宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム   作:ひいちゃ

16 / 45
宇宙世紀0079、サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に宣戦布告した。
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。

* * * * *

シャアの元部下、ドレン率いるキャメル艦隊と戦うペガサス隊は、あのジムの攻撃を受ける。
ブライトはこの危機にシャアと手を組むことを決断し、ザンジバルと力を合わせてジムを撃退するのだった。
しかしその時、懐かしい声が、主人公に届いた。


Re:Act.16 『サイド6の悪夢』

 暗闇の中、映画館のように映像が映し出されている。

 

 毎夜のごとく見るこの映像にも、もう慣れたものだ。そう、これはソフィーの見る夢だ。楽しい夢や幸せな夢など、色々な夢が見れて飽きないものである。とはいえ、悪夢を見たりすることもあるのだが。

 

 そして今夜も、またソフィーの夢を見させてもらっている。そういえば、最近、俺自身の夢を見たことがなくなった気がするな。

 

 さてその夢は、どうやら彼女の過去のものらしい。

 ソフィーと思われる女の子、もう一人、彼女より少し年上という感じの女の子が遊んでいる。

 女の子の顔立ちは、ソフィーととても良く似ていた。彼女よりちょっと目つきなどが鋭いところが違いだろうか。そしてそんな彼女のすごいところは、ラジコンの飛行機を、誇張でもなんでもなく自分の手足のように扱っているところだ。プロでもこんな動かし方はできないぞ、ってレベルで動かしている。本当にすげぇ。

 そんな彼女を、幼いころのソフィーは目を輝かせてみている。本当に大好きで、尊敬している相手なんだろう。

 

 それからまた年が過ぎて。どこかの訓練施設らしきところの格納庫。そこで、成長したソフィーが、目の前に立っているジュニアMSを尊敬のまなざしで見ている。それに乗っているのは、先ほどの少女だ。

 少女はどこかのエースパイロットかと見間違うほどの見事な動きで、ジュニアMSに色々な動きをさせる。その動きは、まるで人間かと思えるほどだ。

 

 そこから突然暗転。ソフィーにとっては思い出したくない辛い過去なのだろうか。不快な霧が視界を覆う中、ただ事故があったことだけは理解できた。

 精神空間には、ソフィーの苦しみの波動があふれ、反響しあっていた。やはり、彼女にとってはトラウマな過去だったのだろう。

 

 苦しみの波動は空間を反響しまくり、嘆きの声となって俺の意識を打つ。

 その苦しさに俺が耐えきれなくなりそうになった時、光が差し込み、やがて視界が光に満たされた。

 

* * * * *

 

「おはよう、ソフィー。大丈夫?」

「あ……ミハルさん、おはようございます……。私、うなされていたんですか?」

 

 ソフィーがそう聞くと、ミハルは顔を曇らせながらこたえた。

 

「うん、とても苦しそうだった……大丈夫?」

「はい。大丈夫です……」

「ほんとにほんと?」

 

 やはりソフィーの表情に陰りが残っていたのか、ミハルはなおも聞いてくる。ジャブローでの時といい、彼女って本当にとても過保護だよな。それほどソフィーと仲がいいことの証なのかもしれないが。

 

「はい、大丈夫ですよ。心配しすぎですっ」

 

 そう言って、ソフィーは立ち上がろうとするも、ふらついてしまう。それをあわててミハルが支えた。

 

「ほらほら、ソフィー。まだ辛いんじゃないの? 敵が来ているわけじゃないから、もう少し休んでなきゃ」

「え、で、でも……」

「ね?」

「……はい、わかりました」

 

 というわけで、ソフィーはミハルの圧に負けて、再びベッドに逆戻りしたのであった。

 

「もう少しでペガサスはサイド6に着くから、それまで休んでて。着いたら、一緒に遊びに行こうね」

「はい。楽しみにしてます」

 

 そしてミハルは部屋を出て行った。

 そこでソフィーは自問をはじめたようだ。

 

―――どうして今になって、あんな夢を見たんだろう……? もう忘れたいのに……。

 

 やはり、あの夢についてか……。それがどれだけ辛いことなのかは、不快な霧に隠れされたことや、彼女の苦しみの波動からわかる。

 

―――え、し、知っていたんですかっ!?

 

 やべ、口に出てたか。

 

―――あ、あぁ。い、いや、何も見てないぞ。ソフィーの幼いころの夢なんて。

―――やっぱり見てるんじゃないですかっ!! 今の独り言、夢のことも含めて、今すぐ忘れてくださいっ!!

―――へいへい……。

 

 よかった、やっといつものソフィーに戻った……か?

 

* * * * *

 

 そして、ペガサスJr.は中立コロニー群・サイド6に入港した。

 そこで、一息ついた俺とソフィーたちを出迎えたのは……。

 

「ミライ! ミライじゃないか!」

「カムラン……!」

 

 メガネをかけた、いかにも官僚って感じの男性。彼こそ……。

 

―――誰ですか? あの人。

―――あぁ。確か、ミライさんの婚約者のカムランさん……って、噂で聞いたことがある。

―――へぇ……。でも、とても嫌な感じがしますけど……。

―――あぁ、俺も同感だ。大切な婚約者を戦いから遠ざけてやりたい、という一心なのはわかるんだけどな……。

 

 やはり、これまでの戦いを切り抜けてきたミライさんと、サイド6という安全地帯でぬくぬくとしてきたカムランさんとでは、人としてのデキが違いすぎるのだろう。

 現に、「人を使って探させた」だの「親に交渉させよう」だの、いかにも世の中というか戦争を知らない坊っちゃんみたいなことを言う彼に、ミライさんはさっそく失望し始めている。

 こんな人が10年後には、地球にいる元婚約者のために、死刑を覚悟してまで、核をブライトさんに預けるんだから、人間どこで覚醒するかわからないものだ。

 

 あ、そうしている間に、カムランさんがスレッガーさんにこづかれた。

 「軍人なんてやばい人たちがいるところに、君がいるものじゃない」って言われて、こちらもムカッと来ていたところだったから、いくらか溜飲が下がったぜ。

 

* * * * *

 

一方そのころ。

サイド6の周辺空域に待機しているジオン艦隊があった。チベ級重巡1隻と、ムサイ級2隻からなる艦隊である。

 

 そのブリッジに立つコンスコン司令に、オペレーターの一人が報告する。

 

「司令、全艦、戦闘態勢完了しました。ドム隊の準備もOKです」

「うむ。補給部隊への補給の打診は?」

「はい。そちらも完了です。ただ、連邦軍のソロモン攻略の準備が最終段階に入りつつあるということで、補給は渋め、それの埋め合わせで別の部隊を援軍として派遣するとのことです」

「むぅ、仕方ないが……それでどの部隊だ?」

 

 コンスコンの言葉に、部下は眉を潜めて言った。それが援軍がいかにやばい連中かを物語っていた。

 

「はい。海兵隊第四小隊、いわゆるカレリナ隊だそうです。それと補充のリック・ドムを数機とのこと」

「あの海兵隊の、少佐に次いでやばい娘たちの隊か……。連邦の攻勢が近いからとはいえ、なんで上はそんな者たちを……」

 

 コンスコンの愚痴を聞き、副官もうなずく。

 

「まったくですな。しかも、我々が木馬攻撃を命じられた本当の理由が、ガルマ様の敵討ちと、ガルマ様を守れなかったシャア大佐へのあてつけという、ドズル閣下の私情によるものですからな……。それでそれだけの支援とは……」

「まったくだな。だが我々は軍人だ。任務を受けたからには、それを全力でこなさなくてはなるまい。愚痴はここまでにしておこう。ここでの勝利をもって、閣下への意趣返しと行こうではないか」

 

「はっ!!」

 

* * * * *

 

 さて、ソフィーと俺が、サイド6の市街地に買い物に行った帰り道……。

 

―――それにしてもずいぶん買ったよな。

―――女の子は買うものがいっぱいなんですよ、居候さん? おや、あれは……。

 

 公園のベンチに、アムロがうずくまっているのを見つけた。その彼の近くには、パーツらしいものが落ちていた。どうやら、アムロの親父さんがアムロに渡したとかいう謎パーツだろう。

 

―――アムロさん……。一体どうしたんでしょうか?

―――……どうしたんだろうな。出かけた先で、衝撃的な出会いがあったのかもな……。

―――そうですか……。声をかけてあげたほうがいいでしょうか?

―――そうかもな。そこのアイス屋から何か買ってあげて持って行ったほうがいいんじゃないか?

―――はい、そうしてみます。

 

 そしてソフィーは、その屋台から二人分のアイスを買って、アムロのところに持って行った。

 

「はい、アムロさん」

「あ……ソフィーさん、ありがとうございます……」

 

 アムロにアイスを手渡し、彼の横に座る。やはり、アムロの表情さには悲痛さが伝わっていた。そりゃあ、親父さんが生きていたとはいえ、酸素欠乏症でクルパーになったと知ったらこうもなるだろう。

 

「あの……なんと言ったらいいかわかりませんが……元気を出してください」

「あ、ありがとうございます……。心配おかけしてすみません……」

 

 そして、少しの沈黙。それからアムロが口を開いた。

 

「今日……」

「え?」

「偶然、父と再会したんです。サイド7が襲撃を受けたときに行方不明になったと聞いたから、最初は嬉しかったんですけど、酸素欠乏症ですっかり変わってしまっていて……」

「そんなことが……」

 

 そこから少しの沈黙。

 

「でも、気を悪くしたらすみませんが、アムロさんはお父さんが生きていただけ、まだよかったと思います」

「……」

「私には、姉がいました。MSなどの乗り物の操縦がとても上手な、尊敬できる人でした」

「……」

「でも、私達の住んでいたコロニーがジオンの襲撃を受けて、他の人と脱出していたとき……とき……」

「……ソフィーさん……?」

 

 その時、精神世界がぐらりと揺れたような気がした。

 

「はぁ……はぁっ……あ、かはっ……!?」

「ソフィーさん!?」

 

 突然、ソフィーの呼吸が変になりはじめた。吸っているのか、吐いているのかわからないような呼吸。これは……聞いたことがある。トラウマとか強いストレスや不安に触れた時に発生してしまうという、過呼吸と言うやつだ。

 

 なんとかしてやりたいが、どうすればいいかもわからないし、こっちもそれどころではない。

 

 かなりのトラウマだったのだろう。俺がいる彼女の精神世界は、強いパニックの波動で大きく揺れ動いていた。もう震度7の地震をも超えるほど。というか、物理的にありえない揺れ方までしていて、俺のほうもやばい。

 

―――お、おい、しっかりしろ!!

―――……!!

 

 声をかけてみるものの彼女が戻る様子はない。それでもしばらく声をかけてみると、なんとか彼女の動揺はいくらかおさまったが、それでも過呼吸はおさまる様子はないようだ。どうしたものか……。おや、あれは……。

 

「お、おい、アムロ、どうしたんだ?」

「あ、スレッガーさん……。ソフィーさんが突然……」

 

 よかった、スレッガーさんが駆けつけてきてくれた。どうやら、スレッガーさんは多少は医療の知識や応急処置の心得があるらしく、ソフィーに駆け寄るとアドバイスを送ってくれた。

 

「ほれ、無理しなくていいからな。息を吸って、ゆっくり吐くんだ。吸ってー……ゆっくり吐いて……」

「すぅー……はぁー……。あ、ありがとうございます……」

 

* * * * *

 

 そして今、ソフィーは病室にいた。今はベッドに横になりながら、モニターからみんなの戦いを見ているところだ。

 

 スレッガーさんのおかげもあり、ソフィーの過呼吸はほどなく回復した。そしてそれから、ペガサスJr.は臨時の修理のため、サイド6の不可侵空域のギリギリ外にある浮きドックに向かうことになったのだ。先ほどのコールは、その知らせだったのである。

 しかし、その途中、不可侵空域を出た直後、ペガサスはジオン……おそらくはコンスコン機動艦隊……の襲撃を受けた。

 ソフィーも回復していたし、出撃しようとしていたのだが、過呼吸の発作を起こしたばかりということで大事をとるべきということで、こうしてベッドの中の人になった、というわけだ。

 

 さて、戦いのほうだが、俄然こちらの有利に進んでいる。そりゃそうだ。元々ソフィーがいなかった原作でも、アムロたちはコンスコン艦隊の12機のドムを一蹴していたんだ。当然の結果だろう。

 だがそれでも気が付いたことが一つ。原作ではアムロはかなり気が立っていて、そのせいもあり、戦闘マシーンのような戦い方だったのだが、今回はそういう冷徹な部分は陰を潜めているように感じられる。仲間とも原作より協調して戦っているようだ。

 まぁ、アムロが戦闘マシーンでなくなっている分だけ、圧倒的な戦いにまではなっていないものの、それでもこちらにかなり有利な戦いである。

 やはり、ソフィーと話していて。いくらか変わったのだろうか。

 

* * * * *

 

一方、ガンダムのアムロは、次々と攻め寄せてくるリック・ドムたち相手に、互角以上にわたりあっていた。ドムの一機が放ったバズーカを回避して反撃を返し、別のドムが振り下ろしたヒートサーベルをビームサーベルで受け止め、つばぜり合いを演じる。

 

「ソフィーさんのぶんも頑張らないと……!」

 

 そうつぶやきながら、ビームライフルを撃ってリックドムを撃ちぬく。ソフィーの助けに少しでもなりたい。その思いが、アムロの心に余裕を生んでいた。

 

* * * * *

 

「コンスコン司令、既にリック・ドムは12機中5機を喪失。ここは撤退を進言いたしますが」

 

 チベのブリッジ。コンスコンはペガサス隊の奮闘を前に、原作のように腰を抜かして椅子がずれ落ちるという醜態はさらさなかったものの、冷や汗をかいていた。

 それでも部下からの報告を聞くと、冷や汗をふいて姿勢を正した。

 

「もっともだな。だが、木馬が無事に逃がしてくれるかどうか……。例の援軍はまだ来ないのか?」

「はい。少なくともこの戦いに間に合うことはないかと思われます」

「うぬぅ……。あの小娘たちは何をしているのだ……」

「あっ、この空域に入ってくるザンジバル級を確認。艦籍照合、シャア大佐のラグナレクです。ラグナレクからMSが発進して、木馬に向かっていきます」

 

 部下の報告を聞き、コンスコンは一息ついた。

 

「赤い彗星に助けられるのは少し癪だが、ここは使わせてもらうに越したことはない。よし、各リック・ドムに撤退信号を出せ。艦隊も後退する」

「はっ!!」

 

* * * * *

 

 撤退を開始するリック・ドム隊。アムロはそのうちの一機に狙いをつける。

 だがトリガーを押そうとしたその時、彼はあるものを感じ、発射を中止し、機体を回避させた。その次の瞬間、ガンダムのいた空間をビームが通り過ぎた。

 

 そのビームが飛んできたほうを見ると、接近してくるのは一機の赤いゲルググと、二機のリック・ドム。それを見てアムロは悟る。

 

「……シャアか!!」

 

 再び襲い来る宿敵に、アムロは身構える。

 

* * * * *

 

 ゲルググのコクピットのシャアが、前方のガンダムを見て微笑みをもらす。

 

「やっと追いついたか。しかも白い奴とまみえることができるとはな。今日はいい日かもしれん」

 

 と、そこでシャアは表情を引き締め、手袋をはめなおし、友軍機に通信を入れた。

 

「いいか、今回はあくまでコンスコン艦隊の後退を支援するのが目的だ。無理に戦おうとするな。特に白い奴にはかまうな。奴は私が相手をする」

「了解であります!」

 

 そして、シャアのゲルググと、リック・ドムは、ペガサスJr.のMS隊に突撃していった。

 

 ドムがバズーカをカイのガンキャノンに撃つ! カイがそれを回避し、ハヤトのガンキャノンがビームライフルで反撃する!! それをドムはかわして、再びバズーカを発射!!

 

 一方のシャアは、アムロのガンダムと激戦を繰り広げていた。アムロのガンダムが撃ったビームライフルを回避すると、突進しながらビームナギナタを抜き、ガンダムに斬りかかる!!

 ぶつかりあう、ビームサーベルの刃と、ビームナギナタの刃!! アムロがパワーを上げてゲルググを押していく。

 

「さらにできるようになったな。だが、パワーだけで私を倒せると思わないことだ!!」

 

 そう言いながら、シャアはガンダムに強力な蹴りを放って吹き飛ばした!!

 

「うわぁ!!」

 

 吹き飛ばされたガンダムに、追撃とばかりにビームライフルを発射する。アムロは一発はシールドで防ぎ、もう一発は機動力を活かしてかわしていった。

 

「奴もこちらと同じ威力のビームライフルを!?」

「ビームがそちらの専売特許だと思ってもらっては困る!!」

 

 さらにガンダムにビームライフルを連射!!

 ガンダムも回避しながら、お返しにとビームライフルを乱射する!!

 

 そしてある時は撃ち合い、またある時は光刃を交えあった。

 

 そして。

 

「大佐、コンスコン艦隊が戦闘宙域を離脱したようです」

「そうか。もう少しで倒せていたのだがな。だが無理はよくない。我々もラグナレクに帰還するぞ。そして、コンスコン艦隊に合流する」

「はっ!!」

 

 そして、シャアのゲルググは今一度ガンダムにビームライフルを連射すると、母艦のほうに引き返していったのだった。

 

 




* 次回予告 *

カレリナの美しい牙が再びペガサス隊を襲う。
その牙の裏の非道さを目にしたとき、ソフィーは秘められた素質を解放する。

だがその素質は、決してプラスに働くものばかりではなかった。

次回、『カレリナ隊強襲』

君たちは生きのびることができるか?

※次の更新は、4/6 13:00の予定です。お楽しみに!!

テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?

  • 受け継いでてほしい
  • 受け継いでてほしくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。