宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム 作:ひいちゃ
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。
「省みろ! 連邦政府は、ダカールのテロを防ぐことはできなかった!! これは、連邦政府が地球連邦を守るだけの力がないことの証明である! ダカールの連邦市民は、これまでの連邦政府の無力さと、惰弱な姿勢の犠牲になったのだ!!」
先の戦いで受けた少なくない損傷の修理、及び補給のため、サイド6に立ち寄った俺たち三隻同盟(仮)。
そこで修理や補給をしている中、俺たちはそれを聞いた。ティターンズ発足、そして彼らによるクーデターの知らせを。
モニターに、一人の男性……後のティターンズ総帥になる男、ジャミトフ・ハイマンが熱心に演説を打っている。その後ろにはもう一人の初老の男性……確か、0083に出てきたジーン・コリニーだったか……の姿もある。
ジャミトフの演説を、ペガサスJr.の面々は、あるクルーは愕然として、またあるクルーは反感の表情を浮かべて聞き入っている。
その中、演説を聞いている兵士たちの中に、ミハルの姿を見つけて、ソフィーの心が揺れた。
「このようなことをなくすためには、地球連邦に強大な力を取り戻すことと、地球連邦に敵するスペースノイドを全滅させることが必要である! そのために我らは……ティターンズは立ち上がるのだ!!」
「何を言うか! 絶滅戦争を引き起こそうとしている男が何を言うのか!!」
ブライトさんが艦長席から立ち上がり、そう激昂した。まさにそのとおりだ。たいそうなことを言っているが、ジャミトフの言っていることは、「スペースノイドを絶滅させる」ってことだからな。
バンッ!!
窓を思いっきり叩いたかのような音。そのほうを向くと、アムロがブリッジの窓に拳を叩きつけていた。彼も、この演説には思うところがあるのだろう。
* * * * *
エターナルのブリッジ。そこでも、ラクスとバルトフェルドの二人がジャミトフの演説を聞いていた。
演説が終わったところで、バルトフェルドが口を開く。
「いけませんなぁ、こりゃ。第一次連合・プラント大戦での、ジェネシス初弾を撃ったあとのパトリック・ザラの演説を思い出させます。キラやアスランがこれを聞いたらどう思うことやら」
「そうですわね。あのようなことにならないよう、私たちも力を尽くさなければいけませんわね」
ラクスの言葉に、刹那もうなずく。
「そうだな。……ところで、ソフィーの姉……確か、オリジナルの名前からルシアと名付けたんだったか……彼女の治療具合はどうなんだ?」
「はい。ティエリアさんから提供された技術のおかげで、近日中には本格的な再生医療に取り掛かれると思います。それまでは、義手と義足を使って、リハビリしてもらってますわ」
「そうか、よかった。ソフィーも喜ぶだろう」
そう言って、刹那が表情を緩めた。
* * * * *
一方、ジャブローの一室。そこで、大統領席に座るコリニーの前に、ジャミトフが相対している。
「それで、各地からかろうじて脱出した、穏健派議員たちの行方はまだつかめぬのか?」
コリニーの問いに、ジャミトフは不敵な表情を浮かべて答えて。
「はい。ですが問題ありません。いずれ彼らも動き出すはず。彼らのちっぽけで下らぬ良心とやらが、このままで済ませていいわけがないと騒ぎ出すでしょうからな」
「そこを突き止める、か」
「はい。現在、彼らのところに戦力はありません。居場所さえ突き止めることができれば、あとはどうとでもなります」
「なるほどな、頼んだぞ、ジャミトフ」
「ははっ。お任せください」
そしてジャミトフは踵を返して大統領室を出ていった。そこでジャミトフが浮かべた黒い笑みに、コリニーは気づくことはなかった。
* * * * *
そして、ジャミトフの読み通りになった。『ティターンズ』結成と、軍政政府『地球連邦救国評議会』成立の演説式典が行われた数日後、チベットのラサにて、亡命政権『地球連邦正統政府』の結成会見が行われたのだ。
正統政府のスポークスマンとなったフレーゲル議員から、正統政府の理念や、正統政府の閣僚たちの紹介がなされる。そして。
「それでは、我が正統政府の代表である大統領をご紹介しよ……します」
そしてフレーゲルのつたない紹介を受けて現れた人物。『彼女』の登場は、ある一人の人物に衝撃を与えることになる。
* * * * *
「皆様、はじめまして。地球連邦正統政府の大統領に着任させていただきました、マリナ・マーセナスと申します」
「マリナ……!!」
ペガサスJr.のブリッジ。ソフィーに、彼女の姉の具合を報告しにきた刹那が、モニターに映し出された女性を見て、そう絶句する。
なぜならその女性は、ガンダム00に出てきた、刹那と浅からぬ関係がある女性、マリナ・イスマイールだったからだ。そんな人物が、まさか亡命政権の大統領として現れたのだから。
まさか彼女が、この世界に……しかも、ガンダムUCに出てきたリディの身内として転生してくるとは驚いたな。おや、きのこ頭のような議員のとなりに座っているのは、ガンダム00に出てきたカタロンのクラウスさんじゃないか?
そんなマリナさんはたどたどしく、弱々しい声ながらも、それでもできる限りはっきりと、正統政府の理念を説明している。
「救国評議会をそのままにしておけば、必ずアースノイドとスペースノイドは、互いの血肉を食べ、両方を絶滅させる醜い戦いを引き起こすことでしょう。そうさせないために、私たちは立ち上がりました。身を守るための武力は確かに必要でしょう。ですが、戦争から平和に導くのは戦いではありません。相互理解と話し合いなのです」
その彼女の演説を、クルーたちは目を閉じて穏やかな様子で聞き入っていた。みんな、あのジャミトフの演説よりは、彼女の演説のほうが好ましいと思っているのだ。それはもちろん、ソフィーと俺もだが。
その中、刹那が。
「マリナ……お前もまた、新たな戦いを始めることを決意したのか……」
とふとつぶやいた。
しかし、『救国評議会』や『ティターンズ』の連中が、これを許すかどうか……。
* * * * *
彼の心配は本当のことになった。
『ティターンズ』の司令室で、ジャミトフは、放送を傍受していた部下に質問する。
「どうだ?」
「はい。経路迂回が稚拙だったので、無事トレースできました。チベットのラサから放送されているようです」
「ラサか。それは盲点だったな」
そして、ソロモン改めコンペイトウに駐留している腹心が映し出されている通信スクリーンに向き直る。
「バスク、聞いてのとおりだ。ラサに制圧部隊を送り込め。
「はっ、かしこまりました。準備が済み次第、ただちに出撃させます」
そのバスクの言葉に、ジャミトフは満足そうな表情を浮かべてうなずいた。
「うむ、よろしく頼むぞ」
「はっ!!」
* * * * *
「なんだと!? 本当なのか、ティエリア!?」
ペガサスJr.のブリッジ。そこで刹那が、ティエリアにそう問いただしていた。ティエリアがティターンズの動きを探るため、連邦のシステムに侵入して調査しているうち、そのことを発見したのだ。
「あぁ、間違いない。ティターンズは、正統政府を粉砕するため、派遣する部隊の準備を進めている。奴らの計画では、一週間後にはラサに侵入し攻撃をはじめるとのことだ」
「なんてことだ……。正統政府には現在、戦力はない。そんな状態で、奴らの攻撃を受けたら……」
まず間違いない。ガンダムWのサンク・キングダムのように、たちまちのうちに陥落してしまう。
そうなれば、刹那と関わりの深いあの人の身も……。彼の額に汗がにじむ。
「おそらく、ジオンとの全面戦争のために、後顧の憂いを断つつもりなのだろうな」
ワッケイン氏がそう推測を述べる。それにラクス様もブライトさんもうなずいて同意した。
そこで刹那がブライトさんに訴える。
「頼む、ラサに救援に向かってくれ! 彼らを見殺しにすることはできない!」
それにドズル氏も同意を示してくれた。
「それがいい。全面戦争のために後顧の憂いたる正統政府を討つ、ということは、逆に言えば彼らがある限り、ティターンズは全力を持ってジオンに当たれない、ということではないか?」
その彼の言葉に、ペガサスJr.に訪れていたシャアもうなずいて続ける。さすが彼の元部下であり、赤い彗星と呼ばれる男だけあり、ドズル氏の意図を汲み取ったらしい。
「つまり、正統政府を支援することが、奴らの目論見を妨害する手立ての一つになりうるということですな。何よりも、我らに協調してくれるかもしれない勢力が、キシリア様の独立勢力以外にもできることはありがたいことでしょう。それが政治勢力ならなおさらのことです」
そのドズル氏とシャアの言葉を受け、ブライトさんとワッケイン氏、ラクス様がうなずいた。彼の言葉で、我らが艦隊の首脳陣の考えも固まったらしい。
「わかりました。正統政府の救援に向かいましょう。レナウンとエターナルには大気圏突入能力はないので、我がペガサスJr.とラグナレクの二隻で地球に降下することとします。よろしいですか、シャア大佐?」
「うむ、了解した」
シャアがうなずくのを受けて、決意を秘めた表情でブライトさんがミライさんに言う。
「よし、ミライ。地球に進路をとれ!!」
「了解!」
* * * * *
一方、ジャブロー上空にある『ラスティ・ハウンズ』の母艦、ドッグズ・ケンネル。
ペガサスJr.の艦隊の動きは、狗たちにも補足されていた。
「鼠を発見しました。地球の衛星軌道上に向かっているようです」
その通信士の報告を受けた、ラスティ・ハウンズ隊長アルヴィー・ホーフマンがそれに真剣な表情で応える。その様子は、『鼠』の動きから彼らの狙いを読み取り、そして自らに与えられた使命とすり合わせて自らのするべきことを見定めているようであった。まさに『狗』いや『猟犬』である。
「おそらく正統政府とやらを守りに行くつもりなのだろう。となれば、バスク大佐からの指令が『正統政府撃破の支援』である以上、これを見過ごすわけにはいかないな」
「では、彼らを阻止する、ということに?」
副官の言葉に、ホーフマンはうなずいた。
「そういうことだ。艦隊はただちに行動開始。衛星軌道上に進出する。そして、奴らが大気圏突入の準備に集中している間に攻撃を開始。奴らを殲滅あるいは大気圏に叩き落とす」
「了解しました」
「最悪、奴らのコースを反らすだけでも十分だが、我々は『狗』だ。結果はともかく、奴らを潰すつもりで行くぞ!」
「はっ!!」
姿勢をただし、表情を引き締めて敬礼する副官。そしてラスティ・ハウンズもまた、ペガサス艦隊を追って地球圏へと向かっていくのだった。
* * * * *
そして俺た
―――居候さん! 『俺たち』じゃなくて『私たち』です!
―――わ、わかってるって……。
ソフィーたち三隻同盟(仮)はなんとか地球圏の衛星軌道上まで戻ってきていた。
いよいよこれから、ペガサスJr.とラグナレクの二隻で地球に降下しようというのだ。
しかし、大気圏突入するとなると、よくあるのが敵からの妨害。そこで……。
「よし、大気圏突入の準備にかかるぞ。MS隊は周囲の警戒をしっかりやってくれ」
「了解!」
そして、各艦からMS隊が発進して周囲に展開し、警戒にあたる。
「全然反応ないじゃねーか。これは今回は何もないんじゃねーの?」
「油断は禁物よ。しっかり気を張って警戒してなさいな、軟弱者」
「へいへい、わかってますよっと……」
何事もない時間がすぎる中、カイがそう軽口を叩いて、セイラさんに咎められる。果たして、彼から軟弱者のレッテルが取れるのはいつの日のことか。いや一生来ないような気がする。
―――居候さん。居候さんもあまり気を抜いてると、セイラさんに『軟弱者』のレッテル貼られますよ。
―――わかってるよ……ん?
その時、俺の意識になにか感じるものがあった。これはもしかして……。
それと同時に、エターナルの技術や物資で、EWAC仕様に改装されたジム・コマンドに乗ったハヤトから通信が入る。
「センサーに反応があったぞ。さっそくお出ましだ。各機体、気をつけろ!!」
「了解!!」
ハヤトからの報告に、アムロが応える。いよいよ来やがったな……!
* * * * *
「警戒していたか。さすが、赤い彗星の攻撃を受けながら大気圏突入を成し遂げた連中ってところだな」
「いかがなさいますか、大尉?」
感心をミックスした愉快そうな表情を浮かべながらジム・ナイトシーカーを駆るホーフマン大尉は、副隊長の質問に、表情を引き締めて答えた。
「決まっている。我らは狗だ。指令に従わずに何をする。このまま奴らを襲う」
「了解」
「大尉、お願いします。あの羽つきは私にやらせてください!」
ミハルの嘆願に、ホーフマンは少し考えたあと、了承の意思を返した。
「わかった、お前に任せる。だが無理はするなよ」
「はっ! ありがとうございます!」
ミハルの返事にうなずくホーフマン。だが彼にはある計算があった。
(これまでの戦いの様子から見るに、あの羽つきのパイロットは、トラキエ准尉と何か関係のある者のようだ。しかも、奴は准尉を死なせたくように見える。ならば羽つきに彼女をあてれば、その動きをいくら封じられるかもしれん)
やがて、木馬の警戒範囲内に入ったことを表すアラームが鳴る。
「よし、行くぞ。狩りの開始だ!!」
* * * * *
そして、俺た……ソフィーたちMS隊は、襲ってきたナイトシーカーの部隊と戦いを開始した。
アムロのガンダムがビームライフルとハイパーバズーカの二刀流で撃ちまくる。運の悪い一機がバズーカの直撃を受けて大破した。
「カイさん、二時方向から接近! 迎撃に向かってくれ! スレッガーさん、カイさんが抜けたあとのフォローを頼みます!」
「あいよ!」
「了解だ!」
ハヤトの指揮のもと、カイのガンキャノンが迎撃に向かい、スレッガーさんのGファイターが抜けた穴をフォローする。
「大気圏突入中の木馬を襲った私が、同じく大気圏突入しようとしている木馬を守るとは。運命とは皮肉なものだな」
シャアがそう言いながら、ゲルググを敵に突っ込ませ、ツイン・ビームソード(ビームナギナタ)で、ジム・ナイトシーカーを一刀両断する。
そのゲルググを横から撃とうとした別のナイトシーカーだが……。
「大佐をやらせたりしないわ! 大佐を狙おうとしたその罪、命を持って償いなさいっ!!」
ララァのビットがオールレンジ攻撃で蜂の巣にして撃破した。
そしてソフィーと俺のフリーダムには……。
「見つけた、ソフィーの仇!!」
「ミハルさん!!」
ミハルのジム・ナイトシーカーが襲いかかってきた! 彼女のナイトシーカーが振り下ろしたビームサーベルをかわし、後退しながらバルカンを放つ。
「くっ……!!」
ミハルはそれをシールドで防ぎながら、さらに接近する。飛び交いながら何度もぶつかり合い、鍔迫り合いを行う。
フリーダムの最大機動をもってしても、ミハルのナイトシーカーはそれに食いついてくる。ミハルの執念だけじゃないな。もしかしたら、強化人間である彼女にあわせて調整されているのか。
それにしても……押されることはないが、連中もかなりの戦力補充を受けたのか、戦力が前の戦いとは段違いになってやがる。倒しても倒してもキリがないほどだ。
その時。
―――……!!
―――居候さん?
まさかこんなところで、乱入者だと!?
* * * * *
新たな襲撃者の接近は、エターナルの医務室にいるルシアにも感知されていた。
―――結衣……。
―――うん。私もお兄ちゃんたちを助けたい……行こう。
そして彼女は、ベッドから起き上がると、流れるように医務室を出て、ブリッジへと流れていった。
* * * * *
ペガサスJr.の艦隊とラスティ・ハウンズが戦っている、衛星軌道上の戦場。そこに急行しているムサイ級があった。
そのカタパルトで、自機である独特のカラーリングが施されたリック・ドムに乗る女兵士……カテリナ・リースが凶悪な笑みを浮かべながら言う。
「これはいいところに来たもんだ。しかも、相手が連邦同士となれば、遠慮なく見境ない戦いができるからねぇ……私たちが好きな戦い方をさ」
「まったくです。願いかなったりです、少尉」
「さて、それじゃ行くとしようか、ネナカ」
「了解」
そして、ムサイから四機のリック・ドムが飛び出し、そして戦場へと向かっていった。
* * * * *
「ジオンのMS隊、接近! こちらにまっすぐ向かってきます!」
「なんだと!?」
エターナルのブリッジにて、バルトフェルドは、レーダー手からそう報告を受け、思わずそう大声を放っていた。額に汗がにじむ。
「艦長、ペガサスJr.から通信です」
「つないでくれ」
そして、通信スクリーンに、ブライトの姿が映し出された。
「バルトフェルド艦長、そちらでもジオン部隊の接近をつかんでおられると思いますが……」
「あぁ」
「そちらで、なんとか奴らに戦力を割けないでしょうか?」
「あいにく、刹那も手一杯なんでな……仕方ない。僕がガイアで出よう。ドズル氏にエターナルに来てもらってくれ。彼に艦長代理を頼もうと思う」
「わかりました」
そして通信が切れて、バルトフェルドが艦長席から立ち上がったところで、ブリッジの扉が開いた。そして入ってきたのは……。
「ルシア!」
「ルシアさん!」
そう、ルシアだった。ブリッジに流れてきた彼女を、ラクスが抱き留める。
「ルシアさん、義手義足があるとはいえ、リハビリもまだの状態で動いてはいけませんわ」
「かまわない……。私にも戦わせてくれ。新手が来ているのだろう? 妹に危機が迫っているのに寝ているわけにはいかない。それに、妹を助けるのは姉の役目だ……」
「だがなぁ……」
バルトフェルドが難色を示すが、そこでラクスがうなずいた。
「わかりましたわ。私も同じ気持ちですから」
「ラクス……。しかし、どうするんです? もう機体の予備はないですし、そもそも両腕両足が使えない彼女が乗れる機体が……」
そこで、戦っているクァンタから通信が入る。
「話は聞かせてもらった。心配はない」
「ティエリア! どういうことだ?」
「いざというときの僕の機体として内緒で組み立てていたガンダム・ヴァーチェⅡがある。こんなこともあろうかと、通常操作の他に、脳量子波制御と、感応波制御の二種類の制御システムをセッティングしておいたんだ。だからルシアにも使えるはず」
それを聞き、ルシアがうなずく。
「ありがとう。さっそく使わせていただく……」
「いつの間に作っていたんだ、まったく……。わかった。くれぐれも無理するんじゃないぞ。妹さんが悲しむぞ」
「わかっている」
「それでは、ラクス」
「はい、ご健闘を」
そしてバルトフェルドはルシアを抱き上げて、ブリッジを出て行った。
* * * * *
なんとことだ! ナイトシーカーの部隊だけで手一杯だというのに、それに加えて、俺たちを消息不明に追い落としたあの味方討ち上等のリック・ドムたちまでやってくるとは!
こちらはナイトシーカーたちの相手で一杯一杯だが、どうにかしないと、艦への攻撃を許してしまう。
同じことを、ソフィーも考えていたらしい。
「アムロさん、お願いします。ここは私が踏ん張ってみます」
「……わかりました、お願いします!」
そして、アムロのガンダムは艦隊のほうに戻っていった。彼ならなんとかあの四機相手でも持ちこたえてくれるはずだ。
しかし、そのおかげで、こちらのほうの戦力バランスが崩れてしまった。たちまち俺たちは、押されることになってしまった! あげくに、今度はこちらの守りを抜けて、艦隊への攻撃をかけようというジム・ナイトシーカーたちも何機か出てきた。このままでは、大気圏突入どころじゃなくなってしまう!
そうしていくうちに、再びミハルのナイトシーカーがこちらに斬りかかってきた! こちらもビームサーベルで受ける。
「ミハルさん! 私です、ソフィーです! 元に戻ってください!!」
「うるさい! ソフィーの仇は私が倒すんだ!! 必ず!!」
「ミハルさん!!」
激しくミハルと戦いを繰り広げるソフィー。そこに!!
「ふふふ……これはまさにカモネギだねぇ……」
「!!」
いつの間にか、こっちに来ていたリーダーらしいあのリック・ドムがこちらにビーム・バズーカを構えた。やばい!! このままでは……!
しかしそこに。
「!?」
刃のついたビットらしきものが飛んできて、リック・ドムのビームバズーカを切断した! ドムがバズーカを手放すと同時に、バズーカが爆裂する。
そして飛んできたのは……ヴァーチェ? ……うん、そうだ。ところどころ違う気がするがヴァーチェだ。ティエリアが乗ってるのか?
「大丈夫か、ソフィー!?」
「お姉ちゃん!?」
違った。乗ってきたのはソフィーの姉、ルシアだった。しかし、乗って大丈夫なのか!?
そんな彼女は、刃ビット……ソードファングかな?の一機を切り離すと、ミハルのジム・ナイトシーカーに向けて飛ばした! その攻撃で右腕を切り飛ばされたナイトシーカーは後退をかけた。
「お姉ちゃん! 出て大丈夫なんですか?」
「あぁ。心配してくれてありがとう。少しの間ならなんとか……なる!!」
そしてルシアはヴァーチェのビームキャノンを構えて、フルバーストを放った!! ビームに巻き込まれた数機のナイトシーカーが消し飛んだ。
そこで、フラゥから通信が入る。
「ペガサスJr.とラグナレクのMS隊はただちに帰還してください! これより大気圏に強行突入します!!」
「り、了解!」
しかしブライトさんも思い切ったことを考えたもんだ。確かにこのままではジリ貧だからな。損傷を受けて大気圏突入不可能になる前に、無理してでも大気圏突入するのは正解かもしれない。
「行きましょう、お姉ちゃん」
「……あぁ」
「行かせるか!!」
ミハルのナイトシーカーが逃すまいと食いつこうとするが……。
―――させるか!!
俺がソリッドシューターで牽制射撃をかけて阻止した。
* * * * *
「ソフィーの仇……逃がすものか……」
それでも追撃を諦めまいとするミハル。しかし。
「トラキエ准尉! 撤退だ! 奴らのコースを反らすことには成功した。任務は完了だ。これ以上の戦闘は無意味だ!!」
「ホーフマン大尉。しかし、私はソフィーの仇を……!」
なおも戦おうとするミハル。その様子に、ホーフマンはため息をついた。
(仕方ない。切り札を出すか……)
「思い出せ、君の友達の遺言を!!」
それを耳にしたミハルから反抗の意思が消えていく。
「……わかりました、撤退します……」
(オーガスタの連中が、彼女の無意識に仕込んだコマンドワード、か。一時的とはいえ強制的に従順にする洗脳はいかがなものかと思ったが、今回はこれに感謝しなくてはな)
そう考えながら、ホーフマンは友軍機と母艦へ向かっていった。見ると、リック・ドムたちも母艦へ戻っていく。彼女たちもこれ以上の戦闘は危険だと判断したのであろう。
そして一つの戦いは終わり、ペガサスJr.とラグナレク、エターナルとレナウン、ラスティ・ハウンズ、そしてカテリナ隊はそれぞれ別々の方向へと向かっていくのであった。
* * * * *
そして俺たちは、大気圏突入直前に、どうにかペガサスJr.に帰還することができた。
フリーダムの動力を切りながら、ソフィーがため息をつく。
―――ミハルさん……。
―――大丈夫だ。あいつは死んだわけじゃない。まだ説得のチャンスはあるさ。
―――はい……そうですね。ありがとうございます。
そしてソフィーは機体を出ると、そのままヴァーチェへと流れていった。そしてコクピットハッチを開けると、中から彼女の姉……ルシアが流れてきて、ソフィーの胸に飛び込んでくる。
「お姉ちゃん!? 大丈夫ですか!?」
「あぁ。リハビリがまだなうえ、感応波で動かす機体に乗ってたからな……。少し疲れただけだ……」
それにソフィーが安堵の息をもらす。そして。
「もう……なんて無茶をするんですか……」
「決まってるだろう? 妹を助けるのが姉の役目だからな……」
「もう……本当に、バカなお姉ちゃんなんですから……」
「バカでけっこうだ。お前を助けられるならな……」
「お姉ちゃん……」
そこに、俺の意識にも、結衣の感応波が届く。
―――無理してごめんね、お兄ちゃん。でも私も、お兄ちゃんやソフィーさんを助けたかったから……。
―――そうか。なら仕方ないさ。でも、もうあまり無理するのはダメだからな? 破ったら、一週間、ピーマンだからな。
―――うん……。
そこでアナウンスが入った。
「乗組員はただちに重力ブロックに入ってください。まもなく本艦は、重力圏に入ります」
「さぁ、行きましょう、お姉ちゃん。一緒に、地上の景色を見ましょう。その後は、ゆっくり休んでてくださいね」
「あぁ……そうしようか……」
ソフィーが姉に肩を貸す。
そして俺たちは、重力ブロックへと続く扉の中に消えていったのだった。
ペガサスJr.が降りた先。そこには一人の戦士がいた。
戦う理由もなくただ彷徨っていた戦士。だが彼は、軍のためでも理想のためでもなく、ただ恩のために再び剣を振るう。
果たして彼は、新たな戦う理由をつかめるのか?
次回、『ランバ・ラル再び』
君たちは生き延びることができるか?
※次の更新は、6/15 13:00の予定です。お楽しみに!
※作者の就職が決まったので、これからは更新日がずれたり不定期になるかもしれません。そうなったら申し訳ありません(汗 でも未完結にならないように頑張ろうと思っています。
テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?
-
受け継いでてほしい
-
受け継いでてほしくない