宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム 作:ひいちゃ
Re:Act.01『オデッサの目覚め』
俺が目を開けると、そこに飛び込んできたのは……。
ビキューン! ズバッシュ!! ダダダダ……。
大規模な戦いが繰り広げられている有様と……。
―――な、なんですか、あなた!? いきなり私の頭の中に現れたりして!
聞こえてくる女の子の声だった。
―――いや、そんなこと言われたって困るよ。俺だってどうしてこんなことになってるか……。
と、そこで俺は気が付いた。レーダーモニターに、後方から迫ってくる敵機を表す光点が映っているのを。
―――ちょっと待て。後ろから敵が来るぞ、気をつけろ!
―――え?
本当は俺がこの身体を動かして回避させたいところだが、悲しいことに指先一本も動かせないんだよなぁ……。
でもかろうじて、『彼女』が乗る機体は、後ろから斬りかかってきたMS……あれは……グフか?を回避して、ビームサーベルでその敵を撃破することに成功した。
―――あ、ありがとうございます……。あ、そ、それでもそれとこれとは話が別です!
―――はぁ……。
いや、一体、どうしてこうなった!?
* * * * *
ガンダム好きで、中でも1stが一番好きだった男子高校生の俺は、三日三晩、ファーストの劇場版三部作をリピートして視聴するという暴挙をしている途中で、突然意識を失った。
そして、真っ白な空間で、神様みたいな存在から転生するからどうのこうのと言われ、そしてこの世界……どうやら、一年戦争当時の宇宙世紀世界に転生した……のだが。
どうやらその転生は失敗したみたいだ。意識はこの宇宙世紀世界にはあるが、身体は元の持ち主の人格ががっちり支配していて、俺は指一本動かすこともできない。ただこの身体を見てるものを見て、聞いているものを聞き、ただ傍観するのみ。一応、持ち主の人格と会話することはできるみたいだが。
いや、ほんと、どうしてこうなった!?
* * * * *
そして、やがてこの身体についてもわかってきた。なんとこの俺が転生しそこなった人物、女の子でホワイトベース隊の隊員らしい!
あのマチルダさんが補給しに来た時に、補充要員として一緒に来た少年兵らしい。
名前は、ソフィー・リオノウンズ。年齢は15才。アムロと同じくらいの年代だ。この年で、連邦に志願するなんて大したものだ。
―――そ、それほどでもないです……って、そんなんじゃごまかされませんからねっ!!
俺の地の文に突っ込みを入れるなよ……。
それはともあれ、15でMSの操縦訓練も受けてきた、という。なんでも、連邦の軍施設で、ジム初期型(いわゆるE型という奴だ)で訓練を積んできて、今乗っているこのMSも、その初期型らしい。まぁ、人間、乗り慣れてるのが一番だからなぁ。
―――のんびりと誰に向かって言ってるんです!? こっちはこっちで対処大変なんですからね! 出ていくつもりがなければ、せめて、こっちの手助けもしてください!
……怒られてしまった。仕方ない。出ていくあてもないし、出ていく方法もないし、手助けできる限りは、手助けしてやるか。
そして、俺は四方八方に気を配って、ソフィーに注意しながら共に戦い続けた。
接近してくるザクをビームサーベルで横一文字に切り裂き、ビームスプレーガンで、迫りくるグフを撃ち抜いていく。
さすが訓練しているだけあって、確かにアムロよりは劣るが、カイやハヤトと同等レベルには戦えるようだ。まぁ、俺のアドバイスのおかげもあるかもしれないが。
―――来るぞ、ソフィー。5時の方向からザク1機!
―――はい!
ソフィーのGMが振り返り、そのザクが撃ってきたザクマシンガンを、ジムシールドで防ぎ、敵が射撃をやめて接近してきたところで、ビームスプレーガンを発射! ザクはそれもかわして、上空から斬りかかってくる! ソフィーは後ろに飛びずさって、それを交わしてビームサーベルで反撃! コクピットにそれを突き刺して沈黙させた。
―――またグフが来たぞ! 9時の方向だ。気をつけろ!
―――わかりました!
そして、その量産型グフも撃破に成功。
* * * * *
その戦いに、ホワイトベースのブライトとミライが目をみはる。
「ソフィーのGMの動き、かなりのものだな……。確かにGMの習熟訓練を受けていたとはいえ……」
ブライトの言葉に、ミライもうなずいてこたえる。
「えぇ。今までもそれなりの働きはしていたけど、あれから動きがまた変わったわ。敵の動きがすべて見えているような……」
「あぁ。もしかしたら彼女もニュータイプに目覚めたのかもしれんな」
そう感心しながら、アムロやソフィーの戦いを見つめる二人。
だがその二人とは別に、別の場所からソフィーの戦いを見つめる男がいた。
それは……。
* * * * *
―――ソフィー、また来るぞ! 今度は正面、0時からだ! ……って何だ、この速度!? こんなの普通のMSじゃありえねーぞ!?
―――え!?
そして、まるで航空機のような速さで接近してくる敵機。やがてそれは映ってきた。
「あれは……グフ?」
そう、ソフィーがつぶやく。そう、それはグフだった。でも、それはただのグフではなかったのだ!
* * * * *
向かってきたのは、グフはグフでも、グフカスタムだった! さらに、ただのグフカスタムではない!
背中に、ガンダムSEEDシリーズに出てきた、
ちょっと待て待て! ノリスさんが飛行できるグフカスタムに乗ってくるなんて無理ゲーだろ! フライトタイプに乗った時でさえ、シローが奮闘したけど、ビッグトレー落とされたんだぞ!
と軽くパニックになったのだが、乗っていたのはノリスさんではなかった。さらに最悪な何かだった。
「ふふふ、流れ、流れてオデッサまで来たが、ここで闘いの匂いを感じさせてくる奴とまみえるとはな!」
通信で聞こえてきた声は、本来ここにいるはずがない男の声だった。
えええええ!? ランバ・ラル!? ランバ・ラルナンデ!?
―――あのー……ソフィーさん? もうランバ・ラルは倒したはずなのでは?
原作通りであれば、中央アジアあたりで彼はお亡くなりになっているはずなのだが……。今、オデッサ作戦の最中であれば、彼は存在していないはず……。だが、現実は無情であった。
―――それが……彼のグフを倒したのはいいんですが、彼本人は取り逃がしてしまったんです……。
いや、その後にホワイトベースに潜入してませんでしたか!?と聞こうとしてやめた。これからパートナーにある相手だ。疑いを持たれることは言わないほうがいい。
おそらくは、ホワイトベースへの潜入がなかったか、潜入したけど、重傷を負って自爆することなく無事に脱出できたか、それとも史実が変わって、彼にドムが与えられたか……。いや、あのグフが補給物資だったという可能性もあるな。
そう言っている間に、ラルのグフは、右腕をまげて、何かを投げつける態勢をとった。
やばい! 何かはわからないけど、やばい気がする! 多分グフ・カスタムということは、ヒートワイヤーだろうが、それよりやばい気がする!
―――やばい、よけろ!
―――は、はい!
ソフィーがGMを回避させる。それと同時に、腕を振り下ろしたグフから何かが放たれた! それがジムシールドの先端をかすめたと思うと、シールドの先端がすっぱりと切れたーーーー!?
これは……ヒートワイヤーじゃない!?
「やはり、私が目を付けた通りだったな。カッターワイヤーの攻撃をかわすとは。木馬には、あの少年の他にも手練れがいるようだな」
あの……手練れじゃないですし、たまたまかわせただけですし。でも、カッターワイヤーってことは、糸がカッターでできているのか? それは喰らったらやばいな……。
そう思っている俺たちをよそに、グフは再びカッターワイヤーを放った。かろうじてこれを回避。と思ったら、グフはヒートソードを抜き、こちらに突っ込んできた!
ビームサーベルで、あちらのヒートソードを受け止める! やはり、パイロットの腕もMSのパワーもあちらが上なのか、つばぜり合いで押されてしまう。
でも、ソフィーはそれなりに乗り慣れてるということか、グフに蹴りを入れて吹き飛ばす。
「ははは、楽しませてくれるな!」
グフカスタムは後退しながら左腕のガトリング砲を発射! ソフィーはシールドを構えながら横に飛んでそれをかわす。
そこできらりと光る何か。
―――気をつけろ、またカッターワイヤーがくるぞ!
―――は、はい……きゃっ!
しかし交わしきれずに、左腕に直撃をもらった! 左腕が手首から切断されて爆発する。
その衝撃で機体が大きく揺れる。ソフィーが身体を激しく撃ちつける。
―――くぅ……!
―――だ、大丈夫か……?
―――は、はい、なんとか……。
だが、奴は俺たちに休む暇なんか与えてくれなかった!
―――上からくるぞ。逃げろ!
―――はい……!
上空からグフカスタムがガトリングを斉射してきた! 慌てて逃げ出す。
* * * * *
本当に大苦戦だ。敵は空を飛べるうえに、ヒートソードにカッターワイヤー、ガトリングと、変幻自在な攻撃で仕留めにくるのだ。対してこちらはごく普通の量産型のGM(しかもE型)に、一般兵+戦ったことがない意識体のにわかコンビ。これで勝てなんて無理ゲーだ。
とはいえ、このまま負けるのは癪に障る。せめて、一太刀ぐらいはやってやりたいのだが……。動きを止めることができれば……。そうだ!
そこに珍しく、ソフィーのほうから、俺の意識に声をかけてくれた。やられっぱなしは嫌というのは向こうも同じらしい。
―――あの……どうしたらいいでしょうか? 私、このまま負けるのは嫌です。
―――俺だって負けるのは嫌だよ。一つだけ手がある。賭けてみるか?
―――はい……!
そしてソフィーのGMは、その場で立ち止まり、ビームサーベルを構えた。
「いくぞ!」
グフカスタムが空中からワイヤーカッターを放った! ソフィーはそれをあえて、さっきやられた左腕に巻き付かせる。
「ぬぅ!?」
ここからは時間の勝負だ。GMはその左腕を引っ張って、グフをこちら側に引き寄せる。奴は態勢を崩し、こちらに落ちてきた! そこが狙い目だ!
「ええぇぇぇぇいっ!」
ソフィーのGMの渾身のビームサーベルでの一撃! しかし!
「思い切った手を取ったな。だが、残念だったな」
「!」
ランバ・ラルはそれを……ソフィーの必殺の突きを紙一重でかわしたのだ。
そして左腕に装備されたガトリングを構えようとした……その時!
ボン! ボン! ボン!
オデッサの、ジオン軍陣地のほうから花火が揚がる。あれは……撤退信号?
それを見て取ると、ランバ・ラルのグフは腕につながったワイヤーを切り離した。そして。
「もう少しで倒せたのだがな……。さらばだ、MSのパイロット。次に出会う時には、もっと強くなっているのだぞ!」
そして、折りたたまれていた背中の飛行ユニットを展開して去っていった。どうやら、ジオンの核ミサイルは、すでにアムロのガンダムが撃破してくれたらしい。
その中、GMが膝をついた。ソフィーも疲れ果てたかのように、シートでぐったりしている。
―――あー、その……大丈夫か?
―――はい……あの……ありがとうございました。あなたがいなければ、私は今頃、やられていたと思います。
―――いや、俺だけの手柄じゃないさ。お前の操縦センスがなければ、どうにもならなかったからな。これからよろしく頼むぜ……相棒。
―――はい、こちらこそ……。あ、わ、私はまだ、あなたを相棒と認めたわけじゃっ。
―――はいはい……。
そう脳内で会話を交わしながら、俺たちは打ち上げられ、オデッサから脱出していくザンジバルやHMVを見送ったのだった。
* * * * *
さて、オデッサの戦いが終わって、これで一件落着……とはいかなかった。
もうくたくたになった俺たち……というか、主にソフィーはシャワーに入ることにしたのだが……。
―――あの……。
―――ん、なんだ?
―――いつまで意識を向けてるつもりなんですかっ。恥ずかしいじゃないですか!
顔を赤面させて、とても恥ずかしそうにそう言ってくる。
そう、意識を開けてる限り、ソフィーの見ているものは俺にも見える。ということは、その、つまり、シャワーの間、彼女の裸も……。
―――パートナーさん?
―――はい、わかりました。
まぁ、俺は別に覗き魔というわけではないしな。やれやれ、でもこれから色々大変なことになりそうだ。
* * * * *
そしてその夜。俺たちはホワイトベースの私室で眠っていた。
ソフィーの意識も、この戦いの疲れからか、ぐっすり眠っている。しかし、一方の俺はというと、あまり眠れなかった。
それは、シャワーからあがったばかりのこと。
アムロから教えてもらったあのミサイルのことが頭に残っていたのだ。
どうやらそのミサイルは、ただの核ミサイルではなかったようだ。だが、着弾すれば核レベルの被害を招くことは確実なようで……。
アムロたちにはそのミサイルについて、まったく心当たりはなかったが、あることから俺には、そのミサイルについて思い当たりがあった。
その手掛かりは、ミサイルに書かれていた「P.D.M」の文字。
―――P.D.M……まさか、プラズマ・ダイバー・ミサイルか? しかし、なんで
その謎に俺は、この世界が既に何者かに改変されたことを感じずにはいられなかった……。
戦場から去ったはずのシャアが再び戻ってきた。潜水艦隊の司令官として。
その作戦と戦闘能力の前に、ソフィーたちの運命は?
Re:Act.02『シャアの帰還』
君たちは生き延びることができるか?
※次の更新は、10/28 13:00の予定です。お楽しみに!
テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?
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受け継いでてほしい
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受け継いでてほしくない