ティーパーティーの田舎令嬢   作:サンタクララ

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「今年のティーパーティーホスト」→「今の時期のティーパーティーホスト」
若干修正しました。具体的に何ヵ月交代なのかっていうのが原作でもよくわからないんですよね……結局ずっとナギサがやってますし。エデン条約編の最初の方で「ミカさんのやり方でやりたいのならミカさんがホストになった時にやってください」というようなナギサのセリフがあるので、一年間に複数回交代するものではあるんでしょうかね?



1章
01 入学式


 中学を卒業した後の春休みも終えて、ついにトリニティ総合学園への入学式の日を迎えた。真新しいセーラー服に浮き足立ちながら、入学式会場へ向かう。入学式が行われる体育館までの道には桜が新入生を歓迎するように満開に咲き誇っていた。

 

 ちなみに今日はポンポン砲は持ってきてない。あれは寮に入って駐車スペースを確保できてから本格稼働の予定だ。その代わりに持ってきたのが実家で猪などを追い払う用の予備銃。一般に『ブラウン・ベス』と呼ばれ、18世紀に広く活躍したマスケット銃で、第二次大戦~冷戦期の銃がよく使われるキヴォトスだと骨董品と言ってもいい代物。でも散弾も撃てるし銃自体が結構大きくて、銃剣も着けると威嚇にも効果的なので自衛用のサブウェポンとしては十分、だと個人的には思う。あとレトロな感じが格好いい。

 

 

 

 

 

 さて、式場には開始時間に余裕を持って到着。まだ周りはガラガラだったのでちょっと姿勢を崩して入学パンフレットを読む。

 

 そこにはトリニティ総合学園の簡単な歴史や理念、あとは主要な部活や委員会活動が紹介されていた。ゲームでも聞いたティーパーティーや正義実現委員会、救護騎士団、シスターフッド、図書委員会などなど。どこに入ろうか、というのはまだ決めてない。前世では一貫して帰宅部だったし折角だから何か入りたいとは思いつつ、でもめんどくさそうだしなぁと乗り気でなくなる。

 

 

 パンフレットを粗方読み終えたところでふと周りを見回すと、既にだいぶ着席しているようだったので姿勢を正してからもう一回読み直す。

 

 2回くらい見直したところで時計を見上げ、まもなく開会時間だったのでパンフレットを制服のポケットにしまった。

 

「それではただいまより入学式開会式を始めます」

 

 さあ、いよいよ入学式だ。とは言ってもぶっちゃけ在校生の挨拶くらいしか興味はない。おそらくここでゲームでも見たティーパーティーのメンバーが出るはずだからだ。

 

 

 

 

 

 ……長い。学園長式辞に来賓挨拶と一人一人が長い。チラッと時計を見たけど体感ほど時間が経ってなくて絶望した。

 

 それらを何度か寝落ちしそうになりながら乗り越えると、ようやく在校生祝辞だ。壇上に注目すると、やはり。亜麻色のロングヘアに純白の翼を備えた白い制服の少女。

 

「新入生の皆さん、ごきげんよう。トリニティ総合学園生徒会、ティーパーティーのホスト、桐藤ナギサです」

 

 おお。すごい風格を感じる。THE・お嬢様*1って感じ。思わず拍手しそうになった。ただ、今の時期のティーパーティーホストは本来セイアのはずだが、彼女は諸事情で出てこれない。正確にはホスト代理だが、新入生相手にそんな余計な混乱を招く表現は使わないということだろう。

 

 話の内容は至ってシンプルで、学園の歴史とか、その歴史を誇るトリニティ生としてふさわしい振る舞いを、とかを簡潔にまとめたものだった。もっと長々と話すかと思ったけど案外短かった。まあ来賓がやたらめったら長話したせいで時間が押してたせいもあるだろうけど。

 

 在校生祝辞が終われば、あとは校歌紹介と閉会の言葉だけ。それらも滞りなく終わったら、割り振られた学籍番号ごとに教室で説明会を受ける。授業の受け方や学内・学外での振る舞い、あとは寮についての説明に年間行事だ。

 

 それらの説明も終わって、やっと各自解散して自由時間だ。各部活動がブースを開いて勧誘を行っているので、多くの新入生はそちらを回る。

 

 

 

 ……の、だけど。

 

「入りたい部活が特に無いですわ……」

 

 一通り見て回ったけど、室内活動で緩くて人間関係のしがらみがなさそうな部活……とかいう自分的条件に見合うものは無さそうだった。なんかもう自分で創設した方が早いんじゃないかな。

 

「まあ別に、必ず入らなければいけないという訳でもないのですが……」

 

 ただ、部活に所属してるとなんだかんだ特典があるので、帰宅部は少数派なのだ。

 

「ここは……」

 

 そうしてああでもない、こうでもないと歩き回っていたら、気づかないうちに黒いセーラー服の生徒達が多くいる広いブースの前にいた。

 

「いつの間にか、ここまで戻ってきてしまいましたわね」

 

 自由時間になって最初に向かったのが、ネームドキャラが多く存在する正義実現委員会・救護騎士団・シスターフッドのブースだったのだ。まあいずれも間が悪かったのか知ってる生徒はいなかったけど。

 

 今度は誰かいるかな、と少し見回すと。

 

(あ、いた)

 

 正実のブースを興味津々に見て回っている、少し小柄な、ピンク髪で小さな黒い翼を持っている子。僕と同じ新入生だからかまだ黒セーラー姿ではないけど、十中八九下江コハルだろう。

 

 ただ、彼女は人見知りな性格なので……いきなり知らない生徒である僕が話しかけても逃げられるだけだと考えられる。そっとしておこう。

 

「シスターフッドの方は……」

 

 正実のブースから少し離れてシスターフッドのエリア。こちらにも、まだシスター服じゃなかったせいで見逃しそうになったけど知ってる顔が一人。橙色の髪に愛らしいケモ耳の生えた少女、伊落マリーだ。

 

 出展物を見ながら考え事をしている様子で、なんとなく話しかけるのが憚られたので他のネームドシスターがいないことを確認したらその場を後にした。

 

「さて、救護騎士団ですわね」

 

 ここを見たら帰ろうかと思ったけど、やはりというかいた。紫色のツインテールが特徴的な少女……朝顔ハナエ。……何がとは言わないけど大きい。僕より大きいんじゃないかなアレ。

 

「あれ、もしかして新入生?あなたも救護騎士団に興味がありますか?」

 

「え……?ひょわっ!?」

 

 そんな失礼なことを考えていると、いきなり話しかけられた。振り返ると本人がいて思わず変な悲鳴を上げてしまった。

 

「私は朝顔ハナエです!ここで会ったのも何かの縁、一緒に救護騎士団で活動してみませんか?」

 

「あ、はい、朝顔さん……えっと、お声かけいただきありがとうございます。もう少し見てから決めようかと思いますわ」

 

「そうですか、ではまた!」

 

 足早に救護騎士団のブースを去る。いやすっごいびっくりした。……というか僕の行動完全に人見知りの人だよ、コハルのこと言えた身分じゃないじゃん。

 

 

 

 

 

 そうして結局、ちょっと近くの部活を見たら帰途に着くことにした。結局部活は決めてないけど、まあいいだろう。別に今日入らなければいけないわけではない。なんなら来年でもいいし。来年も同じこと言って3年間帰宅部になりそうな気もするけど。

 

*1
SIMPLE2000シリーズではない




・アイカの生徒の呼び方
モノローグ……基本的に名前のみ呼び捨て、たまに名字を付けることもある
会話など………同級生、下級生には名字+さん 上級生には名字+先輩 ただし各派閥、組織の長などは先輩ではなく様や委員長 本人から名前で良いと言われたら名字から名前に変えて各敬称

原作ゲームで登場したら「名字で言うせいでパッと見誰のこと言ってるかわかんねぇ」「名前しか覚えてねぇよチクショー」って先生たちに言われそうな設定ですね……。
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