Other side
のちにシェイキング・ワールド・ハザードと呼ばれる一連の大事変。
あらゆる世界に大きな影響を与えるこの事変において、それに立ち向かう者達がLUNATWOに集っていた。
だがしかし、彼らはあくまでイレギュラー。
イレギュラーという概念が成立することは、正当な概念もまた成立する。
「ふははははっ! 中々に技術が発展している世界だが、ツインテールを愛でる者達はいないのか!!」
『なんだこいつ、攻撃が効かない!?』
『っていうかなんだ、頭がおかしいのか!?』
困惑しながらも攻撃を放つレリオン部隊だが、地面を悠々と歩く怪人を倒すことは全くできない。
特撮の怪人を思わせ、大量の戦闘員を引き連れたその怪人に、地球連邦軍のAM部隊が攻撃を選択して数分。彼らはその異次元の存在に、困惑すら覚えていた。
民間人に対してはかすり傷すらつけないよう気を使う対応。だが同時に、彼らに襲われた人間は生気が抜けたかのように虚ろになっている。
それを察知してから攻撃や排除を試みるが、歩兵部隊や戦闘車輌では太刀打ちが一切できない異常事態。こうしてAM部隊が緊急出撃したが、しかしそれすら通用していない。
増援を要請したいところだがそれもできない。何故なら世界が突然断絶したかの如く、他の基地との連絡がつかなくなっている。
通信が繋がっても、まるで異世界に来たかのように要領を得ない返答が返ってくる。そもそも通信先も困惑しており、現段階においては対応が不可能といっても過言ではない。
「……さて、我々アルティメギルは人に被害を与えぬのが基本。だが相手が戦士ならば話は別だ」
そう告げる怪人は、拳を握り締めてレリオン部隊を鋭く見据える。
「まずは四肢をもぎ取ろう。殺さずに済ますに越したことはないのでな……っ」
『―早いっ!?』
接近して殴り掛かり、関節部を正確に撃ち抜くまで僅か数秒。
素の異常な身体機能もあり、レリオンは対応が追い付かずに攻撃を喰らう。
その一撃で破壊され、地面に墜落するレリオンの右腕部。
この事態に、レリオン部隊は絶望すら感じていた。
こちらの攻撃は一切通用しないくせに、こちらをたやすく破壊する戦闘能力。控えめに言っても勝ち目がない。
『ならせめて、引き離す!』
それでも、民間人を守る為に命を懸ける。
軍人として誇るべき心をもって、そのレリオンは謎の怪人を胴体で強引に遠くに押し飛ばそうとする。
「その覚悟は見事! だが―」
怪人がその覚悟を称賛し、しかしたやすく逃れようとしたその時だった。
『『『『『『『『『『『モ、モケーッ!?』』』』』』』』』』』
突如上空から襲い掛かった光弾の群れが、瞬く間に戦闘員を吹き飛ばす。
その事態に驚いたのは、レリオン部隊も怪人も同じ。
地球連邦軍の攻撃で怪人は倒せない。それが両者共通の認識になったかと思ったその瞬間に、その事実を否定される攻撃が放たれる。
そして、その担い手はすぐに空域に到達した。
『リオンの改良型か!? まさか、ノイエDCッ!?』
『しかも機体はすべて統一されてるぞ、奴らそこまで強化されてたのか!?』
困惑する地球連邦軍だが、それは怪人も同様。
そもそもこの怪人、エレメリアンは精神生命体。必然として、通常の物理攻撃手段では一切倒すことはできない。
その大前提が崩壊する中、怪人の後ろにフードを被った者が舞い降りた。
『―何奴っ!』
『貴様を討つ者だ』
静かに告げるそのフードの者は、気づくや否や放つ怪人の攻撃を素早く回避。
フードの者は鎌を振るって攻撃するが、怪人は咄嗟の判断で飛び退ることで回避する。
すぐさま反撃の体勢をとる、その瞬間。
『残念だが、狙い通りだ』
『なんと!?』
光る鎖が怪人を雁字搦めにし、動きを封じる。
強引に突破を試みる怪人だが、それをするにはあまりにも時間が足りなさすぎた。
『終わるがいい、アルティメギル。我らが同盟者の故郷を奪った報いを受けよ』
『貴様……何―』
何者。そういう時間すら怪人には与えられない。
その鎌に切り裂かれた怪人は力なく崩れ落ち、そして爆散した。
『……君達は、一体……?』
困惑するレリオンのパイロットに、そのフードを被った者は振り返ると共に告げる。
『我らは死神。命尽きる魂をあるべきところに導く為刈り取る者。そして―』
その言葉に繋がるように、上空からいくつもの物体が舞い降りる。
空を飛ぶ船。そう形容するべき物体が、数十単位で空から舞い降りる。
その光景に呆気にとられる人々を見渡しながら、その死神は告げる。
『冥府連合。この事態に備え、そして乗り越える為に集いし戦士達の同盟だ』
「……さぁて、ハーデス爺さんはやっぱり優勝候補ってわけか。ここで即殺しに行けないのが面倒だよねー」
そう、リゼヴィム・リヴァン・ルシファーは頬杖を突きながら映像を確認する。
既に冥府連合を名乗る艦隊が派遣された、分離世界は合計で十を超える。
統合された戦力体勢。そしてその規模。全てをとっても、彼らが
「とはいえ、アルティメギルも中々に油断できん。あの事態に即座に対応し、偵察も兼ねて部隊を数百も送り付けたのだからな」
「ま、それもそうだけどねー。そっちとしてはどうなのよ、ヴィンデル君」
そう告げる声に、リゼヴィムは振り返りもせずに返答する。
それにつまらなさそうに息をついてから、最高幹部の一人たるヴィンデル・マウザーは席につきつつ映像を確認する。
「数多の世界を巡り侵略し、常に戦い続ける組織。個人的には興味深いが、彼らもまたイレギュラーの一角なのがな」
「だねー。いやぁ、イレギュラーの一つや二つは起きると思ってたけど、規模がデカいのなんの」
そうぼやきながら、リゼヴィムは映像を確認する。
「特に赤龍帝君が、あんなでっかい宇宙要塞に辿り着いちゃったのが痛い。時間タイミングがいい感じだったからあえて強引なことはしなかったけど、やっぱりアジュカ君が何かしちゃったのかねー?」
「……龍を名に持つ赤き戦士か。ヒリュウ改を思い起こさせるな。……それほどまでに危険か?」
ヴィンデルのその質問に対し、リゼヴィムはげんなりとした表情で頷いた。
「そりゃもう。俺らの世界で彼らに敵対すると、高確率ですぐにぎゃふんと言わされるからねー。できれば仕組みを解析しかねないアジュカ君と一緒に無力化したかったけど、ナヴィマーに接触されちゃうとかついてないよー」
「まったく、盟主の奴にも困ったものだ。文字通り命の恩人な上、ある程度は首根っこを掴まれているから尚更だな」
そう語り合いながら、二人は同時にため息をつく。
シャーデンフロイデ。その組織の最高幹部である二人だが、しかし頂点たる盟主は困った存在である。
「我々が叩き潰す余地がちゃんと与えられているとはいえ、負ける可能性もきちんと残すのが難儀なものだ。永遠の闘争を今度こそ形にしたいものなのだがな」
「俺も面白可笑しく異世界侵略し続けたいんだけどねー」
そう不機嫌半分で会話をしつつ、二人はしかし愉快そうな雰囲気も見せる。
「ま、お互いリベンジのチャンスが来たってことでもあるわけだしねぇ。そこは前向きに頑張ろうか?」
「ふっ。永遠の闘争の為には敵役も欲しいところ。お前にもそういう意味では協力がしやすいところはある」
そう語りながら、二人は己の願いを果たすことも踏まえて先を見据える。
……いくつもの次元を巻き込んだうえでの、大規模バトルロイヤル。
自分達シャーデンフロイデも含めたその戦いの勝者が、それだけの事態を引き起こした事態の根幹を掴み取れる戦い。
この戦いの勝者が誰になるのか、それはまだ誰も分からない。
そんなこんなで、世界大規模バトルロイヤルが開始されている中皆様元気でしょうか?
勘違いさせてしまってすいませんが、ハーデス陣営はシャーデンフロイデとは全くの別勢力です。基本的にはLUNATWO・シャーデンフロイデ・冥府連合・アルティメギルの四勢力が台頭する流れになるでしょう。
……で、改めて次回から第二章です。
本格的に各勢力がまみえ始めることになりますねー……こうご期待!!