宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム 作:ひいちゃ
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。
ミライさんが知らせた凶報は、ソフィー(と俺)たちに、大きな衝撃を与えた。
ジオンが地球に戦略攻撃を仕掛けた。
ジオンが地球に戦略攻撃を仕掛けた。
大事なことので二回言いました。いや、そんなことを言っている場合ではない。
俺とソフィーたちが、その報と、その後流れてきたニュースに絶句しているところに、ブライトさんとワッケイン氏、そして救助されたドズル氏がブリッジに駆けつけてきた。
「ミライ、ジオンが地球に戦略攻撃を行ったというのは本当なのか!?」
ブリッジに入ってきてすぐ、上ずった声で問いただすブライトさん。ミライさんも、顔を青くし、震える声で返した。
「えぇ。連邦軍の通信や、マスコミが流したニュースとかを受信したの。マスコミが流したニュースの中継も受信したわ。フラゥ、お願い」
「は、はい……メインスクリーンに出します」
ミライに促され、フラゥが通信機器を操作する。そしてスクリーンに映し出されたのは。
「……!」
そこにいる全員が言葉を失い、息を飲んだ。北米大陸の一角……ニューヨークのあるあたりに、突然まばゆく大きな光の玉が発生した。いや、ニューヨークだけではない。ペキン、マドラス、そしてベルファストにも。
違うシーンも映し出される。どうやら、現地のニュース中継のようだ。映し出されたのは、たちまちのうちに廃墟になった市街地。それはまさに、核攻撃を受けた町のよう。周囲には瓦礫しかなく、生命の気配は感じられない。
攻撃を受けて間もないうちに入ってなんともないってことは、どうやら核兵器ではない……もしかしたらプラズマ・ダイバー・ミサイル……兵器によるものかもしれないが、そんなことは慰めにはならないだろう。
皆が絶句している中、フラゥが続けて報告する。
「こ、この戦略攻撃に対して、連邦軍はただちに『これはスペースノイドによる凶行である。我々は地球の敵であるスペースノイドに対して報復を行う』として、報復攻撃を実行。サイド5の4、5バンチコロニーに対して特殊ミサイルによる戦略攻撃を行った、とのことです……」
なんてことだ。このままでは、この戦争は連邦軍とジオン軍との戦いではとどまらない。地球とコロニー……アースノイドとスペースノイドの戦いになってしまう。それはまさに、ナチュラルとコーディネーターの骨肉の争い、コズミック・イラの戦いの再現……。
そうなったら、人類の絶滅は避けられない。なんとしても阻止しなければ……。
そこで、ソフィーたちの背後にいたドズル・ザビが震えながらも毅然とした声で口を開いた。
「ブライト艦長。厚かましいし、受け入れられがたいことと我ながら思うがそれでもお願いする! 俺も貴官……いや、君たちの戦いに協力させてもらえないだろうか!?」
「えぇ!?」
ドズル氏の頼みを聞き、ブライトさんが驚きの声をあげる。
ジオンの将であるドズル氏が、俺たち三隻同盟(仮称)に参加してくれるというのだ。これに驚かない者がいるだろうか? いやいません。
「あなたが協力してくれるのはありがたいのですが……いいのですか?」
ブライトさんがそう聞くが、ドズル氏に迷いはなかった。
「悟ったのだ。どんな理由があっても、何億人のミネバを……無辜の市民を虐殺することは許されることではないと!! 前のコロニー潰しやコロニー落としの時はスペースノイドの勝利のためにはやむを得ないと思っていた。だが、それは誤りだった! そして今、ギレンの兄者はその過ちを再び犯した! そしてこれからも犯そうとするだろう。俺はやつと同じザビ家の者として、そして一人の人間として、奴を止めなければならない。俺自身の贖罪もためにも! たとえ彼を倒し、そして殺そうとも!!」
そう一息に言うと、彼は大きく息を吐き、懐から何かを取り出し、そしてブライトさんに手渡した。
それは拳銃だった。
「もちろん、君たちが俺を信用できないし、許せないだろうことはわかっている。だからこれを君に預けよう。もし俺が君たちを裏切ろうとしたら、それで容赦なく俺を撃ってくれ」
そう言い切るドズル氏の瞳に迷いはなかった。あるのは、この戦いを止めようとする決意だけ。
それを感じ取ったのだろう。ブライトさんはしっかりとドズル氏の瞳を見てうなずいた。
「わかりました。喜んで力をお借りしようと思います。フラゥ、エターナルに通信をつないでくれ」
「了解しました」
フラゥがまた機器を操作する。通信スクリーンに、ラクス様の姿が映し出された。
スクリーンの向こうのラクス様に、ブライトさんが事情を説明する。
そして、まずはワッケイン氏に意見を求めた。それに対して、ワッケイン氏いわく。
「ドズル氏の人柄なら言っていることに嘘はないだろうし、決意は確かだろう。私に異論はない。何より、この艦隊の司令官は君だ。君の思う通りにすればいいと思う」
続くラクス様の意見も決まっていた。
「私もワッケインさんと同じ意見です。彼の瞳には一切の悪意がないように見えました。志をともにしても問題ないと思います」
「わかりました」
ブライトさんはそう言うと、ドズル氏のほうに向き直り、そして言った。
「あなたの協力を受け入れましょう。何を任せるかはこれから詰めていくことになりますが、よろしくおねがいします」
「了解した。君たちの信頼と期待を裏切らないように努力しよう」
そして握手するブライトさんとドズル氏。
そこに、またフラゥが報告の声をあげる。
「艦長、この艦に呼びかける通信があります!」
「呼びかけだと? 誰からだ?」
「わかりません。ミノフスキー粒子による妨害がひどくて……」
そこでワッケイン氏がブライトさんに問いかける。
「どうする? 我らと同じ連邦やジオンからの離反者の可能性もあるが、罠の可能性も捨てきれない」
「むぅ……とりあえず行ってみましょう。罠だったら、その時考えればいい。今は、協力者を募るほうが優先だと考えます」
「了解した」
「うむ」
ワッケイン氏とドズル氏の同意を得て、ブライトさんはミライに向き直って指示した。
「よし、ミライ。通信の発信源に向けて進路をとれ!」
「了解!!」
* * * * *
一方その頃、ペガサスJr.のいたソロモン近くの宙域から離れた地点。
そこでは、シャアのゲルググ、部下のリック・ドム二機が、必死に謎のジムと激闘を繰り広げていた。
周辺には、既にジムに葬られたリック・ドムの残骸が浮かんでいる。
そのジムと必死に切り結ぶゲルググのシャアが苦笑を浮かべながら、ザンジバル級ラグナレクのドレンに問いかける。
「今日は厄日のようだな。こともあろうに、こいつと出くわしてしまうとは。ドレン、まだ木馬からの返信はないのか?」
「はい。かなり出力を上げて送ったのですが、ミノフスキー粒子が濃くて、向こうまで届いたかどうか……」
「そうか……。仕方ない。向こうに届いたことを祈るしかないな」
そう言いながら、シャアはビームライフルをジムに向けて発射! しかし、ジムはそれを苦もなくかわす。
そして赤いゲルググに突進して切り結ぶ! そのジムの背後からリック・ドムがバズーカを構えるが……!
「!?」
なんとジムはそれを察すると、目に止まらぬ動きでゲルググから離れてドムの背後に周り、その機体をビームサーベルで横一文字に両断した!!
「う、うわぁ! 大佐ぁ!!」
「メナース!! くそ、化け物め……!」
そう吐き捨てるシャア。その額には汗が滲んでいた。そこにラグナレクから通信が入る。
「大佐、私もエルメスで!」
「だめだ。奴はララァとエルメスの手に終える相手ではない!」
「しかし……!」
そう会話をかわしながらも、ビームライフルを撃ち、ビームツインソード(ナギナタ)で切り結ぶシャア。そこに、彼らが待っていた報告が届いた!
「ドレン大尉! こちらに近づいてくる艦があります! これは……木馬の艦隊です!!」
「大佐、お聞きになられましたか!」
「あぁ。これでどうにかなりそうだ。ここから逆襲といきたいものだな」
そう言うシャアの表情には、安堵が浮かび、そしてあの不敵さが戻ってきていた。
* * * * *
俺たちペガサス隊が駆けつけると、そこでは一隻のザンジバルとその護衛の
「ザンジバル? フラゥ、通信を送ってきたのはあの艦なのか?」
「はい。間違いなく、例の通信はあの艦から発信されています」
フラゥの報告を受け、ブライトさんはうなずくと指示を返す。
「よし、フラゥ。ザンジバルと通信をつなげ」
「はい」
フラゥが通信機器を操作すると、通信用スクリーンにジオンの軍服……しかし、そこにジオンの階級章はない……に身を包んだ、小太りの男……ドレン氏の姿が映し出された。
「通信を受けていただき、感謝いたします。元ジオン軍突撃機動軍所属、ザンジバル級ラグナレク艦長ドレンであります」
「ペガサスJr.艦長、ブライトであります。しかし、元とは?」
「我々もそちらと同じ身の上でして……。わけあって、上司であるキシリア様とともにジオンを出奔した身なのです。話はあとにしましょう。今は我々を救援していただけるとありがたい」
「わかりました。ジオンを離れた身であれば助けない理由はありません。ただちに援護しましょう」
「よろしくお願いします」
そして通信は切れた。すぐさま、ブライトさんは俺たちのほうを向いて号令をかけた!
「よし、ただちにMS隊発進! ザンジバルのMS隊を援護するんだ! ペガサスも最大戦速! 戦闘空域に駆けつける!」
「了解!」
そして格納庫へと走り出し、そして出撃していく。もちろん俺たちも。
―――居候さん!
―――わかってるよ。『俺たち』ではなく『私たち』だろ?
* * * * *
そして出撃すると、リック・ドムがジムにやられようとしているところだった。ドムにビームサーベルを振りかざすジム。そこに。
「させない!!」
アムロのガンダムがビームライフルを撃ち、それを牽制した。
しかし。
こちらはシャアのゲルググと部下のリック・ドム、ソフィーと俺のフリーダム、アムロのガンダム、カイのガンキャノン、ハヤトのジム・コマンド、セイラさんのGファイターにスレッガーさんのコア・ブースター。8機もいるんだから大丈夫だろうと思っていたら甘かった!!
ジムは背部から何かを2つ切り離すと、それは小型のMSのようなものになって襲ってきたのだ!
それを見て、ELSクァンタの刹那が呻くように言う。
「ティエリアのナドレのようなものか……! む?」
「どうしたんだい?」
「ちょっと気になることがある。この場を任せて大丈夫か?」
刹那の問いに、ハヤトが答える。
「あぁ。ある程度なら持ちこたえられると思う」
「そうか。こちらの用事を片付けるまで耐えてくれ」
そしてELSクァンタは、俺たちが声をかける間もなく別な方向に飛び去っていった。
一体何があるんだ……?
しかし、それを考える場合ではなさそうだ。ジムから切り離された小型MSたちがこちらに向けて襲ってきたのだ。
アムロがビームライフルを撃つ。奴がそれをかわす。
ハヤトのガンキャノンがキャノン砲で小型MSを牽制する。
セイラさんのGファイターとスレッガーさんのコア・ブースターが小型MSたちを翻弄する。
しかし、あのジムよりは劣るが、それでも小型MSたちは強敵だ。赤いほうはビームキャノンで遠距離から射撃し、青いほうが電磁バリアを発生するビットを使い、こちらの攻撃を防ぎ、時には赤い奴の盾になりながら接近戦を挑んでくる。
ってこいつら……ガンダムWのヴァイエイトとメリクリウスかよ!! 俺たちはデュオじゃないんだぞ!
しかし、手をこまねいているわけにはいかない。今もザンジバルとゲルググたちはあのジムに苦戦しまくっているのだ。早く駆けつけないと手遅れになりかねない。
そこに。
「怯むな、若者たちよ! 小賢しい奴らなど、我らの敵ではない! 軽く蹴散らしてくれるわぁ!!」
その声とともに、何かが突っ込んできて小型MSを吹き飛ばした。
見るとそれは一機のジム。それに乗っているのは……。
「ど、ドズル閣下!!」
そう、あのドズル・ザビだったのだ。まさか彼が援護に駆けつけてくれるとは!!
そのドズルはアムロのガンダムに目を向けて、そして言う。
「白い悪魔! ここは俺たちが引き受ける。お前はシャアの援護に向かうがいい!!」
「は、はい!」
そして、ハヤトもソフィーに言う。
「ソフィー、君もアムロについていってくれ! ドズルさんがいてくれれば、俺たちだけでなんとか持ちこたえられる!」
「はい!!」
―――よし、行こうぜ!
―――行きましょう!!
そして、ソフィーもアムロの後を追い、ジム・フリーダムをザンジバルのほうに急行させた。
それを青いほうが追おうとするが……。
「させぬわ!!」
ドズル氏のジムがビームサーベルで切りかかって牽制した。
* * * * *
ドズルのジムの奮戦ぶりはものすごいものだった。
今でこそ司令官をしているが、本来は戦士こそが彼の領分なのだ。
赤MSのビームキャノンを振りかざしながら、奴に迫る。青MSがそれを阻止しようと立ちはだかるが、体当たりで吹き飛ばす!!
「ふん、サイコミュ制御だか自動制御だか知らんが、操り人形に負けるようでは、ソロモンのドズルの名が泣くわ!!」
そこからの動きもさすがというべきだった。
向こうの赤MSがビームキャノンを構えたのを見てとると、その射線のほうに青を蹴り飛ばした!
それに赤MSが躊躇するように動きを止める。それが隙になった!
「今だ、やれい!!」
ドズルの号令に、ガンキャノンが肩のキャノン砲を発射!! 吹き飛ばされて態勢を崩した青MSは防ぐこともできず、赤MSはキャノン砲の直撃を受け、ビームキャノンを破壊されてしまう!
「いくぜ、嬢ちゃん!!」
「了解!!」
そこにセイラのGファイターと、スレッガーのコア・ブースターが襲いかかり、赤いMSのマシンキャノンを舞うようにかわしながら、ビームやミサイルを浴びせる!!
赤MSは青ほど機動性はよくないのか、数発はかわすことはできたものの、それでも何発かを受けて損傷を負ってしまう。
そして最後にビーム砲を胴体に貫かれて爆散したのだった。
「見事だ、若者たちよ! 俺も負けてはおれんな!! MSもどきめ、これで終わりだぁ!!」
ドズルは満足そうな笑みを浮かべると、青MSに向けて斬りかかった! 青MSもビームサーベルで応戦しようとするが、ドズルのほうが早い!
青MSはドズルの一閃を受けて真っ二つに両断され、爆発して果てたのだった。
* * * * *
一方、ザンジバルの近くでは、シャアの赤いゲルググともう一機のリック・ドムが例のジムと激しい戦いを繰り広げていた。そこにアムロのガンダムが、ジムに向けてビームライフルを撃つ!!
ジムがそれをかわし、その間にソフィーと俺のジム・フリーダム、そしてアムロのガンダムはシャアと合流した。
「またも君たちと共闘することになるとは、運命の皮肉を感じるな。だが、今はありがたいと思う」
「僕もあなたたちとともに戦うことになるとは思いませんでした……って、その声はサイド6で僕たちを泊めてくれた……!」
「そういえば確かに……。ふふふ、あの時の少年が、まさか白い悪魔のパイロットとは」
「あ、あの時はお世話になりました……」
おどおどとお礼をのべるソフィー。
あの、そうやってあいさつしてる場合ではないと思うのですが。
「あいさつはここまでにしておこう。色々と皮肉な運命を感じなくはないが、今は奴を倒すのに協力してくれ」
「はい!」
「わかりました!!」
そして、再び突っ込んできたジムに立ち向かう。ヤツのビームライフルの乱射を散開してかわす。
シャアのゲルググがツインビームソードでジムに斬りかかる。それをビームサーベルで受け止め、押し返し、それで後退したゲルググを追撃しようとした奴を、アムロのガンダムと、ソフィーのフリーダムがビームライフルで牽制する。
ジムは俺たちの射撃を鋭い機動でかわしながら、今度はアムロのガンダムに向かう! アムロは先手をとって同じくジムに突っ込み、そしてビームサーベルで斬りかかった。
機先を制され、攻撃態勢に入る前に斬りかかられたというのに、ジムはアムロと互角の鍔迫り合いを演じる。そこに、ジムがキックを放ち、アムロのガンダムを吹き飛ばした! 奴はそのままビームライフルで追撃しようとするが、その前にシャアのゲルググがキックで不意打ちを仕掛けた。
さらにソフィーのフリーダムが、フリーダム・シルエットを展開してフルバースト!! しかしジムはそのフルバーストをも巧みな機動でかわしていった。なんてやつだ……。
そして激戦を繰り広げていくソフィーたち。その時だ!
ジムがフリーダムに突っ込んでいき、二機のビームサーベルがぶつかりあったその時!!
俺の視界が真っ白に染まった。
* * * * *
気がつくと俺は一糸まとわぬ姿で、真っ白な空間にいた。
俺の眼の前には、同じく全裸の少女が立っている。はじめて見る顔……ではない。前世において何度も見た顔。親の次に愛おしい顔。
そう、彼女は俺の前世での妹だった。
そんな彼女は、どこか哀しさを宿した笑顔をこちらに向けて口を開いた。
「あぁ、お兄ちゃん……やっと会えた……」
「結衣……! なぜお前がそこに……!?」
「私も、この宇宙世紀に憑依転生してきたの。連邦軍の開発した強化人間のクローンとして……。残念だけど、このように転生失敗しちゃったけど……」
俺と同じかよ……。それにしても、強化人間に転生(失敗)してしまうなんて……。本当に運命って奴を憎まずにはいられない。
「この人は、連邦軍によって、連邦の敵に対する強すぎる憎悪と敵意を植え付けられてしまって、ジオンや連邦の敵を倒す兵器にさせられてしまってるの。私は彼女をなんとかなだめ、憎しみに囚われすぎないようにすることしかできない……だから、お願い……」
「……」
「この人を……殺して……私ごと……」
「な……!?」
絶句する俺の前で、結衣は悲しすぎる微笑みを浮かべ、そして続ける。
「この人は……私たちは、戦いから逃れることはできないの……。彼女に植え付けられた憎悪や敵意もだけど、この機体やこの人も、連邦軍のコントロール化に置かれていて、暴走しそうになったり、彼らの意に背いたりするようなことをしたら、毒を注入されて殺されるようになってる……」
「……!」
なんてこった……! 畜生、連邦軍め……!
俺に訴える結衣の目尻に涙が浮かぶ。
「彼女も私も、戦い続けるしかないの。だから、これ以上連邦軍の駒になって罪を重ねる前に……お願い……」
「それしか、方法はないのか……?」
「うん、これしかないの……」
「お前は……それでいいのか……?」
「……うん……」
そしてしばしの沈黙。
しかし、他に方法がなく、こいつがそれを望むなら、道は一つしかない……。
「わかった……妹の願いを叶えるのが、兄貴の役目だからな……」
「ありがとう……」
そして視界が暗転して、元のコクピットに戻った……。
* * * * *
謎空間から戻ると、まだソフィーとアムロ、そしてシャアは結衣の宿主のジムと激闘を繰り広げているさなかだった。
俺は妹を葬らねばならない、という心の痛みをこらえながら、相棒に言う。
―――……ソフィー、フルバーストをかますぞ。シルエットを展開してくれ。
しかし、返ってきた返事は意外なものだった。
―――できません!!
―――……!?
「アムロさん、シャア大佐、わけあって、あのジムを撃破することなく捕獲したい、いえ、捕獲しなくてはいけないんです。協力してください!」
「わかりました!」
「了解した。事情はあとで聞こう」
アムロからもシャアからも快諾の返事が返ってくる。よく見ると、ソフィーはシルエット展開の機能をロックしていた。それが、彼女の思い……俺の妹、結衣を死なせたくない……という決意を物語っていた。
―――ソフィー……。
―――あの人はあなたの妹なんですよ! その彼女を兄のあなたの手で死なせるなんて真似、私には見過ごせません!!
あの交感でのやりとりを聞いていたのか。でも……。
―――しかし、あいつを戦いから解放する方法なんて……。あいつも……。
―――諦めてはダメです! きっと方法は見つかります! あの人の兄であるあなたがそれを信じなくてどうするんですか!
そうか、そうだよな……。あいつの兄である俺が、彼女を生きたまま救うことができることを信じなくて、誰が信じるというのか。
―――済まなかったな。あいつを助けるため、お前たちの助けを借りることにするぜ。
―――はい、行きます!!
その瞬間、ソフィーの気配が変わった。これはサイド6での戦いのときにもあった、あの……。
しかし、あの時とは違っていた。あの時は、ソフィーがマシンの一部になってしまった感じであったが、今度はソフィーがフリーダムを手足のように操る、いや、ソフィーが機体を自分の体にしている感じなのだ。
結衣を助けたい、という想い、願いがあの問題を克服させたのか。
それで流れが一気に俺たちに傾いた。ソフィーの駆るジム・フリーダムがその巧みかつ鋭い機動で、ジムを翻弄しつつ攻撃を浴びせ、アムロのガンダムがビームライフルで援護射撃、そしてシャアのゲルググがツイン・ビームソードで斬りかかる。
俺たちの攻めに、奴は防戦一方だ。ソフィーの覚醒もさることながら、彼女の結衣を救いたいという決意、それに同調したアムロとシャアの気持ちが、ジムの戦闘能力を凌駕しているのだ。
フリーダムのビームサーベルが、ジムの胸部ハッチをかすめる。避けたハッチの向こうからカプセルが、その内部の、敵意と憎しみを秘めた、ソフィーによく似た娘の姿が見えた。
―――……っ!!
やはりそれがトラウマを刺激したのか、彼女の精神世界が大きく揺れ動く。だが、この前と違い、それで彼女が動けなくなることはなかった。
―――お、おい、大丈夫なのか、ソフィー……?
―――はい。トラウマに負けている場合ではありませんから! 今はユイさんを助け出すこと、ただそれだけです!!
なんてことだ。あの決意が、彼女にトラウマを乗り越える勇気をも与えたようだ。まさに奇跡か。
それからもジムと切り結び、撃ち合うソフィーたち。そのうち、奴に隙ができた!!
その隙に、シャアのゲルググと、ソフィーのフリーダムがツイン・ビームソード/ビームサーベルを手に、ジムに突っ込んでいく。
「たあーっ!!」
「せやっ!!」
そして気合一閃!! 見事、ジムの両手足を切り落とし、無力化することに成功した。やった!!
―――やりました、居候さん!!
―――あぁ。でも、彼女の母船が黙っているか……。
奴らに不都合なことがあると消そうとしてくる、と言ってたしな……。それが気がかりだ……。
と、そこに通信が。
「こちら刹那」
* * * * *
「こちら刹那。例のジムの母船と思われる船を撃破した」
そう報告する刹那の目前には、爆炎に包まれながら沈んでいくコロンブス級の姿が映っていた。
* * * * *
そして無力化されたジムは、ペガサスJr.に回収されていった。
そしてコクピットハッチを開けたソフィー(と俺たち)は、さらなる衝撃に襲われることになる。
コクピットに収められたカプセル。その中には、腕がなく、胸部より下がない、まるで胸像のような若い女性の姿が収められていたのだ。
絶句する俺(とソフィー)に、結衣からの感応波が届く。
―――これが今の私と彼女の姿。彼女は、ルシア・リオノウンズさんって人の細胞から生まれたクローンなんだけど、連邦軍の人たちは、彼女が造り主たちに反抗をしないように、彼女をこのような姿に……。
―――なんだって……!? ひでぇことしやがる……!
そこでソフィーの衝撃の波動が精神空間を揺るがした。
―――ルシア……!!
―――ど、どうしたんだよ。そういえばお前も確かリオノウンズって……。
―――はい……。ルシアは……ルシアお姉ちゃんは……私のお姉ちゃんです……。
―――な……!?
まさか、ソフィーと俺たちが今まで戦ってきたのは、ソフィーの姉のクローンだったなんて……。
俺はクローンとはいえ、相棒の姉を非道な戦いの道具にした連邦への怒りをおさえきれなかった。
そして、結衣がさらに続ける。
―――さらに、自分をこのような姿にした憎しみさえも、連邦軍の人たちは、ジオンや連邦の敵に対する憎悪につながるように精神操作を……。
―――そうなのか、連邦め……!
改めて、結衣や彼女たちが受けた仕打ちに怒りを燃やす俺とソフィーに、ラクス様が言う。
「彼女のことは私たちにおまかせください。彼女の身体の再生や、精神操作の治療については、刹那さんの世界や、私たちの世界の技術がお役にたてるかと思います」
「そうですか……お願いします」
ソフィーがカプセルごしに、姉をなでてやる。
そして俺も、結衣に言葉を送った。
―――結衣、ゆっくり体を治していてくれよな。
―――うん……。ありがとう……。
そして彼女はランチでエターナルに運ばれていった。俺は結衣たちが少しでもよくなることを祈らずにはいられなかった。それはおそらく、ソフィーやアムロたちもだっただろう。
* * * * *
一方、会議室では、ブライトとワッケイン、そしてドズルが、シャアと会談を持っていた。
「そうか、キシリアまでも……」
腕を組んで、そううなるドズルに、シャアが返す。
「はい。どうやらギレンは、自らに反対する者をジオンの敵として、徹底的に排除するつもりのようです。サイド3からの秘密情報では、キシリア様だけでなく、反ギレン派の意思を持つと思われる人々の弾圧も行われているそうです」
「そうか……どうしてしまったのだ、ギレンの兄は……」
そこでワッケインがシャアに顔を向けた。
「それで貴官がキシリア・ザビの特使としてこちらに来たのは、それに関係するのかな?」
「はい。キシリア様は、ギレン・ザビを倒し、戦争を破滅に至る前に止めるため潜伏活動を行う予定です。それにあたり、あなたたちと連携、できれば協力したい、とのことでした」
「なるほど……シャア大佐、あなたの目から見て、キシリア・ザビのその話、どこまで信用できると見ておられますか?」
そのブライトの問いに、シャアはしばしうつむいて考え、そして顔を上げた。そして口を開く。
「はい。私の印象ですが、彼女は少なくとも以前よりは地球圏のことを真摯かつ真剣に考えるようになったとお見受けしました。それを見て私は感じました。彼女はもはや、私の復讐対象であるザビ家という存在ではなくなった、と。それはドズル閣下もですが」
そのシャアの言葉に、ブライトが聞き返す。
「復讐対象? あなたは……」
「おっと、申し訳ない。あなたがたと真剣に手を組もうというのに、正体を隠したままとは不適当でしたな。どうも癖というのは外すのを忘れさせる……」
そしてシャアは、ヘルメットを取り、そのマスクをはがして、素顔のその場の一同にさらした。
「シャア・アズナブルというのは偽名でして。私の真の姿はキャスバル・ダイクン。この艦のお世話になっていると思われるセイラ・マスの兄であり、かのジオン・ダイクンの忘れ形見です」
感想と、テテテUCを書いてくれる人、どちらもお待ちしております!!
* 次回予告 *
シャアからもたらされた第二次戦略攻撃の情報。
ペガサス隊は、再びの凶行と惨劇を阻止するため、衛星軌道上へと向かう。
だがその陰で、猟犬も天馬を毒牙にかけようと狙っていたのだ。
ソフィーたちは、ジオンのプラズマ・ダイバー・ミサイルを阻止できるか?
次回、『再び、衛星軌道上』
君たちは生き延びることができるか?
※次の更新は、5/25 13:00の予定です。お楽しみに!!
※作者の就職が決まったので、これからは更新日がずれたり不定期になるかもしれません。そうなったら申し訳ありません(汗 でも未完結にならないように頑張ろうと思っています。
テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?
-
受け継いでてほしい
-
受け継いでてほしくない