私気づいた。銃より拳のほうが強いんじゃないかって。   作:まっしろたまご

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この辺から捏造が増えてきます。


『コハルのえっち本』

 習う、取り込む。その繰り返し。

 

 午前のなかなかに早い時間から昼を跨ぎ、補修授業部の面々に疲れが見え始めた頃、その事件は起こりました。

 

 

「コハルさん……計算ミスが……」

 

「あっ……またここ……」

 

「気分転換がてら、教科を変えてみましょうか?」

 

「うん。あ!そういえばこの参考書にわからないところがあって……」

 

 

 そんなことを言いながら彼女が取り出したのは真っピンクの参考書。表紙には堂々とR18の文字が踊っており、しっかりと確認しなくともあかん本だということがよくわかります。そんな本を机の上にひけらかしているとは思いもせずせっせとノートを取り出すコハルさんを眺める視線は様々です。

 

 

 ヒフミさんは『あはは……』と言いたげな気まずい視線を

 

 ハナコさん『あらあら♡』と言いそうな視線を

 

 先生はニコニコと微笑ましそうな視線を

 

 アズサさんはまるで状況を飲み込めていません

 

 

「……コハルさん。その本は」

 

「え?ただの参考書だけど?」

 

「ある種参考にはなりそうですがこれは大胆な……♡」

 

「あはは……」

 

 

 やがて自分の手元に注がれる視線に気づき、一度下を向き、もう一度全員の顔を見回しました。

 あ、だんだん顔が赤くなってきた。耳も赤くなってきた。だんだん手が震えて———

 

 

「違う!!押収品が間違って入ってただけだからぁ!!わたしのじゃないから!!!!

 

「わ、分かってますから落ち着いて!」

 

「落ち着けないわよ!!」

 

「あら♡これはなかなかハードな……♡」

 

「見ないでよバカ!!!」

 

 

 恐ろしく早い身のこなしでピンクの薄い本を手に取り、パラパラとめくるハナコさん。おい待て。どうして平然と『ハード』だとわかるんですかね?

 キヴォトスでは結構性教育が盛んなのか?ボブは訝しんだ。

 

 ま、透き通るような真っピンクの世界観。あんな埴輪(水晶埴輪)もあることですし、これぐらい普通ですよ。フツー。

 

「でも、『参考書』なら参考にしないわけには———」

 

「ハナコさんは話をややこしくしないでくださいッ!!」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 はい。泣き出してしまったコハルさんと一緒にその場から離れて慰めること十数分。どうにかこうにか落ち着かせることができました。

 

 

「うぅ……ひっく……」

 

「ごめんなさい。コハルちゃん。少し言い過ぎてしまいました」

 

 ぺこりと頭を下げにきたハナコさんは心なしか萎れていて、とてもきまりの悪そうな顔をしていました。

 

「まぁまぁ……自分のものでなくとも『そういう』アイテムを持っているのがバレたときの気まずさは私もわかりますから……」

 

「なんでわかるのよ……」

 

「あら、ホノカちゃんもそのような経験がおありなんですか?」

 

 

 私も一端の大人ですからね。青年時代の苦い思い出ではありますが、ここは迷える少女たちのため一肌脱ぐといたしましょう。

 

「ええ。ベッドの下に隠しておいた秘蔵の本が机の上に積まれていたり、パソコンの検索履歴を覗かれたり、レンタルビデオ店のR18コーナーでバッタリ知り合いと出会ったりとか、そういう小さな絶望の積み重ねが人を大人にしていくんですよ」

 

「な、なんで当然のようにそんなことしるの!?死刑!!」

 

「え、えぇ……ジョークじゃないですか。ほら、ゲヘナジョーク!」

 

“ちょっと生々しいのやめよう。ホノカ”

 

「それは……なかなかにハードな……」

 

 

 哀れな視線が一瞬でこっちに向かってきました。なんで!どうして!

 私はただコハルさんの心中をお察ししようと思っただけなのに、どうしてこんな思いをしなければいけないのでしょうか。ああ無常。

 

 ともあれ、エ駄死が出るぐらいには回復したようでよかったよかった。これには私も思わずにっこり、致命傷を負った甲斐があるというものです。

 

 

「で、それどうするんですか?持ったままというわけにもいかないでしょう」

 

「そうね……風紀の維持の一環で没収したものだから、きちんと返しにいかないと」

 

 

 風紀……ああ、風紀ですね。ええ、分かりますよ風紀。そういえば風紀ってそうですよね。

 どうして風紀委員会が戦力として活動しているんですか?

 おっと、これ以上はいけませんね。

 

 風紀委員会よりも正義実現委員会の方がよっぽど風紀委員会している……そう考えると頭が痛いですね。思わず頭を抱えてしまいました。

 ゲヘナはほら、治安が治安だから……まともに管理できてるだけ御の字だと思うんですよね私は。

 私の不在でまた万魔殿からの嫌がらせが復活してきているようですし、近日中に顔を見せにいかないといけません。

 

 

「ど、どうしたのよ……急に頭を抱えて……」

 

「いやぁ、風紀委員会より風紀守ってるなって」

 

「で、でしょ!私は正義実現委員会のエリートで、いつかツルギ先輩やハスミ先輩に並んで見せるんだから!」

 

「これは同じ一年生として負けていられませんね。私も頑張らないと」

 

「にゃっ……急に撫でるのやめなさいよ!びっくりするでしょ!」

 

 

 ゲヘナ内情への干渉に古聖堂襲撃の被害軽減。セイアさんの起床問題にアリウススクワッドの救済に補修授業部のテスト合格にベアトリーチェの討伐……やることが……やることが多いですよ。

 

 って言っても一個一個片付けていくしかないんですがね。原作知識と絡めてきちんと計画を立てればなんとかなる範囲内だとは思いますしきっと先生も先生で動いてはくれるでしょうが……

 

 最近、なにやら胸騒ぎがします。これが杞憂に終わればいいんですけど、ね。




カザネ(ホノカちゃん……ホノカちゃん……?)

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