才司Side
絶大なオーラが放たれ、ヴァンプギルティは呑み込まれていく。
「す、すげえ……」
「なんて威力……」
テイルレッドとポニーテールの人が驚くけど、僕はその光景に違和感を覚えていた。
「おーおー。なんかデカい花火が上がってんなぁ、オイ。ドラゴンボールですかー?」
「なんていう攻撃だ。戦略兵器も目じゃないぞ」
と、他のところにいた人達が集まってくる。
そこに更に、人型機動兵器も何機が舞い降りた。
『ちょ、ルルーシュ!? なにあれ、フレイヤも顔負けなんだけど!?』
『カレンか。俺も真剣に驚いているが、戦略を個人で成すレベルの存在がいたとはな……』
『カイ少佐。周辺の敵は大体鎮圧できました。ですが、なんですかあれは?』
『あ~。お前にとってはかなり頭の痛い案件になる。こっちも追いついてなくてなぁ』
結構集まってきたけど、これ言っていいんだろうか。
いや、言わないといけないよね。大事なことだし。何より、本人も気づいているだろうし。
「……赤龍帝、一つ聞くけど手加減しました?」
「……いや、遠慮なく発射したはずなんだけどな」
僕と赤龍帝の会話に、大半の人達が固まったのは言うまでもない。
「え、あれで? いやいや、戦略兵器レベルだと思うんだけど?」
新八君が思わず口元を引くつかせているけど、残念ながら本当なんだよねぇ。
「……彼の
そう、威力が明らかに低い。
記録映像を見たレベルだけど、下手をすると通常の鎧とどっこいどっこいの火力じゃないだろうか。
「どうした赤龍帝? 乳房案件で怒り狂っていただろうに」
「もしかしてめっちゃ弱かったのかい? イッセーどん、調子でも悪かった?」
そこに英雄派のゲオルグと、天界のデュリオが来て口々に首を傾げていく。
うん、やっぱりそう思うよね。
「……才司! 赤龍帝が不調っぽいけど大丈夫!?」
「才司君、赤龍帝の調子はどうなの? 病気じゃない?」
五十鈴も彩里も、駆けつけながら心配している。
ま、最高のタイミングで駆けつけてくれたと思った伝説の英雄が弱ってるかと思ったら気にするだろうさ。
周りが割とドン引きしているけど、事実だからどうしたものか。
と、思っているとだ。
「み、皆ぁー!」
慌てた表情で、エルシアさんが戻ってくる。
白兵戦が可能な人達に魔剣を大量に提供する大活躍。そんな彼女が大慌てとか、一体何が?
「ま、まずい! オーラの反応がやばいの出してるよ! それも―」
「―リリンの反応が出たー!」
「「「「「「……は?」」」」」」
思わず絶句した時、残留していたオーラが跡形もなく吹き飛んだ。
慌てて振り返ると、そこには負傷しているヴァンプギルティを抱えた一人の男が。
若々しい外見をしている、青年と言ってもいい外見だ。それが記録に残っている姿と少し違うけど、外見をある程度変えられる悪魔の特性と、血筋に由来する銀の髪が不安を残す。
そして何より、幾度となく激突した赤龍帝の表情が、ほぼ確実だと物語っている。
「なんで……てめえが生きてるんだ」
「ふっふ~ん。驚いてる? 驚いてる~? だよねぇ。でもまぁ、まずは知らない方に自~己紹~介♪」
怒りの気配が色濃くなった赤龍帝を前にして、その男はおどけた態度でにやりと笑う。
そして、その名を明かした。
「初めましてーイレギュラーの方~々~! 俺はシャーデンフロイデの最高幹部やってます! リゼヴィム・リヴァン・ルシファーでっす! 聖書について詳しいなら、リリンっていえば分かるかなー?」
……冗談、だろ!?
「ふ、ふざけんな!」
赤龍帝は激昂し、指を突き付ける!
「お前は死んだはずだ! アザゼル先生やヴァーリから聞いてるぞ!!」
「ま、そうなんだけどねー? ほらぁ、それを言ったら死んだ奴復活させて戦力にって、俺っちの常套手段じゃん?」
おどけた態度で愉快そうに、リゼヴィムは赤龍帝にそう言い返す。
相当やられたらしいし、意趣返しができて楽しいってことなんだろうね。
それに言ってることはあっている。ただ、奴の場合は条件が合致しないはずだ。
「……解せんな。その手段は貴様には使えないし、そもそも魂を捧げている上、捧げた存在は未だ封印されている」
ゲオルグが冷静に不審な部分を告げるけど、リゼヴィムはにやりと笑うだけで応えない。
「色々語りたい悪のお約束ってのもあるんだけど、俺って最後部の中じゃ新参で発言力も低くてねー? ちょっと面倒な連中も来てるから、みんなで頑張って考えてちょーよ?」
『逃がすとでも思ってんの?』
『そうだな。貴様達には聞きたいことがいくつもあるぞ?』
カイ少佐と赤い機体が反応するけど、そういうわけにはいかない。
「待ってください! 奴が相手だと流石にまずい!!」
相手は、悪魔の頂点に立つ三人の純血悪魔が一人。リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。
しかも性質上、最強戦力であるゲオルグとデュリオさんが役に立たない。
やれるとするなら赤龍帝ぐらいだけど―
「……てめえ、今何をしやがった?」
―その赤龍帝も、かなり警戒をしている。
「ちょ、大丈夫なんですかー赤龍帝!? 確か倒した時って―」
「―最悪、疑似じゃなくて本気の龍神化を使えばいけます。ドライグを顕現させれる以上、総合力なら勝ってますしね」
エルシアさんの慌てた声に応えながら、でも赤龍帝は仕掛けない。
一体何が。不安すら覚える。
「リゼヴィム。お前、俺の攻撃を無効化したな?」
その言葉に、それを理解できる者達は絶句する。
そして、リゼヴィムはにやりと笑い、腕を振った。
その手に握られるのは、魔力を凝縮した一振りの剣。
それを見せびらかしながら、リゼヴィムは自慢げな表情を浮かべる。
「流石に俺も、パワーアップせずに君とかち合う気はなくってねぇ? ちょっとした復活サービスで、
最悪だ。
そう思ってしまう中、リゼヴィムの背後で何かが転移される。
……さっき出てきたジガンスパーダとやらと、その上に乗っかる形で現れた一機の機体。
『エルアインス!? やはりシャドウミラーと繋がっていたのか!!』
カイ少佐が反応するけど、そこに対して相手からも返答が返ってきた。
『他にもいますけどね? ……リゼヴィムさん、すいませんがそろそろ一旦戻ってくるようにとのことです。例の予定因子が接近していると』
「オッケー! 俺も色々しゃべりたくて我慢できないから、スパッと帰ることにするぜぃ!」
その声に、カイ少佐に随伴している機体からも何かしらの驚きが返ってくる。
『……アーチボルト? 貴様、生きていたのか!』
『おや、ユウキ君でしたか。何故そこにいるのかは問いませんが、死者が復活する集団にいるのなら当然と言っておきましょう』
おいおい、なんだこの死者蘇生祭り。
一体どうなっている?
ただ、このメンツだと仕掛けるにしても戦力バランスが不味い。
リゼヴィム一人いる所為で、ひっくり返った戦力バランスが更にひっくり返された。
あと、相当因縁がある奴が来ているみたいだね。
「一つ聞きたいけど、あの男もかなり危険な手合いでいいのかな?」
『奴はアーチボルト・グリムズ。無用な血を流すことを好み、いくつものテロを趣味の延長線上で行った、下劣な男だ』
ユウキと呼ばれた声が応えるけど、そこに対してアーチボルトが不満そうな様子を見せている。
『事実ですけど、あまり悪く言われたくないですねー。さっきデータが届いたので、元上司として教えてあげますけどね? 君の近くにいる人達、テロリストと共闘したりテロリストだったり、軽犯罪の常習犯とかいますからね?』
そう反論すると、アーチボルトの方はしかしそこで話を切り上げるつもりらしい。
『ま、今回はこの辺にしましょうか。今回は半分ぐらい威力偵察ですし、例の連中が近づいているようですし』
「あ、マジ? ま、俺も赤龍帝君に対するリベンジマッチは別の機会にするしねぇ? 意趣返しはできたからスッキリだし♪」
そう言葉を交わし合ってから、リゼヴィムは僕らに振り返るとにやりと笑う。
「ま、そーゆーわけで今日は帰るよ。もうすぐ協力してくれそうな人がくるから、お互い準備してからやり返そうってね♪」
そう言いながら転位で消えていくリゼヴィム達だけど、これはかなりまずい。
……事態のレベルが、明らかに桁を跳ね上げているからね……っ!
五十鈴Side
とりあえず、一旦は状況が収まったようね。
ただまぁ、色々と言われたものね。
私はため息をついたうえで、それとなく視線を約二名に向ける。
「で、元エンジョイ系テロリストと軽犯罪(覗き)常習犯様? 痛いところ疲れましたけど、何か言い分は?」
この辺、今のうちに突っついた方がいいでしょう。
具体的に
他の世界側にも色々あるみたいだけど、下手に後回しにするとややこしいことになるかもしれないもの。さっさとつついてワンクッション置いておきましょう。
「ふむ。処罰は受けているし贖罪も続けているし何なら命を呪術的に握られているが、あの頃の自分に後悔はないしな。確かに同じ穴の狢扱いされて当然か」
「俺一応、しっかりお返しされてるけど!? っていうか男が女を求める程度で、あいつらと同類扱いは嫌なんだけど!?」
こいつら反省しろ。
「赤龍帝にはあとで真剣に話があります。あと
しっかり釘を刺したうえで、私は周囲に聞かせる為に更に繋げる。
「とりあえず基本は異形側の世界にいてくださいね? そっちだって国際レベルで大人気な世界の方が住みやすいでしょうし」
「そっちはそっちで大変そうだね」
眼鏡をつけたスーツ姿の人が、こちらに対して凄い同情の表情を浮かべてくれる。
「いえいえ。一応最低限の住み分けは出来てますから」
「そっか。こっちは割とガチの犯罪をしてくる場合もあるし、拉致監禁されるし、なんなら別荘感覚で監獄に入ってきやがるし……あのロリコンが……っ」
本当に苦労しているようね。
さて、他の方はどう反応が返ってくるのやら。
「そっちもそっちで大変だなぁ。ま、こっちもテロリストが大統領になったりとかあるから大概だけどよ」
「まぁそういうものではある。世の中、テロリストというくびきを実体的にも対外的にも脱しなくては革命など起こせないしな」
うんうんと、天然パーマとルルーシュとか言われてたのがしたり顔になっているけど、そっちも本当に大概ね。
「う~ん。きちんと反省して償う気があるのなら、いいと思うけど……う~ん……」
『……アーチボルトといった輩まで入れるのは確かに難点ではあるが、大義もない手合いと一緒にされるのは不満だな……』
どこもかしこも大変そうね。
ま、それはともかく。
「とりあえず、今後に備える為にも話を勧めたいけどいいかなー?」
と、才司の上司がそんなことを言ってきたわね。
「改めまして、エルシア・ダウンフォール・
と、明るい茶髪をまとめているそいつが話を勧めようとした。
その時だ。
『カイ少佐! 大変っす!!』
『中佐! その……非常事態です!』
と、あえて聞こえるように通信が放たれた。
今度は一体何よと思った、その時。
「……な、なんだありゃ」
赤龍帝がそれに気づき、唖然となる。
視線に合わせて振り返れば、そこに在ったのは巨大な岩塊。
小惑星レベルの大きさ、というより、目測だけど最大幅100kmぐらいありそうなそれは、こっちにゆっくりと移動している。
ただ一つ、ツッコミどころはそこじゃない。色々ありそうだけど、一点特化のポイントがデカすぎる。
「……アヒルのデフォルメ?」
才司が思わず呟いたけど、本当にそれだ。
できの悪いアヒルのデフォルメ。そんな形容が出来そうな顔が、でっかくついている。
いや、ナニコレ?
「うわぁ……飛行要塞? 宇宙要塞!? なんていうか、あの顔、普通じゃないよね!!」
「「待って彩里、喜ばないで」」
何故かはしゃいでいる彩里に、私も才司も思わず突っ込んでしまったわ。
昔っからそういうの好きよね、彩里って。
「……やはり昔からこうなのか」
ゲオルグ。納得してないで止めて。
っていうかちょっと待って。大半の連中が唖然となっているけどちょっと待って。
あのアグレアスよりデカいだろう岩の塊が浮いているのはともかく、あの顔は何?
ツッコミが、ツッコミどころが大きすぎるんだけど。
そして私達が唖然としていると、約三名がため息をつきそうな顔になっていた。
「銀ちゃん。これはアレある。奴が出てくるヨ」
「最悪ですよ銀さん。何回連続でインパクトのデカいイベントが連発してるんですか。絶対あのバカ出てきますよ、初見側の人達の胃が蹂躙されますよ」
「お、おおお落ち着け神楽に八っつぁん。あいつがいない可能性に賭けろ。それならまだ……ダメだ飯案件が不味いいいい」
おい天然パーマ。心当たりがあるの?
その辺りを聞こうとした、その時だった。
『ふぅうううううううははははははははは! 無事なようで何よりだ、諸君!!』
そんな声が響き渡り、天然パーマ一行が白目になった。
あ、これ心当たり的中だ。
『あと三大勢力、地球連邦軍、超合衆国、それと管理世界の方々初めまして! こちらでもある程度保護しているので、その辺りは安心したまえ! レジャー施設で御持て成しの準備は万端だ!』
え、あれレジャー施設なの?
軽く引き気味な中、何かが下りてきて舞い降りてくる。
……すいません。どこかで見たようなロボットが下りてきたんですが。具体的には燃え上が~れ~な歌詞の主題歌がある、超長く続いている作品群。
そしてその手に乗っていた何者かが飛び降りると華麗に着地。
「我が名は英霊志士オバZ! さぁ、共に宇宙海賊「五月雨」の野望を打ち砕こうではないか―」
「「「情報量が多いわ、ズラぁあああああああっ!!!」」」
―飛び蹴りを叩き込まれているところすいません。
あの、敵が違うんですけど?
【悲報】D×D上澄み組、ナーフ&リゼヴィム強化復活
そんなやばい事態を吹っ飛ばす英霊志士オバZ、登場
次の話からは会議タイムとなっております。本格的な世界観説明などのすり合わせはそこからですね。