プロヒーロー御用達の町工場   作:エドモンド橋本

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体育祭観戦開始

 

 

 会場に続々と生徒達が走り込んで来るが、正直誰が誰だか分からない。ミッナイ先生の一声で、予選通過者がモニターに映し出され、そこでようやく弟君を認識出来た。

 

 2位 A組 轟焦凍

 

 悔しそうでも、得意気でもなく、無表情で結果を見据える。特に何も思う事はないのか、はたまたそういう子なのか。表情豊かな冬美ちゃんの弟とは思えない子だな。まあ、彼女とは育ての親が違うようなもんだからな。しかし、結果は見事なものだ。ちゃんと見てないから分からないが、あのエンデヴァーの様子からして、炎と氷を自在に操れる個性なのだろう。俺は弟君が父親をどう思ってるかは知らないが、果たして素直に炎を使うかな?まああの顔を見るに、可能性は低そうだ。ただ。

 

 「もしもプライドに固執して使わないのなら、ヒーローには成れないわな」

 

 「あれ?社長寝るんじゃなかったんすか?」

 

 会場に映し出された結果を見ていると横に、たこ焼きに焼きそば、フライドポテト、その他色々抱えた解斗が立っていた。解斗から少し離れて、溶ちゃんと川田もやって来た。

 

 「社長、お疲れ様です」

 

 「休息は取られないんですか?」

 

 「ふあんはひかあわっはひはい」

 

 「ああ、気が変わってな。ちょっと観戦しようかなって。そんで解斗、お前は飲み込んでから喋れ」

 

 同期3人組は全く方向性が違うのに仲が良い。普段は解斗と溶ちゃんのバラシ屋コンビで動いていて、突っ走り気味の解斗を、溶ちゃんがブレーキ役として制御してくれている。川田は曲げ加工を1人でやる事が多く、修理の際にシゲさんとコンビを組むぐらい。あまり接点はなさそうだが、休日は3人で遊びにいく事も多いみたいで、今もこうして一緒に見て回ってるようだ。

 

 「3人とも楽しんでるみたいだな」

 

 「毎年テレビで見ているだけでしたが、こうして間近で見る事が出来て感動しています」

 

 「プロヒーローが沢山いますし、珍しく興奮してます」

 

 「マジ神っすよ!!可愛い女の子いっぱいいるし!飯は美味いし!雄英体育祭サイコー!!」

 

 やけにハイテンションな解斗。まあいつも何だかんだ頑張ってくれてるし、今日くらい羽を伸ばしてもらうか。

 

 「あ、そう言えば見てくださいよ社長これ!」

 

 何かを思い出した様にポケットからスマホを取り出した解斗。画面を軽く操作して、1枚の写真を俺に見せて来た。そこに写っていたのは、笑顔でピースをする解斗と、俺がつい1時間ほど前に会ったばかりのヒーロー。

 

 「リューキュウと写真撮って貰ったんすよ!ヤバくないっすか!?」

 

 スーッと頭が冷めていく。

 

 「俺本当はウワバミのファンなんすけど、生で見るリューキュウヤバいっすね!これは社長が推すのも分かるっすわ!ってえ、ちょ、なんすか?」

 

 俺は解斗に向けてスッと手を伸ばす。後退る解斗にゆっくりと近付きながら、笑顔を向ける。

 

 「大丈夫、安心しろ。痛いのは一瞬だ」

 

 「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!!!何で!?どしたんすか社長!!??」

 

 別にどうもしていない。ああ、俺は至って冷静だ。

 

 「社長すみません」

 

 「はい、一旦ストップです。このバカには俺達が言って聞かせますので」

 

 解斗は手を伸ばす俺の前に、川田と溶ちゃんが割って入った。2メートル程ある川田に肩を掴まれ、身動きが取れない。辛そうな顔をする川田に、逆にこっちが申し訳なくなってくる。解斗を引っ張って離れた溶ちゃんの方に目を向けると、コソコソと何か話しているが、ちょっと聞こえてくる。

 

 「……ろ。竜也さんからも、社長は同担拒否の厄介ファンだから、あまり目の前でリューキュウの話をするなって言われてただろ」

 

 えらい失礼な事言うてはりますなあ。え?俺そんなに厄介ファンだった?なんか虚しくなって来てマジで冷静になる。

 

 「川田、もういいよ」

 

 「あ、失礼しました」

 

 「社長、その、何かすみません」

 

 「うん、俺の方こそごめんな」

 

 恐る恐る謝罪する解斗。色々省みるとほとんど俺が悪い。と言うか大人気なかった。そうだ、リューキュウのファンならもっとクールに行こう。熱くなる必要はない。

 

 「では、社長も落ち着いた事ですし、どうですか?一緒に観戦しませんか?OBの解説付きってかなりレアな体験ですし」

 

 「おっ!良いじゃん!!さっきの件もこれでチャラにするんで、社長!!オナシャーッス!!」

 

 あんまり深く考えないのが解斗の良いとこでもあるが、にしても切り替え早すぎだろ。

 

 「はあ、まあ良いけどさ」

 

 解説って言っても、マイク先生が実況してくれてるし、そんなに意味があるとは思えないが。

 

 「2位の子、エンデヴァーの息子ですよね?」

 

 「3位の生意気そうな奴も、なんかテレビで見たことあるっすよ。何だったかな?」

 

 「ヘドロ事件」

 

 「あ、そうそう、それそれ。さっき見てたっすけど爆発とかめっちゃ派手な個性っすよね!悪人ヅラっすけど、あいつ結構人気出るかも」

 

 爆発ねえ。使い方次第とはいえ、活動出来る場所に限りがありそうに見えるが、実際どうなんだろうな。

 

 「次の種目何するか賭ける?俺、背渡りに500円」

 

 「地味だな」

 

 「これ雄英体育祭だぞ」

 

 「うちの母校のメインイベント何だけど」

 

 「それはごめん」

 

 「すまない」

 

 同期3人組がなんか言ってるが、流れ的にどうだろうなあ。俺がいた時は、いくつかのチームに分けて行う種目が多かったが、例えば。

 

 「騎馬戦とか?」

 

 俺の声と同時にモニターに映し出される騎馬戦の文字。3人がギュイン!と顔をこちらに向けてくる。怖い怖い。

 

 「マジっすか!よっ社長!!日本一!!」

 

 「流石です」

 

 「よく分かりましたね。背渡りはありえないですけど、俺はリレーとかその辺かと思ってました」

 

 まあ適当に言ったからそんな褒められる様な事でも無いけど。逆になんか恥ずかしくなって来た。

 

 「でも、雄英の騎馬戦って特殊なルールとかありそうっすね」

 

 「なーんて言ってたら説明入りましたね。なるほど、先程の順位から各自ポイントが割り振られると」

 

 「難しい。自身の個性にあった相手と組むか、ポイントを優先して組むか」

 

 「はあ〜、おっもしろい事考えますね!雄英は!」

 

 ミッナイ先生の説明を聞きながら頷く3人。会場中央にいる生徒達も大半が説明を聞き終える前に理解している様子だ。でもまあ、これだけじゃ終わらんよな。

 

 『1位に与えられるP(ポイント)は、1000万!!!!』

 

 「「「……」」」

 

 「バカなクイズ番組みてえなポイント配分は変わんねえな」

 

 ホント雄英こういうノリ好きだよな。

 

 

 






 磁牧製作所三人衆

 崔ノ目解斗(さいのめ かいと)
 個性《分解》
 高校 ヒーロー科
 趣味 ナンパ
 特技 レースゲーム
 好きなもの お祭り
 嫌いなもの 雨
 推しヒーロー ウワバミ
 
 熱又溶(ねつまた よう)
 個性《溶解》
 高校 医療・福祉科
 趣味 読書
 特技 読唇術
 好きなもの コーヒー
 嫌いなもの 冬
 推しヒーロー エッジショット

 川田曲(かわた まがり)
 個性《湾曲》
 高校 海洋科
 趣味 釣り
 特技 背泳ぎ
 好きなもの 海鮮丼
 嫌いなもの 嘘をつく人
 推しヒーロー オールマイト
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