レグロスの勇者道~少年は真の勇者を目指して進む~ 作:太洋 心
「緊急の学生任務?」
ある日のこと、先生に呼び出されたと思いきやそんな事を告げられたレグロス。
てっきり日頃の居眠りについて説教でも受けるのかと思っていただけに肩透かしだ。
いや、これはこれで別方向にヤバい話なのだが。
「別に構わねぇですけどね、なんでオレ達なんです?」
隣に立っているヴァルクが頭をガシガシ掻きながら尋ねる。
微妙に敬語が崩れてる、いや多少でも敬語を使えてるところを驚くべきだろうか。
対し教職員の男性――トニス・チテアは説明する。
「近年、世界の情勢が悪化している事は知っているか?」
「えぇ僕は師匠とあちこち旅してましたから」
師に拾われてこの学園に来るまでの十年ほどレグロスは世界各地を巡っていた。
色んな文化があった。
色んな人がいた。
たくさんの笑顔があった。
――だがそれ以上に問題は多かった。
「壊獣の活性化、異常気象の増加、問題を起こす輩も年々増えてる感じがします」
「あぁそのとおりだ……そしてそれの解決に勇者の称号を持つ者達や騎士団、冒険者まで駆り出されている」
人々は全力を尽くしているはずだ。
出来る限りの人員を当てて問題に対処している。
だからこそ今でも一定の平和は維持されている。
それでも――。
「人手が足りない、ですね」
「……そうだ、情けないと思うかもしれないがな」
数の問題ばかりはどうしようもない、というわけだ。
三年や二年の学生任務が活発になってるという噂はレグロス達の耳にも届いていた。
そして今度は自分達の番――という事なのだろう。
「ま、オレはいいけどな。刺激がありそうなら」
「ヴァルクは本当にブレないですね……」
あの一戦以降ヴァルクとは度々つるむ。
というか向こうから来る。
やたら来る。
しかも案の定、毎回戦いを挑んでくるのでそれを回避するのが最近のレグロスの日常である。
「学生任務とはいえ当然だがある程度危険を伴ってしまう、今回のは特にな……そこで選んだのがお前達だ」
トニスは教職員となって長い。
そしてその中で様々な天才や問題児を見てきた。
だから分かる、今年の生徒にも逸材が多くいて現状この二人はその中での上澄みだと。
「お前達を中心にして同学年からメンバーを集めてくれ、そのメンバーで今回の任務に当たってもらう」
「人数指定は?」
「自由だ、集めたら報告してもらいこちらの許可が出たら出発してもらう」
トニスからの話はそこで終わった。
レグロスとヴァルクは並びながら廊下を歩く。
「さてどうするよ? いっそオレとお前の二人で行くか?」
「そりゃ無理ですよ……少なすぎるし流石に厳しい、先生達も許可出さないでしょうし」
いくら優秀と認められてもそれは同学年の中での話。
上には上がいるし二人揃えばどんな強敵にも勝てるというほど甘くもないだろう。
「ヴァルク、推薦したい人います?」
「一人強い奴は知ってるがな……あいつどこにいるか分からん」
(……自由人なのかな?)
ヴァルクより自由なやつとかあまり想像したくない。
それは置いといて、こうなるとレグロス側である程度候補を出す必要がある。
「人数としては四~五人が限界でしょうし……バランスも大事……」
人数はあまり多すぎてもよろしくないという理由は簡単。
連携と統制の問題である。
数が多くなればなるほどに全体の纏まりが崩れる。
卓越した指揮能力があるならまだしも、この二人にはそこまでのものはない。
「あの二人ならどうかなぁ……」
「誰だよ」
「向こうの都合次第ですけど……」
〇●
こうしてメンバーを集め許可を貰い出発の時が訪れた。
「というわけでこの四人で学生任務出発!」
一人目――レグロス・カレジア。
一ヵ月も遅れて入学してきた居眠り常習犯のやばい奴。
スピードとスピリット総量に自信あり。
「さぁて……出来る限り刺激のある任務になってほしいもんだがな」
二人目――ヴァルク・ディ・ティグレノ。
幼い頃より有名な天才貴族、刺激を求めて戦いまくるやばい奴。
全体的に高水準だが一番自信があるのはパワー。
「普段から思ってたけど刺激ってなんだ?」
三人目――ジィル・スミーク。
強さを求めて日々努力する男、マイペースすぎて割とやばい奴。
テクニカルで頼りがいがあるとレグロスが推薦。
「大丈夫でしょうか……色んな意味で」
そして四人目――ティアハ・ラ・セイトネス。
自信はないけどレグロスという話相手が出来てからは少しずつ明るくなって人気上昇中と噂のツッコミ枠。
防御面の優秀さと信頼面、その他の要素含めてこちらもレグロスが推薦。
「なんか
「……気のせいでは?」
こうして揃ったメンバーでレグロス達は出発した。
その一行を学園校舎の屋根から見つめる人影が一つ。
「……さぁてさてそれじゃこっそりと付いていくか」
どこか楽し気にその人物は歩を進める。
「お手並み拝見、させてもらうぜ?」