流星群に願いを 作:キチガイの人
ということで主人公視点回です。
高評価、感想ありがとうございます。
あと物凄くどうでもいいことですが、『薩摩の子』とかいう風呂敷広げ過ぎて収集つかなくなった駄作を、そう遠くないうちに完全非公開にしようかと思ってます。再構築予定ってコトですね。ここで言うことじゃありませんが。
俺とアイドル様の自宅の合鍵を持つ人間は多い。社長が言わずもがな、大将も持っており、あとなぜか知らんけど腐れ縁3人衆も取得したと聞いた。俺は誰にも渡した記憶はないので、同棲している相方が独断と偏見で渡しているのであろう。
ヒカルとリョースケに自宅の合鍵を渡している星野 アイ。何も知らない原作勢が聞けば、ご本人が死亡RTAをしているように聞こえるのは不思議だ。
「「………」」
「………」
んで、俺ん家のリビングで勝手に人生ゲームしている
対するアホ面を晒していた2名の馬鹿が『なんでコイツが帰ってきてるの?』と言いたげな表情をしていたので、俺は笑顔でサムズダウンしながら言い放つ。
「頑張って逃げてきたわ」
「前世でも捨てられなかった童貞を初めて捨てた感想は?」
「ヤってねぇが?」
俺の言葉に「「は?」」と言葉を重ねる馬鹿2人。
「あんだけお膳立てさせといて、アイちゃんがあんだけ頑張って気持ち伝えたのに、原作1巻最初の調査兵団以下の成果も得られなかったとか、控えめに言って人生もっかいやり直したら?」
「オマエもしかして不能か? 今世不能か? それとも実妹の淫夢ミーム汚染でホモガキ化したかァ? あァ? つか星野ン奴はどうした? まさか盛大にフって帰って来たンじゃねェだろうなァ?」
「……俺、襲われた側だよな? なんでそんなにボロクソ言われないといけないんだ……?」
まるで汚物を見るように罵倒してくる不法侵入者共に、『可愛いは正義』の効力の絶大さを目の当たりにして驚く。サラッと俺をアイドル様の贄として差し出そうと暴露していたが、その辺は言及することなくスルーする。
二人の存在を横目に、俺はベッドにだいぶして「あ゛あああぁぁぁ」と仕事終わりのオッサンのように呻く。
アイドル様の暴走に関して俺は悪くない……なんて言えば、全方向から俺の数々のやらかしと正論を織り交ぜながらフルボッコしてくる可能性があるので、コイツ等の前では口が裂けても言わないが、客観視して考えてほしいものだ。
特に汚ねぇカミキなヒカル。原作ではどういう経緯を辿ったのか知らんけど、今世のコイツは姫川 愛梨──原作でララライの看板役者として活躍していた姫川 大輝の母親として登場していた人物に、11歳で半強制的に童貞を奪われていると聞いた。要するに逆レイプだな。理由経緯に関しては、軽いトラウマになっているのかヒカルの口から語られることはなかったが。
原作ムーヴを回避するために奔走していた原作の黒幕だったのに、逆レで未来の看板役者が生まれることが確定する。脚本の修正力とも言うべきか、そういった背景もあったのでアイドル様とヒカルは付き合うんだろうなって、俺は行動していた節もあったんだがなぁ。
何が言いたいかって言うと、ヒカルん野郎が自身のトラウマと同じ状況を作り出して、アイドル様をけしかけてきた状況に物申したいってコト。まぁ、互いのことを尊重し合うような仲じゃないから、言っても意味はないけどね。
あれ怖いよマジで。美人に押し倒されるのって、第三者視点なら羨ましく思えるかもしれないけど、やられる側からしたらホラー以外の何物でもない。
「オレらの作った状況下で良く逃げられたなァ、逆に」
「俺の巧みな交渉術の賜物だな」
「狂いそう……!」(静かなる怒り)
「いや、ね? 俺も条件付きで見逃してもらっただけよ。ま、その条件を星野が達成するのは間違いなく無理だろうけど」
勝手に発狂しているヒカルを見下しながら、俺は感嘆の声色を混じらせるリョースケの問いに答える。
「俺と星野は未成年。無論、ガキをこさえようなんざ早すぎるとか以前の問題だ。俺はただ『ヤるんなら
「「……あー」」
「無理を通そうとしてんだ。せめて手順はしっかり踏んどかねぇと
手順をちゃんと踏んだとしても社長は困ると思うが。
それ以前に、原作でカミキヒカルがヤって子供出来た時は、誰との子供なのかをアイドル様は口割らなかったが、今世でアイドル様が妊娠すれば、真っ先に疑われるのは俺。間違いなく。絶対。
後の混乱のことを踏まえればアイドル様は義理の両親に話を通しておくってのは正論に聞こえるし、説得さえすれば受け入れてくれるとなればアイドル様は引き下がるしかなかったわけだ。アイドル様は話し合い(物理)のために社長ところに凸している。
普通に考えてOKが出るなんてあり得ないんですけどね初見さん。
彼氏持ちでも十二分に譲歩してもらっている現環境で、アイドルが妊娠するなんて常識的に考えて、責任者側の人間が承諾するはずがない。ましてやアイドル様は苺プロのドル箱なのだ。承諾するデメリットは腐るほどあるけど、メリットが微塵も見当たらない。斎藤社長の判断は火を見るよりも明らかだろう。
「そこまでしてアイちゃんのこと避けるのさ。シオンはアイちゃんのこと嫌いなの?」
「好きだが、それとこれとは話が別だろうが。ましてや、俺も星野も義務教育課程中の未成年だ。一時的な感情で暴走するには早すぎる。選択肢なんていくらでもあるんだ。焦る必要はなかろうて」
「僕とアイちゃんを強制的にくっつけようとした愚物が言うと説得力あるよね」
「おっと、心は硝子だぞ」
ある程度のイベント……というか、ターニングポイントは半強制的に起こるもんだと思ってたから、何かしらの要因でアイドル様と汚ねぇヒカルは付き合うもんだと思ってたのは認めよう。というか、そうなると思って俺は動いてたし。
アイドル様の日ごろのアタックだって、小さい女の子の『おとなになったらパパとけっこんする』程度の話だと本気で思ってたんだがなぁ。
「いざ星野の告白本気にして、後から『好き? あの告白本気にしてたの?』とか言われたら軽く死ねる自信があるぜ」
「アイちゃんは絶っっっっっっっっ対にそんなこと言わない」(鋼の意志)
「俺もそう信じたいけど、俺ら三人とも『推しの子』完結前に死んでるから、星野がどんなモンを内に抱えてるのか誰も分からないんだぞ。それに、俺も人のこと言えないけどさ、前世今世含めるとさ、お前らも女性関係失敗芸人だってことを忘れんなよ?」
「「………」」
ヒカルは今世で大輝君のママンに逆レされ、リョースケは前世で彼女に騙されて財産パクられ未遂をやらかした。そして、俺はアイドル様の暴走まで彼女の言葉の真偽を図りかねていた鈍感クソ野郎だ。こと女性という分野に関して、ここまでの無能集団は中々に存在しないだろう。
女性関係失敗芸人の件で明後日の方向を向く無能共。悲しいね。
「ここで馬鹿が集まって騒ごうとも、最終的な決定権は養父の社長にある。社長が認めるにしても数年は要するだろうし、時間が経てば星野の心変わりもあるかもしれん。気長に待とう──」
俺がそう締めくくろうとしたところで、携帯がメールの受信をしたことを告げるように震える。事務所から支給される携帯ではないので、プライベート用の普段使いのモノだろう。つまり比較的仲の良い人間からのメールなんだろう。
確認してみると、差出人は……俺たちの中では時の人であるアイドル様だ。どないし
『社長からOK貰ったよ。今日の夜は空けといてね♡』
?????????????
脳みそがバグった俺は、修理の為に仕事用携帯を即座に開き、社長へ電話を行う。彼が忙しいことは重々承知しているが、アイドル様の口からそれよりトンデモないことが現在進行形で進もうとしている事実の方が遥かに優先度が高い。
数コールで社長は電話に出る。まるで電話が来ることを知っていたかのような出方であり、俺の嫌な予感が真実味を帯びてくる。
「お疲れ様です、今和泉です。今、お時間よろしいでしょうか?」
『……アイツのアレか?』
「アイツのアレです」
どうか何かの間違いでありますように……!と心の中で神仏に祈りを捧げてみたが、現実は残酷であった。社長はか細く、かろうじでひねり出したであろう声色で、まるで懇願するように言葉を遺した。
『……今和泉』
「はい」
『どうか、どうか……子供作るなとか贅沢なことは言わんから、少しでも表沙汰になるようなプレイは可能な限り控えてくれっ……!』
「シャチョサン?」
そこで電話が切れてしまい、俺の脳が修復されることは永遠に叶うことはなかった。
前世のネットで流行った『あたまのわるいひと』みたいな表情で放心していると、説明を求める馬鹿が二人いたので、メールの内容と社長の反応を説明する。
望んだ結果であるはずであろうに、困惑する馬鹿二人。
どういうことだってばよ、とアイドル様の帰宅に怯えていると、玄関側から扉の開く音が聞こえる。入ってきたのは田中(♀)だが、一瞬アイドル様だと本気で思った俺は「ヒョエッ」と口から奇妙な叫び声を出す。
鞄を担ぎ、レジ袋を両手に持つ田中はにっこりと卓上に広げる。
「シオン、今日使う分はこのくらいで足りますかね?」
「その数ダースある精力剤で俺を干物にさせる気か?」
「それを決めるのは星野さんでしょう?」
どうやら俺に決定権はないらしい。
田中の置いたドリンク類に白目になる俺。先に広げてあった人生ゲームのボードの上に乱暴に置いたせいで、ヒカルの駒が明後日の方向に吹っ飛ぶが気にしない。
ヒカルが「ヒカヌンティウスうううう!」と駒を取りに行くのを横目に、田中はバッグを俺に投げてきた。チャックを開けてみると、女性ものの衣類が多量に出てきた。それもコスプレ衣装に類する、日常生活で着ることのないレパートリー。
「なにこれ。俺が着ればいいん?」
「ブレザー制服やバニー服、ナース服の入っているバッグを見ての第一声がそれですか? それを着るのは星野さんですよ。夜に、ですが」
「斬新な寝巻だなぁ」(現実逃避)
夜に俺がアイドル様の手によって処断されることをコイツが知っている状況を鑑みて、コイツも完璧で究極の暴走機関車の共犯者であることを悟る。腐れ縁共+
脳裏に『四面楚歌』という単語が浮かぶ。
「……え、マジで? 俺ホントにマジで星野にモグモグムシャムシャされるのか? え? お、俺の意志は? アイツはアレでも人気アイドルなんだぞ? こ、子供とか普通に考えてアカンやろ?」(震え)
「そこの汚ねぇヒカルで星野さんを孕ませようとした愚物が言うと説得力ありますねぇ」
「どうしよう、俺の行動すべてが最悪の形で帰って来るんだけど」
頭を抱える俺を無視して、ロリコン美少女は馬鹿2人に声をかける。
「そろそろ星野さんが帰宅してくる頃でしょう。あとは若い2人に任せようではありませんか」
「コイツが情けねェ姿でアイドルに襲われる場面は見てみてェがなァ」
「あ、それ分かる。僕もめっちゃ気になる」
「初体験くらい2人だけにしましょうよ……。まぁ、星野さんの妊娠時期から逆算して、あなた方が星野さんの自宅に夜も滞在していた──という事実のせいで、万が一星野さん不貞問題が囁かれた際の相手として浮上したいと言うのであれば止はしませんが」
田中が「原作のプロファイリング娘なら、そのくらい突き止めそうですね」と言う頃には、爆速で荷物をまとめた2名のクソッタレ共は、つんのめりながらも玄関口から去っていく。
荷物を置いていくためだけに来たのか、田中も「ではお暇しますねー」と出ていこうとするので、思わず俺は引き留めた。
「……もっとゆっくりして行ってもええんやで?」
「一つだけ良いことをお教えしましょう。貴方から見れば星野さんが暴走しているようにも見えましょうが、彼女はまだ理知的に行動してますよ? それこそ、ここで貴方が逃げた場合、
そう言い残して彼女は去っていった。
残された俺は部屋で、処刑人が帰って来るのを待つ。
逃げ出したい気持ちでいっぱいになるが、ロリコン野郎(♀)が言うように、ここで逃げ出そうものならアイドル様がどんな行動を起こすのか本当に想像できない。が、おそらく社長がショック死するくらいには、世間様に隠さない動きをするんだろうなってのは、長年の付き合いから薄々と予測できる。つまり彼女のことを第一に考えるのであれば、逃げることは許されないってことだ。
……え、待って。
待って待って待って、ねぇ、待って。
お願い、もうちょい、もうちょい考える時間頂戴。
え、ちょ、え? 全然覚悟決まっ
「たっだいまー!」
ここから入れる保険って本当にないですか?(ガン泣き)
【主人公】
原作知識持ちの転生者。まだチェリーボーイ。まだ。
【星野 アイ】
現役アイドル様。私とシオンとの出会いに感謝を込めて、いただきます。
【カミキヒカル】
原作知識持ちの転生者。人生ゲームでは子供にも名前つけるタイプ。
【リョースケ】
原作知識持ちの転生者。腐れ縁共の中で唯一運転免許証を持ってる。なんなら船舶免許も持ってる。
【田中 太郎】
原作知識持ちの転生者。コスプレ衣装はコイツの手作り。
次回:念願/価値