プロヒーロー御用達の町工場   作:エドモンド橋本

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 主人公にとって13号は恩師であると同時に友人に近い存在。特殊な距離感だが、それが逆に心地良いと感じてもいる。

 13号をディスる時は、吸い込みくらげと呼ぶ。


口喧嘩

 

 

 「良かったですね、大好きなリューキュウに会えて」

 

 「はぁ」

 

 かれこれ30分こんな感じだ。あの後黒瀬さんに関係者室に連行されて床に正座させられた。別に何をするでもなくブツブツとなんか言ってるが、俺にどうしろと言うのだろうか。

 

 「好きなんですもんね、リューキュウが」

 

 「まあ」

 

 「在学中から言ってましたもんね」

 

 「そっすね」

 

 「ふ〜ん」

 

 めんどくせ〜。どうすりゃ良いんだよ。もう正解が分かんねえよ。俺雄英のサポート科出身だぞ?まともなコミュニケーション取れねえんだからさあ。

 

 「あの、これ何の時間ですか?」

 

 「……生徒指導です」

 

 俺もう卒業して4年経つんだけど。え?今更生徒指導受けなきゃいけねえの?

 

 「昔から思ってたんですよ。君は女性に対しての接し方に難があると」

 

 何で俺社会人になってまで恩師にこんな事言われなきゃいかんのだ。

 

 「んな事ないと思いますけどねえ」

 

 「……ミッドナイト先生の寝込みを襲った君が」

 

 「ああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 何言い出してんだこの吸い込みくらげ!!!

 

 「あれは俺を眠らせて拉致したミッナイ先生が悪いじゃんか!!」

 

 「開発室に引きこもってた磁牧君も悪いですよ」

 

 「だからって何で自分の家に連れ帰るんだよ!!夜中に起きて知らない家に居たら夢かと思うじゃん!!」

 

 「夢の中なら、君は寝ている女性の身体をまさぐるんですか?」

 

 「……」

 

 そう言われたらぐうの音も出ない。実際夢じゃ無かったし。でもなあ、気になるのがミッナイ先生最初から起きてたっぽいんだよなあ。そろそろ危ないってとこでまた眠らされた気がするし。てか、あの事件は生徒には話は回らなかったけど、教師陣には知られたから余計タチが悪い。セメントス先生とか、エクトプラズム先生辺りは特に何も言わなかったが、相澤先生からは何故か同情された。あと、マイク先生とパワーローダー先生はずっと笑ってた。あの時にしばいときゃ良かったなと今は思う。まさか後輩に言いふらしてるとは思わなかったし。普通に叱ってくれたのは今思えばハウンドドッグ先生だけだったかな?まあなんて言ってるか全然分かんなかったけど。 

 

 「君は不純です」

 

 「何急に」

 

 「実際そうでしょう!磁牧君は学生時代から……」 

 

 始まった。こうなると長いんだよこの人。さてどうやって話を逸らすか。あ、つーかこの人、俺に対してあーだこーだ言う前に先ず報告してもらわなきゃいけない事があるよなあ。

 

 「黒瀬さんさあ」

 

 「何ですか、まだ話の途中」

 

 「身体、大丈夫なの?」

 

 「え?」

 

 なんか職場に復帰したとは聞いていたが、実際に復帰してから会ったのはこれが初めてだ。顔を見るに元気そうだけど本当に大丈夫か?

 

 「な、何ですか、まさかあの磁牧君が、心配なんて」

 

 「するでしょ。心配くらい」

 

 「あ、え」

 

 「黒瀬さんが俺をどんな奴だと思ってるか知らないけど、俺だってあんたが敵との戦闘で負傷したって聞いたら心配するよ。それも昏睡状態だって言うなら尚更ね」

 

 「う、で、でも!あの嫌味の様な伝言からは心配何て伝わりませんよ!!やはり君には女性の接し方に問題があります!!」

 

 「ああ、復帰早々食いすぎて前みたいにコスチュームのサイズが合わないなんて事が無い様気を付けて下さいってやつ?」

 

 「言わなくて良い!!!本当にデリカシーが無いね!!!」

 

 まあ雄英のサポート科出身何で。

 

 「でもさあ、悪いとは思うけど、昏睡するほどの重症なのに、あんな短期間ですぐ復帰しようとする人もどうかと思うんだよなあ」

 

 「いや、それは」

 

 若干言い淀む黒瀬さん。これは、形勢逆転かな?

 

 「まあ、気持ちは分かるよ。黒瀬さんはレスキューヒーロー《13号》だもんね」

 

 「……」

 

 「だからさ、俺は俺に出来ることをやろうって思ったわけ。どう?そのコスチューム、移動する際になるべく身体に負荷がかからない様にしたんだ。通気性も良くなっただろうし、何より軽量な上に頑丈。久々に徹夜して設計したよ」

 

 「うん、ありがとう。最高だよ」

 

 面と向かって礼を言われると少し照れ臭い。黒瀬さんから目を逸らす。あれだな、流れに任せて少々砕けて話しすぎた。

 

 「あー、その、何か偉そうに色々言ってすみません。普通にタメ口になってたし」

 

 「別に良いよ。その方が、色々言いやすいだろうし」

 

 「いや、ダメでしょ」

 

 「え?」

 

 「俺ももうガキじゃないし、今はもう教師と生徒じゃなくて、ヒーローと協力者。そこはちゃんと線引いて考えないと」

 

 「いや、まあそうなんだけどさ、ほら、なんて言うか」

 

 「何ですか?」

 

 「その、僕は磁牧君とさ、もっと」

 

 ウオオオオオオオオオオ!!!!!!と言うバカでかい歓声により、黒瀬さんの声は掻き消された。

 

 「うるっさ」

 

 「どうやら体育祭始まったみたいだね」

 

 雄英高校全体が揺れる様なこの感じ、懐かしくもあるが、俺がいた頃でも流石にこれほどでは無かった。やっぱ例の事件が影響してるのか。

 

 「じゃあ、僕は教員席にいるから、磁牧君もOBとしてしっかり後輩達を応援してね」

 

 そう言い残して黒瀬さんは出て行った。結局あの人は何で不機嫌だったんだ?まあ考えるだけ無駄なので、取り敢えず俺も部屋を出て、会場とは逆の、待機室に向かう。俺は今から寝る。別に後輩達の体育祭にそんな興味はない。強いて言うなら発目さんが何をするかちょっと気になるくらいだ。

 

 「久しぶりだな、磁牧」

 

 「おつかれさーでーす」

 

 暑苦しい炎を放つおっさんの横を通り抜け、られなかった。

 

 「……離してくんないすか、ガスコンロマン」

 

 「エンデヴァーだ、ふざけているのか?」

 

 やめてくれよ、リューキュウに会えた記念日を厄日にしてないでくれ。

 

 

 




 
 磁牧製作所社長の秘密
 社員によるタレコミ②

 川田
 甘いものが好きだと聞いた事があります

 溶ちゃん
 嘘か本当かは分かりませんが、雄英のど真ん中にクレーター作ったって噂ですよ

 元気
 社長野球やってた時セカンド守ってたらしいですよ!ホームラン打った事はないけど、バントめっちゃ上手くてスクイズで1試合4打点とった事あるみたいです!

 双葉
 社長ですか、う〜ん、社長のではないかもしれませんが、妹さんがベストジーニストのファンみたいで、以前仕事の依頼があった際にすごく羨ましがって来たって言ってましたよ

 研磨
 お父様と親子喧嘩になった時に気絶するまでボコボコにされたって前に言ってましたね

 アリア
 Capoにはプロヒーローの娘が友達にいる
 
 
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