公安局の石つぶて   作:もずくスープ

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川から流れてきたのは笹

 

 

 熱い、冷たい、熱い、冷たい。

 雨が水を叩く音を聞きながら私は朦朧とした意識の中、子供のようにただ感じたことを頭の中で並べ立てていた。

 体の芯が氷を当て続けられているかのように冷たい、かと思えば手足の先端や前頭部は焼けるように熱を発しておりその温度差で体内の血流が速くなったり遅くなったりと忙しない。

 ズキズキとはち切れそうに痛む血管が外界の冷たさに文句を言っているようだった。

 天地の向きも定かではなく巨大なゆりかごの中で揺蕩いながら私は目に入る水も拭わず、曇天の空と濁った水中と目まぐるしく交互に映る視界を無感のままに眺めていた。

 力の入らない四肢を荒れ狂う奔流に任せて出鱈目に動かされ、一際大きな衝撃を体に受けたと思った時には私は土と草の上に横たわっていた。

 力強い反発を返してくる地面に安心しながら、口の中に入ってくるザラザラとした感触が気持ちよくて私は何も考えずに地面に突っ伏したまま草を食んでいた。

 背中に強い雨を受けながらしばし草食動物の気持ちを味わっていると私の後頭部越し、つまり体の真上から声が聞こえた。

 

「おい、大丈夫か。こんなところで何をしている」

 

 うるさい雨の音の中でもしっかりと聞き取れる低くて落ち着いたイケメンボイスだ。嗜虐的な笑みを浮かべてドMを虐めてそうな声でもある。もっと聞かせてほしいですね。

 

「その草は食べられないやつだ、含んだ分を口から出せ。こんなところで寝転んでいると風邪を引くぞ、…………既に高熱だな。おい、動けるか?」

 

 突然襟首を掴まれ体を起こされる。

 目が霞んで良く顔が見えないが、声に違わずかっこいい顔のお姉さんな気がした。

 ひっくり返された後におでこに当てられた手がひんやりしていて気持ちいい。

 柔らかいその手がむず痒くて私は身動ぎしようと力を入れるが、喉が張り裂けそうなくらいに熱くて痛い咳が出るだけで体は思うように動いてくれなかった。

 咳をした私に彼女は喉元を温めるように手を差し出し項から下顎辺りまでをゆっくりと擦ってくれた。

 その手付きの優しさに私は途端に心細さが内から溢れ出てきて、本能的衝動というか、生物的戦略というか、とにかく私は分別もつかずにその手の主に甘えてしまった。

 

「ままぁ」

「やめろ。私はママではない」

「ままぁ、ままぁ。おっぱい」

「…………これは、本当に拾って良いものなのか?」

 

 悪い子じゃないから捨てないで欲しい。

 ただちょっと愛が足りないだけなのだ。

 

「しかしこのまま放っておくのも、流石に目覚めが悪いか」

 

 私がボケた頭で只管に本能から言葉を発していると、その声の主は自身が濡れるのも厭わず私を背負って歩き出した。

 彼女の背中は小さい私のそれとは違ってガッシリとしていて、頼もしく大きなものだった。

 それのせいか益々弱った私の甘えたが発動し、私はうわ言のように「ままぁ」と繰り返し、その度に律儀に「ママではない」と声が返ってくるのだった。

 ゆさゆさと揺れるいつもより高い視界の中で不安になった私が首に回す腕に力を入れると、彼女は私の足をしっかりと抱え直した後また力強い歩調で歩を進めた。

 そんなさり気ない一動作の中にも私は母性愛を実感した。

 

 ここはどこだ。

 黴臭さと生姜の匂いに気付いたときには、私は周囲の状況と自分の現状に記憶の乖離を覚えて混乱し、そして混乱していた。

 体の下には所々破けたマットレスが敷かれ、上には埃くさい羽毛布団がしっかりと肩まで掛けられていた。

 断片的に思い出せるのは廃墟での空腹感、川のせせらぎが濁流に変わる瞬間、打ち上げられた後の土と草の味、そしてママの背中。いやママじゃないが。

 

「やっと起きたか」

 

 覚醒したばかりで休眠状態から脱しない脳味噌をぐるぐると掻き混ぜながら、私は無意識に上体を起こして立とうとした。

 しかし体に力が入らず、足に力を入れようとしたところで骨と癒着した筋肉に切れ込みが入るような激痛が走った。

 思わぬ痛みに硬直し目に涙を浮かべながらゆっくりとした動きで私は悶えた。

 まるで病気をした後みたいに私の体は弱っていた。

 確かに廃墟で睡眠をとった時も疲労困憊の状態だったが、今のそれは長期間床に臥せっていた病人に起きるような衰弱だった。

 あの状態から、何がどうなって、確か足音が聞こえて、凄く寒くて、いや熱かったような。

 なぜ? どうして? がおがおっ……なんだっけ。ぷー?

 まだ半覚醒といった頭で思いつく限りの色々なことを浮かべては沈めていると、誰かが上半身だけ起こした私の隣に座った。

 反射的に私は頭の中を一番大きく占めていた疑問をその人物に投げ掛けた。

 

「どこぉれすかこれ?」

「私の家、というより仮住居だ。悪いが運ばせてもらった。丸2日も高熱にうなされて寝込んでいたんだ。まだ起きない方がいい。インスタントだが生姜湯を淹れた。飲め、身体が温まって頭も働く」

「…………ありがとぅございまふ」

 

 差し出されたコップを何も考えず受け取り、私はぼうっとそこに張られた茶色い水面を眺めていた。

 湯気って面白いですよね。なんだか分子たちの液面からの大脱走って感じがします。わらわら〜。もう捕まるんじゃないぞ〜。

 空を見つめて動かない私を見かねたのか彼女がコップの底に手を添えると、ようやくそれを飲めと言われていることに気づいて私は急ぎコップのフチに口をつけて生姜臭い汁を一息に呷った。

 喉元を過ぎて下腹部辺りからぽかぽかと湧き上がってくる温もりに少しだけ元気が回復し、正常な血流が脳に回る感覚がしてきた。

 冴えた思考で改めて自分の身辺を確認する。

 汗ではないしっとりとした肌の感覚は体を拭かれて間もないことを示す、弱った足腰はしばらく寝たきり状態だった証拠だ、身に付けている2サイズほど大きな衣服は自前のものではない。

 ようやく私は自分が何事かがあって川に流され、そして今しがた生姜湯をくれた親切な方が私を拾って面倒を見てくれたのだという事実をしっかりと把握した。

 何が起きたのかはまだ記憶が混濁しているため定かではないが、とにかくお世話になったのだからと私は彼女へと向き直りまだ十全に動かない口をゆっくりと開いた。

 

「あ、あのう。ありがとうございます。どなたか存じませんが、どうも大変なご迷惑をお掛け、した、み……たい、で…………」

 

 そこで私はお礼を言うために初めて彼女の顔をしっかりと確認し、驚愕の余り空になったコップを膝の上に落としてしまった。

 愕然と顎を下げて目を見開き驚く私に気付かず彼女はコップを回収すると、呑気にも「まだ力が抜けるようだな。腹に入れるものを今出そう」と棚の木材がささくれてボロボロの台所へと向かっていった。

 棚の奥を暗そうにしながら漁っているその横顔は、一時期飽きる程見た新聞の写真に写っていたその顔そのままで。

 

 こ、このニヒルな笑みを浮かべながら五人くらいヤってそうな冷徹イケ姉貴顔は……ッ!

 私の渾身作『キヴォトス事件簿〜無能の青春〜』第十七巻九章三項に記録されし、エデン条約を無茶苦茶にしてトリニティとゲヘナの間で全面戦争を起こそうとしたかの悪名高き指名手配犯『アリウスの暗黒彗星(私命名)』錠前サオリ……ッ!

 な、なぜ私はこんな大変な人物に捕らわれ看病されているんですか!?

 

 え? まだ夢の中にいます私?

 これはどういう解釈に基づく妄想なのでしょう。

 ドS風なお姉さんに甲斐甲斐しくお世話されたいとかいう倒錯的欲求が爆発したんでしょうか。

 いや、私の自我抑圧され過ぎじゃない?

 百歩譲って私が年上嗜好なのを認めるにしてもサドの優しさは邪道では。

 いや、一周回ってアリか? Sっ気のあるお姉さんは実は人との接し方が分からないだけで本当は誰かに優しくしたい、うーん何処かの容赦なく虐げる系お姉さんより断然アリだと思います。もっと私に優しくしてください。

 

 とかいって寝ぼけてる場合じゃないぞこのポンコツ脳みそ。

 ひとまず私はこれが現実か妄想なのかを見極めるために両側の頬を思いっきり引っ張った。

 台所から果物の缶詰を持ってきてくれたテロリストは急に間抜けな銭ゲバ怪獣顔を披露した私に呆気に取られた様子でしたが、痛みを伴って得られたその光景は紛れもなく現実のもの。

 生姜湯で温まったおかげで頭に回った血が再び引いていくのを実感する。本当にどういう運命の輪が廻ったらこんなことになるのか。

 怪獣顔で固まったままの私に不思議そうにしながらも、彼女はフォークと缶詰を差し出しながら普通の様子で私に尋ねた。

 

「それで身体はもう大丈夫そうか?」

「ふぇ? ……あ、ええっと、はい。まだ怠い気はしますが、熱っぽい感じはしないです」

「そうか。なら良かったな」

「…………あなたが私を看病してくれてたんですか?」

「ああ、大雨の日に川べりに倒れていたからな。流石に危険だと思って拾わせてもらった。病人を放り出すのも気が引けたから、こうして起きるまでは面倒を見た」

 

 ……あれ。この人、良い人なんでしょうか。

 発言の内容は至極まともな、とても特A級指名手配犯とは思えない常識人ぶりです。

 私の脳内キヴォトス図鑑における"テロリスト"項目には「人を的か金か道具としか見ていない下劣傲慢な人種」と記載されていますが、彼女の私に対する態度はそんな感じを全く受けさせません。

 写真と違って口元の表情がよく見えるせいか雰囲気も何だか柔らかく感じます。

 少し怖い印象もありますが、そこには私の理想とするお姉さん像がそのまま存在していました。もしかして、私の……お姉ちゃんですか!?

 

 いやいや、でもテロリストですし。それも並のテロリストじゃなくて大戦争の引き金を引こうとしたテロリストです。

 初めは優しくしておいて後々それを利用するなんて高等悪人テクを駆使してくる可能性もあります。

 これを恩に着せられて、ガソリンをしこたま積んだ車に乗せられて「ティーパーティーに突っ込んでこい」とか言われるかもしれません。

 私にそんなことをさせたら無関係の銀行に突っ込むことになるが、よろしいか?

 そうなったら我らが公安局の出番ですね、そして豚箱に入るのは私……。

 始末書どころか手が後ろに回る最悪の未来を一瞬で幻視してしまい、私は吃りながら彼女に言葉を投げた。

 

「ああの私、直ぐにでも出てったほうが良いですよね。お邪魔ですし、錠前さんの寝床何日も占領しちゃったし、風邪も移しちゃうと悪いですし。あ、ももももちろんお礼はさせていただきますぅっ! 土下座と靴舐めをさせていただいた上で何なりとご奉仕いたします! テロと犯罪以外なら何でもやらせて頂きますのでっ!」

「土下座と靴舐めは社会では一般的なお礼の方法なのか? ……あと、何故私の名前を知っている。一度も名乗った覚えはないが」

 

 優しいお姉さんが一転してこちらを警戒する修羅と化した。

 どうして私はこう、テンパると必ず何かやらかしてしまうのか。

 私史上一番のビッグネームアウトローを面前にして緊張のあまりヘマをしてしまった。

 額に脂汗が滲むのを自覚しながら何とか弁明できないかと私は口を動かす。

 

「あひぃ、そ、そうでしたっけ。あれ〜何でだろうな〜、ぐ、偶然? アカシックレコードとか宇宙人的な何かが私の脳内に直接流し込んだんですかね。そういえば川に流される前に強烈な光を見た気がします、きっとキャトルミューティレーションに会ったんです。いやむしろ逆にこれは機関による陰謀ですね、闇の組織が私を嵌めようとしているんです助けてください」

「言っている意味が全く理解できないが。…………いや、いい。私は方々から恨まれ指名手配されている身だからな。大方お前もそれで知っているんだろう。あのアリウスの『錠前サオリ』だ、とな」

「…………は、はい。嘘ついてごめんなさい。そ、そんな感じです」

 

 少し複雑そうな様子で彼女が私から視線を切り、丁寧にフォークが刺された桃の缶詰を私に押し付けてまた台所の方へと向かいました。

 あっさりバレてるじゃないですか。しかも何故か私の心に罪悪感を添えられた。

 な、何なんだこの妙な申し訳なさは。私は悪くねぇ! ただ少しだけキヴォトスの犯罪者に詳しいだけなんだ! 気の使えない警官崩れが空気も読めずになんかごめんなさい!

 

「戦禍の引き金を引き多くの人間を傷付けた、お前のその怖がる態度も当然のことだ。これも『有名税』とか言うのだろう」

 

 それとはちょっと違う気がしますけど。どちらかと言うと悪事千里を走る的な?

 狭い流し台で私の使ったコップを洗いながら彼女は淡々と私に言い聞かせるように言葉を続けた。

 

「まあ、すぐに出て行けとは言わない。私も拾った以上は動けるようになるまでは面倒を見るつもりだが、出て行きたくなれば勝手に出ていけば良い。犯罪者に世話されるなど気味の悪い話だろう。何を言う必要も何を置いていく必要もない」

 

 シンクに向けられた彼女の目には、何一つ特別な感情は無く平坦なものに見えた。

 本心からそれが当然であるかのような振る舞いで、自虐的虚栄心とかあからさまな贖罪心とかいったものは少なくとも私の目には映らなかった。

 ますます私の中で「冷酷非道なテロリスト錠前サオリ」像と眼の前で病人のコップを甲斐甲斐しく洗う彼女のイメージに隔たりが生じていく。

 

「それは、正直凄くありがたいんですけど。お礼をしないのは流石に」

「私が勝手にやったことだ。気にするな。それに私は礼を言われるほど立派な人間じゃない。ただの逃亡中のテロリストだ」

「……そんなこと、は」

 

 彼女の淡々としたその物言いに私は酷く胸の奥がザワつくのを感じた。

 私自身その感覚に具象的な輪郭を見つけることは出来なかったが、へぼっちい私の義心が彼女の言葉に強い反発を覚えたことだけは確かだった。

 最近になって自覚した私の悪い癖だと理解しながらも、私は考える前に感情のまま勝手に動く口を止めることなく彼女に言葉をぶつけた。

 

「か、勝手だろうが何だろうが受けた恩義にお礼もしないのは不義理以上に不徳です。それを無視するのは仁や義はもとより礼を損なう行為です。錠前さんが私にしてくれた行いは私が感謝して然るべきことじゃないですか。錠前さんが犯罪者かどうかはここでは全く関係ないです。犯罪者だから善意や好意が無効になって当然だなんて、そんな寂しいこと、嘘でも言わないで下さい。…………なんか無性にムカついてきました。絶対にお礼はしますから。そこは譲りませんから」

 

 半ばムキになって前のめりに食って掛かる私に、彼女は奇妙な動物を見るような目で私を見返した。

 私も自分で言ってて「なんだコイツ」と思ってる。礼の押し売りヤクザか貴様?

 気まぐれで助けた鶴が玄関前で土下座待機してたら気まずいだろう。私は今その鶴である。

 衝動に負けて押し付けがましい台詞を言ってしまった自分が急激に恥ずかしくなってきたが、しかしそれでも彼女の言い草は私にとって看過できるものではなかった。

 

 罪は罪、人は人。

 悪人の残虐非道な行いは裁かれて地獄に行くも当然ですが、たった一つの善行により助けられた蜘蛛はそれでもその悪人に感謝する権利はあるはずです。そして悪人にもそれを受け取る権利はあるはずだ。

 私も罪を犯した人間ですが、だからといってこれから得られるものや与えるものが全てが無為になるなんてそんな哀しいことはない。

 性善説だろうが性悪説だろうが、そこに帰属する人性はもっと複雑で面倒なものだ。それに起因する人の行動などは尚言うべくもあらず。

 0か1かの二元論に人を押し込めて測るというのは、人間というものを酷く見誤っている気がして私は気に入らなかった。

 人性という言葉の中に含まれる曖昧な赦しの包容を、彼女の自虐によって私は否定してほしくなかったのだ。

 それはここにいる私自身のためでもあり、私の中にまだ僅かに残る警察官としての道義心のためでもあった。

 

 急に発露した自らの馬鹿真面目な本心にかっと赤面しながらも、そんな思いを込めて私は彼女を一生懸命に睨みつけた。

 彼女の方は真っ赤になった私の威嚇に特に動じた様子もなくただ放心して見ていたが、ふと真顔に戻ると呟くように口を開いた。

 

「……変なやつだな。お前、名前は何ていう」

「あっえっと、コ……さ、ササネです」

「そうか。ササネがそう言うなら、受け取る『礼』とやらは何か考えておこう。体力が戻るまで、当面の間はここにいると良い」

「きょ、恐縮です。お世話になります。……生意気言ってすみませんでした。お、怒ってませんか?」

「いや、中々面白い文句だった。そんな妙な難癖をつけてくる人間は初めてだ。大抵は私の経歴にケチをつけるか何も言わず関わろうとしないかのどちらかだからな。そうか、礼を損なう、か。そういう考え方もあるわけだな」

 

 そう言って彼女はまた元の冷徹イケメン顔に戻って他の洗い物にも手を付け始めた。

 やりました。テロリスト界のビッグネームに認められました。テレッテッテッテー、コマの舎弟レベルあっぷー。

 ……欲しくない経験値ばかり増えていく気がするのはなぜだろう。

 

 というか成り行きに任せて「お世話になります」なんて言ってしまいましたがこれ本当に大丈夫なんですかね。

 警察辞めて逃亡生活の果てに特A級の指名手配犯の家に転がり込むとは、まるで私が真の警察の敵じゃないですか。

 なんかこの事実が露呈したら尾刃局長にしこたま怒られそうな気がします。「お前が選んだ正義はテロリストに養われることか」とか言われて粉砕されそうです。恐ろしいですね、いやほんとに。

 

 後から湧いてきた不安は一旦よそにおいて、ひとまず数日は錠前サオリさん宅の居候になることが決まった私は、フォークに刺されたままの桃を口元に持っていきこのムズムズとした感情を誤魔化すためにそれを一口で頬張った。

 口内で柔らかく砕けるそれは、安物缶詰桃の癖に普段食べるものより数段甘酸っぱくて美味しかった。

 この桃のように生意気な私の性根はどこかで本当に治す必要がある気がしますね。毎回こんな物言いを許してくれる優しい人ばかりとは限りませんから。

 私はそんなことを考えながら、取り敢えず今はこの桃の甘さに甘んじようと口とフォークを動かし続けた。

 

 

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