宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム   作:ひいちゃ

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宇宙世紀0079、サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に宣戦布告した。
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。


Re:Act.39 『フォン・ブラウンの巨人』

「ブライト、大気圏離脱したわ」

「そうか。マーカー、別働隊とジオン共和国軍の艦隊は?」

「はい、確認しました。前方から接近してきます」

「そうか。打ち合わせ通りだな」

 

 ペガサスJr.とラグナレクは宇宙に飛び立った。

 宇宙で活動している、レナウンとエターナルからなる不正規隊別働隊、そしてキシリア・ザビ率いるジオン共和国軍とこうして合流するためだ。

 

 そこに、フラゥがブライトのほうを向いて口を開いた。

 

「艦長。艦隊から通信です」

「よし、つなげ」

 

 そして通信スクリーンに、別働隊のラクス、ワッケイン、そしてジオン共和国軍のキシリア・ザビの姿が映し出された。

 

「ブライト君。地上での任務、ご苦労だったな。正統政府……いや今は国家を再編して新地球連邦だったか……のほうはどうだ?」

「はい。現在、新地球連邦に合流した部隊を編成している途中だそうです。編成が終わり次第、ティターンズ追撃とジオンとの決戦のために出撃すると。そちらのほうは?」

 

 それに答えたのはワッケインではなく、キシリアのほうだった。

 

「こちらも順調だ。不正規隊別働隊のおかげもあり、多くの反ギレン派部隊を救出、糾合し、なんとか小国の軍として成立させられるだけの戦力を確保できた。それでも、公国の軍の30%ほどだがな。ただ……」

「ただ?」

「ご存知の通り、我らは拠点といえる拠点というものを持っていないのだ。一応、ジオン公国軍の仮設拠点の一つ、茨ノ園を接収し、そこを仮の拠点として使っているが、やはり補給や修理には少し心もとない」

「そうですか……」

「できれば、私のかつての拠点であったグラナダを奪回したいところだが、ギレン・ザビがそうそう渡してくれるとは思えないしな……」

 

 そこに、何かを受信したのか、フラゥが報告の声を発した。

 

「ブライト艦長。地球圏全域に広報電波が発信されています。月のフォン・ブラウンからです」

「フォン・ブラウンから? よし、スクリーンに出してくれ」

「了解」

 

 フラゥが機器を操作した。そして、メインスクリーンに映し出されたのは、口ひげをたくわえた男性の姿。

 

* * * * *

 

「ジオン公国と連邦軍との対立で、宇宙に混迷が広がっている昨今。力を持たぬ者は、どちらかのしもべとなり、馬車馬のごとく働かされるしか生きる道はなくなるでしょう。そうならないために、私たち、アナハイム・エレクトロニクスとフォン・ブラウンは動くことを決断しました」

 

そう言うアナハイムの代表の男性の後ろには、多数のMS(モビルスーツ)の姿が。旧連邦軍からOEM生産、またはデッドコピーされたジムの姿はもちろん、少数ながらもガンダムMk−2など、この時代にはまだ存在していないMSの姿も。アナハイムおそるべし、というべきだろうか。

 

「私達、アナハイム・エレクトロニクスを始めとした月面都市企業群とフォン・ブラウンは、軍事組織を立ち上げ、新国家『タイタンズ』として自立するものであります!!」

 

* * * * *

 

 ソロモンに向かう途上のティターンズ艦隊。その旗艦ペガサス級ドゴス・ギアで、その放送を聞いたバスクは、怒りに顔を赤くし、艦長席のアームレストに拳を叩きつけていた。

 

「タイタンズだと!? ふざけた名前を名乗りおって!! どいつもこいつも、私の神経を逆撫でするようなことをする!!」

 

 そこまで怒りをぶちまけたところで、バスクは周囲を見渡し、怒りが収まらない様子で再び席についた。

 救国評議会が瓦解した今、自分は今や絶対的な存在ではない。部下の反感を買いすぎてしまったら、自分が彼らに殺されるだろう。ブリッジの雰囲気から、彼はそれを感じ取っていたのだ。

 

「ふん、まぁいい。奴らへの対処はあとだ。ジオンを殲滅したあと、正統政府と名乗る虫けらどもとともに始末すればいいことだ」

 

* * * * *

 

 月面からの放送が終わったあと、キシリア・ザビが口を開いた。

 

「まさかフォン・ブラウンが自立するとはな。だがこれは奇貨でもある」

「奇貨?」

 

 ブライトがそう聞くと、キシリアは会心の表情をもってうなずいた。

 

「あぁ。どうやってグラナダを奪回しようかと考えていたが、これでどうにか目処が付きそうだ」

「なるほど。タイタンズの力を借りて、グラナダを奪還しようというわけだな」

 

 ワッケインの言葉に、キシリアは再びうなずく。だが、そこでラグナレクのシャア……いやキャスバルが懸念を伝える。

 

「しかし、タイタンズがこちらからの交渉に応じてくれるでしょうか?」

「確かに、ジオンはスペースノイドに色々やってきたからな……。態度を硬化させる可能性はあるな。だがキシリア。その表情からすると、問題はなさそうだな?」

 

 ドズルがそう聞くと、キシリアはうなずいた。

 

「あぁ。楽観視はしていないが、悲観もしていない。我々はジオン公国ではないからな。そのことを表に出せばうまくいくだろう。そこでだ、キャスバル」

「はぁ」

「今度の交渉、貴様……いや、貴方に行ってもらう」

「私が……ですか?」

 

 いきなり交渉に行け、と言われて戸惑うシャアに、キシリアがうなずいて続ける。

 

「我々がジオン公国ではない、新しいジオンであることを示すには、それが一番なのだ。私やドズル兄が出ていったのでは、先方の態度を硬化させるだけだからな」

「確かにそうではありますが……」

「それにだ。これからはあまり私達が表に出るわけにはいかなくなる。ザビ家である私達が表に出たら、相手はただこちらを警戒するだけだろう。裏方の担当は行ってもよいが、この先は表に立つ役は貴方にやってもらうことになる。なら、ここでそれに慣れるのもよいだろう」

「はぁ……」

 

 まだ不安と戸惑いを抑えきれてない様子のシャアに、キシリアは苦笑して浮かべる。

 

「不安そうだな」

「はぁ……先程の演説とは違いますから」

「わからんではない。私も最初の頃はそうだったからな。だが心配はいらん。貴方のジオン・ダイクンの嫡子としてのネームバリューと、その人柄なら問題はないだろう。それに、オブザーバーとして、正統政府のフレーゲル大臣にも同行してもらう」

「うむ、任せてもらおう。私の貴族としての手腕で、貴殿をサポートさせてもらおう、HAHAHA!」

「はぁ……」

 

 『というか、いたのね』という感想は、全員がみんな持ち、共有したものだった。

 

* * * * *

 

「ミハルさん……」

 その日も、ソフィーは医務室で、精神にダメージを受けて収容されたミハルを見舞っていた。

 彼女の寝かされたベッドの横に座ると、その手をそっととる。

 

 刹那さんの話では、生命活動に問題はないとのことだったが、いつになったら目覚めるのか、そもそも意識を取り戻すかどうかはわからない、とのことだった。そのミハルを見守り続けるソフィーの心は切ない。

 その目から一筋、涙がこぼれる。

 

「ソフィー、ここにいたのか」

「お姉ちゃん……」

 

 そこに、ソフィーの姉、ルシアが入ってきた。

 

「あと10分でブリーフィングが始まるぞ」

「はい……でも、もう少し、もう少しだけ……」

「そうか……」

 

 そう言って、ルシアもソフィーのとなりに座る。

 

「お姉ちゃんはいいんですか? 確かこのあと、再生医療のために、エターナルに行くはずじゃ……」

「あぁ、そうだがな。妹に付き合うわずかな時間ぐらい、ラクスなら大目に見てくれるだろうさ」

「ありがとうございます……お姉ちゃん……」

 

 そう言って、ソフィーは再び、ミハルへと視線を戻す。

 そこに結衣の声。

 

―――軽々しく言いたくはないですけど、きっと大丈夫です、ソフィーさん。ミハルさんが目を覚ます時は来ると思います。

―――ユイさん……。

―――ミハルさんを取り戻すことができたじゃないですか。だからきっと、彼女が目を覚ます時も来ると思います。それに、感じるんです。その日が訪れることが……。

―――ありがとうございます。

 

 それはきっと、結衣の優しい嘘だったのかもしれない。ニュータイプに覚醒しかけの俺だが、そんな未来は見えなかったのだから。

 それをソフィーも感じ取ったのだろう。その優しさも。ソフィーの心が少し和らいだのを感じた。

 

 そこに。

 

―――ソフィー……。

 

 精神世界に流れる声。間違いない。ミハルの声だ。

 その声に、ソフィーの目から再び涙が一筋流れた。

 

「よかったな、ソフィー」

「はい……」

 

 そこに。

 

「まもなくブリーフィングが始まります。パイロットの皆さんは会議室にお集まりください。繰り返します……」

 

 フラゥの声でアナウンスがあった。それを聞き、ルシアが立ち上がり、ソフィーの肩に手をおいた。

 

「さぁ、行こう。ソフィー」

「はい……」

 

 そしてソフィーも立ち上がった。そして、ミハルの額を優しくなでる。

 

* * * * *

 

 そして、艦隊はフォン・ブラウンに到達した。

 

 さすがに艦隊全艦で乗り込むわけにはいかないので、エターナル、レナウン、そしてジオン共和国の艦隊には向こうの警戒領域ギリギリで待機してもらい、ペガサスJr.単艦のみで都市まで向かう形にする許可を打診してみた。

 もしかしたらそれでも難色を示されるかと思ったが、意外とすんなりと受け入れられた。やはり、ペガサスJr.……木馬の武名と、ジオン・ダイクンの忘れ形見たるシャア……キャスバル・ダイクンの名声が大きかったのかもしれない。

 

 警戒領域に入ったところで、向こうの査察船が近寄ってきて、ペガサスJr.の武装に封印を施していく。武装を封印されたペガサスJr.は査察船とともに、そのままフォン・ブラウンへと向かう。

 そして入港した俺たちは、そこでこちらからの提案が受け入れられたもう一つの理由と『再会』することになる。

 

「おぉ、お久しぶりです、皆さん。お待ちしておりました」

「レヴァン僧正!?」

 

 そう、南洋同盟で共闘したベンガル同胞団のリーダー、レヴァン・フゥ氏だった。その傍らには同胞団のパイロット、ダリル・ローレンツさんの姿があった。

 宇宙港で出迎えたそのレヴァン氏の手を、ブライトさんが握る。

 

「お久しぶりです、レヴァン氏。まさかあなたとここで再会すると思いませんでした」

「私もです。実は、フォン・ブラウンの自立にあたり、ともにティターンズやジオン公国と戦うための提携の交渉のために、ここを訪れていたのです」

「なるほど……。ということは、フォン・ブラウンは反ティターンズ、反ジオンという立場では、我々は同じだと」

「はい。感触としては、貴方がた新地球連邦やジオン共和国との提携も、条件次第ですがやぶさかではないように見えました」

「それはよかったです」

「おぉ、やはり我らの正義は神もお認めくださっておるのだ!!」

「それではご案内しましょう、こちらへ」

「はい」

 

 フレーゲル議員が感極まった様子で何か喚いている中、俺たちはレヴァン氏やダリルさんに案内されて、月面都市内に入っていくのであった。(苦笑)

 

「こらー! 無視するなー!!」

 

* * * * *

 

 そして、フォン・ブラウンの市庁舎に案内される。そこで待っていたのは、髭面のおっさん(アムロ曰く、自立演説をしていた人らしい)だった。この人が、タイタンズ代表アンディ氏とのことだ。

 

「おぉ、ようこそ木馬の皆さん。皆さんの武勇は聞き及んでおりました」

「恐縮です。新地球連邦軍・不正規隊(イレギュラーズ)指揮官ブライト・ノアであります」

 

 そして握手をかわす。胡散臭いおっさんに見えるが、その瞳にはフォン・ブラウン、何より地球圏のことを真摯に思う光が宿っていた。

 

 さて、会議はすんなりと進んだ。拍子抜けするくらいだ。ただその際に、フォン・ブラウン側は一つの条件、というか依頼を出した。それは。

 

「研究所……ですか?」

「はい。ジオンのグラナダとの境界にある研究所。今はジオンに接収されていますが、それを皆さんに奪回してほしいのです」

「それはかまいませんが……そこには何が?」

 

 ブライトさんに聞かれ、アンディ氏が話した内容。それは衝撃的なものだった!」

 

「それは、我々アナハイムと旧連邦が犯した罪。あそこでは、両者が共同で実験をしていたのです」

「実験!?」

「はい。ジオン・ダイクンが提唱していたニュータイプ。それの研究の中で見つかった第三の革新、名付けるならオルタナティブ・タイプとしましょうか」

「オルタナティブ・タイプ……」

 

 ブライトさんがつぶやき、アンディ氏がうなずく。

 

「アナハイムと旧連邦は、そのAT(オルタナティブ・タイプ)の研究をしていたのです……人体実験を含めて」

「なんと……!!」

「それだけではありません。現在のティターンズである、旧連邦の武闘派からの要求により、そのATの因子を持った者のクローンを作ることさえも……」

「それって……!?」

 

 そこでソフィー(と俺)は、何かに思い当たり、思わず声を発した。それってまさか……。

 

「そう。君たちが幾度となく戦った、あのジム。そのパイロットのことだ」

 

 それはつまりルシアのこと……!

 

「それまでも我々はかの施設でATの研究をしてきた。その中で何人かそう思われる被験者を見出してきたが、彼らはいずれも、満足いくほどの能力ではなかった。その中で、我々は避難シャトルから放り出され、宇宙を漂っていたルシア・リオノウンズを偶然にも救助したのだ。その時には既に瀕死状態で手の施しようがない状態だったが」

「……」

「軍から、候補生時代の彼女の成績を聞いた我々は、彼女の生命活動に注意しながら解析を行った。その結果、彼女のATの適正はかなり高いことが判明した。そしてその先は、先程話したとおりだ」

 

 それを聞かされたソフィーが沈痛そうにつぶやいた。

 

「軍の要求で、お姉ちゃんの細胞からクローンを……」

「そうだ。君の姉の命を弄ぶようなことをして済まなかった」

 

 アンディ氏が頭を下げる。それに対し、ソフィーは複雑そうな表情で首を振った。

 

「いえ……。悪いのは貴方がたにそうさせたティターンズですし……何より、そのおかげで私は、クローンとはいえ、またお姉ちゃんと再会できましたから……。やはり、複雑な気持ちはありますが……」

「済まない……」

「ですが、ジオンがその施設を接収したってことは、奴らは……」

 

 ソフィーの懸念に対し、アンディ氏はうなずくことで答えを返した。

 

「うむ。かつての我々のように、ATの研究を続けている可能性が高いと思われる。そこで、君たちには、それを止めるためにも、施設の奪回をお願いしたいのだ。本来ならタイタンズで奪回すべきなのだが、いろいろな事情があり、今軍を動かすのは難しいのだ」

 

 そしてアンディ氏は再び頭を下げた。その様子からは沈痛さも伝わってくる。

 

「ブライト艦長。私はその作戦を行うべきだと思います。お姉ちゃんのような犠牲者は、これ以上出てほしくないですし、こんな研究は止めるべきだと感じますから」

 

 ソフィーのその言葉に、ブライトさんは少し考えたうえで、うなずいた。

 

「そうだな。それに、囚われている被験者も、可能なら助け出さなければならん。わかりました。その作戦の依頼、引き受けましょう」

「おぉ、ありがとう。感謝する」

「その代わり、条件があります。そのATの研究や技術は封印していただきたい。それと、その施設や施設内のデータの破壊も許可してもらいたい。もちろん、被験者を救出したあとで、ですが」

 

 そのブライトさんの申し出に、アンディ氏は真摯にうなずいた。

 

「わかった。フォン・ブラウンを預かる者として、そしてタイタンズの責任者として、責任を持って、研究も技術も封印しよう。施設やデータの破壊も許可する」

「ありがとうございます。これで安心して、施設破壊に向かえます」

 

 と、そこに、敵襲を告げるアナウンスがあった!

 

「ジオンの部隊が接近!!」

 

 そのアナウンスを聞き、ブライトさんが立ち上がって言う。

 

「さっそく来たか。よし、総員戦闘配置!! MS隊、ただちに発進だ!!」

「了解!!」

 

 アムロやソフィーはじめ、パイロットたちが艦のほうに走っていく。

 ティターンズやジオンの暴虐を止める、という新たな決意を持って。

 

* * * * *

 

 フォン・ブラウンへと向かうジオンのMS隊。その先頭を行く、カスタマイズされたゲルググを駆る女性兵士……カレリナ・リースは舌なめずりをしながら言った。

 

「いいじゃないか。この能力。機体はまるであたしの手足のようだよ。羽つき、今度はこの前のようにはいかないよ。ふふふふ……。行くよ、ネナカ」

「了解です、リース大尉」

 

 そしてカレリナは、スロットルレバーを勢い良く押し倒し、ゲルググを疾く鋭く、フォン・ブラウンへと突撃させた。

 




※感想、募集中! あと、『テテテUC』を書いてくださる方も募集中です!

* 次回予告 *

ソフィーは自分と同じ能力を持つ者との戦いに苦戦する。
その戦いを越えた先に、彼女が見たものは何か?

次回、『カレリナ逆襲』

君たちは生き延びることができるか?

※次の更新は、10/5 13:00の予定です。お楽しみに!

テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?

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