それから一年とちょっと経ちました。俺は晴れて小学一年生。
前までは羂索羂索とビクビクしていたのに、なんかもうどうでもよくなってしまった。
バレたら死ぬけど。そんときはもう諦めよう。
流石に外で呪力を練ったりしてたら、下手すると偶々すれ違った呪術師に目を付けられてしまう可能性があるのでそんなことはしないが、学校内では呪力操作の練習をしている。
九十九由基に会う方法は考えつきませんでした。
強いて挙げるなら、俺が片っ端から呪霊を祓って異常事態を演出することだが、そんなことしたら九十九より先に高専関係者が飛んでくるわ。
領域に関しては、縛りが有効だろう。
渋谷事変当日以外一切呪術使えなくなる代わりに、その時だけ領域展開できるようにするとか。
……釣り合いは取れてる。だがこれは最終手段になるだろう。
領域展開の仕方知らないのに縛りだけ設けてぶっつけ本番は怖すぎるし。
ただ、こんなに極端じゃなくても縛りは設けるべきだろうね。
河童がやってたように必中のみの領域にすることは確定路線と言っていい。
あとは、結界で閉じはするが出入りを自由にする縛り。
反転術式使用不可の縛り……元々使えないものを使えなくしたところで縛りにはならないか。
縛りを設けるのはいいけど、結局結界術を使えないならどっちみち領域の訓練をすることになりそう。
縛っただけで領域展開できるなら作中の人物はみんな領域展開してるだろうし。
それこそ東堂あたりが領域展開していそうだ。
どっちにしたってクソ難易度なのは変わらないようです。
さて、今俺は学校にいるわけだ。小学一年生の相手をするのは、前世の記憶を持っている俺からするとかなり疲れる。
あれだ。五条が過去編で弱いやつに気を遣うのは疲れるよって言ってたでしょ。その意味がなんとなーく理解できたような気がする。
IQに差があると言えども、だからといって小学生を見下していい理由にはならない。たまに子供の自由な発想には大人ですら息を呑むことがある。もしかしたら呪術に関して何かヒントが得られるかもね(KONAMI感)。
…………あー、今俺の目の前にちょっと面倒な存在がいるんだけど、触れなきゃダメ?ダメっすか。そっすか。
えーと、俺は今学校のトイレに一人でいるわけだけど。
学校とか病院って負の感情が集まりやすいって原作で誰か言ってたでしょ?
もう俺が言いたいこと分かったでしょ。
「あー、なんだ。祓った方がいい感じですかね」
「い゛いぃいーれーで」
お前絶対
なんだよ「いーれーて」って。ハブられでもしてたんか?
哀れハブられ呪霊。悔いが残らないよう俺が祓ってあげよう。
俺は一年も呪力操作の特訓をしてきた。そしてなんと小手先の小技を獲得したのだ。そのうちの一つを披露してあげよう。
俺は全身に呪力を巡らせ戦闘態勢を取る。
穿つは心臓(あるのか知らん)、狙いは必中(だったらいいな)。
右手を手刀の形にし、そこに斬撃の特性を持たせた呪力を纏わせる。
呪力で強化した肉体を駆使し、呪霊へと一瞬で距離を詰める。
これが俺の小手先の技術其ノ壱。
「斬り捨て御免!」
そして俺は腕を横に一閃させた。
斬撃によって呪霊は真っ二つに分かれ、霧散していく。
フッ。決まったな。
ドヤ顔でそれっぽいポーズを取りながら立ち尽くす俺。
ちなみに小手先の技術は其ノ二までしかありません。ドヤ。
いや、でもこれを実用レベルにするのに一年かかったんやぞ?
俺の努力を誰か褒めろ。かなり大変だったんだからな。
だがまあ今の戦闘で分かったことがいくつかある。
今の呪霊は大したことがないというのが一つ。小学一年生の肉体でも呪力で強化すれば一般的な成人男性以上の身体能力にはなるのが一つ。これは俺の呪力量も影響しているのかな?
呪霊に関しては、俺程度が祓えるのだからせいぜい四級、あっても三級下位レベルだろう。
ということは、今の俺は四級術師レベルはあると見ていいかな?
比較対象がいねぇから今の俺の実力がどこなのか全く把握できん。
いや、いいんだよ?俺の目標は領域展開だから。呪術師としての実力とかは二の次でもさ。
とは言ってもよぉ。やっぱり自分の実力を客観的に把握出来た方がモチベーションの観点から見て大事だと思うワケ。
ぐだぐだと考えごとをしながら俺はトイレを後にする。
初戦闘がトイレってマジ?やる気無くすわ〜。
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トイレの呪霊以外に学校でのハプニングは起こらなかった。
いや、普通はハプニングなんて起こって欲しくないんだけど。
しかし、トイレの呪霊は俺にとって貴重な戦闘経験となった。
戦闘経験と言えるのかどうか定かでは無いが、まあ自分が今できることを把握する良い機会となったことは確かだろう。
「ふいー。とうちゃーく」
今の俺の呪術はかなり成長したため、呪術の訓練をする時は誰もいないような場所が必要となる。
小手先の技術其ノ二は、乙骨の純愛砲の威力をかなーり下げたものであるため、自宅での訓練には向かんのだ。
ということで俺は東京都内にある古びた神社に来ていた。
神社と言っても小さな社がちょこんとあるだけなので人はいない。
ここは呪術の訓練にもってこいの場所で重宝している。
さて、いつも通り瞑想で呪力操作の訓練――アップみたいなものだ――を済ませ、両手に呪力の刃を纏わせる。これは、作中で直毘人の落花の情が陀艮の式神をスパスパ切っていたことから着想を得た。
作中でこういう呪力の使い方をしている人がいなかったが、まあできたのだから良し。こんなことをするより各々に合った戦闘スタイルがあるのだろう。
次に手を銃の形にし、人差し指の先から呪力を放出する。
放たれた呪力は直線上にあった木を少し凹ませる。
やっぱり呪力の放出はまだ上手くいかない。
石流戦での乙骨のようにはできないな。
「もっと呪力を込めてみるか」
指先に呪力を集中させる。
いつもの三倍ほどの呪力が収束したところで
「チッ、まずい」
爆発しそうになったため適当に放つ。
「……ダメか」
しかし、呪力は真っすぐに飛ばず、複数に分かれて飛んで行った。
呪力放出に関しては込める呪力が多すぎると制御が効かなくなる。出力としては体感で今の十倍以上はできる気がするのだが、なにぶん制御が上手くいかないため、宝の持ち腐れ感がすごい。
あとは、自分の術式も触っておく。
「『無常』『反転』『砂上の楼閣』『六道の辻』――術式順転『白』」
瞬間、俺の術式効果が一気に跳ね上がるのを感じた。
この状態の俺は自分だけでなく、俺が触れている物も術式対象となるのだろう。そんな感じがする。
「ッ!……ハァ、ハァ」
だがこの状態は一秒しか持たない。一年かけてこれだ。泣けてくる。
呪詞に関しては頭の中にスッと浮かんできたのでそれを唱えている。
「……ふぅ。まーじで疲れる」
呪力云々より体力が消費されるのだ。小学生なので体力不足は仕方ないが、俺に残された時間を考えるともどかしい。
「さて、最後にやるだけやってみますかね」
中指と薬指を曲げた状態で両手を合わせる。
すう、と息を吸い集中。集中、集中……。
「領域展開!」
し か し な に も 起 こ ら な か っ た!
ファ〇ク!!
はい、閉廷でございます。
次回作にご期待ください!
いやさあ、生得領域を結界として展開するって理論なのは分かるんだけど、どうやるのって問題があるよね。
俺のイメージとしては自分の中にあるものを外に出すって感覚なんだけど、どうも上手くいかない。
うん、まあ領域は五条ですら反転術式を習得して天上天下唯我独尊状態になってから最低でも一年はかかっている。
伏黒は小一の時に五条に会い、それから呪術を学んだと考えると不完全領域に至るまで十年。
両者とも呪術界の御三家の血を引いており、相伝の術式と言う才能にも恵まれている人物。
……やめよう。こんなこと考えるのは。自分で希望を潰すようなことをする必要はない。
この絶望と言う名の負の感情を使って呪術が上達するとかないかな。ないか。
帳に関してはなにか掴めそうで掴めないような。そんな感じ。
このままいくと最終手段の『渋谷事変当日以外一切呪術を使えなくなる代わりに領域展開できるようにする』縛りを結びそうで怖い。
この縛りを結んだところで、ぶっつけ本番に初めて使う領域展開ができるか定かではないんよなあ。
まあ今日のところはこれで終了!お疲れさまでした!
渋谷事変まで残り――11年9ヶ月
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主人公に師匠はいる?いらない?
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いるわボケ
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いなくていいかなぁ