た事あるくらいのさ」
「だから1回レアアイテムを拝ませてあげよっかなー、って思ってさ。あ、74層にいたから、運が良かったらまだいるんじゃない?」
「モンスターはランダムポップだからもうお目にかかれねえよ!性格悪いなお前ら!!見せるだけかよチクショー!!」
血涙を流して台パンするエギル。ここだけ見ればゲスい2人だが、2人は前にこの店で買い物をした時かなりぼられてる。少し根に持つくらいの額を。まあここまで悔しがられると多少なりとも心が痛むので、何か使わないレアアイテムを見つけたら今度売りに来てやろうと思った2人だった。
「うぅ……てか、お前ら料理出来んのかよ?S級食材なんて、料理スキルがかなり上がってねーと、焦がしちまうだけだぞ?」
「ふふーん、それに関しては問題ないのだ!」
「ぃよーす、来たぞ2人とも」
「今日は2人だったんだね。どうしたの?急に呼び出して」
店の扉を開けたのは、いつもの赤い羽織を着たナギと、同じくいつものKoBの赤白装備を着たアスナだった。2人は迷宮区に潜っていた似た者コンビに呼ばれて来たようだ。あとついでにアスナの護衛もいる。
キリトとミコトはそれぞれ、アスナとナギの手を握った。
「「シェフ確保」」
「な、何よ……」
「いきなりどした」
何やら上機嫌な2人に戸惑う赤コンビ。
キリトは後ろの護衛からの視線を感じて手を離し、アスナは少しだけ名残惜しそうにしていた。
「2人とも、シェフがどうこうって何?」
「ああ、それで聞きたいんだけど、2人って料理スキルの熟練度どのくらいだ?ナギも最近聞いてなかったし、そこそこ上がってるんじゃないか?」
キリトの問いに、ナギとアスナは得意げに笑みを作る。そして、2人同時にピースして答えた。
「私たち、先週コンプリートしたわ」
「ドヤさァ」
「なっ、そこまでかよ!?」
「最近料理の味が格段に上がったのはそれでか……」
SAOには戦闘に関係ない、生活面でのみ役に立つスキルが幾つもある。その代表例が料理スキルである。
攻略に参加する程のプレイヤーでそういうスキルを取得する者はほぼ居ない。あまり使わない人がほとんどで、スキルロットの無駄遣いとなるからだ。
だからこそ、この2人はヤバい。中層や下層なら兎も角、攻略組トップの2人が揃って料理スキルコンプ……この2人も中々に物好きである。
ちなみに、この2人はちょくちょくアスナの家で料理研究をしている仲である。アスナほど料理をしないナギがコンプまで行ったのはそのお陰でもある。
それで、先週の料理研究の際、同時に料理スキルをカンストさせたのだ。
「で、それがどうかしたのか?」
「それはな……これを見てくれ」
そう言ってキリトがストレージを見せると、2人は目をかっぴらいて驚いた。
「ら、ラグー・ラビット!?」
「S級食材……実在したのか……!」
「それがこちらにも」
「「2つ!?」」
「これを調理できるような凄腕料理人を探してるんだが……あっ、うん。分かってるよ、一緒に食べようってことだ。そんなに必死になるか?」
キリトの肩をふん掴んで首をブンブン縦に振る料理人2人を見て、キリトは少しだけ後ずさった。
「じゃ、そういうことだから、またなエギル」
「お、俺たちダチだよな?な?一口くらい分けてやるとか……」
「感想は一番に伝えてあげるから期待しててね!」
「そりゃねえだろミコト!?嫌がらせじゃねえか!」
嘆くエギルを後目に、4人は店を出た。
「アスナの家でいいか?うちの宿、調理器具無くてな。せめてオーブンは欲しいし」
「いいわよ、そのつもりだったし」
「お待ちください、アスナ様」
ナギとアスナが話していると、アスナの護衛の男──クラディールが呼び止めた。
「そのような者たちを御自宅に呼ぶなど、承知しかねます。そんな素性の知れない輩を……」
「素性は知れてます。私の友達です」
アスナが反論している最中、ナギはミコトに確認を取っていた。
「(誰だっけ?あいつ)」
「(アスナの護衛。最近若干ストーカー混じってきたってアスナが愚痴ってた人)」
「(あ〜、そういや先週聞いたな……)」
相変わらず苦労人気質だなとナギがアスナを見ていると、クラディールがその目を胡乱げに見てきたので、ナギはサッと目を逸らした。
「危険はありませんから。もう帰って貰って結構です」
「アスナ様!女性の方はともかく、そこの男2人が問題です!そんなビーター共関わると、ロクな事がありません!」
その単語に、ナギが目を細めた。キリトは1層の事で攻略組にはビーターとして知られており、ナギもこの10ヶ月程一緒に行動していたため、βテスターである事がバレている。
そして、自分の事を言われるのは別にいいが、キリトの事まで言われると文句の1つでも言ってやりたくなるのがナギだ。が、クラディールに詰め寄ろうとした所、キリトに止められた。
「(良いのかよ、言われっ放しで)」
「(怒ってくれるのはありがたいけど、今はよせ。人集りが出来てきた)」
「(……む~……)」
「(あとミコトを止めてくれ)」
「(イエッサー!)」
ナギは自分よりも危ないやつを止める為に矛を収めた。ナギを悪く言われた事で、目を据わらせて刀に手まで掛けてクラディールを睨みつけているミコトをどうどうと宥める。ナギよりもむっす〜という顔をしていた。
「……とにかく、今日はここで帰りなさい。副団長として命令します。……行こ、皆」
アスナがそう締めて、キリトの首根っこを掴んで歩いて行った。ナギは最後に何か言おうとしたミコトの口を抑えて後をついて行く。
「ちょ、いいのか?」
「いいんです!」
「ナギ、一言だけ。一言だけだから」
「まず刀の手を離してからにしようか」
キリトはアスナに引き摺られながら、こちらを睨みつけるクラディールに、少し申し訳なさを感じた。
◇◇◇
「お、お邪魔します……」
「お前はいつまでここに来る時緊張してんだ」
「慣れないんだよ、女子の部屋は……」
「それじゃ、私たちは着替えてくるから」
「ナギは準備よろしくね〜」
「へいへい」
何度か来てるはずなのにガチガチなキリトにツッコみ、オレは装備を部屋着にした。キリトは剣を背負ったまま椅子に座ろうとしたが、オレのを見て気づいたように装備を変えた。お前アレでメシ食うつもりだったのか。
準備しといてと言われたが、材料以外の調理器具は全部アスナが持ってるので何も出来ない。仕方なく待っていると、私服に着替えたガールズが戻ってきた。
……キリト、アスナの私服見て少し照れたな。これは少し進展か。
2人から食材を貰い、実体化させる。兎肉だからちんまいのを想像していたが、出てきたのはそこそこデカイ塊肉だった。
「これが伝説のS級食材かぁ……、腕が鳴るね」
「兎肉だよな、なんかデカくね?」
「確かに倒したモンスターよりもデカイね」
「このゲームでそこは気にしない方がいいだろ」
まあキリトの言う通りだな。紫色の肉とかがザラにある世界だし。質量保存の法則を無視した肉があっても別に不思議でもないか。
「それで、どんな料理にする?」
「シェフのおまかせコースで頼む」
「同じく」
「1番困るんだがなそれ」
「んー、じゃあシチューにしましょうか。『ラグー』は『煮込む』って意味だし」
アスナが次々と実体化させた肉以外の食材を包丁のワンタップで下処理していく。オレもその半分を包丁で卸した。ミコトとキリトはキッチンの傍で見学だ。
「やーっぱ味気ねえなぁ、この過程」
「見てる分には楽しいよ?」
「本当ならもっと手順があるんだけどね。ナギ、シチューは作っておくから、付け合わせお願い」
「あいあいさ。つってもシチューに合う和食ってあるか?」
「こういう時ぐらい和食から離れろよ」
「いいだろ美味いんだから」
アスナは料理全般、あらゆる物が作れるが、オレは和食特化型。総合的に見ればアスナには負けるが、和食一点ならアスナさえ凌ぐ、と思ってる。つい最近開発したアレにより、その差は歴然だろうな。フフン。
「まあでも、たまには離れてみるか。ローストビーフって作れたっけな」
「いいわね。そこの鍋使って」
「サンキュー」
卸した肉と適当に見繕った香草系の食材、あとついでに野菜も一緒に鍋にぶち込み、設定して火にかける。実際のローストビーフの作り方の何倍簡単なんだろうな。
アスナのシチューが出来るのと同時、ローストビーフも完成した。シチューのスープを少し拝借して作ったソースを回しかけて、完成だ。
「よしっ、そっちはどうだ?」
「今から開けるよ」
「どれどれ〜……おぉっ!」
(ゴクリ)
見事なビーフシチュー──ならぬラビットシチューが出来上がっていた。覗きに来たミコトが感嘆の声を上げ、キリトが唾を飲んでいた。
それから4人で食卓を囲んだ。
ヤバかった。マジで美味かった。この世の全ての食材に感謝を込めたくなるほど美味しかった。多分漫画にしたら6ページくらいかけてリアクションしてると思う。
あっという間に食べ終わり、オレたちは食後の茶をしばいていた。
キリトの対面に座っているアスナが、息を吐いて言った。
「美味しかった〜。S級食材なんて、2年も過ごしてて初めて食べたわ。今まで頑張って生き残ってて良かった」
「ね〜。今まで食べてきた物の中で1番かも」
「「だなー」」
椅子にもたれ掛かりながら言うミコトに同調する。まさかこの世界で、人生の1番を更新するとは思っていなかった。
アスナがティーカップを揺らしながらしみじみとした感じで呟いた。
「……不思議ね。なんだか、この世界で生まれて、こうやって皆で集まってご飯食べて、今までずっと暮らしてきたみたいな、そんな感じがする」
「俺も最近、あっちの世界での事、家族とか学校とか、思い出さない日がある」
「確かにね。私たち以外も、最近は攻略に躍起になってる人って、あんまり見なくなったよね」
「言われてみればそうだな。今、最前線で戦ってるプレイヤーなんて、いても500かそこらだろ」
「……皆、この世界に馴染んできてる」
馴染んできてる、か。
アスナの言う通りかもしれない。1年ほど前に比べ、最前線で見るプレイヤーは明らかに減った。皆、中層で程々にレベルを上げて、危険の少ない中から下層に住んでいるプレイヤーが多くなった。
初期の頃と違い、皆この世界で暮らす事を、なんならこの世界で一生を終えるんじゃないかって事を、受け入れ始めてきている。たとえクリアされなくても、この世界で生きていけばいいと。
かく言うオレも、最近はミコトと同じ部屋で寝泊まりするのが当たり前になったせいで、現実の家で1人で寝ていた時や、起きて誰もいない時というのを思い出すのが難しくなってきた。もうこの世界を、1つの現実として受け入れ始めている。
オレがそう考えていると、ミコトが微笑みながら言った。
「でもわたしは帰りたいな。お義母さん達に、まだ言ってない事があるから」
「うん。私も、まだあっちでやり残した事いっぱいあるから。私はこの世界をクリアしたい」
「……そうだな。オレたちが頑張らないと、リズとか他のサポートしてくれる人達に、申し訳が立たないもんな」
「だな。いい加減寝過ぎな気もするし、そろそろ起きねえと体バキバキになってそう」
「ナギ現実じゃ元から体硬いでしょ」
痛い所を突かれてオレが押し黙ると、キリトとアスナが吹き出した。それにつられてオレとミコトも笑った。やはりこの面子だと、真面目な話をすると最後には笑ってる事が多い。居心地が良いというのは、こういうのを言うんだろうか。
アスナが紅茶を一口啜ると、ホッと一息ついた。
「そういえば、ミコト達って家とか買わないの?夫婦のプレイヤーって、大体持ってるイメージなんだけど」
「考えた事がない訳じゃないんだけど、その場合キリトをどうしよっかなーって」
「だから、何度も言ってるけど俺の事は気にしなくていいって。夫婦水入らずで一緒に過ごせばいいだろ」
「そうなるとキリトが1人になって可哀想だな、と」
「俺は元々ソロだから心配ないって!」
まあでも、他の問題もあるんだよなー。
基本最前線にいる都合上、なるべく拠点も上層がいいんだが、その上層の物件は良い物を選ぶとまあ高い。
確かアスナのこの家は諸々込みで400万コルくらいだったか。61層の物件が軒並み高いのもあるが、2人(もしくは3人)住みの家でちゃんとしたやつとなると、かなりお高くつく。
色々計算すると、家を買うより良い宿に定住した方が良いってなったのだ。そのせいで調理器具をアスナの家にたかりに来てる状態なのだが。
アスナはオレたちの話を聞くと、顎に手を当てて思案していた。
「……キリト君をうちで預かるというのは?」
「ぶっ!!」
「うわきったね!?」
「いいねソレ!キリトもそっちの方が大人しくしてるでしょ」
「俺は猫か!?そんな事できるわけないだろ!」
「おいキリトなんでわざわざこっち向いて吹いたんだ? 何で前じゃなくてわざわざ左向いたんだ?? ん??」
アスナの突拍子のない発言に、キリトがオレの方を向いて吹き、ミコトが名案だと頷いた。名案かどうかは置いといて、オレはキリトにこっちに吹きかけた理由を問い詰めたいんだが。
「もぅ、冗談よ。そんなに焦らなくてもいいじゃない」
「目が本気だったんだよ」
「実際本気だろ」
「ミコト、ゴー」
「ハイハーイ、余計な事言わなーい」
「黙らせる方法が独特じゃない?」
「こういう場でもナチュラルにするよな、お前ら……」
余計な事を言うなと言わんばかりの目でミコトをオレにけしかけるアスナ。良いだろ、コイツ多少露骨にでもしないと気づかねえぞ?
ひとまず、わざわざ移動してオレの膝の上に乗ったミコトを腕を腰に巻いてホールドしといた。体温が心地良い。
けしかけておいてオレたちの姿に苦笑いするアスナは、少し居住まいを正した。
「冗談は置いといて」
「冗談ぽくなかったんですが……」
「キリト君達のパーティ、入ってもいい?」
「いいよー!!」
「待て待て待て待て!!」
光速で了承するミコト、それに追随してツッコむキリト。この光景も見慣れて来たな。ちなみにミコトの所がオレになる事もある。
「いきなり過ぎるだろ!?何でまた急に……!」
「そういえば今週のラッキーカラー黒だったね」
「何でミコトが言うんだよ!いやそれよりアスナ、ギルドの方はどうするんだよ?」
「KoBってレベル上げノルマとか無いのは良いよな」
「ナギまでそっちか!じゃ、じゃああの護衛は……」
「置いていくから問題なし!」
「味方はいないのか……」
3対1で論破され、ガックリするキリト。そんな嫌がるかね?アスナが一緒なら、迷宮区もスイスイ進めるだろ。
アレがバレるってんなら、もう遅いしな。一応黙秘したが、先月猛烈に詰め寄られたし。とある別件も含めて。
煮え切らない様子のキリトは、アスナの方を見てボソッと言った。
「…………最前線は危険だぞ」
ヒュッ!
余計な事を言ったキリトの眼前に、赤紫色の光を纏ったナイフが差し出される。細剣ソードスキル《リニアー》だな。こんな風にアスナは怒るとソードスキル使うので、皆はアスナの前での発言は十分に気をつけような。
有無を言わせぬ目つきのアスナにキリトも観念し、オレたち初期メンは約1年半ぶりにパーティを再結成した。
その後、明日74層に行くことを決め、食事会はお開きとなった。ミコトはアスナの家に泊まるそうだ。ウッキウキだった。
帰り道、キリトがため息をついた。
「は〜。なんかアスナ、最近お転婆になってないか?前みたいな状態よりかは良いんだろうけど……」
「いいじゃねえか。お前もアスナとパーティ組めて少し嬉しいくせに」
「何でそうなるんだよ」
「あれ、嬉しくねえの?」
「……そうとは言ってないだろ」
「お、顔赤くなったか?」
「お・ま・え・なあ!」
飛びかかって頭をグリグリしようとするキリトをヒョイと避ける。アスナ関連の事でも弄ると良い反応をしてくれるようになってオレは嬉しいよ。
(キリトが気づいてないだけで、両思いだろうなこの2人。……もう付き合っちゃえよ!!!)
なんかそう叫べって言われた気がしたので、心の中でそう叫んだ。
~小話クリスマスin2023~
ミコアス「「メリ~~クリスマース!!」」
ナギキリ「「……いえ~~」」
ミコ「いやテンション低いね2人!?」
キリ「悪いがナギ、説明頼む」
ナギ「原作では昨日キリトがニコラスに挑んでる。つまりメンブレ状態です」
アス「……あの時、何もできなくてゴメンね」
キリ「い、いや!アスナは悪くないからな!?あの時のは、全部俺のせいだから……」
ミコ「まあそこは掘り返さない! で、ナギは何でテンション低いの? わたし達のミニスカサンタ似合ってない?」
アス「ハロウィンといい、何でミニスカなのかな……」
ナギ「スカートが短い事には一言言いたいが、そうじゃなくてな……。……オレ、7話(この作品)でクサイ台詞吐きまくったから、思い出して悶えそうになってるんだよ」
ミコ「ナギがクサイ台詞吐くなんて何時ものことでしょ。前前話でわたしに何言ったのか忘れたの?」
キリ「現時点だと、原作の俺より恥ずかしい事言ってる回数多いよな、お前」
アス「キリト君は原作で恥ずかしい事言ってる自覚あったんだね。というかナギは本編でミコトに不意打ちキスしてるくせに、そんな事でいちいち……あ、縮こまっちゃった」
ナギ「……テンション高くなると痛い台詞吐きまくるの、どうやったら直んのかな……」
キリ「作者が辞めない限りはな」
アス「きっとこれからも小話時空では悶えるんだろうね」
ミコ「わたしは普通に嬉しかったんだけどなぁ」
キリ「……あれ、これクリスマス回だよな?」
ミコアス「「誰のせいでこうなってると」」
ナギ「オレを殺せ……」
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