ネタ被りしていたらごめんなさい。ちなみにエロは無いです。

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思い付きで書きました。


催眠アプリの便利な使い方

 

 

 催眠アプリ。それは他者を意のままに操るアプリ。普通の催眠術では、特定の状況、状態、そして高度な技術が必要不可欠であるが、このアプリを使えば誰でも一瞬で、プロの催眠術師顔負けの催眠使いになれる。

 

 (これのお陰で快適に生活させて貰ってるよ…)

 

 その催眠アプリが入ったスマホを弄びながら男は不敵に笑う。彼の名は安矢釣万寿夫。極々平凡なサラリーマンである。

 

 「其処のケーキが─」

 「それ知ってる!テレビで─」

 (…相変わらず綺麗だな。魅上さん…)

 

 万寿夫がトイレから出ると、同僚である女性社員達の話し声が聞こえた。その声にそちらを向くと、社内の中で一番付き合いたい人No.1の魅上愛が居た。

 

 (・・・)

 

 万寿夫は気付かれないように魅上愛を壁から見つめる。そして…

 

 (…魅上さんと付き合える人は幸せだろうな〜)

 

 目の保養として魅上を少し見た後、万寿夫はその場を離れた。

 

 

 

 

 業務時間も過ぎ、家に帰ろうとする万寿夫。帰りの途中、コンビニに寄ると今日の晩飯である弁当を買う。今日も疲れたなぁと自身の肩を揉みながら歩いていると…

 

 「あっ!万寿夫さん!」

 「おっ、夏菜ちゃんじゃないか」

 

 後ろから声を掛けられ、振り向くと其処には知り合いである女子大生の河合夏菜が居た。

 

 「!…万寿夫さん。…またコンビニ弁当ですか?」

 「ん?ああ…そうだね」

 

 万寿夫は一人暮らしなので外食やコンビニ弁当で済ませる時が多い。自炊をしようにも疲れからかやる気が起きない。そんな万寿夫の食生活に、夏菜は不満気な様子を隠そうともしない。

 

 「はあ…これ、あげます」

 「おお…!」

 

 夏菜はバッグからタッパーを取り出し、万寿夫に手渡した。そのタッパーの中には野菜炒めが入っており万寿夫は喜びの声を上げる。

 

 「…悪いね。最近」

 「構いませんよ」

 

 夏菜とは同じアパートに住むだけの関係で、今までは余り仲良く話す間柄では無かったのだが、ある一件以来こうして手料理を渡される程の仲になった。

 

 

 

 

 

 

 「それじゃあ、また明日」

 「偶には自炊もして下さいね」

 「ハハッ…」

 

 アパートが見えてくると2人は別れの挨拶をする。夏菜の食生活を改めるよう促す言葉を軽く笑う事で万寿夫は誤魔化した。

 

 「……さて」

 

 ドアを閉めるとスマホを取り出す万寿夫。そして辺りを窺う。すると…

 

 (…居た)

 

 視界の隅にある物体が映る。その物体を見つけると万寿夫は直ぐ様その物体に向けてスマホを翳した。

 

 「催眠…!」

 

 その言葉を呟くやいなや、スマホに映された物体は動きを止めて床に落ちる。

 

 「…カメムシか」

 

 カメムシ。それは大体の人は知っている虫だ。こいつの匂いの臭い事。臭い事。そして万寿夫が動かなくなったカメムシを観察しているとあの嫌な音が聞こえた。

 

 (──蚊!)

 

 今の季節は夏。家の中に居ても不思議ではない虫。しかし理屈は理解出来ても納得出来るかは別の話しだ。この蚊に刺された事で何度嫌な想いをしたか…だが今の万寿夫には対抗策が有る。

 

 「催眠、催眠、催眠…!」

 

 自身の近くに寄って来る蚊達に向けてスマホを向ける。スマホのレンズに映った蚊はそれだけで空から床に落ちていく。

 

 (これも催眠アプリのお陰だな…)

 

 そう、万寿夫は催眠アプリを使う事で虫に触る事なく退治する術を手に入れたのだ。催眠アプリのアプリを開くと、スマホで写真を撮る時のような画面が現れる。その中に虫を収め、画面をタップすると虫達は催眠状態になり動かなくなる。そして…

 

 「…家から出て行け」

 

 催眠アプリに向けてそう命令を告げると虫達は起き上がり、万寿夫が薄く開けた窓の隙間から外に出た。

 

 (触らずに撃退出来る喜び!)

 

 窓を閉めるとガッツポーズを取る万寿夫。虫を退治する時はどうしても虫に触る必要がある。勿論、ティッシュ等で直接触る事は防げるが出来れば虫の感触を味わいたくない。更に虫達の一部は動きが速い為、場合によっては潰すのも選択肢に入る。虫を潰す事は出来る、…出来るのだが、あの潰した感触と潰れた虫の姿を見るのは、それだけで心の中の何かを削られるようだ。

 

 「…有難う…!催眠アプリ…!」

 

 万寿夫はスマホを掲げ感謝を口にする。人は外に居る虫ならば余り気にならないものだが、家に虫が居るのは許容しにくい。恐らくこれは人間にとって、家という縄張りに許可なく入って来る何かに本能的に忌避を覚えるからではないか。そんなどうでもいい事をを考えていると…

 

 「──ッ!…来たか…」

 

 目の前を横切った黒光りする物体に反応する万寿夫。この虫、通称Gは素早く動く為か催眠アプリでその姿を撮るのが難しかった。

 

 「だが…今の俺は違う…!」

 

 Gに勝てなかった悔しさから万寿夫は反射神経を鍛える為、バッティングセンターに通い詰めた。その成果を今、発揮する時だ。

 

 「──行くぞッ!G!」

 

 そうして万寿夫はG目掛けてスマホを構えた。これは催眠アプリを虫に使って、家の中から虫を出て行かせる男の話しだ。

 

 




ちなみに夏菜ちゃんと仲良くなったのは、催眠アプリで虫達を追っ払ってくれたから。夏菜ちゃんは大の虫嫌いなので万寿夫の行動に感謝している。

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