占星術
それは星の並びを紐解き未来と凶兆を垣間見る魔法
それは人が星空を見上げたその時から存在し時に占い一つで国をも動かした
そんな星占いを司る大家に俺は生まれた、らしい
俺は幼い頃から言葉を喋り文字を解し神童と呼ばれ持て囃された
まあそれは俺が特別賢いからではなく━━前世から記憶が継続していただけだった、らしい
そして俺は魔法が存在する世界に転生したことに喜び進んで占星術を学びその様子に両親も将来を大いに期待していた、らしい
どうやら私はそうだったらしい
らしいというのは誤魔化しているわけではない
ただただおぼろげにしか覚えていないからだ
しかし今もはっきりと覚えていることはある
それは私が記憶を失ったきっかけについてだ
占星術に長じれば未来も見通すことができるという
家の長たる父ならば一年後まで精確に見通すことができたそうだ
そして当代一の占星術士たる父はそこから更に一歩踏み込んだ
『一年後の自分が見た星空から更に一年後を未来視する』
これを繰り返すことで魔力の持つ限り久遠の未来を見通すことができる
成功した日の父はとても上機嫌で、それがどれほどの偉業かどれだけの栄誉と富をもたらすかをしきりに語り聞かせてくれた
しかし翌日から父の態度はおかしくなった
いつもは私が研究室に忍び込んだことに気がつくと苦笑いした後膝に抱き上げ占星術と星空について優しく教えてくれたのにその日以来父は険しい顔でブツブツと独り言を漏らすばかりで一瞥もくれることはなかった
食事もめっきり食べなくなり日に日に痩せ細っていく父を子供心に案じていたものだ
そしてある日、目が覚めるとそこはいつものベッドではなくどこかの石壇に縛り付けられていた
誘拐かと見回せばすぐそばで父が一心不乱に魔法の準備していた
そしてポツポツとなぜこんなことをしているのかを教えてくれた
曰くある時期から未来視で見上げる星空が様変わりしていたこと
それによりその先への未来視が行えないこと
初め困惑するばかりだった父がある推測にたどり着いたこと
「あれは地球以外のどこかから見た星空なのでは?」
「我が一族が継承し磨き上げてきた占星術はあくまで地球からまた星空の下でしか行えない」
「もし人類が地球から旅立つならば我々が積み上げてきた歴史も技術も意思も、全てが途絶えて無用の長物となってしまう」
「星空を内包しどんな場所でも地球の占星術を使える存在を作らなくてはならない」
「喜べ■■、お前がその存在になれるのだ」
恐怖した私は泣き叫びやめるよう懇願した…はずだ
しかし父はもはや反応せず狂気を感じさせる表情で
私にありとあらゆる実験を行った
そして 失敗した、らしい
気付けば病院のベッドの上で、家が爆発したこと、他の家族全員の遺体が発見されたこと、自分が人間ではなくなったことを知った
そして残されたのは元の名前や性別すら忘れ、出来損ないの星空を宿した子供だけだった
それが俺━━■■の終わりで私━━