私気づいた。銃より拳のほうが強いんじゃないかって。   作:まっしろたまご

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ビナー戦決戦です。


『未来に向かって』

 高火力のアタッカーが一人増えるだけで、状況は大きく傾いた。

 三段撃ち方式で絶え間なく浴びせられる銃弾により、ビナーは一定のリソースを回復に回すことを強いられていた。

 

 やっとの思いでミサイルを撃ててもヒナやミカに叩き落とされ、ビームを撃っても入れ替わり立ち替わりで3人のタンク(ホノカ、ハルカ、ホシノ)に受けられる。

 300%のリソースを防御に振り切ったホノカに、悩みを断ち切り、受け入れてくれる人を見つけたホシノ。そして、自己研鑽を怠らず、2人のサポートを受けられるハルカ。そんな彼女らが先生の指揮下に入ったとしたら。その頑強さは筆舌に難くないだろう。

 

『この世界は、ブルーアーカイブであってゲームではない』

 

 故に、防御力減衰なんて言うクソ仕様は存在せず、会心抵抗も然りである。

 

 

 

 

 先生の号令を合図に、生徒たちは各々の愛銃に神秘を込め始めた。

 その間飛来するビームやミサイルは先のタンク達が受ける。まさに三位一体と言って差し支えない美しい連携。

 じわじわと治りつつあるビナーの傷を気に留めるものはいない。誰もが先生の判断を信じ、最善を尽くしているのだ。

 

 そして『射撃開始』の合図。おびただしい数の銃弾がビナーを襲う。

 

 

 イオリとセリカの狙撃が的確にメインカメラを落とした。

 シロコのドローンが胸部装甲にヒビを作り、ノノミとヒナの掃射がそれを広げる。

 ムツキは周囲に地雷を張り巡らせ、アルがそれを起爆。

 

 軽い祈りを捧げ終わったミカが満を持して発砲。これが致命傷となった。

 

 

 この時のビナーは、完全に防御や回復を捨て去っていた。口に該当する主砲に神秘を集中させる。『先生』を狙うのはリスキー。あのタブレット(シッテムの箱)がある限り傷ひとつだってつけられはしないだろう。

 

 近くに1人、都合のいいターゲットが居るではないか。自分が狙われているとは露知らず、のうのうと前衛に興じている者が。

 ならば、狙うべきは緑色の少女。一切を切り捨てた一撃で焼き払うのみ。『次』は、文字通りこれまでとは桁違い、絶対に防ぐことはできない。

 

“それは防ぎきれない!!ホノカ!!避けて!!!”

 

 先生の警告も虚しく、風音ホノカの生はここで潰える。はずだった。

 

 きっちりと照準を定めていたのだ。狙いは既に見え透いていた。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。彼女らの連携は既に以心伝心と言っても差し支えないレベルに達していた。

 

 勝利を確信していたビナーの側頭部に2人の人影が現れる。が、文字通り全てを攻撃の準備に回しているビナーはそれに気づかない。気付けない。

 

 大切な人を守りたいと願った細腕が、大切な人から受け継いだ盾が、バリアの展開をやめ、ただの鉄塊と化したそれを穿つ。

 ぐらりと巨体が傾き、練りに練られた濃密な神秘の光線は空を引き裂き霧散する。

 

「改めまして。最高速度でブチ抜きます!!!」

 

 正に一点突破。最大まで加速した拳が、ひび割れた胸部に突き刺さる。今この瞬間、彼女が突き破るのは音の壁だけではないのだ。

 

 

 

 蛇型の体躯に空いた美しい大穴。それこそが、『シャーレ』の、生徒達の、勝利の証であった。

 

 

 

***

 

「うへ〜……派手にやったね……決めてくれるとは思ってたけどまさかここまでとは……」

「さ、さすがです……私なんかでお役に立てたんでしょうか……」

「2人には何度も命を助けられたよ。本当にありがとう」

「うへ〜……」「え、えへへ……」

 

 最高速度でブチ抜く姿はさながらドブカス、どうも風音ホノカです。ひとまず前線で踊っていたタゲ取りの翁ことタンク三人衆は無事。

 むしろ私のカイザーにやられた傷が一番酷かったぐらいです。頑丈すぎませんかねこの人たち。

 

 しばしの歓談に興じていると、例のアイツが近づいて参りました。

 

「ホノカちゃん先生、大丈夫?」

「おかげ様でなんとか。ミカこそ、怪我はない?」

「私も大丈夫だよ⭐︎それより、呼んでくれてありがとうね!」

「ミカならきっと、助けてくれるって信じてましたから」

 

 我々のお姫様であり、ビナーとケセド絶対殺すマン。未来の私がどうやって彼女と絆を紡いだのか聞きたいところではありますが、やめておきます。それは私がこれから紡ぐ物語であると同義。ネタバレは厳禁です。

 

「っとと、そろそろ時間みたいだね」

 

 見れば、ミカの指先がファミコンのゲームのようにドットになり、ジジジ、と音を立てていた。

 私が呼び出した、ということで、『時間』とはおそらく『帰る時間』のことでしょう。

 

「それじゃ、バイバイ!ホノカちゃん先生!」

「いつかきっと迎えに行きます。未来で、待っていてください」

「わーお……うんそうだね。そういう人だった」

「また会いましょう」

「うん。またね」

 

 それだけ言い残して、ミカは空気に解けていきました。きっと今頃元いた場所で目を覚ましていることでしょう。

 一拍おいて、空気を読んでくれていた皆さんがやってきます。

 

 アコには引っ叩かれましたし、ヒナには抱きつかれました。先生にはちょっぴり怒られたけれど、みんな無事で帰ってこれたことを喜んでいるようでした。

 こう言うところを見ると、どこまでいってもこの人は先生なんだなって思います。私が彼の背中に追いつける時が来るのはいつになることやら。

 

 

 風紀委員会のモブちゃんズも、怪我人はいれど犠牲者はなし。これで文字通り、正真正銘の完全勝利です。

 

 

 まだまだ語りたいことはありますが、ひとまずはこの辺りで。なにしろ緊張の糸が切れて段々と意識が落ちていって視界が暗く……




出向編本編はこれにて完結になります。
あとは後日談のエピローグを書いて、ちまちま幕間を上げていきます。
ホノカちゃんの応援ありがとうございました&これからもよろしくお願いします。

パヴァーヌ編まで小休憩に番外編なんかを挟むので、『ここ掘り下げてほしい』とか『こう言うの書いてほしい』とかあればどしどし活動報告のコメントにお願いします。

それでは、またエピローグでお会いしましょう。

ホノカちゃんに使わせたいよって武器や技

  • パイルバンカー
  • グレード類
  • ジョジョみたいなラッシュ
  • そこらへんに落ちてたパイプ
  • その他(コメントへ)
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