ティーパーティーの田舎令嬢   作:サンタクララ

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序章
01 目覚め


 

 ………。

 

 

 ……………。

 

 

 ……………………。

 

 

 

 

 

 長いゆめを、見ていた気がする。

 キヴォトス(ここ)とはちがうべつの世かいで、あたしは、僕は……。

 

「……っ!」

 

 勢いよく起き上がって辺りを見回す。あたしが見慣れていて、僕が見慣れない女の子の部屋。

 

 どうやら僕はいつの間にか異世界転生をして、前世の記憶を失ったまま、7年間をここキヴォトスで過ごしていたようで。そしてさっき、前世での記憶を全て思い出して……。

 

 今のあたしは、僕なのだろうか。僕は、あたしなのだろうか?

 

 記憶を失っていても僕はあたしとして過ごしていて、それに偽りはなくて……あたしは……僕は……。

 

「頭……クラクラする……きゅぅ」

 

 頭の処理が追い付かなくて、記憶が混濁して、混乱して、意識がはっきりせず、ベッドに背中から倒れて横になる。

 

「もうだめ……」

 

 そしてそのまま、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 再び目が覚める。何分、何時間かは分からないけどそれなりの時間が経っていることだけは確かだと思う。一度気を失っていたからか、大分頭は落ち着いた状態だ。今一度状況を整理することにしよう。

 

 前世で(あたし)はこの世界ではないどこか別の世界で平々凡々とした生活を送っていて、ある日いつも通り眠ったはずなのに、目覚めることはなくて。 

 

 次に目覚めたのは記憶を失って赤子の状態で、そこから7年間をこの世界で過ごしてきた。元の体は男だったのだけど、なぜかこちらでは女の子になっていた。橙色に近い赤毛のショートボブに、南国の海を思わせる澄んだ水色の瞳。鼻の上には少しそばかすができていて、田舎育ちの少女という雰囲気だ。実際田舎住まいなんだけど。

 

 そしてこの体は、ただの女の子ではない。頭には水色の円形状模様──ヘイローが浮かんでおり、背中には広げれば自分の身長ほどはあろう大きな翼が生えている。そう、前世でプレイしていたゲームの一つ……『ブルーアーカイブ』に登場する生徒たちそのものだ。

 

 だけど、鏡に映る自分の姿も、自分の祗園アイカという名前も前世での記憶にはない。まだゲームに未登場の生徒なのか、もしくは僕自体がイレギュラーで本来いないはずの存在なのか。今となっては確認する方法はない。

 

 それでも僕は、混乱から落ち着いてきて、この状況に喜びを感じていた。

 なにせ、夢にまで見た美少女になれたのだから。それにキヴォトスの生徒は銃弾に多少当たろうがびくともしない強靭な体で、可愛い女の子たちがいっぱいで!

 

 前世で過ごしたのは灰色の春だったけど、せっかくこうやって再び学生時代を過ごすチャンスを得たんだ。理想の、青色の春を過ごしたい……!

 

 まだまだ高校生になるまで年月はあるけれど、僕は青春をやり直すという決意をした。

 

「アイカ~?まだ寝てるの?早く降りてきなさい」

 

「……はぁい、ママ」

 

 その前にまずはご飯にしよう。お腹空いた。

 

 




生徒の多くが小銃で戦う中、40mm2ポンドポンポン砲を操る紅茶キメた生徒が見たくて書き始めました。
先生としてはまだ初心者なので全然生徒が揃っていません(泣)
ちなみに原作の生徒と同じく、主人公ことアイカにはモチーフとなった神格がいます。分かった方には抽選で5名様にゲーム雑誌×10000をプレゼント!
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