宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム   作:ひいちゃ

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宇宙世紀0079、サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に宣戦布告した。
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。


Re:Act.34 『閑話5:宇宙のキシリア』

 連邦とジオンの境界線の領域。そこには奇妙な風景が展開されていた。

 グワジン級とムサイから成るジオンのものと思われる艦隊と、マゼラン級ともう一隻の船という連邦軍のもののような艦隊が寄り添っている風景が。

 

「地球連邦正統政府軍、不正規隊所属。レナウン艦長ワッケインであります」

「同じく。エターナル艦長、ラクスですわ」

 

 そう自己紹介するワッケインとラクスに、妙齢の女性、キシリア・ザビも自己紹介を返す。

 

「キシリア派首魁、キシリア・ザビ……いや、今はただのキシリアだ。不正規隊とともに戦えること、光栄に思う」

「ザビの名を捨てるか。なら俺も、同じようにしたほうがいいのかな」

 

 そのキシリアに、生真面目にそう言ったドズルに、彼女は苦笑を浮かべる。

 

「ギレン亡き後のジオンが、それまでと違うことを示すには、その必要もあるでしょう。ですが、それは自分で決めること。私が口出しをすることでもないと思いますが」

「確かにそうだな。ならば俺も捨てるとするか!!」

 

 豪快にそしてあっけらかんとそう笑って言うドズルに、キシリアはまたも苦笑を浮かべる。

 

「本当にドズル兄上は……。私が何日も悩んで決めたことをそんなあっさりと……」

「まぁ、それが俺だからな。はっはっはっ!!」

 

 その二人の様子を見て、ラクスが微笑みながら口を開く。

 

「本当に仲がよろしいんですのね。微笑ましいですわ」

「そうですな。ですが再会を喜び合うのはこの辺にして、作戦会議を行いましょう」

「おぉ、そうだな。気づかずに申し訳ない」

 

* * * * *

 

 キシリア派とレナウン、エターナルから成る不正規隊別働艦隊は共同作戦をすることになった。

 その目的は、ギレン派の兵站を襲撃してその軍事行動を鈍らせるとともに、それにあわせて、各地に散逸しているキシリア派、ドズル派を救出し、糾合していくことである。もちろん、ティターンズと地球連邦救国評議会に反発する連邦軍部隊があれば、彼らに手を差し伸べ正統政府軍に迎え入れることも並行して行うことになる。

 

 そして、連合艦隊は動き出した。初手は、ジオンに降伏したサイドからア・バオア・クーへと物資を届ける輸送艦隊の襲撃である。

 

 まさか、ジオンの領域内で敵の攻撃を受けるとは思わなかったのだろう。警戒態勢も護衛態勢も甘く緩んでいたその艦隊を潰すのは難しくなかった。

 

「こちら真紅の稲妻。最後の輸送艦の撃沈を完了しました」

 

 キシリアの部下、『真紅の稲妻』の異名を持つエース、ジョニー・ライデンからの報告を受け、キシリアはうなずいて返事を返した。

 

「よし、ご苦労だった、ジョニー・ライデン。それでは、撤退準備が済むまで、周囲の警戒を頼む」

「了解です」

 

 と、そこにオペレータが振り向いて報告をしてきた!

 

「キシリア閣下!」

 

 そのオペレータに、キシリアはいつかのように苦笑を浮かべた。

 

「だから私はもう閣下と呼ばれる身分の者ではない。様でかまわぬ。前もそう言ったであろう」

「は……。それでキシリア様。我が艦隊に救援の要請が来ております。ジオン正規軍の攻撃を受けている、と」

「どの部隊からだ?」

「はっ。ドズル様麾下のシン・マツナガ大尉の部隊からです」

 

 その名前を聞き、キシリアの顔にかすかなほころびが生まれる。

 

「白狼か。ドズル兄上が聞いたら喜びそうだな。よし、撤収準備が済み次第、全速力でそちらに向かうぞ。そうだ、不正規隊の兄上にも教えてやれ」

「了解しました」

 

 その後、キシリアの艦隊より早く、不正規隊の艦隊が撤収準備を終えて移動を開始したのは言うまでもない。

 

* * * * *

 

 サイド5宙域。そのスペースデブリ帯では、そこに設営された仮設基地に立てこもる部隊と、ジオンの正規軍部隊との間で激戦が行われていた。

 

 練度は立てこもっている部隊が上だが、何しろ数が多すぎる。彼らは苦戦を強いられていた。

 

 今も、白いザクの僚機が……。

 

「し、少佐ぁ! うわあ!!」

「イェーガッ!!」

 

 バズーカ弾の直撃を受けて爆散した。その散りざまを見届けた白いザクのパイロット、白狼ことシン・マツナガは前を見据えて吐き捨てた。

 

「くそっ……。これでは戦いですらなく、ただの屠殺ではないか。正規軍の奴らめ……!」

 

 そう言いながら、接近してきたリック・ドムにヒートホークを叩きこむ。そしてその衝撃で後方に飛ばされたところを逃がさず、バズーカを撃ち込んだ。

 だが、そうして敵を撃破してる最中にも、別のザクがリック・ドムにヒートサーベルで一刀両断されて散っていった。

 

 仲間を失っていく辛さに耐えながら、もう一機敵を撃破した白狼のザク。しかし、その煙の中からリック・ドムが突っ込んできた。万事休す!!

 

 その時だ! そのリック・ドムの後方から何者かが接近してきて、その背にビームサーベルを突き立てた! 背後からコクピットを貫かれたそのリック・ドムは、哀れにも機能を失って崩れ落ちたのだった。

 

 そして聞こえてきた声。

 

「危なかったな、白いの」

 

 そう言ったのは、真紅のゲルググ。そう、真紅の稲妻こと、ジョニー・ライデンの駆るゲルググであった。

 

「赤い稲妻か……。助かった。キシリア閣下がジオンから出奔したと知らせを聞いてから、貴官がどうなったかと気にかかっていたが」

「赤い稲妻じゃねぇ。真紅の稲妻だ。でも、旦那が無事でよかったぜ」

 

 そう言いながら、ライデンがビームサーベルで、背後から迫り来ていたザクを斬り捨てた。

 

* * * * *

 

 艦隊のほうも、正規軍艦隊と激戦を繰り広げていた。キシリアのグワリブ、ラクスのエターナル、ワッケインのレナウン、そしてキシリア配下のムサイたちが、敵艦隊にビームを浴びせかける。

 

 幸いながらも、敵は、シン・マツナガたちを殲滅させればいいと考えていたのか、こちらと数はほぼ変わらなかった。

 

「奇策はいらん。間断ない砲撃を浴びせて、敵を消耗させろ。そうすれば、敵艦隊は自ずから崩れる!!」

 

 エターナル艦橋のドズルの指示(戦闘の指揮は彼のほうが向いていると考えたキシリアが、この作戦での指揮権をドズルに委譲したのだ)のもと、連合艦隊はジオン艦隊に猛攻撃を浴びせていく。

 彼の指揮が功を奏したのか、ジオン艦隊は少しずつ後退をはじめていく。その中、ジオン艦隊のムサイの一隻がビームの集中砲火を浴びて大破した。

 

 MS(モビルスーツ)隊も負けてはいない。ライデンのゲルググが、シン・マツナガの高機動型ザクが、バルトフェルドのガイア・ガンダムが、そして他のザクやリック・ドムたちも、敵MSたちと撃ち合い、切り結んでいく。

 

「お前たちの屠殺で散っていった同志たちの無念、思い知るがいい!!」

 

 シン・マツナガのザクが、敵のリック・ドムのコクピットにヒートホークを叩き込み沈黙させる。さらにその腕からヒートサーベルを奪い取り、接近してきたザクを一刀両断する。

 

「砂漠の虎という異名だが、宇宙でもいけるのを見せてやりましょうかね!!」

 

 バルトフェルドのガイアガンダムが獣形態に変形し、その爪を哀れな犠牲者のリック・ドムに突き立てる。

 

 激戦の末、敵艦隊の旗艦から発行信号が出される。それを合図に、敵MS隊は戦闘を中断し、撤退の準備を始めた艦隊へと戻っていく。中には、投降の信号を出すMSもいた。おそらく、これ以上ギレン・ザビの指示には従えないというのだろう。

 

 そして大方のMSを収容したところで、敵艦隊は撤退を開始した。キシリアたちは追撃しない。あくまで今回はシン・マツナガたちの救助が主な目的だったし、こちらにも追撃するだけの余裕はないからだ。何より、追撃したら次はこちらより多い敵と遭遇したってことになったら目も当てられない。

 

 そして、シン・マツナガたちの部隊を収容していく。

 

 かくして一つの戦いは終わったと思われた。しかし、この戦いにはまだ続きがあったのだ!

 

* * * * *

 

 

「キシリア様。シン・マツナガ大尉の部隊の収容、完了しました」

「よし、長居は無用だ。ただちに撤収準備にかかれ」

 

 そうキシリアが指示を出したところで、オペレータの一人が驚愕と緊張に満ちた声で、報告をしてきた。それが、容易ならざる事態が起こっていることを物語っていた。

 

「お待ちください、キシリア様! 新手のMS隊が接近! 識別は……海兵隊です!! 我が艦隊の後方の輸送艦に向かっています!」

「なんだと!? すぐにライデン隊を輸送艦の護衛に回らせろ。それと同時に、彼らに警告を送れ!!」

「り、了解!!」

 

 オペレータが指示を受けたのとほぼ同時に通信機器を操作し、警告の通信を送る。ただ意外なことに……。

 

「あっ、敵隊長機から通信がありました!」

「なに? つなげ」

「はっ」

 

 そしてスクリーンに、ノーマルスーツに身を包んだ妙齢の女性の映像が映し出された。

 

「これはこれはキシリア閣下。こんなことで、しかも私達の略奪の獲物として出くわすとは奇遇ですねぇ」

「全くだな。まさかお前が海賊に身をやつしていたとは思わなかった」

 

 キシリアのその言葉を聞いた女性……シーマの顔が少しこわばる。

 

「誰のせいだと思ってるんですかねぇ……。虐殺に利用しておいて、しかもそれが終われば用済みとばかりに、私達をおいて出奔して……」

 

 そしてシーマのものらしきゲルググが、グワリブの前面に出てきてビームライフルを構える。ブリッジクルーに緊張が走った。

 

「そのおかげで、私たちはギレン派から叩き出され、ジオンから追い出され、海賊に成り下がっちまったのさ。このケジメ、今ここでつけさせてもらう!! いや、つけさせてもらわなきゃ気がすまないさね!!」

「そうか……私にはなさなければならないことがある、と言っても無駄なんだろうな」

「あぁ。口ではなんとも言える。コロニーつぶしの時だってそうだった。もはやあんたがどんな大義を言ったとしても、言い逃れにしか聞こえないよ」

 

 シーマにそう指摘され、キシリアは若干の無念さをにじませた苦笑を浮かべて返した。

 

「そうか……ならば残念だが仕方あるまい。……ブリッジクルーは全員脱出しろ。私をのぞいてだ」

「!?」

「!?」

 

 キシリアの命令を受けて、ブリッジクルー、そしてシーマに衝撃が走る。

 

「これはザビ家、そして私のケジメの問題だ。お前たちまで巻き込まれる必要はない」

「キシリア様……それでは、ギレン・ザビを止めるという志はどうなされるのです!?」

「無念だが、私はそのコースからドロップ・アウトせざるを得ないようだ。後はドズル兄上に引き継いでもらう」

 

 そして前のシーマのゲルググに対して言う。

 

「そういうわけだ。ケジメをつけさせるのは私だけにしてくれ。そしてできたら、ドズル兄上に力を貸してくれたら嬉しい。虫のいい話かもしれんがな」

「私が、そんな美しい美談で、矛を収めてくれるとでも?」

「お前はどうあっても私を殺すのだろう? ならばそんな美談でごまかすと思うか?」

「……」

 

 シーマからの返事はない。そこでキシリアは気がついた。クルーたちは誰一人ブリッジを出ていっていないことに。

 

「どうした? 総員退艦と言ったはずだ」

 

 そのキシリアの言葉に、一人のクルーが反論した。

 

「いえキシリア様! 私たちも残ります! キシリア様が命を投げ出されるのに、私たちが生き残ることはできません!!」

「彼の言うとおりです! それに、キシリア様につけなければならないケジメがあるというのなら、それは私たち自身が背負わなければいけないものだと思います! お叱りはあの世で受けますから、どうか残ることをお許しください!!」

「お前たち……。地獄に落ちてから後悔しても知らんぞ」

「あんたらあああぁぁぁぁ!!」

 

 ブリッジ内に、シーマの叫びが響いた。

 

* * * * *

 

 ゲルググのシーマは、目の前で繰り広げられている茶番(と彼女は思っている)に激昂し、ブリッジにビームライフルを撃ち込もうとした。

 だが、その指はトリガーを押し込もうとする寸前で止まり、彼女はそんな自分に戸惑う。

 

 しかし、彼女は心の底でわかっていたのだ。眼の前で繰り広げられていたのは茶番ではなく、本当の絆だと。そして彼女には、目の前のキシリアと部下たちが、自分と部下たちの姿にかぶって見えていたのだ。

 

 それでも彼女は撃とうとする。しかし、何度トリガーを引こうとしても結果は同じだった。

 

 そして彼女は再び口を開く。

 

* * * * *

 

「悪いね、白けちまったよ。これ以上そんな茶番を見ていられるかい」

「シーマ・ガラハウ……」

「付き合いきれんさね。まぁ、あんたらは勝手にすればいいさ。……あんたのそのきれいごとが本当かどうか、見届けさせてもらう」

 

 そして、シーマはゲルググを翻そうとした……ところで、どこかから放たれたバズーカが、ゲルググのボディを撃ち抜き、それを爆散させた。

 

 一同がバズーカが飛んできた方を見ると、そこには一機のピンクのリック・ドム。

 

「ははは!! 海兵隊のシーマ・ガラハウが情に絆されるとはお笑いだね!!」

「カレリナ・ルース、貴様……!!」

 

 カレリナのリック・ドムに、リリー・マルレーンを預かるデトローフ・コッセルからの怒りの声が届く。しかしカレリナは、それに動じることなく、無造作にバズーカをリリー・マルレーンに向け、そして躊躇することなく発射した。

 

「悪いね。ギレン・ザビが言ってくれたんだよ。シーマ・ガラハウとあんたらを始末すれば、私と仲間たちを親衛隊に迎え入れてくれるとさ!! ははは、ありがたく、私の餌となってちょうだいよ!!」

 

 そして、バズーカ弾は、リリー・マルレーンのブリッジに直撃!! リリー・マルレーンは爆炎を吐きながら轟沈した。

 

 絶句する一同に、カレリナは笑いながらリック・ドムを反転させた。そして。

 

「はははは!! これで私は親衛隊だ!! 感謝するよ。きゃはははは!!」

 

 そしてリック・ドムは僚機とともに飛び去っていった……。

 

 




※感想、募集中! あと、『テテテUC』を書いてくださる方も募集中です!

* 次回予告 *

ラサでの戦いを制した戦士たちに訪れたわずかの休息。その中で彼らは、羽を休め、絆を結んでいく。
だがその裏で、ジャブローでは恐ろしい事態が展開していた。

次回、『ジャブロー暗転』

君たちは生き延びることができるか?

※作者の就職が決まったので、これからは更新日がずれたり不定期になるかもしれません。そうなったら申し訳ありません(汗 でも未完結にならないように頑張ろうと思っています。

テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?

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