私気づいた。銃より拳のほうが強いんじゃないかって。   作:まっしろたまご

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デトロ!開けろイド市警だ!


『ヒナとパワー系女子』(ヒナ視点)

 空崎ヒナは悩んでいた。突如風紀委員会室に現れた少女、風音ホノカが風紀委員会に加入したいと申し出てきたからだ。

 ヒナの目から見ても、彼女は戦力、学問両方の点で優秀であったし、むしろこの間*1勧誘しようかとも考えた。しかし、ただでさえ激務、その上嫌われ役とも言えるであろう風紀委員会に引き込んでいいものなのかと悩んでいた。

 

 お茶を濁すために直近の出席記録や学内での態度を調べてみる。少し遅刻癖はあるが基本的に何も問題はない。むしろ不良生徒の沈静化や抗争の仲裁などに積極的に取り組んでおり、ピッタリとまで言える人材であった。

 

 

「わかった。じゃあ、しばらく私について試用期間ってことにしよう。そこでの働きを見て入ってもらうか決める」

 

「ありがとうございます!!精一杯頑張ります!!」

 

「公的な場でもないし、敬語じゃなくて良い。出来るだけ対等に接したいから」

 

 

 はーい、と言い残して委員会室を後にするホノカ。そういえば、勢いに負けてOKしてしまったが、大丈夫だろうか。いや、人手が増える分には何も問題ないだろう。そう考えて書類仕事に戻るヒナだった。

 

 

 尚、この時のヒナは、徹夜明けの判断力であったものとする。

 

 

 

 

 次の日。『おっはよーございまーす』という元気のいい掛け声と共にホノカが入室する。

 

 

「昨日ききそびれましたが、私は何をすれば?」

 

「何かしらの問題が舞い込んでくる前に出来るだけデスクワークを終わらせておく。終われば定時で解散」

 

「やること自体は単純なんだね」

 

「ええ。仕事内容自体はね。やり方はアコから教わって頂戴。外に出る時には声をかけるから」

 

 

 そう会話がひと段落ついたところで、まだ呼びかけていないはずのアコが現れる。書類仕事はお任せくださいと言わんばかりの自信に満ち溢れた笑顔でズルズルと引きずって行ってしまった。

 アコは普段こそ優秀なものの、私のことになると途端にIQが下がる節がある。

 どれくらい成長して帰ってくるかは彼女次第ではあるものの、行政官ともあろう人物から直々に新人教育を受けられる者はそういないだろう。きっと大丈夫。なはず。

 

 一旦落ち着いて、既に冷め切ったコーヒーへ手を伸ばす。一口飲んで、小さなため息をついた直後、遠くの方で爆発音が響いた。ゲヘナ自治区における、なんてことない日常風景だ。

 

 

 

 

「面倒くさい……」

 

 

 事件の概要を聞くなり、そんな言葉が漏れた。普段の戦闘ぐらいであれば全員気絶させてしまえば早い。だが今回はどうやら犯人グループが人質をとって立てこもっているらしい。どうしたものか。いっそ建物ごと……なんて考えていると、隣にいたホノカがいそいそと身支度を始めた。

 

 

「……待って。何してるの?」

 

「スモークグレネードで突入するの。窓からなら多分いけるから」

 

「落ち着いて……単独で行うのはリスクが……いや、それ以外に方法もないか……」

 

「私は適当に登って窓から行くので、ヒナさんは要求を聞きに行くフリなりをして正面で注意を引いてください」

 

「了解。失敗したら反省文ね」

 

「それはもちろん」

 

 

 場所は変わって立て籠り中の建物の玄関。犯人らは4階に立て籠っているはずなのに、もうベランダに着いたとの連絡が入った。あの子は猿か何かなのだろうか。

 

 階段を登って、モモトークに連絡を入れてからドアをノックする。犯人からの質問は適当にはぐらかし、私も突入の準備をしておく。ステゴロはあまり得意ではないが、援護くらいにはなるか。と、そんなことを考えていると、部屋の中から悲鳴が上がった。続いて呻き声と打撃音が数秒続いて静かになった。

 

 それからまた10秒ぐらいして扉が開く。

 

 

「やったよ」

 

「え、ええ。お疲れ様」

 

 

 解放された人質を私に預け、ぐったりとした犯人たちを担ぎ出してくる。4人ずつを2回繰り返して、更生局への輸送車へと受け渡した。輸送車の護衛は現着したイオリ達に任せて学園に戻る。

 

 ホノカの研修初日。よくあることではあるものの、彼女は事件のうち1つをほぼ1人で解決してみせた。対応力や閉所での戦闘にも精通しているし、もう正式加入でいいんじゃないかと思う。めんどくさいし。それでも大仰に言ってしまった手前、きちんとやり切る方がいいだろう。

 それもそれで少しめんどくさい。そう考えると、また小さなため息が出た。

*1
医務室で話した時

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