私気づいた。銃より拳のほうが強いんじゃないかって。   作:まっしろたまご

12 / 57
アビドスに居たらホシノの失踪を阻止しそうなのでゲヘナに帰ってもらいました。アビドス編とは。


『vs 模擬戦 ヒナ』

 アコによる決闘(デュエル)開始の音頭を合図に、ヒナがスキルの構えに入る。私も銃に神秘を込めてはいますが、あそこまでのエフェクトは出ないのを思うと、彼女の異様さがよくわかる。

 

 この戦いで一つ、懸念点があるとするならば、相性問題があるのかどうか、だ。無論ロングレンジでSMGとSRが戦った場合勝敗が明白ではあるがそう言った武器相性的な話ではなく。

 端的に換言するならば、デフォルトの状態(これをホノカ(近接)と呼称する。)はおそらく軽装備だということだ。正直言って武器を二丁担いだところで回避タンク的立ち回りは変わらない。

 故にヒナの攻撃は三発食らっただけで普通に死ねる。と、思われる。

 

 

それ(自尊心)は捨てたろ……ってならないことを祈ります」

 

 

 スモークグレネードはある。が、屋外で使うのは少し怖い。利敵モクは戦犯ってどんなゲームでも言われてるからね。

 

 銃の頭数ではこっちの方が上、ならば……先撃ちが正義。

 

 

 放たれた弾丸がヒナを襲……わない。しかし、威嚇にはなった。一瞬遅れて彼女も射撃を開始、跳弾の音が響いて地面がどんどん抉れていく。LMGの射撃精度の都合上か、回避が必要な弾はそこまで多くないのが救いだ。

 

 一マガジン分撃ち尽くして役目を終えたアタランティス君をパージ、ここからはアタルンデス君とタッグで行動だ。

 

 軽い弾避けのステップを踏みがなら接近を試みる。牽制射撃をしつつだと思うようにスピードが出ない。半分ほど撃ち終えたところでアタルンデス君もパージ。タッグ歴十数秒、南無南無。

 

 やっぱりあんなクソ重いもの担いで戦うより拳の方がつえーや。スピードも出るし。

 

 グッと足に力を込めて、解き放つ、“そうそうこれこれ”っていう感じの感覚で大きく前に踏み込み、あっという間に懐へ飛び込むことができた。まさに、『この距離ならバリアは張れまい』ならぬ『この距離なら銃は抜けまい』である。

 

 速度重視で、振りかぶりはほどほど。突っ込んだスピードのまま殺さずにいければ相当な威力になるはず。

 コンマ数秒後、私の拳がヒナの腹部に直撃する。が、手ごたえらしい手ごたえ、というかダメージが通っている感覚がない。なんて防御力だチクショウ。

 

 壁を殴るような感覚といえば失礼に当たるかもしれないが、一応物理法則には従ってくれるようで吹っ飛びはした。姿勢が崩れることはなかったけど。

 

 そういえばこの人、エデン条約編でミサイルが直撃した時ぐらいではなかっただろうか。明確な負傷の描写があったのは。ふとそう思った瞬間、サーっと血の気が引く感覚がした。

 

 

「ねぇ、防御力高すぎない?結構いいの入ったと思うんだけど」

 

「本気だから。さあ、次」

 

 

 会話で作戦を練る時間を確保しようと思ったけど失敗。むしろこっちが不意をつかれる形になる。

 

 

「これは……避けられない!!」

 

 

 即座に神秘を防御に回し、頭は手で庇う。土煙が上がって前は見えないし最悪。それなのに弾丸は的確に脇腹を、肩を、抉ってくる。一発一発も馬鹿にならないぐらい重いし冗談抜きで死ぬかもしれない。

 

 痛みでトびそうになる意識がまた別の痛みで引き戻される。まさに地獄のスパイラル。あまりにも容赦がない。

 

 一旦落ち着いて深呼吸。ぶっつけ本番になってしまったが、『アレ』を試すしかない。

 

 

 

 

 

 この世界で少しの時間生きて、気づいたことがある。それは、私と先生以外、ヘイローをはっきりと形まで捉えられる人間がいないということ。

 エデン条約編にて、サオリ達が『ヘイローを破壊する爆弾』を所持している描写があったが、ネームド含む数人の生徒に聞き込みを行った結果、『頭の上に浮かんでて円形で物理法則を無視するやつ』ぐらいが共通認識であった。

 

 ブルアカの考察で、ヘイローが現すシンボルからそのキャラクターのモチーフが推測できる、という話を思い出して、ふと思ったのだ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。とどのつまり、私は他のキヴォトス人より精密に神秘を捉えることができている、という仮説を思いついたのだ。事実さっきも攻撃のため両手に集中させていたものを全身に分散させ、防御力の底上げを図った。そして成功した。

 

 無論、デメリットはある。それは、他のキヴォトス人達が感覚で行っていることを意識して行っている、ということだ。この一瞬の差が勝敗を……ならいいが生死を分けられたらたまったものじゃない。

 

 バリアを展開している生徒もたまに見かけたことだし、私にも可能なのではないか。それが、これからやるしかない『アレ』の正体である。

 

 

 イメージするのは壁……というか殻か。半球形に前面をカバーするようにして消耗を抑える。防護の消耗が早いのはフリーレンで習った。無駄を省いて持久性を上げるとしようじゃないか。

 

 

 

 

 

 半透明な空色の半球が目の前に浮かび上がり、身体中を襲っていた痛みが途絶える。仮説があっていたかどうかはさておき、成功……でいいのだろう。ひとまず、第一波は防ぎきった。

 

 

「まさか、今のを耐え切るなんて……」

 

「……死に際で掴みましたよ。神秘の核心」

 

 

 掴んだ。掴んだけれど。これからどうしろというのだ。私に。足はもう動かないし身体中がクッソ痛いですし攻撃が止んだせいで意識がトびそうです。なんなら失血もヤヴァイ。

 

 どうせ会得するなら反転術式的なのがよかったなぁなんて思ってたら意識が沈んで行くしもう最悪……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。