宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム 作:ひいちゃ
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。
大西洋の海中深くに潜む潜水艦、マッド・アングラー。
その艦橋にたたずむ、仮面を身に着け、ジオンの軍服をまとったその男に、副官がレポートを手渡す。
「シャア少佐、諜報員504号から緊急連絡です。こちらを」
「ふむ……」
レポートを手渡された男……赤い彗星のシャアは、それを読み進めると興味深い笑みを浮かべた。
「ベルファストに見たことのない戦艦が入港した、か。これは興味深い……しかし、画像が添付されていないが」
「ベルファスト周辺は電波妨害が激しく、送られは来たのですが、どれも確認に使えるほどではありませんでしたので」
「それでも情報は情報だ。シルエットから何かわかるかもしれない。いいから見せてくれないか」
真顔に戻ったシャアの言葉に、自らの不明を気づかされた副官は、一礼すると、通信兵に命じて画像データをプリントアウトさせ、それを受け取ってシャアに見せる。
そこにはぼやけて細部どころか全体の形すらよくわからないながらも、独特のフォルムを持ったナニカが映し出されていた。
それを見て、シャアの表情が再び真顔から笑みに浮かぶ。
(間違いない……この独特なフォルム、私が見間違えるわけがない。木馬だ……)
そして、副官にレポートと画像データを返して言う。
「まさかここで相まみえるとはな。この戦艦……まだ確証をもってはいえないが、木馬だろう」
「木馬……連邦の新兵器の母艦でありますか」
「あぁ。これはもっと正確なデータがほしいところだな……。ズゴック隊の出撃準備を。私も出る」
そのシャアの言葉を受け、副官が驚く。
「少佐も出るのでありますか? 少佐用のS型はまだ到着しておりませんが……」
「あくまで威力偵察だ。通常型で十分だよ」
「はぁ……それにしてもずいぶん……」
「ご執心、か?」
そう逆に言い当てられて、副官が若干慌てふためく。
「ふ、不要な軽口でした。申し訳ありません」
「構わんさ。ご執心、か。まさにそうだな。子供じみてると思うだろう? だが……」
次にシャアが浮かべた笑みは、それまでのものとは違い、不敵さを秘めたものだった。
「私の前に立ちはだかり、プライドを傷つけてくれたモビルスーツだからな」
* * * * *
俺とソフィーをはじめとするクルーを乗せたホワイトベースは、オデッサの激戦後、小さな戦いを繰り広げながら、なんとかベルファスト基地へたどり着いていた。
だがそこで俺たちは、衝撃的なことを聞かされることになった! 俺は原作を見ていたから知っていたが。
それでも、やはり聞いていて、大人の汚さのようなものを感じずにはいられない。
連邦軍の司令官、レビル将軍からそれを聞かされたアムロが、茫然とつぶやく。
「二階級特進……そ、それだけ……リュウさんもマチルダさんも、ホワイトベースを守って死んでいったんだ。なのに……それだけでおしまいなんですか!」
さらにハヤトも食いつく。
「戦っている時はなんにもしてくれないで、階級章だけで……! ありがとうの一言ぐらい……」
他のクルーたちも、色めき立っている。その中でブライトさんは感情を押し殺すように沈黙していた。ブライトさんは候補生だったとはいえ、正規の軍人だからな。
そして色めきたっているのは、俺の宿主、ソフィーも同じようだった。
彼女の中にいる俺にも、ソフィーの憤りや哀しみの感情の波動が伝わってくる。
――あまりにも……あまりにもひどいです!
――あぁ、俺もそう思うぜ。いくら、二階級特進で、遺族に払われる一時金の額があがるとはいえな。
――でも、だからって、お礼も言わずに『二階級特進』だけだなんて……!
――そうだな、確かにひどい。犠牲が出るのも、その犠牲を簡単に切り捨ててしまうのも、それも含めて戦争なのかもしれない。だからさ。
――え?
――そんなクソな戦争を早く終わらせるために頑張ろうぜ。二人力合わせて。そして終わったら、お偉いさんを思いっきりぶん殴ってやろう。
――はい!
あ、その前にアムロがレビル将軍に殴りかかろうとして、逆に兵士に殴り返された。
さて、そんなことがありながらも、レビル将軍はさらなる懸念を口にした。
ガンダムの脅威を思い知ったジオンが、次々と新型のMSを開発し、前線に送り出してくる。これからの戦いはさらに苦しくなるだろう、と。
確かに、ここまでもグフ、ドムと新型と遭遇してきたし、この世界ではさらにリフターつきグフカス(グフ・カスタム)なんてとんでもない機体まで出てきたしな。レビル将軍に言われるまでもなく、これからの戦いはさらに厳しいものになるかもしれない。だからといって降りるつもりはないが。
にしても、リフターにプラズマ・ダイバー・ミサイル……。この宇宙世紀の世界には存在しないはずのものがあらわれてきている。一体どういうことなんだ……?
――居候さん、いったいどうしたんですか?
――いや、なんでもないよ。ちょっと考え事をしていただけさ。確かに次々ととんでもないのが出てきてるなってさ。
――確かにそうですね……。
と、そこで警報が鳴り響いた。
「ジオンのMS部隊が接近! ただちに迎撃態勢をとれ! 繰り返す! ……」
それに受けて、ブライトさんがクルーに指示を出す。
「よし、我々も応戦の準備をするぞ。フラゥ、ガンダムのほうは?」
「オーバーホールにまだ時間がかかるそうです!」
「むぅ、そうか……。カイとハヤトのガンキャノン、ソフィーのGMのほうは?」
「カイさんの108がまだオーバーホール中、ハヤトの109とGMはいけるそうです」
フラゥの報告を受けたブライトさんがうなずく。そこからの判断は迅速だった。
「よし、ハヤト、ソフィー、ただちに出撃だ! 無理はするな。アムロのガンダムがオーバーホールを完了し、駆け付けるまで持ちこたえてくれればいい」
「わかりました!」
「了解!」
そして、ハヤトとソフィー(と中の俺)は、それぞれの機体へと走っていった。
* * * * *
そして発進し、港の波止場で迎え撃つ態勢をとっていたソフィー(&俺)のGMと、ハヤトのガンキャノンだが、その後はなぜか動きは全くない。
レーダー基地によれば、沖合にジオンのマッドアングラー級潜水艦がもぐっているそうなのだが、そのマッドアングラーの動きが全然ないのだ。
「奴ら、動きが全然ないな……」
「こちらの様子をうかがってるんでしょうか……?」
マッドアングラーの謎の動きに、ハヤトもソフィーも戸惑っているようだ。
――居候さんはどう思います?
――うーん……まさかとは思うが、正面のマッドアングラーが陽動で、本命が裏からやってくる、って可能性もなくはないと思う。気を付けたほうがいいんじゃないか?
――そうですね。ハヤトさんに言って、私のGMを後方に……え?
その時だ! 突然海中から何かが発射された! あれは……短距離弾道ミサイル!? ミサイルで基地を叩こうってハラか!?
しかし、そうではなかった。基地の対空砲から対空砲火が放たれる中、ミサイルの弾頭部分から何かが出てきたのだ。あれは……。
――あ、あれは……。
――MSだとぉ!?
そう、弾頭から、背部に何かを装着したズゴックが降下してきたのだ! 完全に虚を突かれた形になった防衛部隊は、降下中のズゴックからの攻撃や、マッドアングラーからの対地ミサイル攻撃などにより、次々と無力されていく。くそ、奴ら、なんて隠し玉を用意してやがる!
* * * * *
対空砲や対空車両を次々と撃破しながら無事に着地したズゴックのシャアは、楽しそうな表情を浮かべながら、部下のズゴックに通信を入れた。
「ふふふ、うまく奴らの意表をつけたようだな。トビアス、ルーウェン、そちらのほうはどうだ?」
「はい。なんとかうまく着地できました。ルーウェン、貴様のほうはどうだ?」
「はっ。左ひざの関節に不具合が発生しましたが、なんとか大丈夫であります。しかし、開発部からの試作品のうえにトンデモなブツをよく使う気になれましたね」
「連中の度肝を抜くには格好のものだろう? それに、使ってみなければ問題点も何もわからん。さて、あくまで任務は威力偵察だ。適当に暴れまわったら退却するぞ」
「了解!」
その部下からの返事を聞きながら、シャアは別のことに思いをはせていた。
(それにしても、ランバ・ラル隊に支給されたリフターといい、オデッサで使ったものの阻止されたというプラズマダイバー・ミサイルといい、司令部はあんな技術をどこから得ているのだ? まぁ、それは今考えることではないか)
そう考えながらも、シャアのズゴックはビーム・スプレーガンを撃ちながら接近してくる一般兵のGMを、クロー部バルカンでハチの巣にして撃破した。
* * * * *
急いで施設のほうに向かう俺のGMと、ハヤトのガンキャノン。施設のほうでは既に戦いが始まっているようだ。急がなくては!
――居候さんのじゃありません! 私のGMです! それに急ぐのは私なんですからね!
――わ、わかってるよ。っと、あのズゴックがこっちに気づいた。気をつけろ!
――あ、はい!
それと、ズゴックの一機がこちらを向いてクローを構えるのとは同時だった。ソフィーはとっさにGMをジャンプさせ、発射したクロー部バルカン砲をかわした。
そこに、ハヤトのガンキャノンがキャノン砲を撃つ! だが、ズゴックはそれを軽くかわす。さすが、連邦軍基地に三機で威力偵察にくるだけあって、かなりの手練れだ。
そのズゴックに、ソフィーがビーム・スプレーガンを撃つが、それもズゴックは容易にかわす。
「ハヤトさん、ここは私が引き受けます。ハヤトさんは、他のズゴックのほうに!」
「わかった!」
ソフィーの言葉を受け、ハヤトのガンキャノンはさらに先に進む。ズゴックがそれを追おうとしたが、それはソフィーがビーム・スプレーガンを撃って牽制した。
かくして、ズゴックと一対一の戦いに入るソフィーと俺のコンビ。ズゴックが発射したバルカンを走ってかわし、またある時はシールドで防ぎながら、こちらもビーム・スプレーガンで応戦する。
しかし……本当にこいつ、かなりの手練れだ。俺とソフィーが力を合わせて戦っているおかげでなんとか互角に戦えているが、もしどちらかだけだったら、苦戦すら生ぬるい戦いになっていただろう。
必死になって、そのズゴックと互角に戦う俺たち。その時、思わぬ幸運が! 突然、ズゴックの左ひざがガクッと崩れて、態勢を崩したのだ!
――よし、今だソフィー!
――はい!
ビームサーベルを抜いて、ソフィーのGMが突進する。そしてその胴体にビームサーベルを突き刺した。それでズゴックは崩れ落ちて沈黙した。
――ふぅ、なんとかなったな。それじゃ、ハヤトの応援にいこうぜ。
――わかりました!
* * * * *
一方そのころ、ハヤトのガンキャノンが、ビームライフルで1機のズゴックの右腕を撃ちぬいていた。
ハヤトが、追い打ちでとどめを刺そうとしたところで!
「うわぁ!!」
「!?」
どこかから飛び込んできたズゴックの一撃を受けて吹き飛ばされた!
その場に駆け付けたソフィーのGMがビーム・スプレーガンを撃つと、そのズゴックはそれを見事な機動力でかわしていった。
そのズゴックのパイロット、シャアは
「大丈夫か、トビアス?」
「は、はい」
「よし、ここは私に任せろ。トビアスは、偵察のほうを優先してくれ。偵察が済んだら、そちらの判断で撤退していい」
「了解しました!」
そう指示しながらも、シャアはGMが発射したビームを高く跳躍してかわした。
* * * * *
助けに入ってきたズゴック、奴もかなりの手練れのようだ。いや、あれはただの手練れじゃない。手練れを越えた何かだ。
動きが速く鋭すぎてソフィーのビーム・スプレーガンが全然当たらない。それでいて、目で追うのがやっとなほどの動きでこちらに迫って殴ってきやがる!
「きゃあっ!!」
――くっ……!
今回もまた、ズゴックのクローを受けて吹き飛ばされた。後方に飛びながらシールドで防いでいなかったら、確実にコクピットを貫かれていただろう。それこそ、アニメ版のあのGMのように。だがそれでも、ギリギリの線だ。反応が少しでも遅かったらやられていた……。
って、あの動き、あの速さ、間違いない……。
――ソフィー、気をつけろ。あのズゴック、間違いない。赤い彗星のシャアだ!
――ええっ!? で、でもどうしろと……。
――とにかく、奴の動きを見逃さず、かわしたり防御したりすることに専念するんだ。俺たちでどうにかできる相手じゃない!
――わ、わかりました……きゃっ!
そう会話を交わしたところで、バルカンが襲ってきた! とっさにシールドで防いだので、なんとか助かったが。
――とにかく、GMの機動性を最大限に活かしてかわすんだ。アムロが来てくれたらなんとかなる!
――は、はい!
かくして俺たちは戦術を切り替えて、防御に専念することにした。幸いなことに、シャアが乗っているのが量産型なおかげもあってか、その動きは、なんとか俺たちがギリギリ反応できる程度にとどまってる。それでも、本当にギリギリで、もしこれが専用機だったり、ザク(S型)だったら確実にやられていたであろうほどだ。
それにしても……きつい。GMの機動性をフルに使って動いてるおかげで、かなり激しい動きなのだ。もう車酔いが生ぬるいと思えるほどの酔いが俺たちを襲っている。意識体の俺でさえこうなんだから、生身のソフィーは推して知るべしだろう。
――大丈夫か、ソフィー?
――は、はい、なんとか……。居候さんのほうは大丈夫ですか?
――俺もなんとか。それよりお前のほうが大変だろう。アムロが来てくれるまでの我慢だ。もう少し頑張ってくれ。
――はい……。きゃあ!!
脳内会話をしていたのが悪かったのか、それとも酔いと疲れのせいか、ソフィーが操作をミスしてGMを転倒させてしまった! やばい!
だがその時、シャアのズゴックに向けて、どこからかビームが飛んできた! それをシャアが飛びのいてかわした。
やっとアムロが駆けつけてきてくれたのか……!
* * * * *
「やっと目当てが来てくれたか。待ちかねたぞ」
ビームをかわしたシャアは、口元に笑みを浮かべながらそう言った。彼の視線の先には、こちらに接近してくるガンダムの姿があった。
そこで。
「む……? やはり量産型では無理があるか」
そう、ズゴックの機体がシャアの操作についてこれずに、オーバーヒートを起こしかけていたのだ。
そこに、ガンダムがもう一発ビームライフルを撃つ! それもかわすが、今度はかわしきれずに右腕を吹き飛ばされてしまった!
「どうやらここまでのようだな。トビアス、撮影のほうはどうだ?」
「はい、ほとんど完了しました」
「よし、長居は無用だ。引き上げるぞ。あとはスパイに任せよう」
「了解です!」
「私が殿を受け持つ。先に行け」
「はい!」
そしてトビアスのズゴックが海へと向かう。ガンダムがそこをビームライフルで狙うも、そこにシャアがクロー部バルカンを浴びせて牽制した。トビアスのズゴックはその隙に海中に飛び込む。
「よし……それでは私も行くとするか。これが置き土産だ。受け取れ!」
シャアのズゴックはかがむと、頭部からミサイルをまき散らした! ガンダムの周辺に着弾し、爆発を巻き起こす!
「次はS型で相手しよう。それまで無事でいろよ!」
そしてシャアのズゴックも水中に飛び込み、待機中のマッドアングラーに帰還していくのだった。
* * * * *
「ソフィーさん、大丈夫ですか?」
通信機からアムロの声が聞こえる。ソフィーはGMを立ち上がらせながら言った。
「うん、かなり酔っちゃったけど大丈夫です……。ありがとう、来てくれるのがもう少し遅かったらやられてました……」
「そうですか……よかった」
それにしても、レビル将軍の言葉通りだったな。これからの戦いはどんどんきつくなっていくような気がする。今回の戦いは、それを暗示しているような気がしてならなかった。やれやれ……本当にこれからどうなることやら……。
* * * * *
一方そのころ、ベルファスト基地にたたずむ一人の少女がいた。
連邦軍の軍服に身を包み、髪の毛をおさげにしたそばかすの少女。彼女は……。
カイは戦争の不条理さに嫌気がさして艦を出た。
しかし、仲間たちが苦戦している様子を見て、彼はどちらの道を選ぶのか?
そして、ソフィーとスパイの少女の出会いは、何を二人にもたらすのか?
Re:Act03『女スパイ邂逅』
君たちは生き延びることができるか?
※次の更新は、11/04 13:00の予定です。お楽しみに!
テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?
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受け継いでてほしい
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受け継いでてほしくない