反省の意を込めて、お詫びとして本日二話目です。お納めください。
七海さんに会ってから二年ほど経ちました。どうも中学一年生です。
中学生になってよかったことは、行動範囲が広がったことです。
あの時の七海さんの助言に従い、俺は一般人の振りをする訓練をしている。もちろん、領域や呪術に関する諸々も特訓していますとも。
あの時に七海さんに会えたのはマジで僥倖だったと言える。
一般人の振りが必要なことに気づかせてくれたし、結界術に関しても理論が聞けた。おまけに雑談として高専のことやらも色々と。まあぶっちゃけ必要な情報ではなかったが、原作ファンとしては、超貴重な体験ができたと言える。
さて、俺の呪力量が五条悟並みだと言うことが判明したが、作中で五条先生の呪力量が格別に多いというような描写はない。まあ多いことには変わりないのだろうが、乙骨や宿儺には劣る。
原作で乙骨と虎杖のやり取りで、乙骨の呪力量が五条より多いと聞いた虎杖がたいそう驚いていたため、五条とて常識から外れた多さなのは察することができる。
俺が一般人に扮するとして、その五条並の呪力量を垂れ流すのは些か危険なのではないかと俺は思った。
呪霊たちにとって俺は、呪術師の才能がある一般人と言う立ち位置となる可能性が一番高いが、警戒に値すると思われた時点でこの計画の難易度は格段に跳ね上がる。
そこで俺が考えたのが、無意識下でちょろちょろと呪力を垂れ流す方法である。
蛇口を思い浮かべてもらえれば分かりやすいか。一気に蛇口をひねってドバっと出すより、ちょっと捻ってちょろちょろ出すといった感じだ。
もし、俺が乙骨並みの呪力量だったと思うと怖い。
乙骨は呪術を学んで二年しか経っていないのに領域を使える天才だが、その乙骨ですら自らの立ち昇る呪力を抑えきれていない描写があるのだ。
菅原道真の子孫たる乙骨ですらできていないことを、俺ができるとは思えん。
呪霊どもの対策はここら辺が妥当だろう。
あとは、渋谷事変当日に俺のことを見た五条先生がどう思うかだ。
五条先生の六眼を騙す手段はない。ないったらない。
自分と同等の呪力量を持った人間が、一般人の振りをしようと呪力を操作してたらあなたはどう思いますか?敵ですねお疲れ様です。
つまり、渋谷事変の当日に俺は五条先生から敵認定される可能性がある。
泣いていい?泣いていいでしょこれ。あれ?俺って五条先生を助けようとしてるんだよね?今のところ五条先生が俺の一番の敵だけど?
だがまあ、俺も二年考えた。
それで導いた結論は至ってシンプル。
まず、五条先生の立場に立って考えてほしい。
五条先生は謎の人物である俺を気にする必要はない。なぜなら彼には無下限があるから。
例えば、漏瑚や花御、真人といった明らかな敵対勢力を前にしてそいつらから無様に逃げ惑う俺を見たらどう思うか。演技だと思うかもしれない。だが五条先生ならこう考えるはずだ。
『あいつ、何がしたいんだ?』
とね。そうなると彼は多分放置を選択する。
彼には無下限呪術という、あらゆる攻撃が彼に届かないという能力がある。たとえよく分からない呪術師が一人増えた程度で彼は歯牙にもかけないだろう。
自分に無下限という
六眼はなにも術式まで分かるような代物ではないということを、前世で単眼猫がどこかで言っていたような気がする。
それに、例え俺の術式が分かったとしても基礎的な体術からしてそもそもレベルが違う。慢心などではなく、確固たる実力差が俺と彼には存在する。
呪術が効かない能力は、他人に付与することもできない。実力として俺は、副都心線ホームにいる彼ら六人とは確固たる隔たりがあるのだ。(脹相や真人ならば勝てるか?)
俺を警戒する理由はあるが、眼中に入らないだろう。
そんなことを考えながら、俺はいつもの訓練スペースへと赴く。
「……あん?」
そして、俺はいつものちっこい社に何かが置かれていることに気づいた。
それは、小さな山のように積まれており、日の光を反射して輝いている。
「……砂?」
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鳥取県某所。
そこには三人の人影があった。
「砂丘って意外と景色いいジャンね」
金髪の少女が言う。
「それな」
それに対して黒髪の少女が答える。
瓜二つな容姿をした二人の少女はそう言いながらも、視線は一人の男に注がれていた。
「
夏油と呼ばれた青年は、振り返り、質問を投げかけてきた黒髪の少女へ答える。
「いや、どうやら振られてしまったようだね」
「えー?夏油様を振るとかありえなーい」
「夏油様に認められたなら呪霊だろうと言うことを聞くのが礼儀ってヤツだと思うんだけどー」
「はは、私はそんなに偉そうかな?」
夏油は自然な笑顔で目の前の双子に向き合う。
本当の家族のように自然に。
「いやー?夏油様は超優しい人だよ?」
「そう言ってくれるなら嬉しいかな」
「それで、夏油様。振られたってどういうこと?呪霊がどっか行ったってこと?」
「いや、それは考えづらい。呪霊とは元来、生まれた場所に留まるものだ。あの呪霊は特級相当の呪霊だったとはいえ、初めて会った時には、生まれた場所を誰よりも大切にしているという雰囲気が感じられたからね」
「つまり?」
「誰かに祓われたってことさ」
そう言うと、少々沈黙が訪れた。
そして数秒後、金髪の少女――枷場菜々子は問う。
「それって、夏油様の
そう聞かれた夏油は、今までの笑みを一層深めた。
「そうだね。あのレベルを祓えるのは悟くらいだろうね。当時は手持ちの呪霊が満足にいなかったから戦わなかったけど、祓われると知っていたら無理にでも取り込んでおくべきだったかな」
「その悟って人はそんなに強いの?」
次は美々子が問う。
その問いに夏油はさも当然かのように答えた。
「ああ。――彼