シェイキング・ワールド・ハザード   作:グレン×グレン

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 お待たせしました。第二章のスタートです!


第二章 捜索世界で四つ巴え
第一話 やることはないけど準備はあるよ


五十鈴Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思わぬ形で複数の次元を股にかける戦いに関わることになった。

 

 ふふ、死に場所としては悪くなさすぎるわね。精々足を引っ張らず、死んでも何らかの形で貢献する気概を持つべきでしょう。

 

 ……と言っても、あまりやることがないんだけど。

 

 なにせ多数の次元がいきなりまぜこぜになっている上、民間人も多数巻き込まれているわけで。

 

 まずはこちらを保護してくれたLUNATWOを拠点としつつ、足並みを揃えたりそもそもの情報収集をする必要があるわけで。

 

 必然として、現場で動く手合いはトレーニングぐらいしかやることがない。

 

 そんな中、私は一つ追加でやることがあり―

 

「はい、起きてくださいジョーカー」

 

「う、うん。やっぱこういうのはきっついなー」

 

 ―セラフ候補でもある転生天使、デュリオ・ジュズアルドのお世話係である。

 

 言いたいことは分かる。ツッコミどころも分かる。

 

 何が酷いってこれ、デュリオ当人から頼まれたことね。

 

 いや、会議に参加してもほぼ眠るのが確定だから起こしてって、畏敬の念がダダ下がるんですけど?

 

 そりゃぁ、生き物なんて多かれ少なかれ良いところと悪いところがあるものだけど。

 

 人生における大恩人の、こんな情けない側面は知りたくなかった……っ

 

「大丈夫か、デュリオ・ジュズアルド? 眠気覚ましの術式はアジュカ・ベルゼブブと連携で作っているが」

 

『イッセー君からも頼まれたからね、完成度には自信がある』

 

「……凄いコンビが居眠り対策に本気出してますねー」

 

 堕天使側代表のエルシア何某が呆れるけど、本当にね。

 

 英雄派の幹部であり、若くして多種多様な魔法を使いこなすゲオルグだけでもあれ。更に超越者と称されるアジュカ・ベルゼブブまでもが手を貸すだなんて。居眠り対策に回す人員じゃないわね。

 

「会議中にリーダーが居眠りすること前提なのか……?」

 

「残念だが、基本的に寝ている男とのことだ。なんでも「この手の会議にちゃんと出席する」だけで、厳しい人が評価するほどだとか」

 

 カイ少佐にゲオルグが説明するけど、これって本当にツッコミどころしかないわね。

 

「……元国際テロ組織の幹部に、社会人適性で負けてるセラフ候補……っ」

 

「な、なんかごめんね? ドーナツ食べる?」

 

 崩れ落ちかける私を慰めるのはいいんですが、それよりちゃんと起きて会議に参加してくださいね、ジョーカー。

 

 まぁ、頭が痛いけれどそれはそれとして会議は進行していくわ。

 

 とはいえ今回の事態が起きてから一昼夜が過ぎた直後。しかも現状、事態について正しい把握がろくに進んでない。

 

 となればやるべきことは、相互理解を勧めつつ周囲を探って足場を固めること程度。その辺りはLUNATWO側の人員でないと、規模的にできないのも事実。

 

 必然として、真っ先に行われるのは相互の能力方面での知識共有。特に各政界で固有と言ってもいい方面になる。

 

「しかし、PT(パーソナル・トルーパー)AM(アーマード・モジュール)に特機と呼ばれる大型兵器。この三種がメインとはいえ、更に多種多様な種類の人型機動兵器が存在するとは。地球独自だけで人型機動兵器というジャンルがこうも存在するとはな」

 

 ヅラザベスが感心しているけど、まぁそうね。

 

 地球連邦軍という形で軍事力が統一されているのなら、機種統合はある程度しておいた方がいいと思うけれど。

 

 いえ、逆ね。多種多様な種別の兵器を混在運用できる土壌があるのが脅威だわ。異星人の侵略をはねのけただけのことはあるわね。

 

「そうでもないがな。現状、数においてはAMが主力。それ以外の機種は短期間で鳴かず飛ばずでもある」

 

 そう返答しながら、カイ少佐はモニターを操作して大雑把なデータを転送してくれる。

 

 所詮は佐官ゆえに明かさせられる情報はそこまで多くはないけれど、それでも十分すぎるほどに兵器群の情報が提示されているわね。

 

 そのデータを見たルルーシュも、関心の表情を浮かべているわ。

 

「なるほどな。KMF(ナイトメア・フレーム)に兵器の主力が一本化されているこちらと違い、多種多様な機種があるがゆえにデータの蓄積も多い。スペースコロニーの存在も踏まえれば、異星人の侵略をはねのけられる力を持つわけだ」

 

 ……ちなみにあの男、同時並列でいくつもの情報媒体に目を通しているんだけど。

 

 あれ、もしかしてあいつ頭良すぎるレベル?

 

 私がちょっと戦慄していると、同じようにデータを把握しているだろうアジュカ・ベルゼブブ殿が苦笑していた。

 

『アザゼル元総督辺りが知れば、狂喜乱舞するだろう技術の宝庫だ。俺としても研究者としてインスピレーションを刺激されているしな』

 

 そう言ってから、アジュカ殿は同時に別の意味でも苦笑している。

 

『まぁ、ごった煮といえるだろうジャンルの多さでは俺達の世界も負けていない。なにせ、大雑把に区別するだけでも異能といえるものは四つほど存在するからな』

 

 そう答えたうえで、アジュカ殿は映像を映し出す。

 

『俺達悪魔といった異形の持つ固有の異能。それらの再現から始まった多種多様な魔法体系。更にそういった技術によって作られた伝説に名を残す武器の数々』

 

 そう語りながら、その上でアジュカ殿は最後の区分けに視線を向ける。

 

『そして聖書の神が作り上げた、人に宿る異能たる神器(セイクリッド・ギア)。これらの力は間違いなく強大で、中々に世界を騒がせうる』

 

 その説明に、ルルーシュは小さく肩をすくめる。

 

「同意見だ。特に神器についてだが、禁手(バランス・ブレイカー)という進化形態が基本設計で組み込まれているのも興味深い」

 

 と、ルルーシュは映像から神器をピックアップして更に区分けする。

 

「……段違いの性能強化を果たしながら、持続時間も長くできるというのが凄まじいな。この手の急成長というのは、本来長時間できないのがフィクションの定番なのだがね」

 

『そうだろうな。数日使えて漸く一人前の禁手到達者。極まった使い手なら数か月は持続できる。そういう意味では本当に脅威だ』

 

 ……なんでホームにしているインテリ面での傑物と、専門知識で真っ当に会話できているのかしら。

 

 たのも恐ろしいわね。藤堂氏は保護された側のまとめに入っている辺り、彼の実力を信用しているようだし。

 

「それを言うなら、君のギアスも凄いよね? そういった力が当たり前に存在する……わけじゃないみたいだけど」

 

 と、高町一等空尉はそちらに話を振る。

 

「……その分、負うべき業も重いですがね」

 

 苦笑いを浮かべたルルーシュに、アジュカ殿は小さく頷いていた。

 

『当人の適性と精神に伴い、オンリーワンの異能として発現。問題はそれらの細かい仕様を手探りで把握しないといけないうえ、強くなれば暴走状態に到達する事。まったく、神器の適性次第ではそうとは言え、使う側にとっても使われる側にとっても優しくない異能といえるだろう』

 

「付け加えるなら、その元ともいえるコードも大概だな」

 

 カイ少佐も話しに乗っかり、ため息をつく。

 

 まぁそうでしょうね。八割ぐらいデメリットでしかないでしょうに。

 

「Cの世界と称される集合的無意識と繋がり、ギアスが通用しない不老不死となる、だったか」

 

「考えようによっては祝福でしょうけど、実態としては呪いですしね。不老不死と言っても再生速度から言って便利とは言いづらいうえ、迫害を招きやすい。更にギアスを失う為対抗手段にも乏しいですし」

 

 皆本さんもそう頷く通り、かなり厄介な代物でしょう。

 

「確かに、フェニックスとか再生能力持ちはこっちもいるけど段違いに遅いしね。これ、半分ぐらい罰ゲームじゃない?」

 

「王の力はお前を孤独にする。C.C.からも言われていたが、俺もその辺りの認識が甘かったのは認めざるを得ないな」

 

 同情しているジョーカーに頷きながら、ただしルルーシュは表情に力を籠める。

 

「なればこそ、業も責任も背負うしかない。……最も、その果てにこのザマなわけだがな」

 

 どこもかしこも大変という事でしょう。世の中は本当に悲劇にあふれているものだわ。

 

「……本当に、世の中って難しいですよね」

 

 と、高町一等空尉が少し儚げな表情を浮かべてしまう。

 

「時空管理局はそれ以前の歴史から、質量兵器を基本的に使用しない方針を固め、魔導技術を中心に運用しています。でもそちらの世界では、それらを人間世界に広めないことを基本としているんですよね」

 

 その言葉に、アジュカ殿は頷いた。

 

『そうだな。不用意に広めれば爆発的な進化を生み、そちらの世界における旧ベルカの戦乱を超える事態を引き起こしかねないのは分かる』

 

 為政者の視点を持つアジュカ殿からすると、時空管理局の物理兵器アレルギーじみたところも納得できる点があるようね。

 

 まぁ確かに、ABC兵器じみたものも使われていたようで、死人の数も絶大と見えるわけで。その反動が魔法技術というはけ口を持っていればこうもなるでしょう。

 

 アジュカ殿はそれを理解しているのか、瞑目しながら首を横に振る。

 

『人間は可能性の塊であるがゆえに、迂闊に知恵を与えることがパンドラの箱を開ける結果に繋がる恐れがあるという事だ』

 

 ちらりと視線がゲオルグに向くけど、ゲオルグは華麗にそれをスルーしている。

 

 まぁ、テロリストという立場を徹底的に武器にしたことをして、禁手到達手段や神器ドーピング技術を確立しているわけだし。

 

 前代未聞の人類インフレ時代よね。やってくれるというかなんというか。

 

「そしてそこに、幾多の並行世界や数多の宇宙文明の技術が混じあえば……というやつじゃな」

 

「まったくだ。何が起こるかさっぱり分からぬ以上、我らもまずは足場を固めねばやりようがない」

 

 と、比較的範囲的においては近いテイルブラックとヅラザベスが、現実的な問題を考慮する。

 

 実際問題、いきなり多次元が破壊されて訳の分からない空間に放り出されたともいえるのが現状だもの。さっぱり状況が分からない以上、迂闊に手を伸ばすのも困難だわ。

 

 深淵を覗くのなら深淵に覗かれる覚悟がいる。ゆえに可能な限り、それに対する備えもいる。私達にはいろんなものが足りてない。

 

 ゆえに、迂闊に手が出せないのが現状ね。

 

『……だが幸か不幸か、シャーデンフロイデの方からちょっかいをかけてくる可能性は高い。それを待ち構えて迎え撃てば、情報は集まってくるだろう』

 

 そのアジュカ殿の言い分に、視線が集まる。

 

「根拠はあるのか? わざわざ相手にせず目的を進める……というのも戦略だろう?」

 

 テイルブラックが妥当なことを言うけれど、アジュカ殿は首を横に振る。

 

『いや、最高幹部にリゼヴィム・リヴァン・ルシファーを入れていることから見て、彼らがこちらにちょっかいをかけることはほぼ確定でいいだろう』

 

 確信をもって、アジュカ殿は断言する。

 

『あの男は悪意の塊であり、幼稚なまでに遊びを入れる。復活させる際に首輪もつけれるだろうに、最高幹部という権限も与えている以上、組織の名に違わない連中であることは間違いない』

 

 組織の名に、違わない……か。

 

 アジュカ殿は映像にシャーデンフロイデの文字を出しながら、興味深そうな顔になる。

 

『シャーデンフロイデとは黒い喜びという表現もされるが、実態として君達に分かり易くいうなれば……「他人の不幸は蜜の味」ということわざのドイツ語版という物だ。こんなものを当たり前のように名乗っている時点で、彼らがある意味で幼稚な悪意に乗っ取って動いていることの証左といえるだろう』

 

 なるほど、ね。

 

 心底納得したわ、凄い納得。

 

「嫌いな人間の不幸って、人生踏み間違えるぐらいの爽快感ありますからね」

 

 いや、実感籠るレベルで言えちゃうわ。

 

「……言い難いことをズバッと言ってくれるな」

 

 ルルーシュからは呆れた表情を向けられるけど、事実だもの。

 

「信徒としてはどうかと思うけど、私は聖人君子とはかけ離れているもの。それに、大半の人間にはある程度は通用する真実でしょうし」

 

「……確かに、な」

 

 私の切り替えしに反応したのは皆本さんだ。

 

「人間には多かれ少なかれ負の側面がある。もちろん、それらの多くを人は理性による判断で抑制するけど、存在することまで目を逸らすわけにもいかない……か」

 

 なんというか、含蓄ある言い分ね。

 

 私は何というか賛同しそうになったけど、そこに皆本さんの視線が突き刺さった。

 

「ただ同時に、その「本能」を「理性」が制御したうえことまで含んでの「意志」と、ある男は断じていたそうだ。どれだけ本能がそうだったとしても、それに対する理性を無視している時点でその人物の意思とはかけ離れている……とね」

 

 ………。

 

 ええ、そうね。間違いなくそれは筋が通っていて、正論だ。

 

 知性と本能。感情と理性。それらでバランスをとっている状態が、人間の意思なんでしょう。

 

 だからこそ―

 

「……胸にとどめておきます、皆本さん」

 

 ―私は、やっぱり最低だったんだと、言えてしまうんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彩里Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今現在、私達はとにかく「足場を固める」に終始してる。

 

 正直、多次元世界が巻き込まれた謎空間なんて言う、凄くテンションが上がりそうな状態でこれはちょっと肩透かしを覚えてる。

 

 ただ、現実的に非常事態だし、だからこそ慎重になる必要はあるよね。ついでに言うと、負けたらおしまいかもしれないし。

 

 だから、考える立場以外はトレーニングとか相互理解に努めるぐらいしかすることがないんだけど―

 

「ふむ、流石は複合企業だ。ピザも中々だな」{C.C.}

 

「まったくだ。ヅラが関わってるしそもそも蓮蓬が不安だらけだったが、いいハチミツじゃねえか」{銀時}

 

「美味しいですね~」{彩里}

 

 ……ご飯を食べていた!

 

 うん、待って。本当に待ってね?

 

 だって相互理解必須だし、そういう事だから隙があったらみんなでお食事に行ったりする必要はあるし。

 

 まあ、メンツが結構特殊な気もするけど。

 

 ちなみに今回、くじ引きで選ばれたのは私に、銀時さんとC.C.さん。

 

 ピザと甘味で熾烈な争いが生まれそうになったけど、私がふと「スイーツ系のピザ」の存在に思い至り、結果として仲良く甘いピザを食べてます。

 

 でも本当に美味しいかも。体重が気になるぐらい食べちゃいたくなるかな?

 

「にしてもよ~? 数千年も生きれるような種族って人生退屈しそうだな? お前さん、大変じゃねぇか?」

 

 と、銀時さんが私にそんなことを聞いてきた。

 

 更にC.C.さんも、なんていうか憐憫の表情を向けてきた。

 

「そうだな。数百年も生きていれば飽きも来るだろう。心が死に絶えるんじゃないか?」

 

「あるある。そうなると死ぬ為に遠慮もなくなる奴がいるしなー。星ごと吹き飛ばしたりとかよー?」

 

 なんか二人して意気投合している感じがする。

 

 う~ん、すっごい含蓄があるなぁ。

 

 人に歴史ありっていうし、何より異世界。そんな経験もあるんだろうなぁ。

 

「……でも、悪魔とか天使とか神様とか、数千年は生きてる方々って、結構エンジョイしている人多いみたいですよ? 飲み会で裸踊りをして楽しんだって話も聞いたことがあります」

 

「人間味あふれまくりだなオイ。なんですかー? 長生きエンジョイの秘訣は、精神年齢を下げて馬鹿になることですかー?」

 

 人づてに聞いた話なので、そこは何とも。

 

 でも、ちょっといいかもなー。

 

「何千年も生きても、心に潤いをもって子供みたいにはしゃげるのって、良いことな気がしますけど……あ、最後の一切れ」

 

 ちょっと首を傾げてたら、ピザの皿が空になってる!

 

 気づいたら残りの殆どをC.C.さんが食べた。

 

 そして隣で銀時さんがすっごい顔になってる。

 

「テメエエエエエッ!? 何一人で残り食べてんだぁあああ! 俺のデザートピザぁああああ!?」

 

「ふ、早い者勝ちだ。文句があるなら新しく頼めばいいだろう?」

 

「俺は糖尿寸前で制限喰らってんだよ! 畜生……でも、頼んじゃうっ」

 

 C.C.さんに半ば敗北しながら、銀時さんは実際に新しいデザートピザを探してる。

 

「私は普通のピザを頼むか。照り焼きもいいが、やはりオーソドックスなトマトベースも譲れないな」

 

「……うぅ、ちょっとお腹周りが心配になるかも?」

 

 もしかして、この二人とご飯を一緒にしたのは間違いだったのかも?

 

「まぁいいか。今回の飯代はヅラ持ちだからな。……食いだめしとくか」

 

「クク、糖尿病確定だぞ、それは。まぁ、私はCの世界からの修正で死なないから、多少食べた程度で太ることもないがな」

 

 太るなぁ、これ。

 

「あまり太るとモテないって言いますよ? いえ、太っているのが好きって人もいますけど」

 

 ちょっと止めたいのでそれとなく遠回しに言ってみると、銀時さんもC.C.さんも何故か神妙な顔をした。

 

「いいか、姉ちゃん。モテりゃいいってもんじゃねえんだ。そりゃモテるやつ見るとむかつくこともあるが、誰にモテるかってのはもっと重要なんだよ……」

 

 というか、銀時さんの顔色が微妙に悪くなってるような。

 

「……そう、あんな連中ばっかり集まっても心も体も持たねえ……ッ! ぐ……忌まわしきマダオとの間違いが……酒をくれぇえええええ!」

 

「どうしたんですかぁっ!?」

 

 顔色が真っ青になってる!?

 

 慌てて肩をゆすっていると、C.C.さんは銀時さんに意味深な笑顔を向けている。

 

「酔いすぎて致命的な失態をしてしまった系列だろう。脳がアルコールで麻痺をすると普通では絶対しないこともするからな」

 

「うぉおおおおおお! 言うなぁ、だからこそお酒という魔法の薬で全てを流すんだぁああああああああっ!!」

 

 何をやったんだろう?

 

 ちょっと気になるけど、迂闊に聞くと何か聞いちゃいけないことを聞いてしまいそうな気がする。なんていうか、知らない方が平和なことってあるもんね。

 

 ……そう、聞かない方が平和なことがある。

 

 つまり、聞いた方が動くこともあるんだよね。

 

「じゃ、じゃあお酌するんで夜に聞いてもいいですかっ」

 

「……オイお前、実はサディストってオチはないか?」

 

 C.C.さんが微妙に距離を置いてくるけど、そんなことはないと思うよ?

 

「あの、私マゾって言われてるんで」

 

「ああ、被害を受けたいんだな。……泥酔した中年男のやらかしなんて、不快感しかないだろうことを知りたいとは、重症だな」

 

 あれ? そういう意味で言ってませんよ?

 

「酒を……酒をくれ……全てを忘れるぐらいくれ……」

 

 もう銀時さん、うわ言レベルになってる。

 

 それだけ衝撃的な記憶なんだろうなぁ。

 

「大丈夫です! ウォッカをストレートでいきましょう!!」

 

「死ぬぞお前ら」

 

 C.C.さんがちょっと辛辣だけど、もう性分だから仕方がない。

 

 ……だからこそ、あんなことをしてしまったんだろうけどね。

 

 そう思うと、自分のどうしようもなさに頭痛を覚えてきた。

 

 うん、私もしっかり飲もう。

 

 イヤな事があったのなら、アルコールをとって愚痴って流す。健康的じゃないけど、これでだいぶどうにかなるって知ってるからね。

 

 ―出ないとたまに、耐えられなくなる時があるし、さ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

才司Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エルシアさんの補佐を色々していたので、起きたら手元の時計は午前の十時だった。

 

 ……ちょっと、疲れてたかな?

 

 まぁ、少しぐらいは疲れるとは思っている。なにせこの事態が非常事態って言葉すら生ぬるいわけだし。

 

 そこに、五十鈴や彩里との再会もあったしね。

 

 貰った部屋で私服に着替えて、僕はとりあえず散歩をすることにした。

 

 今後を踏まえると、長丁場になる可能性もあるからね。拠点となる場所に土地勘を持っておかないと、いざという時足を引っ張りそうだし。

 

 と言っても、流石に規模が大きすぎるからね。

 

 最大幅が100kmを超える小惑星。そこに資源採掘を行いながら、空いた空間に居住区画などを作り、また遊園地じみたレジャー施設を作っている。

 

 人工的に温泉も作ってるとか。ちょっと入ってみたいけど、それはあとにしないとね。

 

 とにもかくにも、現状僕らはすることがない。

 

 かと言って怠けるわけにはいかないけどね。現場で動く側はすることが無いのなら、リフレッシュだけじゃなく日々鍛えておかないと。

 

 そう思いながらも、とりあえずは散歩をしてみる。

 

 居住ブロックの一つに喫茶店があるのが見えて、そこに赤龍帝さんがいるのが分かった。

 

「……美味しいですね、これ。たぶん茶葉から厳選されてるし入れ方も気を使ってるやつっすよ」

 

「ほう、それだけ分かれば大したものだ」

 

 なんか、何人かと一緒に紅茶を飲んでる。

 

 へ~意外だね。

 

 そう思いながら入ろうかと思ってると、赤龍帝が気づいて顔をこちらに向けてくれた。

 

 ……何故か二度見された。

 

 あれ、なんで―

 

「……そういう趣味だったんですか、津波黒さん」

 

 ―あ、いけない。

 

 言われて初めて気が付いた。

 

 今の僕の格好は、目立たない範囲でフリルが入っているワンピース。

 

 それに気づいて、流石に驚いてるだろう人達に詫びておかないと。

 

「すいません。寝すぎてたみたいでついプライベート用の格好を」

 

「女装趣味だったんですね、津波黒さん」

 

 うん、そうなんです。




 女装が趣味の主人公がついに登場。一度出してみたかった……っ
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