宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム   作:ひいちゃ

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宇宙世紀0079、サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に宣戦布告した。
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。

* * * * *

ベルファスト基地に入港したホワイトベースは、シャアの攻撃を受けた。奮闘の末、ソフィーたちは何とかその攻撃を退けることができた。
だがその一方で、一人の少女がホワイトベースへの潜入を狙っていたことに気づいた者は誰もいなかったのである。


Re:Act.03『女スパイ邂逅』

「これがGファイター。単独でも戦闘機として使えるのはもちろん、分離すればガンダムの強化パーツにもなる支援ユニットだ」

 

 会議室にて、技術士官がスクリーンを指さしながら説明を行っている。

 

 今回の戦いを切り抜けた後、ホワイトベースに戦力強化が行われた。今レクチャーを受けてるのはその新しく配備された兵器についてのレクチャーだ。

 

 今回配備されたのは、まずはコア・ブースター。劇場版に出てきた、コア・ファイターに強化ブースターを取り付けた戦闘機だ。

 俺の宿主であるソフィーにも、正式生産型のGM、そしてそのGM用の装着式飛行ユニット(リフター)が与えられた。リフターは、別の戦いで鹵獲したものだという。

 

 そして、今説明されているGファイター。ガンダムと組み合わせることによって、その戦闘に色々なバリエーションを与える兵器だ。

 だけど、まさかこの世界にもGファイターがあるとはなぁ。まぁ、Gファイターをもとにした戦闘爆撃機なんてのもあったが。

 

 と、Gファイターの説明が一区切りつき、休憩時間になったところで、突然俺の横のカイが立ち上がった。

 

「カイさん?」

「悪い、ちょっとフケるわ。後よろしく」

「あっ、ちょっと……」

 

 ソフィーが止める間もなく、カイは会議室を出て行った。これは……。

 

――どうしたんですか、居候さん?

――いや、カイの奴、もしかしたら戦争が嫌になったのかな?と思ってさ……。

――確かにそんな感じがしますよね……。追いかけて話を聞いたほうがいいでしょうか?

――あぁ、そのほうがいいかもな。

 

 そして俺のアドバイスを受けたソフィーは席を立ちあがり、彼の後を追って会議室を出て行った。

 

* * * * *

 

 果たして、カイはホワイトベースの自室にいた。何やら旅立ちの準備をしているようだ。

 

「ん? あぁ、ソフィーか」

「カイさん、どうしたんですか?」

「見りゃ決まってるんだろ? 船を出ていくんだよ。監視の目がつくのも覚悟のうえさ」

 

 やはり今まで一緒に戦ってきた仲間として、情がわいているんだろう。ソフィーの激しい動揺と寂しさの感情の波動が、俺に伝わってくる。

 

「それを覚悟してまで、どうして……」

「嫌になっちまったんだよ。リュウやマチルダさんみたく、ただ上の言う通りに戦って、感謝の言葉もかけられないまま散っていくなんて、駒のような扱いを受け入れて戦うのが」

「それはわかりますけど、でも……」

「わかってくれとは言わねぇよ。憎んでくれていい。でも俺は嫌になっちまったんだ。あばよ」

 

 そして、カイは部屋を出ていく。扉がぱたんと閉まる。

 その音が、なぜか哀しく聞こえたのは、俺の気のせいか、それともソフィーにはそう聞こえたのか。

 

* * * * *

 

 一方そのころ、大西洋のマッドアングラー。

 

「補給が来てくれたか。それで私用のS型は?」

「いえ、今回の補給リストの中にはありませんでした」

「そうか……まだ手配が遅れているのかな? まぁ、十分な補給は受け取った。仕掛けるとしよう」

 

 シャアのその言葉に、副官が姿勢を正し、敬礼を送る。

 

「ズゴック隊に出撃命令を出せ。スパイの侵入を支援するため、木馬の眼を引き付けるのだ。私も」

「お待ちください。前回、ズゴックをオーバーヒートさせ、右腕を吹き飛ばされたばかりではありませんか。専用のS型が到着するまで、出撃はお控えください」

「むぅ……ならば仕方ないな(まさか上は私を出撃させまいとして、S型の補給を遅らせているのではないか?)」

 

 そう言いながらもシャアは、ブリッジを出て行こうとしていた。そこを副官が呼び止める。

 

「お待ちください少佐、どこへ行くのですか?」

「いや、ルッグンで指揮をとろうと……」

「少佐?」

「……わかった」

 

 そしてシャアはしぶしぶ、出撃を諦めるのだった。

 

* * * * *

 

 レクチャーが一通り済んだ後、俺たちは半舷休息になったこともあり、ベルファストの町に出ていた。

 

 カイがホワイトベースを出て行ったことは、クルーのみんなにはかなりショックだったようだ。

 ブライトさんはショックを抑えているようだったが、アムロは部屋に引きこもっているし、セイラさんは「あの軟弱者」を連呼しているし、フラゥは号泣しまくっている。

 ソフィーもかなりこたえているようだったので、俺が気分転換で街の見物に連れ出したのだ。

 

 街並みを見て、少しは立ち直ったようだが、まだ動揺が収まらないようだ。彼女の心が乱れているのが、感情の波動からわかる。

 

――ソフィー、おい、ソフィーさーん?

――あ、はい。ごめんなさい。なんですか、居候さん?

――いや。心ここにあらずって感じだったからさ。大丈夫か?

――はい……。少しは整理はできましたけど、やっぱり……。

――そうか……。

 

 うーん……なんと声をかけてやればいいやら……。

 大切な仲間と別れた経験なんて俺にはないしな。何て言ってやれば、ソフィーの心を癒すことができるかなんて、見当もつかん。

 うーむ……。

 

 と、そこでソフィーから微笑みの波動が感じられた。

 

――ん、なんだよソフィー?

――私のために気を遣ってくれてるんですね、ありがとうございます。

――あ、当たり前だろ。お前は俺の宿主なんだからな。

――ふふ、そうですね。でも、ありがとうございます。おかげで少し元気が出ました。

 

 ちょっとからかわれたような気がするのは気のせいか? でも、元気が出てよかったよ。

 

* * * * *

 

 と、そこで。

 

 どんっ。

 

「きゃっ!」

「きやっ!」

――うわっと!?

 

 突然ナニカが前からぶつかってきた。思わずソフィーはしりもちをついてしまった。それは向こうも同じようだったが。

 ソフィーが前に目を向けると、そこには……。

 

「いてて……ごめんなさい……」

――……!!

 

 髪を短めのおさげにした女の子がいた。彼女を見て、俺は言葉に詰まる。間違いない、こいつは……。

 

――居候さん? どうしたんですか?

――い、いや、なんでもないよ。

 

 こいつはミハル。このベルファストに住む普通の女の子だが、実はジオンのスパイだ。確か、彼女の弟は、この後に強化人間の実験で死んでしまうんだよな……。

 そんなことを知る由もないソフィーは、立ち上がるとミハルに近寄っていく。

 

「こちらこそごめんなさい。大丈夫ですか?」

「い、いえ、大丈夫です……」

 

 そう返して立ち上がるミハルは、どこか動揺してるようだった。ソフィーが連邦軍の軍人とわかったからだろうか? 今の彼女は連邦の軍服を着たままだったからな。

 さて、見てみるとミハルはたくさんの荷物を持っているようだった。どう見ても、彼女と弟の分だけとは思えない。カイの分もあるんだろうか。

 そしてそれに、ソフィーも気づいたようだ。

 

「たくさん買い物をしてたんですね。家まで手伝いますよ」

「い、いえ、そんな悪いですよ」

「いえ、気にしないでください。大変でしょうし」

「あ、ありがとうございます……。それなら、コーヒーをおごります」

 

 そして俺とソフィーは、ミハルの荷物を一部抱えて、彼女についていくことになった。

 

* * * * *

 

 結論からすると、ソフィーとミハルは、年頃が同じだからか、すぐに打ち解けて仲良くなった。その親しさは、ホワイトベースの他の同年代のクルーに匹敵するか、それ以上だ。ジオンのスパイなのに親しくしていいのだろうか、という気はするが、俺もミハルに情が移ってしまったのか、彼女を死なせたくない、という気持ちも抱くようになった。

 

 そして今も、二人は喫茶店でジュースを飲みながら、楽しく談笑していた。

 

「へぇ、ベルファストにナインティーズが来ていたんですか! いいなぁ。私も行きたかったです」

「そうだよね。私はお金がなくて行けなかったんだけど、その時はすごい賑やかだったよ。私も行ってみたかった!」

 

 そしてわかったのだが、ソフィーはアイドルオタクだった! 意外な一面を知ったなぁ。

 

 かくしてアイドルの話題で盛り上がるソフィーとミハル。その時! 敵襲のサイレンが鳴り響いた!

 それと同時に、彼女を呼び戻すポケベルが鳴り響く。

 

「あっ、艦に戻らなきゃ! ごめんなさい、いいところだったのに」

「ううん、いいよ。こちらこそ、手伝ってくれてありがとう!」

 

 そしてソフィーは立ち上がり、喫茶店を出ていった。

 だがその時、ミハルの顔が真顔に変わったのは気のせいだっただろうか……?

 

* * * * *

 

 ベルファスト基地では、連邦軍のMS隊が、上陸してきたズゴック隊と激闘中であった。

 

 激しいMS戦が繰り広げられている。特に、ズゴック隊に紛れ込んでいるゴッグ。ゴッグはGMのマシンガンや戦車の砲撃をものともせずに、逆にそのメガ粒子砲で蹂躙してくるのだ。

 

 そのパイロットのカラハがゆかいそうに笑いながら言う。

 

「そんなへなちょこな弾が効くものかよ!」

 

 そしてゴッグが、GMのマシンガンを浴びながら、その胴体のメガ粒子砲を発射! ゴッグを攻撃していたGMはビームに機体を貫かれて爆散した。

 

「はははは! さすがゴッグだ! あんな豆鉄砲なんかなんともないぜ!」

 

 そう言い放つカラハに、僚機のズゴックから通信が入る。

 

「調子にのるな、カラハ。木馬にはまだ白い奴がいるんだぞ」

「心配はいらねぇさ、トビアス隊長。白い奴も赤い奴も、俺一人で片づけてやるさ! ……む?」

 

 そこでカラハが何かに気づいた。前方からその「白い奴」と「赤い奴」が接近してきたのだ。

 

* * * * *

 

「なんて奴だ……。あんな奴相手なのに、ビームライフルが使えないなんて……」

『オーバーホール中だからな、仕方ない。なんとか手持ちの武器でなんとかしよう』

「……そうだな」

 

 ハヤトとそう会話をかわし、アムロはガンダムのハイパーバズーカでゴッグに砲撃した!

 しかし、ゴッグはその直撃を受けてよろけはしたものの、装甲が少し陥没しただけに終わる。逆にゴッグがメガ粒子砲を発射! ガンダムはそれを苦も無くかわす。

 

「このゴッグにそんなものが効くものかよ!」

「バズーカもダメなのか!? それなら!」

 

 懐に飛び込み、ビームサーベルを振り下ろす! だが!

 

「なっ!?」

 

 なんとゴッグは、その腕を軽く受け止めてしまった!

 

「こいつのパワーをなめてもらっては困るぜ!」

「な、なんてパワーだ!!」

 

 そのまま、ガンダムの右腕を握りつぶさんとするゴッグ。その右腕にスパークが奔り、きしむ音が響く!

 

 そこに、ハヤトのガンキャノンが砲撃した。その砲撃を受けたゴッグはよろめき、ガンダムの腕を離す。そのおかげでアムロは難を逃れることができた。

 

* * * * *

 

 一方、ベルファスト基地で戦いが行われていることは、ミハルのアパートで寝っ転がっていたカイにも知れ渡っていた。

 

「まぁいいか。もう俺には関係のない話だ」

 

 そう言って、窓から目を離し、床に寝っ転がるも……。

 

 脳裏に浮かぶのは、自分とつるんでくれたアムロやハヤトの姿、かわいらしいフラゥの微笑み、そして……「軟弱者!」と叫ぶセイラの声だった。

 

(くそ、どうしてあいつらのことが気にかかるんだよ。もう俺には関係のない話だってのに……)

 

 そう言って、窓に背を向けて寝っ転がるも、睡魔はいっこうに訪れず、浮かび上がるのは焦りのみ。

 

「……あぁ、ちくしょう!」

 

 そう叫ぶと、カイはミハルに短い置手紙を書き残し、アパートから出ていた。

 だが、ミハルがその置手紙を読むことは、ついになかったのである。

 

* * * * *

 

 一方そのころ、ソフィー(と俺)は、GMが格納されているハンガーの中にいた。俺たちにあてがわれた正規量産型のGMのほうに向かっていく。そこには、Gファイターに乗り込もうとしているセイラさんの姿もあった。

 

「セイラさんも出撃するんですか?」

「えぇ。レクチャーは受けておいたわ。あの『軟弱者』が抜けた分を埋めなきゃいけないから」

「ははは……」

 

 苦笑を浮かべるソフィー。よほどカイが抜けたことに怒り心頭らしい。セイラさんの『軟弱者』の言葉は、かなり荒い感じがした。

 そこに。

 

「へいへい、その軟弱者が通りますよ。ごめんなすって、と」

 

 そのセイラさんの脇を通り抜け、誰かがGファイターのほうへ歩いて行った。え? 今のは……。

 

* * * * *

 

 アムロのガンダムとハヤトのガンキャノンは、いまだにゴッグと激しい戦いを繰り広げていた。

 

「ぬるい、ぬるいわっ!!」

「うわぁ!」

「ハヤト!」

 

 ゴッグがその腕で、ガンキャノンを吹き飛ばす! ガンダムがバズーカを撃つが、有効打とはなりえない!

 お返しにと、ゴッグは胸部のメガ粒子砲を発射! ガンダムはそれをかわすが、その流れ弾を受けた倉庫が爆発した!!

 

「倉庫が!」

 

 それに動揺したハヤトのガンキャノンにゴッグが襲い掛かる! その腕の一撃で、再びガンキャノンを吹き飛ばす! そして倒れこんだガンキャノンをその足で踏みつける!

 そして、ガンダムのほうを向いたゴッグが、そのままガンダムにメガ粒子砲を発射しようとしたその時!

 

「当たったらごめんよ!」

「その声は!?」

 

 上空からやってきたGファイターが、ビーム砲を発射! そのビームで、ゴッグは左腕を失い、よろめいてしまう。

 そしてそこに、ソフィーのGMも駆けつけてきた!

 

「遅れてごめんなさい。ビームライフルのオーバーホールが完了したから、持ってきました!」

「ソフィーさん、ありがとうございます!」

 

 そしてGMの投げ渡したビームライフルを受け取り、すかさずゴッグにめがけて撃つ!

 

「ば、バカな、このゴッグがああああ!!」

 

 ゴッグは、その胸部を貫かれて沈黙した。

 

 その様子を戦いながら見ていたトビアスが、戦慄しながら言う。

 

「まさか、ゴッグがやられるとは……なんて奴だ……。スパイからの報告はどうだ?」

「はい。先ほど潜入に成功したようです」

「よし、長居は無用だ。引き上げるぞ!」

 

 そして残ったズゴックたちは、水中に飛び込み、マッドアングラーに帰還していったのだった。

 

* * * * *

 

 戦いが終わったホワイトベースでは、カイが他のクルーたちに祝福されながら、もみくちゃになっていた。

 セイラさんの代わりに、一時的にGファイターに乗り込み、アムロたちを救ったカイに、みんな大喝采である。

 

「カイさん、戻ってきてくれてよかったです!」

「なぁに、お前たちには、まだ俺がいないとダメだろう?」

 

 嬉しそうなアムロに、カイがそう茶化すように返す。

 セイラさんも、「軟弱者が何を偉そうに」と言っているが、口調からしてとてもうれしそうだ。

 

 もちろんソフィーも、嬉しそうにその輪の中に加わっている。

 

 そんなひと時を、俺はほほえましく見守っていた。だが。

 

 俺はその時、視界の隅に気になる人物がいるのに気が付いた。間違いない、あれは……!

 

――どうしたんですか、居候さん? ……! ミハルさん……!

 




かつてルウムと呼ばれた地に現れた異邦者たち。
彼らは、見知らぬ敵と銃火を交わしながら、その世界における自らの道を探ろうとする。

Re:Act.04『異邦者たち』

君たちは生き延びることができるか?

※次の更新は、11/11 13:00の予定です。お楽しみに!!

テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?

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