ティーパーティーの田舎令嬢   作:サンタクララ

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本来は明日投稿の予定だったのですが繰り上げました。



03 実行

 とある休日。マイハからのお出かけの誘いを泣く泣く断って、夜が来るのを待つ。そしてショットガンと拳銃に多めの予備弾薬を持って、電車でトリニティからD.U.地区へと向かった。

 

「……今会ったら、気持ちが揺らいでしまいますから」

 

 誰にも聞こえない独り言。時間は深夜23時の少し前、サンクトゥムタワーの前には人通りはない。緊急窓口の職員も深夜シフトに切り替わってほんの1,2人しかいないはず。巡回する警備員についても、未だにD.U.地区の復興途上で割ける人員は少ない。

 

「……さあ、行きましょうか」

 

 正面入口から堂々とサンクトゥムタワーの中へと入っていく。こそこそしていたら怪しまれるだろうから。

 

 

 

 

「あれ?こんな時間にトリニティの生徒?」

 

「一体どんな用件ですか?」

 

 白のスーツに青色のネクタイが特徴的な連邦生徒会の職員、彼女たちは僕を見て怪訝そうな表情を浮かべつつも窓口業務へと入ろうとしていて、申し訳なくなる。でも、やると決めたことなんだから。

 

「……ごめんなさいね、貴女方に恨みがある訳ではありませんの」

 

「へっ……?うあっ!?」

 

「うぎっ」

 

 ティーパーティーの支給拳銃を取り出して二発、どちらも額に命中し、二人はダウンした。しばらく起きないよう、さらに二発ずつ撃ち込んで受付の中に入って、鍵の保管場所を探す。

 

「屋上へは……これと、これと、これと……さらにこれも要りますわね」

 

 まあ最悪、扉は銃で壊せばいいけど……なるべく隠密に動きたいので予め鍵を拝借しておく。

 鍵を取ったら、まずはすでに締め切られているエレベーターホールへと向かう。ここから屋上へ一直線……というわけには行かない。サンクトゥムタワーは非常に高層なため、1回から屋上まで直通するエレベーターは存在しない。何回か乗り継ぐ必要がある。

 しかもテロリスト対策でエレベーター同士がそこそこの距離があり、その間に夜間警備員との接触は避けられないだろう。僕みたいな人間の手を患わせてるんだから、対策として効果はあるようだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はあっ、まだ追ってきますの……!?」

 

 最初のエレベーターから降りると、いきなり警備員と鉢合わせ。出会い頭にショットガンを食らわせて倒し、彼らが持っていた銃をエレベーターに放り込んで1階に送り無力化。そこから次のエレベーターまで行ったのはいいんだけど、さらに降りたら今度は待ち伏せされていて反応が遅れて、.455弾をそれぞれにヒットさせてすぐに逃げてきたのだけど。

 

「止まれ!こんな時間に何のつもりだ!?」

 

「しつこい殿方は嫌われますわよ!」

 

 後ろ向きに散弾をばらまいて足止め、備え付けの消火器を手に取って噴射し、煙幕に使う。

 

「な、なんだ……!?」

 

 小さな部屋が多くあり、コーナーや交差など通路が複雑なエリアに逃げ込んで、相手を待ち伏せし返す。

 

「ぞ、増援要請だ……!」

 

〈増援?一体中で何があったんだ〉

 

「通話しながらやってくるなんて、自分の居場所を知らせるようなものですわよ?」

 

 角に隠れて、無警戒にやってきた警備員たちを拳銃で狙撃し、ついでに無線機も破壊しておく。

 

「はぁ……まだ半分もありますのに」

 

 ここまで乗り継いできたエレベーターは2基。高さとしては大体半分だが、ここから先屋上へ向かうまでに必要なのは最低でも4基。上へ向かえば向かうほど、増援が到着して難易度も上がってくるだろう。

 

「本当に、行けるのでしょうか」

 

 いや、できるかどうかじゃない。やるしかないんだ、ここまで来てしまった以上後戻りなんてできない。

 

 

 

 

 

 

 

「くっ……!」

 

「観念しろ、テロリストめ!サンクトゥムタワーで何をするつもりだ!?」

 

 3基目のエレベーターを降りてからしばらく、先回りしていた警備員数名に取り囲まれる。だけど、ここで終わるわけには行かない。何か策は……と辺りを見回して、それから。

 

 

「すぅーー、はああっっ!!」

 

 

 窓に向かって飛び蹴りしてガラスを割りつつ左手で窓枠を掴み、右手に持った拳銃で下の階の窓ガラスも破砕し、飛び移る。

 

「しょ、正気か……!?」

 

〈見たでしょうか、今のアクロバティックな動き!単身でサンクトゥムタワーに侵入したというテロリスト、どうやら相当な手練れのようです!この少女が辿る結末とは!?どうかリモコンはそのままで最後までお付き合いください、クロノスチャンネルです!〉

 

 ……ぶっちゃけ成功するとは思ってなかったけど何とかなったな。情報収集をする過程でサンクトゥムタワーを再建するとき、カイザーが防弾ガラスにすべきところを中抜きして普通のガラス窓にしたって噂を見たけど本当だったらしい。

 

「それにしても……面倒ですわね」

 

 さっきからなんか外からローター音が聞こえると思ったらクロノススクールの報道ヘリだったのか。正直邪魔だけど彼女らはただ報道してるだけだしな……それにショットガンや拳銃じゃ落とすの難しいし。

 

「まあ、こちらを邪魔するつもりがないのなら放っておきましょう」

 

 上の階から追手が戻ってくる前に別のエレベーターへ走って移動し、ドアが開いたら上の階へのボタンだけ押して出て、フェイクを掛けておく。その次は階段で一階降りて、別のエレベーターへ。さっき押した階より上の階へと移動したら狙いどおり陽動に引っ掛かったのか、待ち伏せはない。

 

 

 

 

 

 

 

 そのまま次のエレベーターに乗って上へ向かう最中、目的階に到着していないのに扉が開き、とっさに出るとエレベーターのボタンなどの光が消える。ボタンをもう一回押しても反応はなく、どうやら強制停止されたらしい。他のエレベーターも同様で、ここからは階段で向かわないといけないということで。

 

「でも、階段を使わなければいけないのは相手も同じですわね」

 

 これでも農作業で鍛えられている育ち盛りだ。警備員たちよりも体力には自信がある。

 

「なら……」

 

 決心して階段を駆け上がる。追い付かれないように早く、早く。残りは……50階……49階……48階……。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ……はぁっ……これで、終わり……!」

 

 さすがに息も途切れ途切れになりながら、大体50階分を登り切って、屋上。最後の鍵を入れて、外に出る。

 どうやらここはヘリが滞空するには高度が高すぎるらしく、クロノスの報道ヘリは屋上よりかなり下の辺りでサンクトゥムタワーの周囲をグルグルと回っていた。

 ここへ来るまでの道は動いていないエレベーター以外全て封鎖してきた。もう後は、飛び降りるだけ。

 

「うっ……」

 

 やはりカイザーが手抜きしているらしく、細くて頼りない手すりから下を覗く。だけど高度のせいか地上は霞がかってよく見えず、12月の冷たい風が体を掠める。

 

「はやく、しないと……」

 

 そう心を奮い立たせて、手すりを登ろうとすると……。

 

「"アイカ!!"」

 

「……っ!?」

 

 幾度となく聞いた、ある人の声。身を投げようとしていた気持ちが少し後ずさる。

 

「"アイカ、どうしたの?"」

 

「せん、せい……なぜここに……」

 

 先生は一歩ずつ、僕の方に歩み寄ってくる。下がろうとしても、手すりが邪魔でこれ以上動けない。

 

「"シャーレの部室はサンクトゥムタワーから30kmぐらいだからね。ヘリを飛ばせばすぐだよ。"」

 

「いえ、そういうことではなく……」

 

 なんで、今来るの?先生の顔を見て、声を聞いたら、やっとの思いでした決心が揺らいでしまう。

 

「"どうして、サンクトゥムタワーを占拠して屋上まで来て……飛び降りようとしてたの?"」

 

 先生はいつになく真剣な面持ちで、逃げることは許さないといった雰囲気で。

 

「……あたくしが生きたままだと、キヴォトスが滅びるかもしれないから」

 

「"キヴォトスが滅びる……?"」

 

 自分でそう改めて口にして、うつ向く。僕はキヴォトスを危機へと陥れかねない存在で、消えるべき存在なのだと自分に言い聞かせるようにその言葉を脳内で反芻した。

 

「ええ……先生は、前世を信じますか?」

 

「"前世?"」

 

「はい……あたくしには、前世の記憶がありますの」

 

 友人や家族への手紙には未来視の一種だと誤魔化したけど……僕が持っているのは本当は前世の記憶で、ブルーアーカイブというゲームの中の世界としてキヴォトスを知っていたということで。

 

「……ここから先のことは、本当は言いたくないし、言うべきでないと思っていることです。突拍子もなく、複雑に入り組んでいて、そして何より……あなた──先生の判断を狂わせてしまう可能性があるから。それでも聞きたいのですか?」

 

 先生の目を見据える。

 

「"うん、私は聞かなくちゃいけないと思っているから。全てを受け入れるよ。"」

 

「先生なら、きっとそう言うだろうと思っていました。これ以上引き伸ばしても無駄でしょうね」

 

 それから一旦深呼吸して、全てを話すことに決めた。先生なら、きっと……きっと?その先は?

 

「まず、あたくしは──純粋な生徒では、ありません」

 

「"……どういう意味?"」

 

「あたくしは、混じり物です。生徒(こども)でも責任を負う者(おとな)でもない、中途半端な存在」

 

 先生は何も言わず、ただ僕の言葉を待っていた。それを見て説明を続ける。

 

「数年前、夢を見ました。とてもとても長い夢。二十と数年分の、ある人間の記憶。それはあたくしの前世で……その前世では、この世界……キヴォトスのある世界は、とあるゲームの舞台で」

 

「"キヴォトスが、ゲームの舞台?"」

 

「……はい。そこでは今この世界と同じように、連邦生徒会長によって学園都市キヴォトスに招かれたシャーレの先生が、生徒たちの直面する問題解決のためにキヴォトス中を奔走するストーリーでした」

 

 僕がそこまで言うと、先生は少し考え込むようにして腕を組んで下を向く。そしてまたすぐに僕の方へと視線を合わせた。

 

「その中でのキヴォトスもまた、先生の手によって致命的な危機は免れ、平穏を保っていましたが……そこに至るまでにストーリー上でいくつか、失敗した未来も示唆されていました」

 

「"失敗、か……。"」

 

 先生は自分の大人のカードを、何か思うところがある様子で眺めている。おそらく、キヴォトスが崩壊してしまった世界線の先生──プレナパテスのことを思い返しているのだろうか。

 

「ほんの些細なきっかけで、キヴォトスは崩壊に至ります。アビドス高校の5人が一人でも欠けたり、『廃墟』の『名もなき神々の王女』が目覚めたり、補習授業部が退学になったり……それらはいずれ起こる惨劇のきっかけとなり得ましたが、先生が生徒に手を貸したことで回避できました」

 

「"……。"」

 

 僕が話す情報の中には、普通なら知るはずのないものも含まれている。にわかには信じがたい話だけど、先生もそれを聞いたら納得するしかないだろう。

 

「ですが、そのゲームには──あたくしに相当する人間がいませんでした」

 

「"……!"」

 

「ゲームですから、未実装だとか背景にいるだけだとか、そういうことももしかしたらあるのかも知れませんが……あたくしはそのストーリーで、今現在よりも少し先の時間軸まで見ていますが、一切それらしき人物は出てきませんでした」

 

 だって、こんなポンポン砲振り回すカイザー嫌いのナギサの部下とか絶対キャラ立ちするだろうから、エデン条約編で出てこないわけがないんだし。

 

「……キヴォトスがほんの少しのボタンの掛け違いで滅ぶ可能性があることは、先ほど述べた通りです。なら、本来いるはずのない存在であるあたくしは、生きているだけで崩壊への道筋を作ってしまうのではないでしょうか」

 

「"だから、飛び降りようとしたの?"」

 

「……はい。今までは前世の記憶を元に、世界に影響の無いようにしながら暮らしてきましたが……その知識で分かる未来も終わりが近づいています。そこから先は、何が起きるのか、どうすべきか分かりません。ですから、あたくしがキヴォトスの趨勢に悪影響を与えないように、今ここで命を絶とうと」

 

 それにもう、当初の「青春をやり直す」という目的は大方達成できたのだ。この世に執着しなければいけない理由はない。

 

「……あたくしは15歳のように見えますが、精神的には既に三じゅ……いえ、とにかくあたくしはこの世界の正当なる住人ではないから、混じり物。年齢だけは無駄に重ねてしまったのに、大人の立場に立つことの出来ない中途半端な存在。それが、あたくしです。この世界に立つことが許されるモノではないのです」

 

「"……アイカは、私のことを何度も手助けしてくれたよね。"」

 

「はい……あたくしは陰ながら、先生のことを支援していました。キヴォトスの存続には、先ほど話した通りあなたが健在であることが必要不可欠ですから」

 

 先生が着任した時に不良をある程度片付けたり、アビドス砂漠でカイザーの兵士を減らしたり、補習授業部を手伝ったり、エデン条約の騒動で混乱を収めるために動いたり、D.U.地区を支配したカイザーを吹っ飛ばしたり……色々と影でやってきた。

 

「でもそれは、無くても大した影響の無い程度の支援。所詮あたくしの保身と自己満足に過ぎません。あたくしは、本来存在しない生徒(キャラ)なのです。だからもう、あたくしはここで終わり」

 

 先生と話していると、どうしても気持ちが揺らいでしまう。だから精一杯、自分がキヴォトス(ここ)にいてはいけない理由を並べる。僕が言う言葉の半分は、自分に言い聞かせるためのものだ。

 

「先生はきっと、これから先も何度も危機に直面して……けれど生徒たちと協力して、それを乗り越えるでしょう。あたくしはそう信じています」

 

「"その『生徒たち』には、アイカも含まれる。少なくとも私は、そう思っているよ。"」

 

 ……やめて。そんなこと、言わないで。

 

「……先生はやはり、先生ですね。でも……あたくしがいなくても、先生は大丈夫だと思います」

 

「"私は危険を乗り越えるために生徒といるわけじゃない。それはあくまで手段であって、目的じゃないよ。"」

 

 そして先生は一度、夜空に浮かぶ星を見上げて、それから言葉を続ける。

 

「"生徒が幸せでいてほしいから。全ては、その為。"」

 

 ……本当に先生は、どこまで行っても変わらないな。前世でプレイヤーの視点から見た先生も、今目の前に現実の存在としている先生も。

 

「ふふ、その揺るぎない信念、とても素敵です。あたくしにはそんなものはありませんから」

 

「"……アイカは、自分が消えることで幸せになれるの?"」

 

 ……そんなわけ、ない。本当はもっと、友達と楽しく過ごしていたいし、両親にだって会いたい。

 

「……そうではありません。ですが、あたくしというイレギュラーの存在は、キヴォトスを危険に晒し続けます」

 

「"なら、何度危機が訪れようと乗り越えればいい。"」

 

 その言葉はとても力強くて、先生ならやれると思わせてくれる。それに実際、彼がその言葉通り実現してきたことを知っているから、なおさら重みを感じる。

 

「"生徒の幸せのために、と言ったよね。アイカだって大切な生徒の一人だ。"」

 

「あたくしは先ほど申し上げた通り、中途半端な混じり物です。生徒ではありません」

 

 僕には、この世界でこれ以上……生きていく資格なんてない。生徒じゃないんだから、先生の庇護を受ける権利なんてない。

 

「"さっき、前世でこの世界をゲームとして知ってるって言ってたよね。じゃあ知ってるかな、アリスのこと。"」

 

「それは………はい、知っています」

 

「"世界を滅ぼす兵器……『魔王』として造られたと言われたけど、今ではミレニアムの生徒として、ゲーム開発部の仲間として受け入れられて、立派に『勇者』への道を歩んでいるよ。"」

 

 そして、先生は片手を差し出してきた。僕がその手を取ることを望んで。

 

「"アイカだって、ちゃんと生徒になれる。"」

 

「本当に、良いのですか?あたくしなどが輪の中に入っていっても……」

 

「"アイカがそうしたいなら、そうすればいい。"」

 

 生きていて、いいのかな。生徒として過ごして、いいのかな。大好きな親や友人たちと、一緒にいていいのかな……。

 

「"大丈夫。もし何か起きたとしても、その責任は私が負うよ。それが、大人の役目だから。"」

 

「……」

 

 こんな僕でも、やり直せる?

 

「"それに、アイカのやってきたことは無駄なんかじゃない。私だって何度も助けてもらったし、補習授業部やナギサたちティーパーティー、アイカが勉強を教えたアリウスの生徒や士官候補生の二人。それに他にもたくさん、アイカがいてくれたから救われた人はいるはずだよ。"」

 

 僕はみんなの役に立てていたのかな。先生が言うなら、きっと……そう、だよね。

 

「……はい、分かりましたわ」

 

 先生の手に触れる。何千メートルの高さ、常に冷えきった冬の夜風が吹く寒空の下にいたせいか、とても冷たい。そのまま手すりに寄りかかった体を起こそうとして……。

 

「……えっ?」

 

 手すりがバキバキと音を立てて壊れ、それに驚いた僕は足を踏み外して、宙に投げ出されてしまった。

 

「"アイカ!?"」

 

 手を繋いだままだったせいで、道連れにしてしまいそうになって。僕は手を離そうとしたけど、先生が逆に強く握ったせいで、結局一緒に屋上から落ちてしまった。

 

 

 

 

 

「先生……あたくし、これまでキヴォトスで暮らせて、すごく楽しくて、楽しくて仕方がありませんでした」

 

 自由落下の最中、すごい風圧を感じる。怖くて、ただ怖くて下の様子は見る気になれない。

 

「……本当は死にたくありません。でもこうやって堕ちてしまったのなら、もう後戻りはできません」

 

 先生を抱き寄せて、翼でも体を包む。

 

「先生……どうぞあなたは、生き延びてください。あたくしは下になりますから。気休め程度にはなるといいのですが……」

 

「"いいや、私が……。"」

 

 何とか抜け出して下に行こうともがく先生を、押さえつける。先生に犠牲になってほしくない。キヴォトスのこれからのこともあるし、それに僕はこの人のことが……。

 

「……先生。あなたがここで死んだら、キヴォトスはどうなるのですか?まだまだ問題は山積みなのですよ」

 

「"でも……。"」

 

「あたくしは、あなたが大好きです。そうやって常に生徒のことを思って行動し、生徒の責任を負うところが大好きです。憧れでした」

 

 そう、大好きだから。

 

「あたくしはここで消えますが、先生は先生の道を行ってくださいませ」

 

 もうそろそろ、地上に墜落する頃だろうか。どうせ死ぬなら、最後にひとつだけ、先生に言いたいことがある。

 

「……さようなら。愛しています、先生」

 

「"アイカ……!"」

 

 そうして僕は、目蓋を閉じた。きっと、次に目覚めるときは別の人生だろう。今度はゲームの世界じゃなく普通の世界で、それでも美少女に生まれたいなぁ……。

 




ネタバレしておきますと、ぶっちゃけ先生が来た時点でアイカの自殺って失敗するんですよね。だって数十km上空からの落下でも何とか先生を守りきったスーパーアロナとプラナがついていますから(クジラの絵文字)

追記:階段で上がったのがエレベーターが使えなくなってから50階分、なのでサンクトゥムタワー全体では大体3000m以上を想定しています。それに関連するのですが、クロノスの報道ヘリはヘリコプターの高度上限で屋上まで行けず、先生とアイカの会話は聞いていませんし、手紙についてもマアサとマイハが回収してナギサに報告した以外は情報が漏れていないので、アイカの秘密について知っているのは先生、マアサ、マイハ、ナギサの四人だけになります。
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