ソードアート・オンライン ~双角の鬼人~   作:句読仮名丸

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次の話、少し遅れるかもです。


第3話 攻略会議と即席パーティ

 寝ぼけてるミコトをそのままに、装備に着替えさせて、集合場所である、ステージのような場所に来た。

集まってるのは見える範囲で30人程度。大体予想してたら通りだ。

オレたちはステージの1番上の席に座り時間を待った。

 

 やがて定刻となり、中央の青髪のイケメンが声を張り上げた。

 

「はーい!それじゃあそろそろ、始めさせてもらいます!みんな!今日は呼びかけに応じてくれてありがとう!俺の名前はディアベル!職業は、気持ち的に、騎士(ナイト)やってます!」

 

 よく通る声に、場を和ませる発言も相まって、張り詰めていた雰囲気が弛緩し、笑いが起こる。

優男な外見に反して、ディアベルはリーダースキルが高いようだ。

 

「今日、俺たちのパーティが迷宮区でボス部屋を発見した。このボスを倒して第2層に進み、はじまりの街にいる人たちに、このゲームはクリアできるんだってことを伝える。それが、今ここにいる俺たちの義務だ!」

 

 その演説に、至る所で拍手が起こる。

その時、拍手の中から1人の男の声が上がった。

 

「ちょお待ってんか!ナイトはん!」

 

 コテコテの関西弁でトゲトゲ頭の男が、最前列からステージに出た。

 

「すっごい髪型だね」

 

 そう零すミコトの気持ちも分かる。現在全プレイヤーはリアルと同じ姿形のはずなのだが、あの男の髪は元からあんなんなんだろうか。重力無視してないか?

 

「ワイはキバオウっちゅうもんや。会議を始める前に、1つ言いたい事があるんや」

「何かな?どんなのにせよ、積極的な意見は大歓迎だ」

「ふん………意見ちゅうのは、こん中に詫び入れなならん奴がおるはずや!」

「詫び?それは誰にだい?」

「決まっとるやろ。この1ヶ月で死んでった2000人にや!この場にいるβ上がりの奴に、頭下げてもらわんと、ワイはスッキリして攻略に参加できん!」

 

 そのキバオウの発言に、会場にいる何人かが反応した。もちろんオレも。

キバオウが言うには、βテスター達が美味いクエストや狩場を独占し、ビギナー達にその情報を渡さなかった。そのせいで強くなれず、死んでいったプレイヤーに謝罪しろ、と。

また、溜め込んだコル──SAO内での通貨──とアイテムを寄越せ、と。

 

 正直、半分以上はこいつの上位プレイヤーへの妬みだろうと思う。βテスターによって後続のプレイヤーへのリソースが減っているのは確かだが、それでも自らの戦力を削れと言うのは無茶苦茶だ。

 ミコトも、オレがそのβテスターだからか、不機嫌そうな顔をしている。

そこに1人、キバオウに対し挙手した者がいた。

 

「発言いいか?」

 

 ダンディーな声がした方を見ると、身長は190に届きそうで、スキンヘッドの黒人、といういかつさの塊のような人がいた。

その人がキバオウの前へと歩いていくと、その威圧感にキバオウが少したじろいだ。

 

「俺の名前はエギル。キバオウさん、リソースはともかく、情報ならあった。この道具屋で配布されてるガイドブック、アンタも貰っただろう?」

「そ、それがなんや!」

 

 エギルさんが取り出したのは、手のひらサイズの手帳。

SAOにおける初動のテンプレを示した物だ。

 

「コレを配布したのは、元βテスターだ。情報は誰にでも手に入れられたんだ。キバオウさん、アンタの気持ちもよく分かるが、俺は元βテスターが味方になってくれるのを、とても心強く思う。今この場で話し合うべきなのは、如何にしてこの場にいるプレイヤーで協力してボスに挑むのかだと、俺は考えている」

「その通りだ、キバオウさん。今は前を向く方が先決だ。強い人たちが仲間にいる事ほど、心強い事はないだろう?」

「………フンっ!今回はナイトはんに従うといたる。けど、ボス戦終わったら、白黒ハッキリ付けさせるからしっかり覚えとき!」

 

 キバオウは不承不承ながらも席に戻り、エギルさんもそれに続いた。隣でミコトがサムズアップしてた。

 

 そして、ディアベルが中断されていた説明を再開させた。

 

「それじゃあ、先ずは各々5、6人のパーティを作ってくれ。そこから各パーティに役割を振り分ける」

(え!?)

 

 会議に来ていた面子は、知り合い同士で固まっていたらしく、どんどんパーティが出来上がっていく。

 オレらはと言うと、

 

「……コンビってあんま居ないんだね」

「基本はディアベルの言った通り、6人くらいが普通だからな。こうなるのも仕方ねえよ」

 

 物の見事に余った。

何とか入れるパーティを探そうと当たりを見回すと、ちょうどオレたちと同じように余ってる2人組を見つけた。

もうあそこしかないと思い、声を掛けに行った。

すると、向こうも同じような状況だったのか、余ってるオレたちを見つけたようだ。

 

「「あー、良かったらパーティを……」」

 

 キレイにハモったので、気まずさから乾いた笑いが零れた。

声を掛けたのは、真っ黒な髪をした、少し中性的な顔をした青年──少年の方が正しいか──と……フード付きの朱色のケープを目深に被った人だ。座り方的に女性かな?

ちなみに、ミコトも同じようにフードで顔を隠してる。女性プレイヤーってだけで、近づいてくる奴がごまんといるからな。この人ほど深く被ってないけど。

互いのパートナーも近くに来たので、まず自己紹介から始めた。

 

「オレはナギ、使うのは曲刀。よろしく」

「ナギ……?もしかしてお前、ナギか!?」

 

 オレが自己紹介すると、黒髪の少年は驚きの声を上げる。

すると自分のプレイヤーネームをこちらに見せた。

 

「《Kirito》……ってお前、キリトか!?」

「ああ!久しぶりだな、ナギ!」

「お前こそ!元気そうで何よりだよ」

「ナギ、知り合い?」

 

 首を傾げて聞いてくるミコトに、キリトが応えた。

 

「俺はキリト。βテストの時に、ナギと組んだことがあるんだ。使うのは片手剣。君は?」

「わたしはミコト。ナギの相棒兼パートナー。ナギと同じで曲刀を使う。ヨロシク!キリト」

「ああ、よろしく」

 

 なんか、心做しかミコトの笑顔が普段より硬い気がする。キリトとコンビ組んでたってんで対抗心でも燃やしたのだろうか。

 

 キリトとは、βテストのラスト2週間あたりで知り合った。

それまで2人ともソロでやっており、実力が拮抗した相方というのを探していたこともあって、組んでた期間はとても充実した攻略ができた。

 

 2人の紹介が済んだところで、もう1人残ってる人に話しかけた。

 

「えっと……君は?」

「……アスナ」

「アスナさんかぁ、同じ女の子だよね?仲良くしようね!」

「…………」

 

 ぶ、無愛想……。これは少し苦労しそうだ。

見ると、キリトも少し困ったような顔をしている。この人キミの連れなんじゃないの?

 

(キリト、アスナ……さんって、お前にもこんな感じなのか?つかお前とコンビ組んでたんじゃねえの?)

(いや、アスナとは昨日の夜に知り合ったばかりだ。細剣を使うことくらいしか知らないよ)

(まあ、会話はしてくれるっぽいからいいけどさ……)

(……お前の相棒は全く気にしてないみたいだぞ?)

(こいつは相手との距離があることを分かった上で、ズカズカそいつの領域に入っていく奴だ。性格が終わってない限りどんな動物とでも仲良くなるぞ)

(人間限定じゃないのか!?)

 

 引くほどの勢いでアスナとの距離を詰めてくミコト。同性のプレイヤーに飢えていたらしい。もう既にさん付けから呼び捨てに移行している。

 

 オレたちがパーティを組み終わったところで、ディアベルが招集をかける。

オレたちは、ボスモンスターの取り巻きである、《ルインコボルト・センチネル》を引き付けて倒す役だ。

アイテム分配の確認も終え、攻略会議はそこでお開きとなった。

 

「さてと、じゃあフィールド出て、明日の連携の確認でもするか」

「そうだな。スイッチの確認もしときたい」

「……スイッチ……?」

「え、アスナ、もしかしてスイッチ知らない?」

 

 ミコトの問に、アスナは頷いた。

マジですか、アスナさん、今までずっとソロでやってきてたんですかい。キリトもソロだったと聞いたけど、ビギナーでソロって、中々することじゃないぞ。

 

「……じゃ、そこも教えながらだな。んで少し早めに終わって明日に備えよう」

「ああ、それじゃあ行くか」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「アスナ!スイッチ!」

「……っ!」

「はあぁぁぁ!」

 

 アスナの《リニアー》からスイッチしたミコトが、《サーブ》によってモンスターを斜めに両断する。

絶叫を上げながらモンスターは消滅した。

 

「うん、連携は上々、スイッチにも慣れてきたな。そろそろ日も落ちるし、街に戻るとするか」

「はいよー」

 

 キリトの言葉で剣を納めるミコトとアスナ。

少し見ただけで分かったことだが、アスナはとてつもなく強い。ソードスキルを使っているとは言え、剣先が見えない程の速度で突きを放っているのだ。しかも全ての突きを。

その動きは、元のフィジカルというよりかは、ゲーム内での体の動かし方が上手い、という印象だ。ミコトと同タイプだな。

 

「ねえねえ、せっかくだし今日ご飯一緒に食べない?親睦を深める意味でもさ」

「お、良いな。アスナはどうだ?」

「……私は、友達を作りにここに来たわけじゃないから」

「……さいですか」

 

 もはや慣れたが、やはりアスナは心を開いてくれそうにない。まるで野良猫である。仕方ないが、夕飯はキリトと3人でだな。

去っていくアスナの方を見ながらオレがそう考えていると、話していたミコトとキリトの声が聞こえた。

 

「え、キリトとわたし達同じ宿だったんだ。今まで気付かなかった」

「そうなのか?」

「ああ、俺は普段狩りかクエストで、帰ってくるのはいつも夜遅くだったからな」

「良いよねー、あの宿。ご飯美味しいし、何よりお風呂があるし!」

 

 そのミコトの言葉に、離れていたアスナの体がビクッと揺れた。

すると、轟速でこちらに走ってきて、ミコトの手を掴んだ。

 

「お風呂!あるの!?」

「え?あ、あるよ?足は伸ばせないけd」

「貸して!!」

「は、はい……」

 

 ……やはり、野良猫と言うのは正しいかもしれない。

ほら、エサ(お風呂)をチラつかせたら速攻で寄ってくるあたり。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 オレとミコトが泊まってるのは、街の端の方にあり、設備の割に値段が安い穴場である。

オレたちは2階の2人部屋、キリトは1階の1人部屋だそうだ。なんで今まで会わなかったんだろう。

 

 現在、アスナが1ヶ月ぶりの入浴を堪能中である。余程嬉しかったのか、風呂場から鼻歌まで聞こえてくる。

あ、門番(ミコト)は一応います。鍵が掛からないから、一応ね。

 

 なので現在ベッドスペースには男2人である。

 

「にしても驚いたよ。まさかお前がコンビ組んでるなんてな。しかも女の子となんて」

「リアルで知り合いなんだよ。ほっとけないから一緒に行動してる」

「ビギナーなんだよな?それにしては、武器の扱いや足捌きが妙に手慣れてたけど」

「あいつはゲームなら、何でもすぐ習得するんだよ。教え甲斐はあるけど、いつか抜かされそうで怖い」

「それは負けてられないな」

 

 そう他愛もない話をしていると、ミコトがこちらにやってきた。

 

「あれ、アスナはどうした?」

「お風呂から上がったらすぐ帰っちゃった。もっとお話したかったのにな」

「まあ、仕方ないさ。来てくれただけでも前進と思おう」

「だな」

 

 なんかオレたちの中で、アスナが取り扱い難易度が高い子みたいになってるが、本人が聞いたら余計塞ぎ込みそうである。

ミコトはつかつかと歩いてくると、ベッドに座ってるオレの横に座った。いつもの定位置なんだが、キリトもいるし少しは自重してほしい。

すると思った通り、訝しんだようにキリトは尋ねてきた。

 

「……なあ、気になってたんだが、2人ってどんな関係なんだ?男女で2人部屋って、色々問題があると思うんだが……」

「あ〜、それはだな……」

「恋人だし普通じゃない?」

「そうだな、ふつ……ミコっさん!!?」

 

 ちょっと濁そうとしたオレを完璧に無視して、ミコトはありのまま純度100%でキリトに伝えた。

するとミコトは、あんぐり口を開けて固まっているキリトをほっぽって、オレの方を向いた。

 

 ……とても、怖い笑顔でした。

 

「ナギ?何で知り合いなんて言ったのかな?隠すような事かな?ん?」

「い、いや、リアルのことですし、あ〜んまり言うべきじゃないと判断したと言いますkイタタタタ!痛い!いや痛くないけどなんかミシミシいってる!怖い!」

「恋人なんてゲームの中でもフツーに言える関係だよね?隠す必要ないよね?ん?」

「はい!その通りであります!誠に申し訳ございませんでしたのでアイアンクロー解いてんギャァァァァ!」

 

 頭が軋む音に悲鳴を上げるオレを、呆れたような目で見ながらキリトは立ち上がった。

 

「……何となく納得したよ。それじゃあ、明日のボス戦頑張ろうな、ナギ、ミコト」

「うん!頑張ろうねキリト!」

「ちょっと待て!何帰ろうとしてんだ助けて!」

「お前が悪いだろ。ま、ミコトも程々にな。それじゃおやすみ」

「おやすみー」

「明日覚えてろよお前!?あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」

 




~女顔~

ミコ「じ〜〜」
キリ「……どうした?ミコト?俺の顔に、何か付いてるのか?」
ミコ「……線ほっそいなって」
キリ「ぐっは!?」
ナギ「あ、それオレも思った。カツラ付ければ女子で通るんじゃね?」
キリ「げはっ!?」
ミコ「まあ顔面の女子度ならナギも負けてないけど」
ナギ「流れ弾っ!?」
ミコ「2人とも肌ツルツルだからね〜。普段スキンケアとかしてるの?」
キリナギ「「いや、特に何も」」
ミコ「死んでしまえ」


 ちなみに、キリトとナギの女顔レベルは僅差でキリトの勝利です。
ナギ「っしゃあ!」
キリ「勝利とか言うな!」
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