そんなわけで今日も一話投稿! 頑張っていきまっす!!
才司Side
規模が、規模が想像の遥か上を行った……っ!
おそらく異世界案件とか、そういうのだと思っていた。複数の異世界を勢力下においている異世界とか、そんなのが同時多発攻撃でもしたのかという可能性は考えていた。
文字通り次元が違う。そういったくびきを超えた、多次元に渡る悪意なんて想定外だ。
「さて、それでは申し訳ないですが、あなた方にはここで終わっていただきましょう」
そう言い放つヴァンプギルティは、指を鳴らすとアルティノイドとかいう戦闘員を軽く500体は連れてくる。
そしてその間に、まったく毛色の違う戦闘員までもが100体は現れる。
数で圧殺するつもりか。今度はどこの世界からだ?
「……気をつけろ、あれはこちら側で運用されていた戦闘用の人造人間だ」
と、髭の軍人さんが伝えてくれるけどまた凄いのが。
確か、宇宙から来た勢力を人型機動兵器で迎撃した世界だったっけ。やはり科学力が発展しているんだろう。
だが感心している暇はない。ヴァンプギルティはこちらに間違いなく悪意を向けているからね。
「実はこちらにとって、君達が無事なのは想定外でして。上層部からは偵察、もしくは―」
そう語る中、ヴァンプギルティは指を鳴らそうとしている。
そしてその視線の先には……っ!?
「「させるかっ!!」」
咄嗟の判断はハモった。
ただ、それを気にする余裕はなくバックステップ。
同時にこちらが手札を切ると同時に、銃撃が僕達以外を狙って放たれる。
だけど、防御は間に合った!
いや、正確にはカバーしきれなかったけど―
「ありがと才司! おかげで防げた!」
「お互い様だよ、おかげで助かった!」
―五十鈴が同時に動いてくれたおかげで、何とか間に合った。
放たれたのは機関銃の弾丸の群れ。
僕が防御をすると同時に、五十鈴も迎撃に動いてくれたので何とか防げた。
危なかった。あまりに無体な事態が頻発していて、咄嗟の反応が間に合わなかった。
五十鈴と互いにカバーする形にならなかったら、絶対に間に合わなかった……っ!
だけどやはり、これは非常事態。
「……どういうつもりだ、お前」
そして、テイルレッドという少女は凄い表情になっていた。
怒りもあるだろう。ただ、困惑が非常に大きい。
どういうことだ? あの子達が、エレメリアンとかいうあのヴァンプギルティの種族について詳しいのは知っている。
なにか、あの子達にしか分からない違和感があると―
「どういうつもりだ! お前達は、人間に物理的な危害を直接加えないはずだろう!!」
―ん?
どうも、状況がさっぱり分からない。
ただ、テイルブラックという方はそこに対して首を横に振った。
「……そうだな、周りの者も聞いておけ。奴は危険人物だからな」
と、僕らにも聞こえるように声を張り上げる。
「エレメリアンは精神生命体。知的生命体が持つ精神という土壌、そこから芽生える何かにつぎ込む精神エネルギーから生まれた存在じゃ」
ブラックがそう語るのを、ヴァンプギルティは止めない。
ここまでは特に秘匿事項でもない。そういう事か。
「いわばエレメリアンは人類の末裔。その経緯故、命を奪うことを基本として好まぬし、場合によっては身を挺して庇うこともある。……だが、例外もある」
侵略活動をしているという話だったけど、どうやらかなり複雑な事情が絡んでいるらしい。
そしてその上で、テイルブラックはヴァンプギルティを睨む。
「あ奴は
……事前情報がなさすぎるけど、とりあえずエレメリアン全体で考えると危険な領域なんだろう。
「つまるところ、禍の団でいうクリフォトとかそういう傾向だったわけね」
と、五十鈴が分かり易い解釈をしてくれたようだ。
なるほど、そういう事か。
禍の団も、基本的に人間界を意図的に攻撃する方法は避けていた。結果的に巻き込んでしまうことはあっても、あくまで狙いは異形側。ある程度のタブーというか、避けた方がいい程度の認識はあった。
だがクリフォトは悪意だらけで、最低限の気遣いや避けた方がいいという注意もない。巻き込んで大惨事が出るのを意にも介してない行動が目立ったと聞く。
なるほどね、そう考えれば確かに危険だ。
まったく。驚天動地過ぎて対応が間に合わなかった……っ!
「ふっ。私から言わせれば、命を奪わず傷つけなければいいなどという考えが欺瞞ですがね」
そう嘯きヴァンプギルティは、得意げな感情を浮かべながら戦意を見せる。
「糧として奪うのなら殺す。得る為に絞り続けるのなら飼う。五体満足で生命活動ができていようと、生きることができないのなら死んでいるのも当然だと知るがいい!」
そう吠えるヴァンプギルティが本格的な攻撃態勢を取ろうとした時だ。
「なるほど、確かに至言だ。その一点においては同意しよう」
後ろから、凛とした声が響いた。
「生きるという事と死んでないことは確かに違う。少なくとも俺にとって、只生きているだけの人生は死も同然だ」
つややかな黒髪に意志の力を感じさせる瞳。
その動きはどこか気品を感じさせ、貴族の出身かと思えるほどに動作が優雅だ。
そんな彼は、堂々とした歩みでヴァンプギルティの前に立つ。
「ならばこそ分かっているだろう? 撃っていいのは、撃たれる覚悟がある奴だけだ。綺麗ごとで世界は変わらないが、何もかもを切り捨てるだけではできないことがある。ゆえに―」
その彼は真っ直ぐにヴァンプギルティに向き合うと、堂々と胸を張った。
「―ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。……貴様は、死ね!!」
五十鈴Side
その瞬間、直感的に奴が異能を使ったと私は悟った。
そして同時に、ヴァンプギルティは反射的に手刀を己の首に放ち―
「なんの!!」
―それを、咄嗟に空いた手で掴んで止める。
拮抗は一秒足らず。その時間で、ヴァンプギルティは自然体に戻った。
そして同時に、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを名乗った男はため息をついた。
「……コードとギアスについても知見がある以上、可能性は考慮していた。精神生命体故の強みという事か」
そう嘯くルルーシュに対し、ヴァンプギルティは苦笑いの雰囲気を浮かべている。
「それは違う。禍の団から提供された精神干渉の異能の数々。それに伴う対抗術式が無ければ、つい自殺していただろう」
そう返すヴァンプギルティは、しかし同時に同情心すら向けている。
「難儀なものよ。なまじ才覚を持つがゆえに、意図せずして愛しき者達に大量虐殺を起こさせてしまったその力。強すぎる力は諸刃の剣とはよく言ったものか」
「……俺の業についてそこまで詳しいとは、やはり嚮団、もしくはシャルルの賛同者と絡んでいるという事か」
また専門用語とか無視できない情報が出てきているけど、まぁいいでしょう。
分かっているのは、あのルルーシュというのが何らかの精神干渉手段を持っていること。それをこちら側の技術でどうにかすることが可能という事。あとルルーシュとやらは大量虐殺のきっかけをかましたみたいね。
色々気になることはあるけれど、今は一応置いておきましょう。
優先すべきは、ヴァンプギルティとかいうのがこちらを殺しに来ているという点。問題はこの後どうすればいいのかと、そう思った瞬間。
「なら、物理的に行くべきだな」
そうルルーシュが言った瞬間、後ろからレーザー光線じみた攻撃が放たれた。
器用に動くその攻撃は、ヴァンプギルティに直撃した後、縦横無尽に動いて敵部隊を一気に攻撃する。
だが、問題があった。
「無理じゃ下がれ! エレメリアンは精神生命体、物理攻撃では傷一つつかぬわ!!」
テイルブラックがそう吠える中、実際にヴァンプギルティは無傷。ついでに言うと、アルティロイドとかいうのが傘になる形で他の奴らも無傷。
なるほど。実際そういうことなわけね。
ならどうすればいいかとすぐに組み立てた時、ルルーシュは小さく微笑みながら振り返った。
「問題ない。既に条件はクリアされた」
そのまま、敵に背を向けてこちらに悠然と歩きだした直後だ。
……急にヴァンプギルティ達の足元が崩れ、そのまま崩落に呑み込まれた。
言葉にすればたったそれだけ。ただ、何が何だかさっぱり分からない。
思わずきょとんとしていると、壮年の軍人が苦笑いを浮かべていた。
「相変わらずだな。やはり君の十八番か、ゼロ」
「その記号は譲っているさ、藤堂。とはいえ、癖のようなもので解析していたのが役に立つとはな」
そう返したルルーシュは、唖然としているテイルブラックに小さく微笑んでいる。
……何時の間にか地下空洞に気づいていて、それを崩落させることでの一網打尽が目的だったのね。
見る限り基本的に陸上生物のようだし、あそこまで突き落とされたら這い上がるのも一苦労でしょう。一発で敵の戦力を粗方無力化したわけだわ。
やだ何あいつ、凄い。
「殺せないことと無力化できないことは違う。死なない奴には縁があるのでね、これぐらいの手段は常に考えているとも」
『……事前にどこに当てるか設定したうえで、よくもあぁ大仰に出てくるものだ。この悪辣さでよくもまぁ、正義の味方なんて名乗れたものだ。人使いの粗さも健在だ』
「黙れ魔女。ピザを一年間作らんぞ」
なんか皮肉気な女の声が、後ろに在った人型兵器の一つから聞こえてくる。
というか皮肉の応酬が気心の知れた間柄ね。それなりの相方なのかしら。
とはいえ、思った以上に豪快に倒したわね。
そう思っていると、藤堂と呼ばれた軍人は通信機に手をやると声を上げている。
「総員、戦闘態勢をとって待機だ。無力化と言っても一時的なものになるだろうし、他に部隊がいないとも限らん。警戒を―」
その言葉を遮るように、崩れ落ちた近くからヴァンプギルティが飛び上がる。
「なめるな! 少なくとも私は飛べ―」
その瞬間。ひっかかる形で残っていた岩盤が急に飛び上がり、ヴァンプギルティを地下に叩き落とした。
「とりあえず落としたけど、これもうちょっと埋めた方がいい? 地面崩そっか?」
今度は赤毛の女の子が、何かしたらしい。
というか、あいつオタク根性の変人から殺しも辞さないヤバい奴になって、今度は天丼じみたギャグをやっているわね。
ちょっと空気がおかしくなりそうだったけれど、そこでテイルブラックとかがなんか我に返って声をあげる。
「やるなら徹底的にやらんか! あ奴らならすぐにでも復活して―」
『『『『『『『『『『モケーッ!!』』』』』』』』』』』
と、それを遮るように声が鳴り響く。
そこかしこから大量のアルティノイドとかが出てきたわね。
少なくとも合計で数百体。完璧に数で押す作戦なのは確定的に明らかだけど―
「……なら、そろそろこっちも暴れるとしますか」
―それぐらいなら、十分だ。
Other side
その光景を、守られる側の者達は目を見開いて焼き付けた。
瞬く前に広がる光の軌跡。
文字通り目にも止まらぬ速さで駆け巡る者達が、
それを成し遂げるのは三人で、彼らは全く別に行動していた。
「舐めてもらっちゃ困るわね。ようは幽霊対峙と同じ感覚でいけばいいんでしょうが」
剣を構え、瞬く間に切り裂いたのは鈴乃屋五十鈴。
「そうだね。悪霊対峙ぐらいできないと、英雄なんて目指せないもん」
両手に魔力を滾らせ、瞬時に切り刻んだのは行仁彩里。
「安心したよ。とりあえず、これならやりようはありそうだね」
両手に光の刃を作り、問題なく両断したのは才司・ダウンフォール・津波黒。
三者三様に敵を屠り、その上で三人は顔を見合わせ―
「「「いやちょっと待って?」」」
―異口同音に戸惑った。
とりあえず戦闘突入。そして開幕速攻でルルーシュの得意戦術が発動。
ヴァンプギルティはいきなり多段コンボを喰らっておりますが、奴とてこの程度では終わりませんぜぇ?