旭日から来た人(コラボ小説)   作:とある名無しの抜刀隊

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もしもカフカが1話で入隊を断っていたらのプロローグ

 

「面舵40°」

「ようそろ、面舵40°」

 操舵士の復唱とともに、護衛艦はその細長いながらも近年の旧型護衛艦特有の無骨な船体を右へと傾ける。横には似た外観の3隻の護衛艦が同じように艦を傾ける。

 この3隻はそれぞれもりゆき、はなゆき、みずゆきと言い、3隻で日本防衛隊横須賀護衛隊を組んでいた。

 現在3隻は大型の台風に近づいていた。理由としては、この台風はジグザグとしかも2日も同じ大きさのまま日本へと近づいており、もしかして怪獣が関わっているのでは、と上層部が考えたためこの3隻を派遣させることとなったのだ。

「結局あの海竜2025型なんてのは陸の連中がやったのか…」

 護衛艦もりゆき艦長、山中弘は少し顔をしかめながら部下に向けてそう言った。その表情のように彼の心も憂鬱気味だ。

「ですね。2体目の海竜2025型は横須賀に上陸したあと第1、第3部隊で撃破しました。もっともまあ途中で新しい識別怪獣とか怪獣8号とかが乱入してきた感じで…」

「いや、そこはいい」

 山中はそう言って部下の言葉を遮る。

「実際どうなのかは知らんが怪獣8号も9号も海の怪獣じゃない。なら俺たちにやれることは限られる。だがな…」

 彼はそう言いながら窓の外を指差した。もりゆきの同型艦、みずゆきが並走している。

「俺たちはここまでの戦力をもってしても「海の怪獣」ですらやれなかったんだ。それが悔しいのさ」

 部下も少し暗い顔をした。

 そうなのだ。現在とは違いその時はみずゆきはいなかったとはいえ護衛艦二隻の戦力を持っていたのに弾薬不足が理由で2体目の怪獣への追撃は断念せざるをえなかった。正直言ってもりゆき、そして共同で任務に当たったはなゆきの船員にとってそれは心残りだったのだ。

「艦長、もうそろそろ到着します」

 操舵士がマップを見ながらそう言う。

「わかった。取り舵一杯をとれ。本艦を先頭に単横陣をとり台風に対して並走する。2艦にも伝えておけ」

「了解しました、みずゆき、はなゆきへ、これより単横陣にうつる。両艦は本艦の後方はつけ」

「ようそろ、とりーかじ一杯」

 再び船体が揺れた。彼はその振動をもろともせずにモニターを見つめた。ものすごい台風だ。画面の3分の1を埋め尽くすぐらいだ。

「それにしてもものすごいな。これは」

「確かにそうですね。これがそのまま近づいているってわけなんですから上もピリピリして当然ですな。これは」

 副長が顔を綻ばせながらそう言った。山中はぶつぶつと何か言い始める。

「たしか、台風を操る怪獣はバリケーン、いや最近だとニジカガチが

いたよな。いやでもニジカガチは陸上だったから海上にはいないはず…」

「なんです?」

 副長が不審そうに彼を見つめる。

「いや、何もない。明日の飯を考えてただけだ」

 彼は表情を変えずにそう言った。

 だが、内心ではめちゃくちゃ焦っていた。というのも彼は昔から円谷の某特撮ヒーローに出てくる怪獣が大好きで、今回ぶつぶつ言ってたのもそれの内容なのだ。防衛隊内では一応第1部隊の鳴海隊長がこの界隈だとか言ってたが、陸だからまず接点がないし、癖のある人物らしいか

ら話が合うと言われても実際に会いたくない。結果的に彼の周りにその話ができるやつはいなかった。

 操舵士が疑問符を上げるような表情をする。

「艦長、台風がこちらに近づいてます。急に進路を変えました」

「なんだと?」

山中は再びモニターを見つめた。確かに台風の位置がこちらに近づいてきている。

「すぐに進路を…」

 彼がそう言おうとした時、突如視界が真っ白に包まれた。

「うおっ、なんだぁ!!」

「眩しい!!」

 周りからそんな声が聞こえる。彼は慌てずに手探りで受話器を取り、すぐに各部署に連絡を取ろうとする。

 だが、どうしたことか連絡が繋がらない。どうやら電子機器が使えないようだった。

「何が起きてるんだ…」

 彼はそう言いながらその現実に少し戸惑っていた。心なしが目眩がやって来る。

 彼は机に突っ伏すように倒れた。

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