宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム   作:ひいちゃ

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宇宙世紀0079、サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に宣戦布告した。
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。

* * * * *

ペガサスJr.は、特使としてやってきたシャアと共闘することになった。
そこで主人公は、あのジムのパイロットの片割れが、自分の妹であることを知る。
ソフィーは彼女を救うために、その刃を振るい、妹と、自分の姉を戦いにつなぐ悪意の鎖を断ち切ったのだった。


Re:Act.23 『再び、衛星軌道上』

「シャア・アズナブルというのは偽名でして。私の真の名はキャスバル・ダイクン。このペガサスJr.のお世話になっているセイラ・マスの兄であり、かのジオン・ダイクンの忘れ形見です」

 

 マスクを外して、ついに自分の正体を明かしたシャアに、会議室の面々は衝撃のあまりに硬直していた。

 その中、ブライトが口を開いた。

 

「ということは、セイラはやはりジオンの……?」

「はい、アルテイシア・ダイクン。彼女もジオンの血を引く者です」

 

 一方のドズルも、腕を組んで唸っている。

 

「貴様がキャスバルかもしれないというのは、キシリアからの情報や当時からの噂で感づいていたが、まさか本当のことだったとは……。それで……おっと、キャスバルと呼べばいいのか?」

 

 ドズルがそう尋ねると、シャアは苦笑を浮かべて返した。

 

「いえ、今まで通りシャアでかまいません。本名よりもこの名のほうが付き合いが長くなって、馴染みがよくなってしまいましたし」

「うむ……それではシャア。貴様はやはり、俺たちザビ家の者を憎んでいるのか? お前の父、ジオン・ダイクンを暗殺したザビ家を……」

 

 そう深刻な面持ちでドズルが問う。それに浮かべたシャアの苦笑、それがドズルの懸念が杞憂であることを表していた。

 

「そうであれば、こうしてキシリア様の特使としては来ておりませんよ。確かに復讐の念を抱いていたことは否定しません。でも今は違います」

「む?」

「今の私は、ある人物との出会いで見出したのです。人と人がわかりあい、相手のことを大切にできることができる世界を。ですが、この戦争で人類が破滅してしまっては、その世界も何もありません。その世界を実現するためにも、復讐よりも何よりも、今はこの戦争を収めなければならない、そう思っています」

「……」

 

 ドズルが表情をかすかに緩めた。彼の論の良し悪しは別として、彼の言葉と決意に嘘はないと確信したかのようであった。

 

「そうか……わかった。貴様のことを信じよう」

「ありがとうございます。あともう一つ、キシリア様からの言付け……というか情報があります」

「何か?」

 

* * * * *

 

 一方、その頃。エターナルの医療室で、ラクス様とアムロ、そしてソフィーと俺は、カプセルに封じ込められた人物と対面していた。そう、ソフィーの姉、ルシアの細胞から生み出されたクローンであり、俺の妹、結衣の宿主である、あのジムのパイロットだ。

 

「ラクスさん……それで、彼女の治療具合はどうなんですか?」

 

 そうか細い、心配そうな声で聞くソフィーに、ラクス様は真剣な表情にかすかな微笑みを交えて答えてくれた。

 

「はい。精神操作のほうは、まだ攻撃性が少し残っているようですが、ほとんど影響はなくなったみたいです。身体の欠損の再生については、刹那さんの世界の再生医療技術のおかげで目処は立ちましたが、まだ時間がかかりそうですね」

「そうですか……」

 

 そしてカプセルを見つめ続けるソフィー。こんなことを聞くのは気がとがめる気がするが……。

 

―――なぁ、お前の姉って……。

―――あぁ……まだ全部話していませんでしたね……。姉が、機械を自在に操ることのできる特別な体質で、私が尊敬していた大好きな人物だったというのは、あの夢の通りです……。

―――あぁ。

―――でも、私たちのコロニーがジオンの攻撃を受けた時、私たちが脱出のために乗っていた船が、戦いの流れ弾を受けて損傷して……。

―――……。

―――私は助かったのですが、姉はそのまま宇宙に放り出されてしまったんです……。

―――そうだったのか……。聞いてしまって悪かったな。

―――いえ、いいんです。私と居候さんは、一心同体の相棒ですし。それに、嬉しいんです。存在としては変わってしまいましたが、死んだと思っていたお姉ちゃんに会えたのが……。たとえ、クローンでもなんでも、お姉ちゃんはお姉ちゃんです……。

―――ソフィー……。

 

「あ……」

 

 そこでアムロが声をあげた。カプセルのほうを見ると、ルシア(のクローン)が目を覚ましたようだ。

 

「お前たちは……」

 

 ソフィーのほうに顔を向けてそう言う彼女に、ソフィーの目から涙が一筋こぼれた。その肩を……ラクス様が抱いてくれた。アムロじゃないのかよ!という突っ込みは、胸の奥にしまっておく。

 

「なぜ泣く……?」

「嬉しいんです。生きていてくれたのが……」

「私はお前と会ったことはないはずだが……」

「……」

「だが、なんでだろうな……」

「え……?」

 

 ソフィーが聞き返すと、ルシアが表情を緩めて、かすかに微笑んだ。それは、家族というか最愛の姉妹に向けた表情のようであった。

 

「私とお前は初対面のはずだが……私の心の奥底が言っている気がする……。お前は私の大切な存在だと……」

「ルシアお姉ちゃん……。あの……あなたのこと、お姉ちゃんと呼んでもいいですか……?」

「あぁ……。不思議と悪い感じはしない……」

「ありがとう、お姉ちゃん……」

 

 意外な形での再会を、ソフィーの精神世界から見ていた俺に、結衣からの思念波が届く。

 

―――再会できてよかったね、お兄ちゃん。

―――あぁ。この艦隊のみんなや、何よりお前のおかげだよ。ありがとな、結衣。

―――ううん、私は何もしてないよ。

―――いや、お前が彼女の中にいてくれなかったら、また暴走してしまって、軍に処分されてたかもしれないからな。本当にありがとう、結衣。

―――う、うん。えへへ、なんかくすぐったいな。それと私も、お兄ちゃんと再会できて嬉しいよ。

―――そうか。

 

 と、そこにフラゥの声でアナウンスがあった。

 

MS(モビルスーツ)隊各員は、ただちにペガサスJr.の会議室に集まってください。繰り返します……」

 

 それを聞き、ソフィーが少し表情を曇らせ、カプセルをなでながら言葉を紡いだ。

 

「それじゃ行ってきますね。お姉ちゃん、ゆっくり休んで養生しててください」

「あぁ……そうさせてもらう」

「ラクスさん、お姉ちゃんのこと、よろしくお願いします」

「はい、おまかせください。頑張ってくださいね」

「はい!」

 

 そしてソフィーは椅子から立ち上がった。

 

―――お兄ちゃん、頑張ってね。

―――あぁ。結衣も、ゆっくり休んでいてくれよ。それがお前の、今の役目だからな。

―――うん。

 

 そして俺たちは、病室から出ていった。

 

* * * * *

 

「ありがとうございます。あともう一つ、キシリア様からの言付け……というか情報があります」

「何か?」

 

 そう聞くブライトに、シャアは表情をひきしめて口を開いた。

 

「ギレンは、再びプラズマ・ダイバー・ミサイルによる第二次戦略攻撃を計画しています」

「なんだと……!?」

 

 その報告に、その場にいた者が絶句する。

 

「当初はキシリア様の突撃機動軍にそれを命じましたが、キシリア様はそれを拒否して野に降られました。しかし、ギレンがそれで諦めたとは思えません」

「確かにな。ギレンの兄者は、こうすべきと考えたことを翻すような者ではない。必ず実行するだろうことは疑いあるまい」

 

 ドズルの言葉に、ワッケインがうなずいた。確固とした決意を込めて。

 

「なるほど。そして、彼の思惑がともあれ、地球への戦略攻撃を許すわけにはいかない。なんとしてもこれを阻止しなくてはなるまい」

「そうですね。直ちに衛星軌道上に引き返しましょう。シャア大佐、情報の提供、感謝いたします。それと、キシリア氏との連携も承諾しましょう。彼女によろしくお伝えください」

「わかりました。あなたたちの健闘を祈ります」

 

 そして、シャアは立ち上がった。そして、ブライト、ワッケイン、ドズルも立ち上がり、彼と固い握手を交わしたのだった。

 

* * * * *

 

 そのころ、衛星軌道上近くのデブリ帯に身を潜めている艦隊があった。

 連邦軍の非正規部隊『ラスティ・ハウンズ』、その母艦『ドッグズ・ケンネル』をはじめとする艦隊である。

 

 その『ドッグズ・ケンネル』の艦橋で、隊長であるアルヴィー・ホーフマン大尉が、ソロモン改めコンペイトウのバスク・オムから指令を受けていた。

 

「ジオンが、地球に対する第二次戦略攻撃を計画している?」

「そうだ。情報源は不明だが、ジャミトフ閣下のところに、そう情報があったのだ」

 

 それを聞き、ホーフマン大尉の顔に真剣な、そして思慮深い表情が浮かぶ。

 それを許すわけにはいかない。その情報があったからには、必ずジオンの暴挙を阻止せよ、という命令があるものだ、と。

 

「なるほど。それで我らにはそれを阻止せよと」

「いや、そうではない」

「は?」

 

 しかし、バスクから伝えられたのは意外な言葉だった。

 

「きっと、ジオンの戦略攻撃を阻止しようと、裏切者どもがやってくるだろう。貴様らはそれを叩き、殲滅しろ。それが最優先だ」

「……ジオンの戦略攻撃を阻止することは必須ではない、と?」

「そうだ。戦略攻撃が成功すれば、それはそれで使いようがある」

「……なるほど」

 

 それでホーフマンは得心した。

 

 ジオンの戦略攻撃が成功すれば、それで連邦市民の世論は、さらにジオン殲滅へと傾く。いや、それだけではあるまい。

 ジャミトフがそれだけの考えで、ジオンの暴挙を黙認するほどの単純な男ではないことを、長年穢れ仕事に身を置いていた彼は、その狗ならではの嗅覚で感じ取っている。

 

「それによって連邦内部で大事が起こるのでしょうか?」

「ノーコメントだ。貴様の判断に任せる」

「……わかりました」

 

 ホーフマンの予想は正しかった。そう、世論を反ジオンに傾かせるだけではない。さらなる戦略攻撃が行われれば、それがどのような結果になろうと、連邦政府の内部は混乱する。ジャミトフやバスク等急戦派は、その混乱に乗じて一気にクーデターを起こし、連邦の政治中枢を握ってしまうつもりなのだ。

 しかし、指示があったからには、こちらにそれを拒否する選択肢はない。選択するつもりもない。彼らは『狗』なのだから。ただ、主人の命令に従うのみ、だ。

 

「わかりました。それではラスティ・ハウンズ隊はただちに衛星軌道上に向かい、脱走艦であるペガサスJr.とレナウン他を殲滅、そしてジオンの戦略攻撃を可能であれば妨害する任務にうつります」

「うむ。それによって我らの命運が決まる。心せよ」

「はっ」

 

 そして通信が切れた。その画面を少しの間見つめながら、ホーフマンは心の中で苦笑を浮かべた。『我ら』とはよく言ったものだ。普通の人が聞けば『我ら=連邦』と解するだろう。だがその実はかなり狭い範囲なのだ。

 何はともあれ、任務を遂行しなければ。彼は、通信機器から、こっそりとディスクを抜き取ってポケットに入れると、背後に振り向き、そして言った。

 

「よし艦長、出航だ。我が艦隊は反乱分子殲滅のため、衛星軌道上に向かう」

「はっ」

 

 そして狗たちは動き出した。彼らの母なる星に向けて。

 

* * * * *

 

 そのころ、三隻同盟(仮)との会談を終えたシャアのザンジバル級ラグナレクは、彼らと別れて、キシリアの潜む暗礁地帯へと向かっていた。

 

 別れる前にはセイラとも再会したが、やはり二人の間に言葉はなかった。だがその表情はかすかに穏やかだったのは幸いかもしれない。復讐を捨てたことが、彼の雰囲気から感じ取れたのだろうか。

 

 いつか、セイラと完全に和解し、元の仲のいい兄妹に戻れる日が来るのだろうか。そう思いをはせる彼に、副官のドレンが報告する。

 

「大佐、怪しい連邦軍の艦隊が地球の衛星軌道上に向かっているのを発見しました」

「何?」

 

 ドレンのいるレーダー手席へと向かう。レーダーには確かに、付近の暗礁宙域を出て地球へと向かうルートをとっている艦隊……ラスティ・ハウンズの艦隊……を表す光点が映し出されていた。

 

(……なるほどな)

 

 最初は、輸送艦隊か地球に帰還する一般の艦隊ではないか、気にするほどのことはないのではないか、と思っていたが、すぐにわかった。彼らの取っているルートは、デブリや小惑星が多数浮かぶ、通常であれば航路に使われることはまずないルートであり、その艦隊は巧みに航路を偽装していた。(普通の艦隊なら偽装する必要はまずないだろう)

 これらのことがシャアの勘を刺激した。この艦隊にはよからぬものを感じると。

 

「よし、ドレン。我らもあの艦隊を追尾するぞ。あの艦隊を逃すとよくないことが起こる予感がする」

「大佐の予感なら間違いないかもしれませんな。了解しました。あの艦隊を追尾するルートに進路をとれ!」

「はっ!!」

「くれぐれも奴らに気づかれぬようにな」

「了解しました」

 

 そのドレンや操舵士にうなずくと、シャアは続いて通信士のほうを向いて指示を飛ばした。

 

「通信士、キシリア様に連絡を。野暮用ができたので、帰還するのが遅れる、とな。それと、木馬との連携交渉もうまく言ったとも報告してくれ」

「わかりました」

 

 そして、シャアのザンジバルも、狗を追尾し始めたのだった。

 

* * * * *

 

 シャア氏から、ギレン・ザビが地球への戦略攻撃を企てている可能性があることを聞かされた俺たちは、大至急ソロモンから衛星軌道上へと急いだ。

 

 そして地球上空に到達すると……いた!! パゾクとムサイから成る艦隊が、何かの準備をしているところであった。ムサイの一隻で、どでかいバズーカを持ったザクが発艦の準備を進めている。

 それを見てとったブライトさんが、クルーたちに号令をかける!!

 

「良いタイミングだったようだ。各機発進! 奴らの戦略攻撃を阻止するんだ。戦略攻撃のミサイルを、一発たりとも地球に落とさせるな!!」

「了解!!」

 

 その号令一下、ソフィーやアムロたちパイロット組が、勢い良くブリッジを出て、ハンガーへと向かっていく。

 そしてテキパキと発進準備を整え、順次発進していった。

 

―――いきますよ、居候さん!

―――おぉ、相棒!

 

「ソフィー、ジム・フリーダム、行きます!!」

 

* * * * *

 

幸運なことに、敵艦隊のほうは、戦略攻撃部隊の発進準備に気を取られ、こちらを発見するのが遅れたようだ。奴らの警戒範囲内に接近したが、反応されることはなかった。

 

「よし、それじゃさっそく開幕の一発、いきますか!!」

 

 そう言ってスレッガーさんのコア・ブースターが、ウィングに懸架された対艦ミサイルを発射!! 見事そのムサイのMS発進口に直撃し、MSデッキを大破させた。

 それでやっとこちらに気づいたのか、ムサイたちはこちらに向けて転回し、主砲で対空砲火を放ってきた。さらに、護衛のリック・ドムたちが発進してこちらに向かってくる。

 

「そこっ!」

 

 それをかわしながら、アムロのガンダムがビームライフルを撃つ! 見事、リック・ドムの一機を貫いた!! お見事、こちらも負けてはいられないな!

 

―――フルバーストするぞ! シルエットを展開してくれ!!

―――はい!!

 

 ソフィーの答えとともに、フリーダムの背後のシルエットが展開。二基ずつのビーム・ランチャーとソリッド・シューターがセットされる。そして俺の視界にFCSのスクリーンが展開される。それと同時に俺はターゲットをロックオンして。

 

―――くらええええ!!

 

 ビーム・ランチャーとソリッド・シューターのフルバースト!! 護衛のリック・ドムのうち二機を撃破することができた!

 

 カイやハヤトたちも奮闘し、俺たちはジオン部隊を押しに押していた。これなら……。しかし。

 

 そこでブライトさんの声。

 

「手の空いた者はすぐにこちらに戻ってきてくれ! 連邦軍がこちらに攻撃を仕掛けてきた!」

 

 なんだって!?

 

* * * * *

 

「連中がジオンに向かっているところに出くわすことができたとは。実にいいタイミングだ。よし、攻撃開始! まずは母艦を沈めるぞ!!」

「はい!」

 

 ラスティ・ハウンズ隊のホーフマン大尉は、部下たちにそう号令をかけると、真っ先にジム・ナイトシーカーのブースターをふかし、ペガサスJr.艦隊に突撃していった。

 そして、対空砲火をかわしながらビームライフルを発射!! ビームはペガサスJr.の右舷メガ粒子砲に直撃した!!

 

「きゃあ!!」

「右舷メガ粒子砲、大破!!」

「くそ、右舷、対空砲火薄いぞ! 何やってる!! マーカー、MS隊は!?」

 

 ブライトの問いに、ブリッジ・オペレーターのマーカーが早口で答える。

 

「コア・ブースターとGファイター、そして刹那さんのクァンタとソフィーさんのフリーダムが戻ってきました! 残りはまだジオン部隊と交戦している模様!」

「持ちこたえられるか……?」

 

 ブライトがそう言ったところで、またペガサスJr.が被弾し、ブリッジが大きく揺れた。

 

* * * * *

 

 ジオンのMSと戦略攻撃部隊の相手をアムロたちに任せ、俺たちはなんとかペガサスJr.まで戻ってきた。しかし、やはり駆けつけてくるまでに時間がかかったか、ペガサスJr.はもちろん、レナウンやエターナルもかなりの損傷を負っている。これ以上、好きにやらせるわけにはいかないな!

 

 その俺たちの意思を代弁するかのように、刹那のELSクァンタが量子ワープで一気に、ジム・ナイトシーカーの一機の前にテレポートし、ソードで一刀両断! 哀れなジムは、パイロットが脱出した後に爆散して果てた。

 さすが刹那さんだ。やるじゃないか。

 

「負けてはいられないね。お嬢ちゃん、行くぜ!」

「はい」

 

 続いて、スレッガーさんのコア・ブースターと、セイラさんのGファイターがビーム砲で攻撃。ペガサスを襲っていたジムたちは、その攻撃を受けて散開。こちらを迎え撃つ構えをとった。

 

 しかし……どういうことだ? 奴らの動きは妙だった。ジオンが戦略攻撃をしようとしているのに、連中はそっちへの対処よりも、俺たちの攻撃を優先しているようなフシがあるのだ。いやむしろ、ジオンのほうは放置しているといっていい。奴らのミサイルが地球に落ちてもいいというのか?

 

 待てよ、もしジオンの攻撃を放置することが、奴らの黒幕の狙いだとしたら……。

 

―――居候さん!!

―――え?

 

 ソフィーの声を受けて我に返る。気が付くと、ジム・ナイトシーカーの一機がこちらに突撃してくるところだった。その勢いはすさまじく、今からシルエットを展開しても間に合わないそうもない。

 やむなく、ソフィーはビームサーベルを抜いて、奴を迎え撃った。

 

 交錯する二本の光刃。それがスパークを放つ中、俺たちの脳裏に声が響く。聞きなれた声。

 

―――連邦の敵! ソフィーの仇!! 私が地獄に落としてやる! 一人残らず!!

―――ミハルさん!

 

 衝撃に動揺するソフィー。それでも彼女は動揺を抱えつつも、頭部バルカンを発射! ミハルのジムはそれを嫌がるかのように後退し、そこからまたビームを撃ちながら、こちらに突進する。

 

 そして再びビームサーベルがぶつかり合った!

 

「目を覚ましてください、ミハルさん! ジオンは今にも、特殊ミサイルを地球に撃とうとしているんです! それを見過ごすんですか!?」

「連邦の敵が何を!!」

 

 ソフィーが必死に説得するが、ミハルは戦いをやめようとはしない。それほど彼女に施された洗脳は強いものなのか……! くそ、連邦め……!

 

 今度はソフィーがフリーダムを後退。それを追撃してくるミハルのジムにバルカンを浴びせて牽制する。だがミハルはそれをものともせずにビームライフルで反撃! ソフィーはそれをシールドで防ぐが、シールドが吹き飛ばされてしまう!

 

「くそ、次から次へと!」

「このままじゃミサイルが……!!」

 

 通信にはカイやハヤトの悲鳴が。このままでは、何よりも地球が……! その時だ。

 

 俺と戦っていたミハルのジムが、左腕を吹き飛ばされた! なんだ?

 

「どうにか間に合ったようだな」

 

 それと同時に、どこからか聞いた声。そして駆けつけてきたのは……シャアの赤いゲルググ、そしてララァのものと呼ばれるエルメスだった!! その後方にはザンジバルの姿も見える。

 

 ララァのエルメスからビットが放たれ、オールレンジ攻撃で敵のジムを襲う。敵もさすがというべきか、運の悪い一機がやられただけで、後は中破か大破するだけにとどまったが。

 ミハルのジムも回避しようとしたが、それでも右腕と左足を破壊されて戦闘不能に陥った。

 

「ミハルさん!」

 

 ソフィーはその大破したジムからミハルを救出しようとフリーダムを接近させようとする。シャアとララァはソフィーとミハルのことをなんとなく察してくれたのか、そのままジオン艦隊のほうに向かっていく。

 

 そしてソフィーはミハルを保護しようとするも……。

 

「!!」

 

 複数のジム・ナイトシーカーが、それをさせまいとビームライフルで牽制しながら、ミハルのジムのほうに向かっていく。彼女を回収しようというのだろう。それを見て、ソフィーの気配が変わった。

 

「……」

 

 ミハルを助けたいという想いで覚醒したのだろうか。覚醒したソフィーは目にもとまらぬ速さで、ジム・ナイトシーカーのうち一機の攻撃をかわし、そして同時にビームライフルでそいつを撃破した。

 

 ミハルのジムを回収した隊長機らしきジム・ナイトシーカー。それを追おうとするソフィーの前方に、二機のジム・ナイトシーカーが立ちはだかった。その二機は、俺たちの行く手を阻むかのように距離をとりながらビームライフルを乱射してくる。

 

 しかし、それすらも今のソフィーの前には足止めにならなかったようだ。

 

「……邪魔です!」

 

 ソフィーは目にもとまらぬ速さでそのジム・ナイトシーカーに迫ると、ビームサーベルを横なぎに振るい、奴を一刀両断していた。

 すぐさま俺は、ビーム・ランチャーの照準を、もう一機のナイトシーカーと、ミハルを連れ去ろうとしている隊長機に合わせようとする、が……!

 

「くそ、なんて狡猾な!!」

 

 二機はうまく位置を調整して、こちらの射線に並ぶように飛んでいたのだ。これでは、もう撃ったらミハルも巻き添えにしてしまう危険性がある。

 

 こちらの躊躇を感じ取ったのか、隊長機は一気に加速させて逃げ切ろうとする。

 

「ミハルさん!」

 

 ソフィーはそれを追撃しようとするが、そこでもう一機のナイトシーカーが間に割って入り、体当たりしてくる。

 

「きゃっ……!」

―――くっ……!

 

 激しい衝撃!! ソフィーはそれをこらえながら、頭部バルカンを発射!! それを頭部に浴びたナイトシーカーは、その勢いでひるんでしまう。そこに蹴りをかまして吹き飛ばし、ビームライフルで撃破したのだった。

 

 しかし、そのころには、あの隊長機は既に奴らの母艦と思われるペガサス級に帰還していた。見ると、他のナイトシーカーたちも、母艦に撤収していくところだった。

 

 そして、ナイトシーカーたちを回収したペガサス級は、そのまま戦域を撤退していったのだった。その宇宙に、ソフィーの叫びが響く。

 

「ミハルさあああぁぁぁんっっ!!」

 

 そして。

 

「こちらアムロ、戦略攻撃部隊のザクをすべて撃破しました」

 

 かくして、ミハルを助けることはできなかったものの、ジオンの戦略攻撃の阻止に成功したのだった。

 

* * * * *

 

 そして、戦略攻撃を阻止した俺たち三隻同盟(仮は、この戦いの損傷の修理のため、サイド6に向かうことにした。

 しかし! その途中、ある凶報が俺たち……いや、この地球圏を襲ったのだ!!

 

「なんだと、クーデターが!?」

「はい……。一週間前、私たちが戦略攻撃を阻止した翌日に、連邦政府が一年戦争後の首都として整備していたダカールでテロが発生。それを受けて、軍部の一部が、このテロ攻撃を防げなかった連邦政府の非を問うて決起。議会や政府を制圧して、軍政を宣言したとのことです……」

 

 俺たちが愕然としながら見つめるモニター。そこにはニュース映像が映し出されている。その映像の中、奴らの首魁と思われる男……確か、ガンダム0083に出てきたジーン・コリニーだったか……が壇上に上がった。そしてその傍らには、史実でのちにティターンズを結成するジャミトフ・ハイマンの姿が……。

 

 地球圏の混迷は、さらに深まろうとしていた……。




感想と、テテテUCを書いてくれる人、どちらもお待ちしております!!

* 次回予告 *

地球連邦は急速に破滅への道を歩みつつあった。
だがそこに、新たな転生者たちがかすかな希望の火を灯す。
その火は時代を開く切り札足り得るか?

次回、『地球連邦正統政府』

君たちは生き延びることができるか?

※次の更新は、6/1 13:00の予定です。お楽しみに!!
※作者の就職が決まったので、これからは更新日がずれたり不定期になるかもしれません。そうなったら申し訳ありません(汗 でも未完結にならないように頑張ろうと思っています。

テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?

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