さぁ、真打は遅れてやってくるぜぇえええええ!
才司Side
「後にしてー! とりあえずこの場を切り抜けるのが最優先ー!!」
色々と困惑したけど、エルシアさんの声で僕は我に返った。
素早く光力の槍を多数展開すると、すぐに襲い掛かるアルティロイドという存在に斉射を放つ。
それで牽制しつつ、とりあえず周囲を観察する。
数は多いけど、倒すことは可能。身体能力は確かに高いけど、これなら倒しようはいくらでもある。
少し違和感を覚えるけど、現状は余裕を持って対応可能。
つまり―
「まだ相手の戦力は残ってる! 気を付けて!」
―それで勝てるという自信を、持てるだけの戦力はあるということだ。
「……総員騎乗! 敵はこちらの攻撃を受け付けないが、民間人を庇うことはできる!!」
「PT部隊も戦闘態勢だ。最悪地面を蹴り上げて土に埋めればいい!!」
軍人の方々が素早い反応をしてくれるけど、この戦闘はややこしいことに―
「……あ~なるほど。ならやることは簡単だよなぁ?」
「そうだね。大体どうすればいいかは分かったかな?」
―そこで、二人ほど動く人がいた。
天然パーマの人とサイドテールの人だ。
いやでも、彼らは攻撃手段を持っているのか―
「「「「「もっけー!?」」」」」
―と思った瞬間、光で出来た拘束具が、アルティロイドをまとめて拘束する。
「すり抜けるわけじゃないなら、こういうやり方があるよね!!」
お、おお!
サイドテールの人凄い。何時の間にあんな拘束術式を!
なんか違う世界なだけあって、こっちが思いもよらない行動で解決している。
あとは僕らが仕留めていけばいい。そう思った時だ。
「あんがとなぁ、姉ちゃん。おかげで……」
と、天然パーマの人が拘束されたアルティロイド一体の足を掴んで……掴んで?
「はい、ストラーイク!!」
そのまま、アルティロイドの群れに投げつけた。
盛大に吹っ飛んでいる辺り、どんな勢いで投げつけてるんだろう。
……いや、そうじゃない。
「ちょ、ちょっとー!? その、酷くありません!?」
「バカヤロー! 戦場に情けも容赦もないんだよ! 俺のパフェの
サイドテールの人に私怨丸出しの反論をして、そのまま天然パーマによる大暴れが開始される。
せ、精神生命体同士をぶつければ確かに攻撃に通用するのかな? ……いや、容赦ないなぁ。
「いい案ね! 私も真似するわ!!」
五十鈴も真似しないで!?
ああ、アルティロイド達が恐れて逃げ腰になっている。
それでも勇気を振り絞るアルティロイドだけど、二人によって反撃に迎撃される形で吹っ飛ばされる。
えげつなすぎてちょっと怖いです。
「やるじゃない! プルガトリオ機関の対集団戦術で鍛えた私より手早いなんて」
「はっ! 俺達が何度圧倒的に囲まれた状態で戦ってると思ってんだ? 教科書通りじゃできないことってのがあんのさ!」
なんか意気投合しておられる!?
「……あの、幼馴染が申し訳ありません」
「え、あ、大丈夫だよ? ……それより、もうちょっと警戒した方がいいかもしれないね」
と、なんとなく僕が謝っていると、サイドテールの人は服装が瞬時に切り替わった。
更にSFチックな杖を構えて、九の桃色のエネルギー砲撃が放たれる。
放たれた砲撃は、しかしヴァンプギルティが受け止めて弾き飛ばした。
「ちぃっ! やはり見過ごせないレベルのイレギュラーか!」
あいつもしぶとい!
「援護お願いします! あいつは倒せる僕が相手を!」
「いや、あいつの相手は俺に任せろ!」
攻撃態勢に入った時、真上から切りかかるテイルレッドの姿。
振り下ろされる剣に対し、ヴァンプギルティもまた、日本刀を引き抜いて受け流した。
「……恐るべし気迫の籠った一撃。かつて共闘した記憶のある、ドラグギルティを思い起こした。アルティメギルはそりが合わないが、奴の属性にかける思いは敬意に値する」
「そうか。あいつの剣に俺が迫ってるってのなら、ちょっと誇らしいかもな」
そう告げ合いながら睨み合う両者だが、ヴァンプギルティは嘲笑の気配を見せる。
「だが、我々の戦力がここで止まると思うかね?」
そう告げると共に、更に彼方から何かが姿を現した。
……リンゴに突起物をつけたような飛行物体が合計で20。更にその後方から、ずんぐりむっくりとした巨大な人型擬きが3。
なんだあれはと思う中、ヴァンプギルティは更に指を鳴らす。
『『『『『『『『『『アイ☆ドル! アイ☆ドル!!』』』』』』』』』』
そしてこちらを囲む、ドルオタの格好をした数十人を超える集まり。
「ふふふ。彼らは我が力によって支配されているだけのただの人間。危害を加えることができるかな?」
……まずいな。
純粋な一般人を卑劣にも利用するこの戦術。間違いなく禍の団を組み込んでいるだけある。
さて、どうしたものか。
「……取捨選択という概念は知ってるかな?」
「さて、それを世界すらバラバラな者達がすぐに揃えられるかな?」
それとなく見捨てることを匂わせるが、その際に起こるリスクを匂わされる。
状況次第では民間人を殺す必要に迫られることもある。僕が所属する神の子を見張る者は、各勢力から容認される形で
とはいえそれは、僕らの世界の話。
僕らがそれをやった時、足並みが乱れる可能性は大きい。
近くにいた神滅具保有者三人が、揃いも揃って見つからないのが痛い。広域制圧に長けた上位神滅具保有者二名に、異例の進化を遂げるパワーの化身たる一名。あれだけの戦力があれば、この状況だってひっくり返せるだろうに……っ!
だけど、そんなことばかり言ってくるわけには―
『横ががら空きだ……弾けろ!』
その瞬間、横から突っ込んできた紅の機体が突っ込んできた。
リンゴみたいな空飛ぶ物体に突っ込んで数秒、膨れ上がって爆散させた。
え、今度は何!?
素早く反応した残ったリンゴの化け物は、瞬く間に赤いエネルギーを放つけど、紅の機体は縦横無尽に交わしていく。
短期で迎撃を完遂させる中、更に僕らの頭上を越えていく緑色の機体があった。
『ジガンスパーダの改良型のようだが―』
放たれる砲撃を素早く交わしたその機体は、更に迎撃に回るリンゴ擬きに拳を叩き込み。
『動きが画一的すぎる!』
一撃でこれまた撃墜したよ。
ああもう! 困惑しかしないっていうかなんて言うか。
いや、こっちもこの好機を逃すわけにはいかな―
「なるほど。逐次投入は無駄に被害が増えるだけか」
―その瞬間、ヴァンプギルティが寒気を感じさせた。
瞬く間に膨れ上がる転移魔法陣。
ちょっとまった。この数、十や二十なんてものじゃない……っ
「一応断っておくが、こちらは地球複数をまとめて相手取るぐらいの気概で動いている」
勝利を確信するヴァンプギルティの頭上。
そこにはさっき出てきた大型兵器が、二種類合わせて百を超える数出現していた。
更に地面にはアルティロイドとWシリーズとかいうのが、数千レベルで出現している。
まずい、数が多すぎて圧殺される。よしんばなんとかできても、民間人のカバーが絶対に間に合わない!?
「イレギュラー対策で大部隊規模の投入ができてよかった。流石に返り討ちは情けないのでね」
ヴァンプギルティは勝ち誇りすらするが、このままだと本当にまずく―
その瞬間、空が光った。
五十鈴Side
乱戦になってるうちに、突破しようとしている連中を迎撃する為に民間人の集まっている部分に下がってしまったわね。
というかまずいわね。本当にまずいわね。
数が多いから、手間が―
「はい次ぃいいいいいいいいいっ!」
―さっきの天然パーマ!
「あんた、今切り裂いてなかった!?」
こいつ、アルティロイドの相手は苦労する側でしょうに。
そう思ったけれど、その天然パーマはなんていうか、魔剣と思われる日本刀が握られてる。
「さっきのエルシアとかいう姉ちゃんがくれたんだよ。生身で戦える連中に渡しまくってるぜ」
「創造系
イメージに乗っ取って司る性質の物体を具現化する、創造系神器。
あくまで神器の性能限界があるし、イメージの仕方次第では上手くいかないこともある。ただ、エルシアとかいう才司の上司はできる方みたいね。
なら、やりようはあるわね。形成をひっくり返す余地はある。
見れば兵士達が動いているし、魔剣を軸とする形で対応している。
よく見ると、民間人でも武道の心得がある人とかが戦えてるわね。意外と優勢?
「銀ちゃん! 何アルか、このあほみたいな連中は!」
おお、チャイナの女が見事にアルティロイドを振り回して迎撃しているわね。
周囲が引いているけど、世の中は綺麗ごとだけでどうにかするには力が必要なのよ。
「知らねえよ。なんか萌えとか性癖とかに人生かけてる連中から、ドルオタが出たとかなんだとか」
「理解度低すぎない?」
天然パーマにツッコミを入れるけど、理解したくない気持ちは分かるわね。
私は職場の都合もあって、いやでもある程度は変態に慣れてるから仕方ないわね。正直ここに居れば形勢逆転するのに、あの変態ドラゴン。
問題が発生したわね。
気づけば、何やら大量にデカい兵器がゴロゴロと。
控えめに言って三桁に届くわね。砲撃型っぽいし、圧殺する方向にシフトしたのかしら。
っと、さっきのルルーシュってやつがいるわね。
「ルルーシュ君だっけ? 対策ある?」
「無茶を言うな! ここまで戦略的に圧殺を仕掛けられれば、凌ぐにはこちらも相応の戦力が必須だ。手札が足りん!」
まずいわね。さっきの対応っぷりから、無意識レベルで当てにしてたのだけれど。
となると、民間人を守り切るのは厳しい。
……チッ!
「う、うぇえええええん!!」
「こわいよぉおおおおお!!」
舌打ちをしていると、子供達からは泣き出す子も出てきている。
荒唐無稽で現実感がなかったけれど、砲撃体勢に入っている機械兵器を見て恐怖心が出てきているようね。
問題は、ここからどうすれば―
「泣いちゃだめぇええええ!」
―その時、悪魔の子供が声を張り上げた。
大人ですら怖がっている状況下で、その子は拳を握り締めている。
「男の子は女の子を守るためにも強くならなきゃいけないんだ! それに、きっと助けに来てくれるもん!」
その子供は、そう言うと両手の指を突き上げて声を張り上げる。
「そうだよね、おっぱいドラゴォオオオオン!!」
「……え、何その頭の悪いドラゴン」
天然パーマが困惑しているけど、説明している暇がない。
それに、この状況下で来れるわけが―
Other Side
「よし、繋がった」
「行けるぞ、二人とも」
「よし、間に合った!!」
「いっけぇえええええええっ!!!」
才司Side
圧殺の砲撃が放たれたと思った、その瞬間。
浮いている島を包み込むように、黒い霧が広がった。
その霧は放たれた砲撃を完全にシャットアウト。上級悪魔クラスの砲撃がいくつも放たれたけど、完璧に防ぎ切っていた。
更に次の瞬間、無数の雷が発生し、僕らを掠めることなくアルティロイドやWシリーズだけを攻撃。精神生命体も人造人間も関係なく、瞬く間に粉砕する。
そしてその上、ジガンスパーダと呼ばれた兵器の後ろに、霧が晴れると共に絶大なオーラを感じる。
これは、このドラゴンのオーラは―
「吹っ飛べぇええええええっ!!」
―燚誠の赤龍帝、兵藤一誠!!
その瞬間、ひっくり返りかけた形勢は、瞬く間に粉砕された。
おっぱいドラゴン、ついに参上。
さぁて、ここから一気に暴れるぜえええええ!!