ティーパーティーの田舎令嬢   作:サンタクララ

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06 慌ただしいD.U.地区

……我々は望む、七つの嘆きを。

……我々は覚えている、ジェリコの古則を。

 

 

 

 ◇◇

 

 

 

 ティーパーティーの制服が届いてから数日。僕は可憐な制服に身を包まれて上機嫌で学校に通っている。この制服、引いてはティーパーティーメンバーという地位はエリートの証として見られるのか、時折尊敬のような視線を感じることもある。自分の感覚ではただの一年生なんだけどなぁ……と気恥ずかしさを感じるけど。

 

 あ、ちなみにこの制服はお嬢様学校のトリニティの中でもエリートで更にお金を持ってる生徒と思われているのか、不良生徒に絡まれる確率が倍くらいになりました。その度に支給品の拳銃で追い払ってるけどね。それでもお帰りいただけない場合は2ポンド砲弾をプレゼントしてる。

 

 そんなある日、学校が終わっても寮に直帰せず、パソコンソフトでも買おうとD.U.地区に寄ってみた。それにしても近くで見るとデカいなぁ、サンクトゥムタワー。トリニティからでもここの屋上?から伸びる光が見えるけど、この建物自体が雲に届くほど高いのだ。

 

 そうして、ちょっとした観光気分を味わいながら周囲を横目で見る。いつもならトリニティの生徒と見るや否や絡んでくるスケバン達が今日はこちらには目もくれず何かに備えて臨戦態勢に入っている様子だった。

 

 一体何を企んでるんだろう……と思ったけどこれってまさか。

 

(遂に先生がキヴォトスに来た、その日ということなんだろうか)

 

 おそらく、矯正局から脱走した狐坂ワカモが連邦生徒会が大事そうにしているモノを破壊するために扇動した不良達。チュートリアル戦闘ということでたまたま連邦生徒会に陳情に来ていた生徒達によって蹴散らされるちょっと可哀想な人達。

 

(先生との最初の接触チャンスってことか。でも……)

 

 今はたぶん、その時ではない。というかシンプルに忙しそうなところに接触しようとか邪魔なだけじゃない?

 

(直接会うのはまた次の機会にしようか。あとは……)

 

 ワカモは……放っておいた方がいいだろう。ここで彼女が先生と会わないことで後々何かフラグが崩壊するとまずいし。

 

(ということで、やることは……)

 

 シャーレへの進路上の不良をちょっと片付けておく、それくらいがベストだろう。ロイアルティー号の荷台に移動し、給弾ベルトを片手に準備した。

 

 

 

 ◇◇

 

 

 

「シャーレまでどのくらい?」

 

「あと10kmほどです」

 

「よし、半分を越したなら後は楽勝ね!……と言いたいところだけど、さすがに少し消耗してきたかも」

 

 濃青色の髪をツーサイドアップにした少女が先頭を走る。その後ろにはトリニティの正義実現委員会と自警団、ゲヘナの風紀委員会が一人ずつ。さらに後方からは、ヘイローを持たない大人が少し息切れしながらついてきている。

 

「おや、これは一体……?」

 

「私たちが応戦するまでもなく、気絶していますね」

 

 彼女達の眼前には既に攻撃を受けたのか倒れ伏している不良生徒達。戦闘の手間が省けるのは一刻を争う現在の状況においては好都合ではあるが、一体誰によるものなのかが分からないため不気味だった。

 

「もしかして連邦生徒会が先に片付けておいてくれたのかしら?やるじゃない、少しは見直したわ」

 

〈いえ、知りませんが〉

 

「えっ、じゃあ誰が……?」

 

 ミレニアム所属、早瀬ユウカが思いついたのは連邦生徒会による支援だが、少なくとも七神リンは関知していないらしい。連邦生徒会長がいない今、実質的な連邦生徒会のトップである彼女が知らないとなれば現場の独断か、第三者か。

 

〈今はその親切で暇な方に感謝するとして、先に進みましょう〉

 

「"そうだね、今は先に進もう。"」

 

「ええ、分かりました。しかし一体誰が……」

 

 他の三人がクエスチョンマークを浮かべながらもまた歩き始めたとき、現場に落ちていた薬莢を見て、正義実現委員会の羽川ハスミはひとつだけヒントを掴んでいた。

 

(おそらく使用されたのは40mm2ポンド弾……となると、トリニティの生徒でしょうか)

 

「どうしたの?早く行くわよ!」

 

「……はい、分かっています」

 

 ともあれ、手助けしてくれたのであれば別に気にする必要もないか、とシャーレへの急行を再開することにした。

 

 

 

 ◇◇

 

 

 

 遂に先生が来た、つまり『ブルーアーカイブ』本編の開始というわけで。始まっちゃうんだ、物語が。

 

「少なくとも、エデン条約編まではあたくしにはあまり関係のないことですが……」

 

 やっぱり緊張する。原作を知ってても下手に行動するとキヴォトス崩壊待ったなしなので、慎重に行動しなきゃいけない。

 

 例えば、今日はタイミングが悪いだろうということで見送った先生との接触タイミングはいつにすべきだろうか。

 

「エデン条約編までには会っておきたいですわね」

 

 どんな容姿なのかも見てないからね。すごく気になる。

 

「それにエデン条約での立ち回りも……」

 

 そう、僕はティーパーティーの傘下組織に入ったのでエデン条約の調印式に出席する可能性がある。あそこでどう動くかはかなり重要なことだ。

 

「と言ってもまだ2,3ヶ月は後のことですし、早急に決める必要はありませんわね」

 

 ま、後でも大丈夫でしょ後で。そんな能天気なことを考えながらベッドに入った。……あまり寝付けない。

 




ついに登場ですよ、シャーレの先生!……まだ一言しか喋ってないけど。

ちなみにここまで時系列をこまかく追っていた方は気付いたかもしれませんが、入学式を4月初めとすると先生着任の時点で大体5月下旬頃になります。これはチナツ、後はアビドスの一年生二人などが特に不馴れのようすもなく馴染んでいることから、まあ1ヵ月以上は経っているだろうということで意図的な設定です。
ただ、これによって例えば「もうほぼ夏に入ってるのに春のお祭りの桜花祭いつ行くんだよ」とかそういう矛盾が生じるわけですが……。まあ、キヴォトスは国家、下手すれば大陸並に広いようですので季節が場所によってずれたりするんじゃないですかね(なげやり)
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