宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム   作:ひいちゃ

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宇宙世紀0079、サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に宣戦布告した。
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。


2nd Season
Re:Act.14 『強行突破!』


 地球の衛星軌道上に停泊しているザンジバル級機動巡洋艦ラグナレク。

 そこで所属MSのチェックをしていたシャア・アズナブル大佐はあることに気づいた。傍らの副官に振り向いて問う。

 

「副官。リストと、格納庫内の戦力とに食い違いがあるように見えるのだが」

「は? そ、そうでありますか?」

 

 副官の額に流れる一筋の冷や汗。それをシャアは見逃さなかった。

 

「この、グルドリンとかいうMA、格納庫にないようなのだが」

「は、も、申し訳ありません……その……」

 

 看過できないことをしたという自覚はあるのだろう。動揺しながら言いよどむ副官に、シャアはため息をついて助け舟を出すことにした。これも上司の資質なのだ。

 

「大勢に影響のないことなら、多少は私のところで握りつぶすこともできる。とりあえず話してみてくれないか。そうでなければどうにもならん」

「はっ……実は、ジャブローでフラナガン少佐が戦死されたことを受け、それを聞いたデミトリー少尉が敵討ちにと……」

「そうか。デミトリー少尉は、フラナガンのかつての部下だったな」

「はい。それで私も、少尉の仇討ちをしたいとの想いに絆されまして……」

 

 かくして、デミトリーは勝手に出撃し、副官はそれを黙認してしまった、とシャアは得心した。

 それを聞き、シャアはため息をつくと、かすかに微笑んだ。

 

「そうか。それなら問題はない。元々私のところに試験配備のために持ち込まれた先行試作型だしな。近々実戦試験をしようと思っていたところだからちょうどいい。……だがな」

「な、なんでありましょうか?」

「それならそれで私のところに、事後報告でいいから教えてほしかったな。私の器はそんなに小さくないつもりだよ」

「はっ、も、申し訳ありません」

 

 そこでシャアは表情を引き締めた。

 

「この件は私のところでもみ消すことにするが、この件がなかったことにはならんぞ。この借りはいつか返してもらう」

「はっ」

 

* * * * *

 

 一方、俺とソフィーたちは、ホワイトベースに代わる艦、ペガサスJrで宇宙に上がってきていた。

 

 だが、眼下の地球の美しさに見とれている暇はないらしい。宇宙に上がるやいなや、敵襲のアラームが艦内に鳴り響いたのだ。

 

―――さっそく敵襲かよ! 忙しくて仕方ないぜ。戦う俺たちの身にも……。

―――居候さん! 戦うのは私です!

―――わ、わかってるよ……。

 

 そして格納庫に飛び込み、宇宙に出るにあたって新しく与えられたジム・コマンドに乗り込む。何しろ、上位機種だからいい戦いができそうだ。

 

 見ると、すでにアムロのガンダムが出撃したあとだった。それから、カイとハヤトのガンキャノンが発進し、そしてソフィー(と俺)の出番が来る。

 

「ソフィー、ジム・コマンド、行きます!」

 

* * * * *

 

 Gファイターで出撃したセイラは、ペガサスの周囲を飛行しながら警戒にあたっていた。

 その時だ。

 

「!?」

 

 前方、はるか遠くに、彼女が良く知る人物の気配を感じたのだ。そこでセイラは表情を曇らせる。

 

「キャスバル兄さん……兄さんはまだ……」

 

 戦いに、ザビ家への復讐に身を置いているのか……。 

 

 そこにビームが飛んできて、セイラは慌ててGファイターを回避させた。

 

* * * * *

 

 アムロのガンダムとともに、ペガサスの前面で待機していると、やがて敵影が見えてきた。

 だがその姿を見て、俺は戦慄する。

 

 なぜならそれは―――!!

 

―――気をつけろソフィー! あれはとんでもないやつだ!!

―――居候さん!?

―――あいつは、すさまじい突進力と防御力で強烈な体当たりを仕掛けてくる。直撃で食らったら、下手したら一撃でやられるぞ!!

―――は、はい!

―――みんなにも警告しておいてくれ!

 

 そう、あのMAはグルドリン。ガンダムAGEの敵勢力・ヴェイガンが戦争の末期に開発した機体だ。

 ツボみたいな本体に、ドリルと細い腕がついただけというアレな見かけにだまされてはいけない。その突進力が生み出すドリルの破壊力はかなりのものだし、両腕はMSをも引きちぎれるほどのパワーを誇る。

 旋回力が劣るから横に回られると弱いが、あの機動力だ。パイロットが手練なら横に回って攻撃するのが一苦労だ。甘く見ていると、やられるのはこちらのほうかもしれない。

 

 あ、さっそく、ハヤトのガンキャノンが突撃食らってふっとばされた。損傷度合いは大したことなさそうだが……。

 

「ハヤトさん、大丈夫ですか!?」

「あ、あぁ。でも、とんでもない奴だ……。ガンキャノンじゃなければやられてた……。みんなも気をつけろ!」

「はい!!」

「小回りが効かないようだな。なら!!」

 

 そこにカイのガンキャノンがビームライフルやキャノンを乱射する。だが。

 

「ちきしょう、速すぎてあたりゃしねぇ!」

 

 グルドリンはそのビームや砲弾をかいくぐり、こちらに旋回し突っ込んできたのだ!

 

「きゃあ!!」

―――くっ……!

 

 回避しようとするが、回避しきることはできず、左腕を吹き飛ばされて中破してしまう。しかし、コクピットに直撃をもらわなかっただけでも幸いだろう。

 

 そしてそのグルドリンはペガサスの後方で旋回し、今度はガンダムに向けて突進する。

 

「アムロさん!」

「……」

 

 しかし。

 アムロのガンダムはその攻撃をギリギリで回避した。そしてそれと同時にその機体にビームサーベルを突き刺したのだ。

 

 そしてすれ違ったグルドリンに後方からビームライフルを発射!!

 

 ボディをビームサーベルで貫かれたグルドリンは、とどめにビームライフルで貫かれ、誘爆しながら爆散したのだった。

 

* * * * *

 

 ザンジバル級ラグナレク。

 

 そのブリッジオペレーターがシャアに報告する。

 

「グルドリンの反応、消えました。木馬との戦いで撃破された模様です」

「そうか。やはり木馬。一筋縄ではいかんな」

 

 そうつぶやくシャアの後ろで副官は沈痛の表情を浮かべている。

 それに気づいたシャアは、苦笑を浮かべて副官に言ってやった。

 

「気にするな。実戦データが取れただけでも儲けものだ」

「はっ、ありがとうございます」

「それでは、木馬がこの空域を立ち去ったあと、MS部隊を出して、残骸と戦闘データの回収を頼む。その後で、その実戦データを技術本部へ送ってくれ。出撃に至るまでの顛末も含めてな」

「た、大佐……」

 

 そう言って表情を曇らせた副官に対し、シャアは表情を緩めて言った。

 

「冗談だよ。とにかく、残骸とデータの回収、そしてデータの技術本部への送信を頼む」

「はっ、了解しました」

 

 そう敬礼する副官の表情には、どこか安堵感のようなものが浮かんでいた。

 

* * * * *

 

 ペガサスJr.に帰投したソフィーと俺は、セイラさんの部屋に向かっていた。帰投してからのセイラさんの様子がどこかおかしいというので、お菓子を差し入れするのを口実に様子を見てきてくれ、とブライトさんに頼まれたのだ。

 

 まぁ、セイラさんの気持ちもわかるけどな……。

 

―――居候さん、何言ってるんですか?

―――え、いや、何でもないよ。

―――??

 

 どうやら口に出ていたみたいだ。というか、地の文が口に出ちゃうことってあるんだな。

 

 そして、部屋の前までやってきたが、セイラさんの部屋の前までやってきたけど、その奥から苦しそうな声が……。

 

* * * * *

 

 セイラは悪夢にうなされていた。それはサイド7を出たときから、いやそれよりはるか前から見ていた悪夢。

 

 彼女の目の前で、義父であるジンバ・ラルからザビ家への復讐を叩き込まれる兄、その復讐の志を胸にジオン軍に入隊していく兄。

 セイラは彼を止めようと手を伸ばすが、その手が届くことはない。手だけではなく声も。

 

 そこで目が覚める。視界が明るくなると、そこにいたのは同じ部隊の娘の姿だった。

 

* * * * *

 

「ソフィー……私は……」

「セイラさん、よかった……。何か苦しそうにうなされていたから……」

 

 目を覚ましたセイラさんを見て、ソフィーがほっと胸をなでおろす。少しの間だったけど、うなされてるセイラさんを見て、ソフィーはとても心配してたもんな。まぁ、それは俺もだが。悪夢から目覚めてくれてよかった。

 

「そう……ありがとう……。ソフィー、私はなにかうわ言で言ってなかったかしら?」

「いいえ、何も言ってませんでしたよ」

「……そう。ありがとうね」

 

 嘘である。実はセイラさんはうなされている間、「兄さん」とうわ言を言っていたのだ。事情が事情だけに、ソフィーには「聞いてなかった」と言うように根回ししておいたが。

 それがわかったのか、セイラさんは、どこか哀しげな微笑みを浮かべた。

 

 本当にどこか大人っぽい。セイラさんは俺と同じ年頃のはずなのにな。やはり、パイロットの中では年上であることと、兄のことで苦労しているからだろうか。

 

 そこで、セイラさんがまた口を開いた。

 

「ソフィー……。私は最後まで生き延びられるのかしら?」

「え……どうしたんですか?」

「私はある人を止めるために、それまで生き延びなければならない……。でも……」

 

 自分にそれだけの実力があるかどうかわからない。いや、それだけの実力はないのではないか。

 彼女のどこか弱気な態度がそう語っていた。あの強気で大人っぽく凛々しいセイラさんとは思えない様子。

 それを察したのだろう。ソフィーがあえて元気に口を開いた。

 

「大丈夫ですよ、セイラさんなら! ベルファストでセイラさんがGファイターで出た時、本当にすごいなと思ったほどでした!」

「ソフィー……」

「それに、太平洋で、シロー隊長を助けた時もすごかったですし! そんなセイラさんだったら大丈夫ですよ!」

「すごかったって、どんなのを見て、どうすごかったか、具体的に教えてくれる?」

「え? え、えと……」

 

 そこでしどろもどろになったソフィーを見て、セイラさんがくすくすと笑った。その表情からは、いくらか弱気が薄れたようだ。

 

「ふふふ……冗談よ。でも、ありがとう、ソフィー。おかげで自信が出てきたわ」

「セイラさん……」

「頑張って生き延びましょう。ペガサスのみんなでね」

「はい!」

 

* * * * *

 

 一方その頃。ザンジバル級ラグナレク。

 

 クルーの一人が、シャアに報告する。

 

「大佐、グルドリンの残骸の回収が終わりました」

「よし。それでは話したとおり、引き続き戦闘データの回収と、技術本部への送信を頼む。……副官、それではさっそく木馬の追撃を再開するとしよう」

「はっ!!」

 

 そこで身を引き締めて敬礼した副官に、シャアが言う。

 

「できれば木馬をサイド6に追い込みたい。木馬の進路先にあり、まだサイド6の近くにある艦隊はどれか」

「はっ。ドレン大尉のキャメルパトロール艦隊であります」

「ドレンか。懐かしい顔が出てきたな。よし、彼と回線をつなげ」

「了解!」

 

* * * * *

 

 ペガサス隊が、グルドリンと戦っていたその頃、南米。

 

 そこでは、連邦軍本部ジャブローから、次々と艦隊が打ち上げられていた。次々と、ブースターをつけられたマゼラン級やサラミス級が宇宙へ飛び立っていく。

 そして今もまた一隻のマゼラン級・パナマが打ち上げられようとしていた。

 

 そのパナマに座乗するバスク・オムに、副官が問いかける。

 

「中佐、よろしいのですか? 新しく調整されたCPU、あれを母艦もついているとはいえ、あんな任務に単身送り出しても」

 

 その副官の言葉に、バスクは傲岸不遜というにふさわしい笑みを浮かべて言った。

 

「かまわん。あの性能ならそこらへんの有象無象にやられたりはしない。ジオンの奴らに、連邦軍の恐ろしさを刻み付け、逆らう気を完全にへし折ってやらねばな」

「確かに」

「それに……」

 

 その言葉と、それに続く言葉を副官は聞くことができなかった。爆音がその言葉を消してしまっていたからだ。だが、聞こえなかったほうが、彼にとっては幸いだったのかもしれない。

 

 バスクはこう言っていたのだ。

 

「それに、ペガサス隊の連中と鉢合わせし、そこで暴走事故か何かで奴らを始末してくれれば溜飲も下がろうというものだ」

 

 と。

 

 不穏を詰め込んだかのようなマゼラン級パナマは、その不穏さが込められたかのような白煙を噴き上げながら宇宙へと飛翔していった。

 

* * * * *

 

 一方、ザンジバル級機動巡洋艦ラグナレク。

 

「大佐、回線がつながりました」

「よし、つないでくれ」

 

 シャアの言葉を受け、通信士官がコンソールを操作すると、通信用メインスクリーンにシャアの元部下の姿が映し出された。

 

「ご無沙汰しております少佐。いや、今は大佐でしたかな」

「そちらこそ健勝で何よりだ、ドレン少尉」

「ははは、これは一本取られましたな」

 

 そこで二人とも笑い声をあげる。それはかつての知人同士が語らっているかのようであった。

 ひとしきり笑ったところで、シャアが表情を引き締めた。

 

「さて、旧交を温めるのはここまでにしておこう。それでドレン。貴様にやってもらいたいことがある」

「大佐の頼みでしたらなんなりと」

 

 シャアはドレンの返答に満足そうにうなずくと、口を開いた。

 

「木馬が貴様のパトロール艦隊の担当宙域に向かっている」

「木馬ですか。また相まみえるとは奇縁ですな。ということは、我々にはその足止めをしてほしいと」

「さすがだな、その通りだ。我々も急いでそちらに急行する。だが、無理に足止めする必要はない。最悪、奴らをサイド6に追い込めればいい」

「わかりました。足止めをする気で当たらせてもらいます」

「うむ、健闘を祈る」

 

 そして通信は切れた。シャアは強い意志を秘めた表情で副官に向き直った。

 

「それでは我々も急ぐとしよう。ドレンたちの奮闘が無駄に終わらぬようにな」

「了解!」

 

 そして、シャア率いるラグナレクは速度を上げ、ペガサスJr.を追撃するのだった。

 

* * * * *

 

 後方からジオンの巡洋艦が猛追し、前方にパトロール艦隊が邪魔するかのように展開していることは、既に俺た……おっと、ソフィーと俺たちペガサス隊も察知していた。

 

 それで、これを打開する作戦が建てられたわけだが……。

 

「前方の艦隊を撃破して、そのまま強行突破する、か。ブライトさんも結構危ない手を考えるじゃないの」

 

 カイがそう茶化すように悪態をつきながら、ノーマルスーツのヘルメットをかぶる。

 

「まぁ、後ろからはシャアが迫ってきているから。それよりは前方の艦隊を相手にしたほうがやりやすいでしょう」

 

 そうセイラさんが言うが、そこでカイがあることに気がつき、これまた茶化すように聞いてくる。

 

「あれ? セイラさん、どうして後ろのザンジバルを指揮してるのが赤い彗星だってわかるんだ? セイラさんもニュータイプとやらに目覚めたのかい?」

「それは、その……あんなとんでもない兵器を持ち出してくる艦だもの。指揮しているのは赤い彗星のシャア、あるいは彼クラスの指揮官の可能性が高いでしょう。無駄口を叩いてないで、早く格納庫に行くわよ、軟弱者」

「へいへい……まぁいいけど」

 

 そう言って、カイはセイラさんについていくように 更衣室を出ていった。

 そこで、アムロが苦笑しながら言った。

 

「それにしても、ブライトさんも、僕だけに敵本隊の攻撃を指示するなんて……」

「それだけブライトさんがアムロの腕を買っているってことですよ」

 

 そう、ブライトさんの立てた作戦とは、原作通り、敵のMS隊をペガサスに引きつけている間に、アムロのガンダムが艦隊本隊に奇襲を仕掛ける、というものだ。

 確かに、それだけの実力を持つ者といえば……。

 

「僕はただの15の少年なのに……」

「15ですけど、アムロはうちのエースなんですから。大丈夫ですよ。私が保証します」

「買いかぶって……。あれ、そういえばハヤトは?」

「そういえば、私達が更衣室に入ってきた時にすれ違ったような……」

 

 と、その時だ。MSの発進音が聞こえた。そのバーニアの音、どこかで聞いたような……。

 ま、まさか!?

 

 俺の危惧の通りだった。MSデッキに出てみると、アムロのガンダムがそこになかったのだ。

 

「あ、アストナージさん。僕のガンダムは……?」

 

 アムロの姿を見たアストナージさんは、驚きのあまり、目を丸くした。更に言うと、口をあんぐりと開けている。

 

「い、今出ていったの、アムロじゃなかったのか……? ノーマルスーツのヘルメットで顔がよく見えなかったけど、ガンダムに流れていったから、お前だと思ったが……」

「え、ということはまさか今出ていったのは……」

「ハヤト!?」

 

* * * * *

 

一方、ガンダムのコクピットでは、ハヤトがアムロへの嫉妬心を表情に浮かべながらガンダムを駆っていた。

 

「何がアムロ、アムロだ……俺だってガンダムに乗れば……!」

 

* * * * *

 

 ハヤトがガンダムに乗って出撃していったと聞いたソフィーとアムロは、そろって顔を青くした。いくらガンダムに乗っていても、ハヤト一人だけで敵艦隊を叩くなんて無茶だ。向こうには直援のMSもいるだろうし。

 アムロだから、ブライトさんは彼一人に本隊攻撃を任せたのだ。

 

 ことは一刻を争う。早く彼を追って援護しなければ! ソフィーとアムロも同じことを考えていたらしい。

 

「早く彼を追いかけないと! ソフィーさん。ジム・コマンドをお借りします!」

「はい! 私はガンキャノンで出ます!」

 

 そして互いの機体に飛んでいく。アムロはソフィーのジム・コマンドに。ソフィーはガンキャノンに。

 

 ジム・コマンドに乗り込んだアムロは、すぐさまブリッジに通信を入れた。

 

「ブライトさん! ハヤトがガンダムに乗って出てしまったので、ソフィーさんと一緒にあとを追いかけてきます!」

「なんだと!? あいつ……! わかった。気をつけろよ!」

「はい! アムロ、ジム・コマンド、行きます!!」

 

 そしてアムロのジム・コマンドはペガサスJr.を飛び立ち、敵艦隊本隊に飛んでいった。その後に、ソフィーのガンキャノンも続く。

 

* * * * *

 

 一方、ハヤトのガンダムは、キャメル艦隊のリック・ドム相手に苦戦していた。多勢に無勢で、向こうもかなりの手練だったのに加え、ハヤト自身もガンダムの性能に振り回されていたのだ。

 

 ビームライフルを当てることさえできないハヤトに対し、リック・ドムたちは的確に攻撃を放っていく。ガンダムの機動性とシールドのおかげで、なんとか被弾は避けられているが、それでも彼の戦いはギリギリの危ないものであった。

 

 そしてついに、ドムのバズーカがガンダムを捉えた!! シールドで防ぐことはできたものの、限界がきたのか、その一撃でシールドは砕け散ってしまい、ガンダム自体もその衝撃で吹き飛ばされてしまう。ハヤトはその衝撃で額をコンソールに打ち付けてしまった。バイザーが割れ、額から血の筋が滴り落ちる。

 そのガンダムに、ドムの一機がバズーカで狙いをつけた!!

 

「くそ、俺はここまでなのか……? 畜生、悔しい……!!」

 

 しかし、次の瞬間、そのドムはビームに貫かれて爆散した。

 

* * * * *

 

 どうにか間に合ったようだ。ハヤトのガンダムが撃墜されようとしたその時、なんとかそのリック・ドムを撃破することができたのだ。

 急いで彼のもとに駆けつける。

 

「大丈夫か、ハヤト!」

「アムロ……余計なことしやがって。でも、ありがとうとだけは言っておくよ」

「ここは僕たちが引き受ける。ハヤトはペガサスJr.に戻っていてくれ」

「じ、冗談じゃない! 俺はまだ……」

 

 アムロへの対抗心がまだくすぶっているのだろう。ハヤトは退かず、戦うつもりのようだ。

 ガンダムの性能に振り回されている彼では、ただやられるだけだと思うのだが……。

 

 こうしている間も、ソフィーのガンキャノンとアムロのジム・コマンドは、ハヤトを説得しながら彼を守るために戦い続けている。

 それでも、ハヤトは戦い続けようとしている。

 

 その時だ。

 

 精神世界を激しい怒りの感情が荒れ狂った!!

 

「いい加減にしてください!!」

 

 ソフィーが彼女らしくなく、怒りをあらわにしたのだ。いや、怒りだけではない。

 その中には、ハヤトを心配する気持ちもあふれていた。

 

「このまま戦ったら死んでしまうんですよ!! 意地のために死んでどうするんですか!? 意地のほうが命より大事なんですか!? 意地より軽いもののために、リュウさんやマチルダさんは死んだとでもいうんですか!?」

 

 その瞬間、俺のいる精神世界の中を、何人かのイメージが通り過ぎた。戦いの中散っていった、リュウやマチルダさんの姿だ。その最後、ソフィーに似た、でもどこか違う女性のイメージもよぎる。彼女はいったい……?

 

 さて、ソフィーの怒りの説得を聞き、その思いが通じたのか、ハヤトが機体を翻した。

 

「わかったよ……ペガサスに帰還する」

「了解。ソフィーさん、ハヤトの護衛をお願いします」

「ふん、女の子に守ってくれなくても……」

「……」

「……わかった、護衛、よろしく頼む」

「了解しました!」

 

 そして、ソフィーのガンキャノンは、ハヤトのガンダムとともにペガサスに戻っていった。その俺たちを襲おうとしたリック・ドムをアムロのジム・コマンドが撃破した。

 

* * * * *

 

 そして、ハヤトをペガサスに送り届けた後、再びアムロのところに戻ってくると、もう戦いは終わりに近づいていた。

 

 とはいえ、やはり機体がジム・コマンドなのか、ガンダムに乗った時のようにはいかないようだ。そこそこ直掩のリック・ドムを突破するのに難儀しているように見える。

 

「アムロさん、危ない!!」

 

 奮闘しているアムロを後方から狙ったリック・ドムをビームライフルで撃ちぬいて撃破する。それと同時に、もう一機もアムロがビームサーベルで切り裂いて撃破した。

 

「助かりました、ソフィーさん!」

「アムロさんも活躍したみたいですね。やはり、アムロさんはうちのエースなんですよ。買いかぶりじゃないことがはっきりしましたね!」

「だから僕は別にエースってわけじゃないのに……!」

 

 そう言って、アムロは振り向き撃ちで接近してきたリック・ドムを撃ちぬいた。そんなことをして、「エースってわけじゃない」って言っても説得力がないよな。

 とにかくこれで、残るは直掩のリック・ドム1機とムサイ三隻のみ!

 

「行きましょう、ソフィーさん!」

「はい!」

 

* * * * *

 

 一方のムサイ級キャメル。そのブリッジに立つドレンはアムロたちの奮闘ぶりに舌を巻いていた。

 

「な、なんなのだあの量産型は……白い奴ほどではないが、それに迫る戦いぶりではないか……」

「ドレン大尉! 敵MS、突っ込んできました!」

「全砲門開け! 撃ち落とせ!!」

 

 そのドレンの指示と同時に、キャメル他三隻のムサイは回頭し、ジム・コマンドとガンキャノンにメガ粒子砲を雨あられのごとく打ち込み始めた。

 

* * * * *

 

 最後のあがきとばかりに、ムサイたちがビームの弾幕を張ってきた。ドムもブリッジの横からバズーカを連射してくる。

 その中を、アムロのジム・コマンドと、ソフィーのガンキャノンは突っ切ろうとするが……。

 

「きゃっ!!」

 

 ガンキャノンはさっそく、バズーカ弾を食らって吹き飛ばされてしまった。さすがガンキャノンの装甲、大事はなかった。「さすがガンキャノン、なんともないぜ!」ってやつだ。しかし……。

 

―――ダメだ、この中を突っ切るのは俺たちでは無理そうだな。バズーカならまだなんとかなるが、ビームを食らったらアウトだし。

―――そうですね……。ここはアムロさんに任せるしかないですか……。

―――あぁ。俺たちはここから、アムロの援護に徹したほうがいいんじゃないか?

―――はい。あ、『俺たち』ではなく『私たち』ですからね!

―――へいへい……。

 

「アムロさん、私はここから援護します。アムロさんはムサイのほうを!」

「わかりました。よろしくお願いします!」

 

 そう言ってアムロは、さらにジム・コマンドを加速させていった。ソフィーのガンキャノンはこの位置から肩のキャノンでジム・コマンドを援護する。

 

 さすがアムロ。対空砲火やドムの攻撃に手こずりながらも、ビームライフルを撃ち、まず一隻のエンジン、そしてブリッジを撃ちぬいて撃沈させる。さらにドムを撃破し、もう一隻のムサイも撃沈。

 本当にとんでもない奴だぜ……。ジオン側に転生しなくてよかった。

 

 そして残るムサイも、まずはビーム砲を破壊したうえでエンジンの一隻を撃破。

 

 するとそこで降伏信号が発信されると同時にコムサイがムサイから分離した。これで脱出しようというのだろう。

 やれやれ。これで戦いは終わりかな……?

 

 しかしそこで、さらなる脅威が訪れようとしていた!

 

―――!! 気をつけろ、ソフィー! 何か猛烈な殺意がこっちに接近してくるぞ!!

―――えぇ!?

 

 それと同時に、ビームがこっちに飛んできた。アムロもソフィーも、なんとかそれを回避する。

 

 そして見えてきた脅威の影。それは……。

 

「ジャブローで遭遇した……灰色のジム?」

 




* 次回予告 *

ペガサス隊に迫る新たな脅威。
その脅威の前、ついに禁断の共闘が一時的に実現する。

次回、『衛星軌道上の共闘』

君たちは生き延びることができるか?

※次の更新は、3/23 13:00の予定です。お楽しみに!

テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?

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