宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム   作:ひいちゃ

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宇宙世紀0079、サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に宣戦布告した。
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。



Re:Act.35 『ジャブロー暗転』

 カラカラカラ……。

 

 ラサのメインストリートに、車椅子の音が響く。

 その音の主は、一人の少女と一人の女性。俺の宿主、ソフィー・リオノウンズと、そのソフィーの姉で俺の妹、結衣の宿主でもある女性、ルシアだ。

 

 ティターンズとの激闘を終えて、俺たちには、次の任務までの間、つかの間の休息が与えられたのだ。

 

 アムロは自室で機械いじり、カイはセイラさんの私物の買い出しに、ハヤトもどこかに遊びに行った。そういえば、ホワイト・ディンゴのレイヤー中尉と、元ジオンの荒野の迅雷は、ともに飲みに行くと言ってたな。さすがにノンアルだそうだけど。

 

 そして俺たちは、ルシア(&結衣)とともに、こうしてラサの町に遊びに来たのだ。地方の少都市とはいえ、店がまったくないわけではない。

 

「ふふ」

 

 そこで、ルシアがふと微笑みをもらした。何か嬉しそうな感じの微笑みだ。

 

「どうかしましたか、お姉ちゃん?」

「いや、お前がとても幸せそうだな、と思ってな」

 

 そうルシアが言うと、ソフィーも微笑みを返した。それと同時に、彼女の精神世界を爽やかで優しい風が吹き抜けていく。

 

「だって嬉しいんです。こうして、お姉ちゃんと一緒に遊びに行くことができて。こんな日が来るとは思ってませんでしたから……」

「そうか……。だが、私はオリジナルのクローンで、ルシア・リオノウンズ本人ではないぞ?」

 

 ルシアがそう言うと、ソフィーはほほをぷうっと膨らませた。でも、本気で怒っている感じはしない。

 

「もうっ。そんなこと言って。クローンでもなんでも、お姉ちゃんはお姉ちゃんですっ」

「ふふ……すまない。あ、そこの喫茶店に入らないか? ユイもそこに入りたいと言ってる」

 

 ルシアがそう言って示したのは、ちょっとおしゃれなような喫茶店。いかにも、結衣が好きそうなお店だ。

 

―――ルシアに入りたいと伝えるなんて、お前も考えるようになったなぁ、結衣。

―――だって、本当に入ってみたいと思ったんだもん。……駄目かな?

―――俺が駄目っていうと思うか?

―――ううん。ありがとう、お兄ちゃんっ。

 

 そして俺たちは、その喫茶店の中に入っていった。

 

―――居候さん、俺たちじゃなくて私たちですっ。

―――わ、わかってるって。

 

 だから、人の地の文を読むなよ……。

 

* * * * *

 

 一方その頃。ラサ唯一のバー。

 そこでは、元ジオン軍のシャア・アズナブル、ランバ・ラル、ヴィッシュ・ドナヒュー、そして元連邦軍のマスター・P・レイヤーが集まり、ともに盃を傾けていた。もっとも、グラスの中はノンアルコールだが。

 

「まさかこうして、ジオンの(つわもの)と連邦の兵が、盃を交わすことになるとはな。人生、生きてみるものだ」

 

 そうランバ・ラルが、感慨深げに言い、それにヴィッシュがうなずいて同意する。

 

「全くですな。私もこんな日が来るとは思っていなかった。ましてや、我が宿敵、レイヤー中尉とドリンクを飲み交わす日が来るとは」

「そうだな。俺も、君と飲み交わす日が来るとは思わなかった。これが新しい時代というやつなのかもしれんな」

 

 レイヤーの言葉に、ヴィッシュが同意するようにうなずくが、すぐにその顔が真顔に変わる。

 

「だが新時代の到来と喜んでばかりもいられん。まだ大きな波乱が待ち受けているかもしれん」

「何か聞いているのかね? 荒野の迅雷」

 

 ランバ・ラルの問いに、荒野の迅雷と呼ばれた男がうなずいて答えた。

 

「ジオン本国では、あるコロニーからの住民移動や、電力制限が行われているらしい。それどころか、太陽電池の大幅増設も行われているらしい」

「軍内部で噂されている、ギレン・ザビが開発中の決戦用戦略兵器とやらか……」

 

 そうシャアが真剣になってつぶやく。それを受け、ランバ・ラルも真剣な顔になる。

 

「総帥……いや、ギレン・ザビは何を考えているのか……」

 

 そしてその場を沈黙が包む。しばしの間。その後、ヴィッシュがグラスを掲げ、口を開いた。

 

「何が先にあろうと、我々のすることは一つだろう。この戦争を終わらせるために力を尽くす。それだけだ。違うかね?」

「確かにそうだな」

「ではこの盃は、必ず生きてこの戦いを終わらせることを誓う、誓いの盃としようではないか」

 

 ランバ・ラルの提案に、その場にいる一同がうなずき、そしてグラスを掲げる。

 

「我らの誓いが必ず叶えられんことを!!」

 

* * * * *

 

 俺たちが入ったカフェは、どこかで見たような、かすかな懐かしさを感じるカフェだった。

 

―――わあっ。とっても素敵なお店だね。

―――あぁ、そうだな。

 

 嬉しそうな結衣にそう言ってやる。彼女に喜んでもらって本当によかった。ここまで色々あったからな。

 

 だがなぜだろう? ソフィーの精神空間には小さくない動揺が感じられるのだ。なぜか俺は、それが少し気にかかった。

 

 それを感じたのだろう。ルシアが口を開いた。

 

「どうしたのだ、ソフィー? 何か気にかかることがあるのか?」

「い、いいえ、なんでもありませんっ。さぁ、入りましょうっ」

 

 そして、店員さんに案内されて席につく。そして、その店員さんに注文して一息ついたところで。

 

 ソフィーの声が聞こえた。感応波が使えるルシアと結衣にも聞こえただろう。

 

―――ミハルさん……。

 

 あぁ……そうか。どこかで見た覚えがあると思ったら、ベルファストで、ミハルと一緒に入ったあの喫茶店に似ていたのか。それを見て、今は袂をわかってしまったミハルのことを思い出したのかもしれない。

 そこに。

 

―――大丈夫ですよ、ソフィーさん。きっと、ミハルさんと仲直りできる時が来ます。

 

 結衣が元気づける声が。

 

―――あの時、ソフィーさんがお兄ちゃんに、助かる可能性を信じて、と言ってくれた。そのおかげで、私は今、ここでこうして、お兄ちゃんとお茶することができたんです。

―――ユイさん……。

―――あの時のお礼ではないですけど、私からも同じ言葉をお返しさせてもらいます。きっとミハルさんと仲直りできる可能性はあります。だから、それを信じてあげてください。

―――……ありがとうございます。

 

 そうしているところに、ケーキとお茶が運ばれてきた。

 

―――さて、それじゃ、メニューも来たことだし、固い話はここまでにして、今はつかの間の休息を楽しむことにしようぜ。

―――ふふ、はい、そうですね。

―――うんっ。

―――そうだな。

 

* * * * *

 

「ジャミトフ閣下! 何とぞラサとトリントンに加粒子ミサイルによる戦略攻撃の許可を!! 我らに楯突く奴らへの見せしめとするのです!!」

 

 南米にある、かつての地球連邦軍、そして現在のティターンズの本部、ジャブロー。その総司令官執務室では、実戦総指揮官のバスク・オムが、ティターンズの総帥ジャミトフ・ハイマンにそう迫っていた。

 

「くどいぞ、バスク。それは許可できぬ」

「なぜです!? この二箇所にミサイルをぶちこめば、我々に反対する者は皆黙り込むものを!!」

 

 そこでジャミトフはため息を一つ突いた。

 

「確かにお前の言う通り、戦略攻撃を仕掛ければ、我々に従わない者たちは皆おとなしくなるだろう。だが、それを行えば、その二地域には大きな環境破壊が巻き起こることになる。我らの目的は地球を汚すことではない、それはわかっているだろう。敵対する者を黙らせるために地球を汚し、傷つけるのでは本末転倒だ」

「そう甘いことを言っているから、反逆者どもにつけこまれるのです! 地球のことなど、この戦乱が収まってから考えればよろしい! なぜそれがおわかりになられぬのか!!」

 

 バスクが怒りの形相で机に拳を叩きつける。机にひびがかすかに入った。その様子を見て、ジャミトフが、失望したような嘲笑を浮かべた。

 

「それはこちらのセリフだ。我がティターンズの理念……地球を守る……を完全にわかっていなかったとはな。所詮は猪武者……いや、猪武者以下ということか。お前を取り立てたのは、わしの失敗だったようだな」

 

 その嘲笑の表情が、さらに濃くなる。それは、バスクに一線を超えさせるのに十分であった。

 その直後である。

 

「ジャミトフ・ハイマンンンンンンン!!」

 

 ジャミトフの侮蔑の言葉に、バスクの頭が真っ白になる。

 バスクが知らず知らずのうちに、銃をかまえる。

 

 そして、銃声が響いた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 荒い息を突くバスク。彼の目前には、バスクの銃撃を受け、全身血まみれになったジャミトフ・ハイマンだったモノが倒れ込んでいた。

 

「わ、私はなんということをしてしまったのか……。いや、これはジャミトフ閣下が悪いのだ。閣下がティターンズの信念を裏切るようなことをしたから……」

 

 しばしの間、バスクはそう、自己弁護、責任転嫁の言葉をつぶやく。

 

 それから少しして。

 

「バスク閣下、銃声が聞こえましたが、一体……」

 

 銃声を聞き、異変を感じ取ったのだろう。バスクの副官が執務室に入り込んできた。その瞬間。

 

「この痴れ者がああぁぁぁぁっっ!!」

「ぎゃあ!!」

 

 哀れ、副官はバスクの銃弾を額に受けて倒れ込み、絶命してしまった。

 

 それからすぐに警備兵が駆けつける。

 

「ジャミトフ閣下はこの男に暗殺された。ただちに処分せよ」

「は……はっ」

 

 その警備兵にそう言い放ち、バスクは執務室を出た。そして指揮管制室へと向かう。

 

 指揮管制室に到達すると、バスクは通信機のスイッチを入れ、そして言った。

 

「ジャミトフ閣下は、我が副官に暗殺された! 彼奴は、実はジオンのスパイで、私の副官としてティターンズの中枢に食い込んでいたのだ。だが、そのスパイも、ジャミトフ閣下の仇として、私が討ち果たした!!」

 

 そこまで言ったところで、バスクの顔に醜悪で凶暴な笑みが浮かぶ。

 

「ただいまを持って、ティターンズの指揮権は、この私、バスク・オムに委譲される!! これは、ジャミトフ閣下の遺命でもある!! 異を唱えることは許さん!! 異を唱えたり、反対する者は、ティターンズの敵、地球連邦の敵、そして地球の敵として断罪するので、そう心得よ!!」

 

 この時、地球圏は破滅の方向にまた一歩近づいてしまった。

 

「改めて各員に命じる。我らティターンズに逆らう者を全て排除せよ!! 反逆者どもを、ひとり残らず、どんな方法を使ってでも叩き潰すのだ!!」

 

 

 




※感想、募集中! あと、『テテテUC』を書いてくださる方も募集中です!

* 次回予告 *

ティターンズを掌握したバスク・オムは暴走をはじめた。
彼の暴走は若き戦士たちに衝撃を与える。

次回、『暴走の炎、狗の蟷螂の斧』

君たちは生き延びることができるか?

テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?

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