才司Side
緊急連絡を受け、僕達は急いで合流することになった。
ただし僕はちゃんと着替えてからにしている。流石に女装しながら会議に参加するのはまずい。
「遅くなりました! TPOに配慮してたら時間がかかりました!」
急いで会議室に入ってきたけど、やっぱり僕が一番遅かったらしい。
「常識人かと思った割に遅かったアルな」
万事屋の副所長の子に言われたけど、ぐうの音も出ない。
ただまぁ、自分が常識人かというとちょっと疑問符が出るけど。
「別にあの格好のままでもよかったんじゃないですか、才司さん」
「いや、ダメだろう」
イッセー君がさらりと言ったことに、ユウキ君がしっかり指摘をしてくる。
ただ、イッセー君は反応が遅れるレベルで分かってなかった。
少し首を傾げてたけど、やがて何かに気づいたらしい。
「……あ、すいません。ギャスパーはいつも女装で作戦会議にも参加してるんで」
「脱線してますよ赤龍帝。あと才司、急速に打ち解けてるわね」
五十鈴がツッコミを入れたうえで、ちょっと関心をしてくれている。
ま、そこはこの際置いとくとしてだね。
「雑談はそこまでだ。……現状だが、どうやら思った以上に危険らしい」
カイ少佐がそう告げると、モニターに情報が映し出される。
そこに在るのはなんていうか、太い物体だ。
宇宙船の類と思われるのは、全幅が全長の四割ほどある、巨大な物体。
どうやらデータ表記みたいだけど、地球が統一され宇宙進出まで果たしていると、やはりそういったものも大型化されるんだろうか。
「救難信号を送っているのは、地球連邦軍が特殊部隊用に採用した、ヘルヘイム・ヘビーマシィナリーが開発したメタル級強襲揚陸艦、伍番艦のミスリルだ」
強襲揚陸艦、空を飛ぶんだ……。
流石宇宙に進出し、異星人の侵略を乗り越えてきた文明だ。技術力凄いなー
「現状は新型技術のテストを踏まえており、そのデータ取りを踏まえて俺達特殊戦技教導隊が乗艦していた。もっとも、データ収集を兼ねて移動中に転移に巻き込まれたわけだが」
そう告げたカイ少佐は、その上で僕達を見回した。
「詳細は時間がないので省くが、あの艦に属する人員は殆どが新任だ。どうやら民間人を保護しているようだが、被害も受けておりかなり危険な状態となっている」
そう告げると移される映像では、事件に巻き込まれた時に僕らが戦闘をしていた兵器群が映っている。
追撃されている形であり、ミスリルは小破状態。この調子だと少しまずいかもしれないね。
「現在は一旦振り切って近くの浮遊島に隠れているようだが、あの巨体では隠匿にも限界がある」
「……その為、我々LUNATWOは救援部隊を送ることを決定。カイ少佐達には繋ぎをつける為に随伴してもらう予定だ」
と、ヅラザベスがカイ少佐に続いて、僕らを見渡した。
「協力体制を繋いだとはいえ、君達が協力する義務は現状無い。民間人を保護したとは言うが、君達の世界の者達が巻き込まれたという確証もないしな。だが―」
「―俺は協力しますよ、当然です」
と、イッセー君が即座にそう言い切った。
「無理やり巻き込まれた一般人がいるんでしょ? なら助ける一択です! 子供達に顔向けできないっスしね!」
そのはっきりとした宣言に、大体の人達が少し微笑んでいる気がする。
うん、ここにいる人達は基本的に良い人だね。
「可能性があるなら十分ね。居候として宿賃ぐらいは払わないと、信徒としても問題だわ」
と、五十鈴も苦笑しながら剣の様子を確かめている。
うん、こういうところは頼りになる。……本当に、よかったと思えるかな。
あ、イッセー君も明らかに喜んでる。
「ありがとうございます、師匠!」
「師匠って何ですか、師匠って」
ちょっと五十鈴は呆れてるけど、イッセーは首を横に振ってから力強く拳を握り締める。
「師匠がいなければ俺は罪深いことを重ねるままだったんですから!! 貴女は生き方の師匠です! 尊敬してます!」
まっすぐにはっきりと言い切られて、五十鈴は思わず面食らう。
そのままちょっと顔を赤くすると、視線を逸らすついでにヅラザベスの方に振り向いてた。
「……分かった分かった。とりあえず話を戻しますけど、すぐに出せる部隊はどれだけあるんですか?」
「LUNATWOだけでも三個小艦隊は行ける。そちら用の余剰スペースはあるから、出来れば白兵戦要員も含めて多く参加してほしい」
あまり時間もかけたくない感じで、すぐに話を進めたようだ。
とはいえ確かに大事だね。
……五十鈴の顔に後ろめたさを感じる。それは、あえて見ないふりをするけどさ。
五十鈴Side
会議を素早く済ませ、LUNATWOの艦艇に乗って急行すること四十分。
二個小艦隊を陽動としつつ、私達が乗っている一個小艦隊がミスリルが隠れている浮遊島に到着。
……陽動の小艦隊にはそれぞれジョーカーとゲオルグがついているけど、そう簡単にはいかないでしょうね。陽動と防戦に徹し、本格的な大部隊が来るまでしのいで撤退の判断を下させる。そういうプランでも難しいところはある。
まぁ、戦術プランはL.L.(ルルーシュとは基本呼ぶなと念を押された)が立てていたし、かなりの事態を想定していたみたいだけど。
あそこまでいくつものパターンを、素人に毛が生えた新兵でもスムーズにこなせそうなレベルに分かり易く設定する。策略家としてすさまじいレベルだわ。
そしてそんな誘導戦術が有効に作用しているのか、ここまではスムーズに行っているわね。
『カイ少佐ぁああああああ~っ!! よくぞ、よくぞ御無事で………あ、気が緩んだらもう耐えらばばばばっばっ!?』
『艦長代理が吐いたぞ!? おい、タオルと雑巾もってこい!』
『やべえ! いつ倒れてもおかしくない様子だったけど、もう限界超えてる!?』
『大尉、大丈夫ですか!? その、代理の代理は誰がすれば!?』
……向こうが限界だったようだけど。
というかこのデカさの艦艇で艦長代理な大尉ということは、正式な艦長はくたばっているわね。熾烈な争いという事かしら。
「大丈夫か? 顔色が青いとは思っていたが」
『お見苦しいところぉ……大丈夫です。倒れるのは安全を確保してからでなくて……は……おぅっぷ』
カイ少佐もちょっと引くぐらい、大尉殿の顔色が悪いわね。顔真っ青だし、やつれ気味だし。
「無理はするな。細かい話は他の奴に聞くから、準備が整うまで少し休め」
『いえ、移動する準備は……できてます。その、安全な場所がある、のな……ら。そこに行ってから倒れま…すぅ……』
「……別次元の主よ。もしおられるのでしたら、本当に彼女に加護をお与えくださいませ」
思わず十字まで切って祈りを捧げたわ。
割と本気で慈悲を与えて欲しいと切に願う。
いえ、信仰の代価のように奇跡を振舞うのはあれだけど、ここまでヤバいとちょっとぐらいなんかこう……ね。
「とりあえず少佐。私は乗り移ってもいいですか?」
「そうだな。なるべく近づけるからもう少し待っていろ」
……この会話で分かっているでしょうけど、今私はカイ少佐の機体に同乗している。
警戒を緩める為に小艦隊はある程度離れて待機しており、更に警戒を緩める為、生身の人間や人間型が飛ぶ姿を見せないという方針が取られた。
で、自衛も兼ねて少佐達の機体に同乗させてもらっている形ね。
ちなみにその理由は、シャーデンフロイデとの白兵戦対策。
乗り込まれている可能性も含めて、こうして何人かが乗り込む方針だ。
さて、合流はできているし、陽動も上手くいっている。
だけど、このまま油断できるかというと別問題ね。
……陽動は上手くいっているし、周囲に敵影はない。
だがこの範囲だと離れたところにいる人間サイズは感知が困難。そして個人で戦艦落としができる化け物は、私達側には多数存在する。
シャーデンフロイデにリゼヴィムがいる以上、禍の団関係者が参加している可能性も高い。その点も踏まえると油断が全くできないわね。
さて、どうなるか……。
彩里Side
ゲシュペンストMk-Ⅱ改
地球連邦軍が初めて採用しながらも、政治的な横槍で大量生産ができなかったゲシュペンストMk-Ⅱという機体。それを改良発展し、エースパイロット向けの機体としたのがこの機体。
それも各部パーツを換装することで、様々な用途で対応可能。これってもう、ロマンも実用性も溢れるよね!
「……もうちょっと乗ってたかったけど、我慢だよねっ」
「人生楽しんでるっすね?」
アラド君に指摘されるけど、悪い癖がまた出てたね。
「ゴメンね? こういうシチュエーションが大好きで、私って趣味で現実を忘れ気味で」
「いやまぁ、こういうの大好きな人も知ってますけど。そんなに大好きなんですか?」
うん、大好きです。
条件反射で思いっきり力強く頷いたうえで、私はこの機体のコックピットを見渡した。
このゲシュペンストMk-Ⅱ改。ただのゲシュペンストMk-Ⅱ改じゃない。
試作型の換装装備を採用した、いわばスペシャルかつ特別な機体だもん。
しかもあのミスリルって船、特殊な理由で搭載機の殆どが新造されたそれだっていうからもぉ~たまらないよ!
色々大切なことを忘れそうかも!
「タイプAだっけ? すっごいピーキーな設計思想の装備とか、もうロマンあふれすぎててどうしても乗ってみたくって……無理言いましたごめんなさい」
「ま、ゼオラの方はファルケン主体だからなぁ。そういう意味だと手堅いし。……あいつ大丈夫かな?」
アラド君がそう言うと、通信が繋がった。
『大丈夫大丈夫大丈夫。というか、すっごい失礼な想像してなかった?』
『あの、言いたいことは私もありますけど私的通信は避けた方が……』
ちなみに才司君はアラド君のパートナーであるゼオラちゃんの機体に同乗してる。
いきなり翼の生えた人間っぽい生き物が飛んでくるのは、警戒心を生みかねないという五十鈴ちゃんの提案だった。
ちなみにこのメンツの選定理由だけど、ある意味消去法。
赤龍帝さんは最強戦力だから、あえて後方でいつでも突撃できる準備をしてる。そして乗り込む側は保険でもあるので、戦闘能力は高めだけど主力クラスじゃない人がいいということになった。
そこで幼馴染な私達。ある程度まとまった行動もとれるだろうということで、こうして選出されました。
普段からまとめ役だった五十鈴ちゃんが、こちらの隊長であるカイ少佐に同乗。私は我慢できずアラド君が乗っているこのタイプAを希望したので、消去法で才司君がゼオラちゃんの機体に乗っている。
「確かタイプVだったっけ? タイプAとの連携前提らしいけど、あまりとがってないね?」
食指が動かなかったのはそれが理由だった。
なんていうか、ロマンあふれる実用性度外視気味なタイプAと違い、タイプVはかなり手堅くまとまっている気がする。
『……その、タイプAもだいぶ原型機を丸くしている仕様なんです。タイプVと同じで、ATX計画の機体をより使いやすくして量産させることを目的とした仕様ですので』
『……原型機がどれだけとがってるのかって話だね。いや、今することじゃないけど』
困惑気味のゼオラちゃんに、才司君も苦笑い気味だった。
うん、ちょっと脱線しているけど、すっごく気になるかも。
今度機会があったら聞いてみよっと。
とりあえずカイ少佐が乗ってるタイプNが着艦体制に入っている。
艦長代理さんがかなりいっぱいいっぱいっぽいけど、カイ少佐はPTのパイロットだから、艦長代理を交代するのは難しいよね。現実ってそんなところがあるし。
となると、五十鈴ちゃんを下ろしたら戻ってくるのかな?
そう思ったときだった。
『……少佐に全員! 転移反応を確認したわ……デカいわよ!!』
『チッ! 全機警戒!』
あ、やっぱりそう上手くいかなかったっぽい!?
拙者、クロスオーバー作品を作るならいろんな作品を掛け合わせたものを用意したい侍。
ゲシュペンストMk-Ⅱ改の換装機能はこういう時に便利と思っていたので、容赦なくぶっこんでみました。今後、コードギアス系の技術を組み込んだモデルを用意したいところです!