聖剣の勇者様……の、幼馴染み   作:青い灰

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あらすじを少し変更しました。
力に溺れてっつーか……最初から強いわ主人公……




ブロセリア襲撃戦 開戦

 

 

 

「………」

 

 

存外に、大きな集落だという印象。

集落というには要塞都市と遜色ない町並みだ。巨大な木々を基にした建築様式は他にはない、それに加えて人間の町にもみられる石材も使われている。

 

フードとマントで全身を覆っているが、エルフどもは気にする様子もなく集落を行き来している。

ルイーズは既に先行した。まずは俺が潜入し、彼女が起こした騒ぎから逃げる者全員を処理する。その後は彼女のところへ向かい、主要な敵を排除して完了だ。

 

今回は剣を両腰に2本、飛び道具も持ち込んでいる。

相手が弓や魔法と遠距離攻撃に長けているため、その保険のようなものだ。前回の将軍相手では飛び道具は風に阻まれ効果がないと事前情報があったため出番がなかったが、今回は十全に使ってやろう。

 

 

「………ん」

 

 

突如として轟音が響き渡る。

集落の先、世界樹の根元にある大きな建物へと落雷が直撃。これが彼女の開戦の合図だ。

 

瞬間、空に赤い結界が張り巡らされる。

こちらは爺さんの言っていた『遠隔での会話魔術』を阻害するもの。相手に余裕を与えない、流石の速度。

 

そして一拍遅れて後方、森側から爆発音。

新兵らが行動を始めたのだろう。

 

 

上々。作戦開始だ。

 

 

 

 

 

左腰の剣を抜き放ち、走り出す。

そして悲鳴のあがる集落で、一番近くにいたエルフの首を刎ね飛ばす。その走る勢いをそのまま、直線上のエルフ全員を一撃で仕留めていく。

 

 

「くっ…な、何者だ!!?」

 

「!」

 

 

即座に屈み、放たれた風の刃を回避する。

その風に、フードが外れてしまう。

視線が俺に集中するのが分かる。

 

 

「に、人間……忌み人!!!?」

 

 

溜め息。

マントを脱ぎ捨て、その声の主の首を斬り飛ばす。

周囲は一転、驚きか恐怖か、静寂が場を包む。

 

 

 

「死ね」

 

 

 

悲鳴が上がり、その片端から剣を振るう。

全く、簡単な仕事なことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────

 

───────

 

 

 

 

 

聞こえてきた悲鳴は、後方の集落から。

どうやらあいつも始めたようだ。順調順調。

 

 

「さぁーて、オレも行動開始といくか」

 

 

見上げる先には、集落で世界樹に一番近い建物。

近くに寄ってみれば、建物の造りは城に近いらしい。大門に世界樹の根に沿って続く建物は見た目より更に大きいらしい。まぁ偉い奴は奥にいるだろう。

 

門兵どもは雷撃で即死させ、門は崩れ落ちていくが、その側から新たにわらわらと兵士が現れる。

武装はエルフにありがちな軽装に、剣や槍に加え杖も腰に備えてあるようだ。どれも大した相手じゃない。

 

 

「っ、な、何者だ!!?」

 

「どうせ言っても分かんねえだろ?」

 

「──!!?

 が、ぁああぁあああああああ!!!!?」

 

 

落雷の残滓を再利用。魔力を纏い腕を振り上げれば、空へ昇る落雷の完成だ。その門ごと、建物の入口を跡形もなく吹き飛ばしてしまう。

門が硬いなら吹き飛ばす。なんと賢い戦法だろう。

 

 

「ハハッ、風通しが良くなったな!

 おら、偉い奴は出てこーい!!

 じゃねぇと──────」

 

 

腕に、魔力を収束させる。

弾ける輝きを、腕先に集める。

 

 

「全員纏めて─────」

 

 

そして、放とうとした、その時。

 

 

 

 

 

「そこまでです」

 

「あ?」

 

 

魔力が一気に霧散、思わず声を漏らしてしまう。

錫杖と、もう片手には魔術を魔法陣無しで使うための魔導書を手にした女エルフが、そこにいた。

青銀の髪には、精巧な木枝の冠が載せられている。

 

オレは、魔法を放とうとしていた手を下ろす。

まさかまさかの展開だ。これは予想していない。

 

 

「……おいおい、まさかこんな早いお出ましとはな」

 

 

呟く。

エルフが錫杖を鳴らすと、木々が蠢き、瞬く間に門が修復されていく。そして開いた門から新たに、兵士が現れ彼女を守るように取り囲んだ。

 

 

 

「私は森人の第17代当主、アルセイス。

 名乗りなさい、雷を纏った忌み者よ」

 

 

 

頭に直接響くような声。

まさか本当に統率者が出てくるとは思わなかった。

 

だが、成程。良い顔はしているのだが、しかしどうにも可愛げがない。色気はあるが。

だが、こういう女を鳴かせるのが愉しいものだ。

いや、よくよく見ればしーっかり上玉ではないか。

エルフは美形が多いと聞いたが、そうでもないと少し凹んでいたところだ。ルインに何か言われるだろうが少しくらい……1人か2人くらいならオレのモノにしても軍長のやつも許してくれるだろう。

 

 

「よし決めた。てめぇ、捕虜な」

 

「言葉は不要ですか。

 死になさい、卑しい猿どもめ」

 

 

ほら、いい顔をする。

今からその顔を歪ませるのが楽しみだ。

 

 

 

 

 

─────

 

────────

 

 

 

 

 

「…………ふう」

 

 

いや、全くこうもあっさりとは。

何が『油断するな』だ、あの爺さんは。

どいつもこいつも逃げるばかりで戦おうとする気概もない、それに加えて弱くて仕方ない。

 

あっと言う間に、集落は血の海に沈んだ。

しかし、エルフらの逃げる先は世界樹の方向だった。あの落雷があって何故───いや、あちらに避難所が?まぁ、森に逃げられては困るから構わないが。

 

とにかく、視界に入った者は全て始末した。

死体の海を進み広場に出る。ルイーズも気になるが、生き残りがいれば困る。どちらにせよ後で火を放つが確実に仕留めておくに越したことはない。

 

 

─────と、その時。

 

 

 

 

 

「………なんだ、これは」

 

 

広場の先から聞こえた声。

そちらへ視線を向ければ、広場の向こう、森側の入口に2人分の人影があった。片方はエルフだろうが、しかしもう片方はかなり大柄だ。獣人か?

 

 

「……成程なぁ、手前がコレ、やったんか」

 

「忌み、人……」

 

 

先に気付いたのは獣人だ。

……思ったよりも、人と変わらない見た目だ。

片方はやはりエルフらしい。……それも、隻眼か。

 

笑みが、溢れる。

 

 

 

 

 

「………ふっ、くくくっ。

 どうやら貧乏くじを引いたようだ」

 

 

「貴様ッ……貴様が、みんなを………!!!」

 

 

「……最悪じゃ、手前。もう少し遅ければ、

 わしらの諍いにもケリが付いたっちゅうに」

 

 

 

 

 

さぁ、面白くなりそうだ。

 

 

 

 

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