プロヒーロー御用達の町工場   作:エドモンド橋本

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協力関係

 

 相変わらずバカでかい扉を3回ノックすると、部屋の中から高いのか低いのか分からない声が聞こえた。

 

 「ふぅ、失礼します」

 

 一言挨拶をしてから扉を開けて中に入ると、机の上に立っているネズミだが熊だか分からん白いのが手を振ってた。

 

 「やあ磁牧君!久しぶりだね!」

 

 「根津校長、ご無沙汰してます」

 

 そう、これが天下の雄英の校長。正直見た目的にはパッとしないが、頭ん中は誰も理解出来なくらいとんでもない事になってる。なんかやたら黒い噂とか流れてたしな。正直敵に回すのは避けるべき相手。そんな人、じゃねえか動物?から卒業して4年経った今連絡が来るのは正直恐ろしくて仕方ない。

 

 「元気そうで何よりだよ」

 

 「校長も、お変わりないようで」

 

 「まあね!とりあえず座って話そうか!」

 

 校長の言葉に頷いて、ソファーに座る。反対側にちょこんと座った校長の表情は未だに読めない。これから何を言われるのか、怖くて仕方がない。

 

 「先日は3年生のレスキュー訓練へのアドバイスありがとね!おかげで順調に進んでるよ!」

 

 「へ?あ、ああ、はい。それなら良かったです」

 

 プッシーキャッツが押しかけて来たあれか。原案に良いんじゃない?って言っただけだけど。まあ下手な事言う必要ないし、別に良いか。

 

 「仕事は順調?」

 

 「ええ、おかげさまで」

 

 ホント、オカゲサマデ。

 

 「それは良かった!卒業生の幸せが1番だからね!」

 

 「ハハ、アリガトウゴザイマス」

 

 もう何て反応すれば良いか分からん。こう言う前置き要らないんだよなあ。何て考えていると、校長が突然頭を下げ始めた。

 

 「は?」

 

 「磁牧君、君に頼みたい事がある」

 

 「ちょ、ちょっと!何やってるんですか!!頭上げてくださいよ!!」

 

 怖い。校長が頭下げるとかマジ怖い。直ぐに校長の方に身を乗り出して頭を上げさせる。

 

 「何の事か分からないですから、まず話を聞かせて下さい」

 

 「うん、そうだね」

 

 元の姿勢に戻った校長は、俺に頼みたいと言う事について話し始めた。現代のヒーロー社会はこれから大きく変わる。その為、例年以上に優秀なヒーローを育成する為に、雄英は今までよりも多くのヒーローや企業と協力関係を結びたいらしい。言いたい事は理解したけど、正直気になる点が多い。何故そんな事で俺に頭を下げる必要があったのか、何故俺なのか、何故ヒーロー社会が大きく変わると断言出来るのか。最後に関しては、多分何か隠してる。それに、俺みたいな一般人には到底理解出来ない事だろうしな。

 

 「君が優秀な技術者だという事は既に分かっている。だから、もしもの事が起きた際に、我々に協力をして欲しいのさ」

 

 「天下の雄英に、もしも、か。それは最早、異常事態が起きると確信しているのでは?」

 

 「最悪を想定するのは当然の事だよ」

 

 「……ウチは小さな町工場です。雄英の協力者に相応しくない。優秀な技術者なら、選びたい放題でしょうよ。俺じゃなくても良い筈だ」

 

 俺の言葉に下を向いてしまった校長。これ、論破したか?俺が?あの校長を?自分で言っておいて若干混乱していると、再び校長が口を開いた。

 

 「そう言えば、磁牧君は在学中、香山君のむ」

 

 「喜んで協力させて頂きます」

 

 「ハハハハ!そうかい!嬉しいよ!」

 

 脅して来た。このネズミ脅して来やがった。まさか俺の過去掘り返してくるとは。それでも天下の雄英かよ!!ここでミッナイ先生出してくんのは卑怯やろがい!!

 

 「うんうん!それでこそ磁牧君だよね!」

 

 わざとらしい笑い方をするクソドブネズミ。しかし、こんな薄汚い手を使ってまで俺を取り込みたがるのは気になるとこだ。

 

 「またこちらから連絡するよ!今日はわざわざ来てくれてありがとね!」

 

 「スー、では、失礼します」

 

 やっぱ断りてえわ。腹立つわこのネズミ。ブンブンと手を振る校長に一礼してから校長室を出る。

 

 「んとにあのネズミめえ〜」

 

 「あら?磁牧じゃない」

 

 「ん?ゲッ、ミッナイ先生」

 

 校長室から退室した俺の前に現れたのは今1番会いたくなかった人。18禁ヒーローミッドナイト。腕に抱えてる教材のせいで何がとは言わないがやたらと強調されている。

 

 「再会早々ゲッとは失礼ね」

 

 「はあ、すみません。お久しぶりです。ミッドナイト先生」

 

 「そう、それで良いわ。さて、じゃあ磁牧、これを資料室に運んでちょうだい」

 

 「ん?は?え、何で!?」

 

 いきなり俺に持ってた教材を押し付けて来たミッナイ先生。そのまま俺の前を歩き始めた。

 

 「俺部外者っすよ!これから帰るとこだけど!」

 

 「あら?恩師の頼みを断るつもり?」

 

 体が密着する程近寄って来るミッナイ先生。やたらと良い匂いがする。払え!邪念を払え!落ち着かせろ!褌姿のエンデヴァーでも想像しろ!あ、ヤバい吐きそう。

 

 「せ、先生が良いなら別に構わないっすけど」

 

 「良いわよ別に。卒業生だし問題無いでしょ」

 

 「まあ、わかりました。手伝いますよ」

 

 「うんうん!じゃあ行くわよ!ついでに近況報告でもしなさい!彼女出来た?」

 

 「いきなりぶっ込んで来ますね」

 

 やたら機嫌の良いミッナイ先生と共に4年ぶりの雄英校舎を歩く。資料室目前でコスチューム姿の黒瀬さんに出会ったが何故か俺の足を踏んで去っていった。何だったんだ?

 

 

 

 

 

 

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