プロヒーロー御用達の町工場   作:エドモンド橋本

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職場体験

 

 

 「今日から5日間、職場体験として共に行動する事になる息子の焦凍だ。全面的に俺が見る。お前達はいつも通り活動しろ」

 

 サイドキック達の前でそう報告するエンデヴァーの隣には、例の弟君。顔から緊張が伝わってこないあたり、相当な自信家か、肝が据わっているのか、はたまた通過点としか考えていないのか。

 

 「雄英高校1年A組、轟焦凍です。宜しくお願いします」

 

 拍手と宜しく!と言う声に包まれてもなお、弟君の表情に変化はない。クールだね。俺の時とは全然違う。

 

 「……」

 

 「ん?」

 

 一瞬、彼と目が合った。しかしすぐに目を逸らしたあたり偶然か。

 

 「高校生であのクラスのイケメンって、世の中理不尽ですね」

 

 「本当にな、あの親父からあの息子とはこれ如何に」

 

 「聞こえているぞ磁牧!!!」

 

 お〜怖。冗談じゃん。小せえ男だな。周り見ろよ、笑ってんのバーニンだけだけど。

 

 「ではこれより俺は焦凍と共にパトロールに向かう。バーニン、キドウ、オニマー、ついて来い。他の者は待機。何かあればすぐに知らせろ。では解散!」

 

 エンデヴァーが炎のサイドキッカーズと弟君を連れて出て行こうとしているとこに、いつも通り声をかける。

 

 「バーニン、頑張ってな」 

 

 「ああ!今日も悪い奴ら取っ捕まえてやるよ!」 

 

 「……」 

 

 だからこっち見んなガスコンロマン。とっとと行け。エンデヴァーから顔を背けると、何故か再び弟君と目が合った。

 

 「あ、おと、焦凍君も頑張ってね」

 

 「はい、ありがとうございます」

 

 何となく、気まずくてそう声をかけると、弟君は一瞬目を見開いて頭を下げた。何か俺に思う事があるのだろうか?雄英生としては先輩だが、優等生な彼と、認めたくないが問題児と呼ばれていた俺では全然違うし、彼はヒーロー科、俺はサポート科だ。一体何が。

 

 「「俺達は?」」

 

 「え!?あ、キドウさん、オニマーさんも頑張って」

 

 「「おう!任せとけ!」」

 

 「……」

 

 何なんだよここのサイドキックは。余計に視線が鋭くなるガスコンロから目を逸らす。無視だ無視。目を合わせたら面倒な事になる。

 

 「「……」」

 

 今度は近くから感じる視線。ガスコンロマンとは違う可愛らしい視線。

 

 「平島君、アリアさん、今日も一日頑張ろう」

 

 「はい!精一杯頑張ります!」

 

 「ガンバリマス!」

 

 2人共気合い充分な様子。思わず犬みたいに尻尾をブンブン振ってる様に錯覚してしまう。ウチの社員の中じゃ新米だから、解斗や溶ちゃんからも可愛がられてるし、ベテラン組も何かと気にかけている。まあ、愛され体質なんだろうな2人共。

 

 「昨日に引き続き、破損部の部品交換を教えるよ。それが終わったら、今度は分解から一通り2人でやってみようか」

 

 俺の指示に2人は再び元気よく返事をして準備に向かった。俺もその後ろ姿に続こうとすると、スマホに一件のメッセージが入った。

 

 「あ〜、そういえば言ってなかったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「磁牧、さん」

 

 「お、焦凍君お疲れ様」

 

 エンデヴァー事務所の前に停めた車の前でスマホを弄っていると、弟君が制服姿で出て来た。

 

 「何で」 

 

 「あれ?姉ちゃんからメッセージ来てなかった?」

 

 「姉さんから、あ」

 

 急いでスマホを確認する弟君は、メッセージに気付いたのか、俺とスマホを交互に見ている。

 

 「姉さんと、同級生だったんですね」

 

 「小中一緒でね。ま、その辺の話は後で」

 

 助手席のドアを開いて弟君を誘導する。事情を理解した弟君は、すんなりと車に乗った。シートベルトを着用した事を確認して、目的地へと車を走らせる。

 

 「どうだった?親としてじゃなくてNo.2ヒーローとしてのエンデヴァーは」

 

 「……凄く、遠くに感じました。判断力と勘の良さ。俺にはないものを確かに持っていた」

 

 悔しそうに、それでも下を向かずに呟く弟君の顔は、高一とは思えない程凛々しいものだった。

 

 「そうか。まあ、姉ちゃんから色々聞いてる限り、君はあの人を恨んで当たり前。それでも、職場体験にエンデヴァー事務所を選んだ。そして自分とあの人との距離を感じた。成長は受け入れることから始まる。自分の弱さ、超えたい存在の持つ強さ、足りないもの、必要なもの。それらをプライドを捨てて受け入れる。難しいことだ。でも、君は今日エンデヴァーの強さを受け入れた。あとは、あの人を好きなだけ利用しな」

 

 「利用、する?」

 

 「ああ、あの人実力と実績は確かだからな。敵退治も救助も、トップクラス。それに、努力の仕方は誰よりも知っている。見て盗めなんて古いかも知れないけど、利用出来るもんはたくさんあるはずだ。自分の理想の為に、あの人を利用すりゃ良いのさ」

 

 俺だって何度も利用して来た。親父の職人としての技術。雄英サポート科で学んだ技術。一流企業の技術。色んなものを、盗んで、利用して、自分のものにして来た。俺が理想の技術者になる為に。いつか、世界をぶっ壊すような発明をする為に。

 

 「ま、好きにやんなよ。まだ学生なんだからさ」

 

 「何か、先生方から聞いていた人とは違いますね」

 

 「……ちなみに天下の雄英高校教師陣は俺の事を何て?」

 

 「狂人、マッドな発明家、破壊神、ピンの抜かれた手榴弾、ギリ捕まらないタイプの犯罪者、卒業させるかどうかを6時間議論した、など。今親父の事務所で仕事してるから気を付けろって言われました」

 

 「へ〜、まあ、10%位は、あってたり、あってなかったり、かな?」

 

 なんて失礼な教師共だ。もう仕事頼まれても断ってやる。

 

 「でも、今日話してみて凄いしっかりした人だなって思いました。それに、雄英体育祭で親父とのレース見た時から凄い人なんだなって」

 

 「へ?何で?」

 

 凄いも何も俺エンデヴァーに負けたんだけど。

 

 「親父が磁牧さんを追い越す時、一瞬ですけど、本気を出してました。それに、今日言ってました。あいつは、俺が本気じゃなかったって言っていたが、あいつも本気じゃなかったって」

 

 「何言ってんの、本気だったよ。エンデヴァー相手に手抜いて勝てるわけないじゃん」

 

 「……本当ですか?」

 

 疑うような目を向けて来るが、本当なんだから仕方がない。俺はあの時、あれが本気だった。俺の力を最大限発揮するには環境を整える必要がある。だから、あの時はあれが限界。

 

 「さて、そろそろ着くよ」

 

 「はい」

 

 住宅地を走り抜けると、一軒の豪華な日本家屋が見えて来た。相変わらずデカい家だな。

 

 「家の前停めていい?」

 

 「はい。大丈夫です」

 

 「じゃあ、先に降りて姉ちゃんに知らせてくれる?」

 

 「分かりました」

 

 門の前で一度弟君を降ろして、俺は家の前の邪魔にならない位置に車を停める。車をロックして、数歩の所でパタパタと歩いて来る音が聞こえた。スッと門から出て来た女性は、俺を見て穏やかな笑みを浮かべた。

 

 「こんばんは、一年振りかな?」

 

 「うん、久しぶりだね。鋼星君」

 

 同級生は、前会った時よりも大人びて見えた。

 

 

 






 社長の友達

 1.気勝天成(きしょう てんせい)
 ヒーロー名《ウェザーカーニバル》
 個性《気象制御》
 所属《浮世》
 鋼星との関係《自称大親友。鋼星の強さに惚れ込んで、一緒にヒーローになろうと誘った。本人がヒーローになる気はないと知ると、無理には誘わず、友達としての関係を保つようになった》
 
 2.影山蒼華(かげやま そうか)
 ヒーロー名《影狼》
 個性《影縫》
 所属《浮世》
 鋼星との関係《自称鋼星の彼女。鋼星をヒーロー科に編入させようとした。開発室に引き篭もる鋼星を何度も影縫で縛り上げて連れ出した》

 3.銃央寺弾炎(じゅうおうじ だんえん)
 ヒーロー名《トリックバレット》
 個性《銃》
 所属《浮世》
 鋼星との関係《悪友。鋼星にレールガンの撃ち方を伝授した》
 
 4.豚島三郎(ぶたじま さぶろう)
 個性《豚》
 所属《豚島金属株式会社》
 特技《歌》
 鋼星との関係《中学時代の友人。初対面の鋼星から、誰かに対してすげえ失礼な名前だなと言われ、その発言が俺に対して失礼だろ!と喧嘩して引き分ける。その後は、成人した今でも2人で飲み歩きをするほど仲良しになる》

 5.強屋運今(きょうや うんこん)
 個性《強運》
 所属《デトネラット社》
 特技《ポーカー》
 鋼星との関係《鋼星行きつけの雀荘で知り合う。麻雀では負け知らずの鋼星に7勝し、その後仲良くなる。今もなおちょこちょこ遊ぶ程仲が良い》


 
 

閑話アンケート2

  • 13号の特別授業
  • ミルコとチームアップ
  • リューキュウの1日ボディガード
  • 冬美と買い物
  • ファットガムと食べ歩き
  • エッジショットと忍者屋敷
  • ベストジーニストによるヘアメイク
  • ホークスと空中デート
  • エンデヴァーとサウナ
  • オールマイトとお昼ご飯
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