宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム 作:ひいちゃ
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。
※先に言っておきますと、ここに出てくる『彼ら』は黒幕ではありません。念のため。それとここである登場人物が言っている『ザク』は、ジオンのザクではなく、『ザク・ウォーリア』のほうです。
かつて、地球連邦軍とジオン軍が激しい戦いを繰り広げたルウム宙域。
そこに停泊している戦艦があった。連邦のものとも、ジオンのものとも全く違う姿を持つ艦。
そのブリッジに立つ少女は、困った顔のまま、やってきた男性に声をかけた。
「困りましたわね……。紛争の解決に向かっていたのにこんなことになって、キラやアスランとはぐれるなんて……。バルトフェルド、艦のほうはいかがですか?」
その少女の問いに対し、声をかけられた男性、バルトフェルドも困りに困惑をプラスした表情で首を振り返す。
「艦のほうは問題はないようですな。クルーにも被害はありません。ただ……」
バルトフェルドの言いたいことを察したのだろう。少女も困惑した様子で窓の外を見る。
「えぇ。周囲に漂う残骸……これはMSのようですわね。でも……」
「はい。ザクのように見えますが、どうもどこか違う。しかも、見るに僕らの乗るMSとは違う技術が使われているようだ。どうやら、我々は違う世界に来てしまったようですな。そんなバカな、と言いたいところですが」
「そうですわね。でも、今回の紛争、いやこれまでの紛争の裏で暗躍していたあの男が両軍に提供していたわけのわからない技術、あれを考えるとありえないと断じるのもまた難しいのではないかと思います」
「確かに……それで、どうします? ラクス」
少女、ラクスは少しの間真剣に思案し、そして言った。
「とりあえず、商船を装いながらこの世界を旅し、元の世界に戻る方法を探るしかないでしょう。私たちの世界がその後どうなるか心配ですが……」
「あの男はシンが倒してくれましたから、とりあえずあれ以上悪化する心配はないでしょう。それでは僕は、偽装の準備を……」
そしてバルトフェルドがその場を離れようとしたその時! 艦内を警報が鳴り響いた!
「どうした!?」
「本艦に接近するMSがあります! 戦闘態勢をとっている模様!」
オペレーターの一人、ダコスタの報告に、バルトフェルドは舌打ちをして吐き捨てた。
「ちっ、さっそくか! こちらはキラのストライク・フリーダムも、アスランのインフィニット・ジャスティスも、あげくにヒルダたちのドムも全部出払ったところでこうなったというのに! ミーティアもキラとアスランに渡したままにしてたんだぞ!」
「敵MS、撃ってきました!」
「きゃっ!!」
バズーカ弾が着弾し、艦橋が大きく揺れる。
「愚痴を言っている場合じゃないな。僕はガイアで出る。エターナルは自衛にのみ専念し、とにかく『敵ではない』と全周波で呼びかけ続けろ!」
「り、了解!」
そしてバルトフェルドは、今度こそブリッジを出て行った。
* * * * *
エターナルからは『こちらは敵にあらず』の通信が打電され続けていた。
だが相手は、非正規部隊か海賊らしく、それには耳を貸さずに、次々と襲い掛かってくる。
そんな中、バルトフェルドはビーム砲で敵のザクを撃ちぬき、獣形態に変形し、爪で敵を引き裂き、大奮闘を繰り広げていた。
しかし、やはり数の差はどうしようもなく……。
「しまった、エターナルが!」
一機のザクがガイアガンダムの横を突破し、エターナルに直進していった。そのザクはエターナルの対空砲火を高速でくぐりぬけ、艦へと迫る!
そして攻撃態勢に入ろうとしたその時……!
何か羽のような短剣のようなものが、そのザクに襲い掛かり、腕や足を切断して行動不能にした!!
「MS……ガンダムだと!?」
* * * * *
その地球は、異星生命体の来訪に揺れていた。圧倒的な戦力差の中、人類は異星生命体との決戦に挑んだ。
それは、互いの不理解によるすれ違いからの戦い……。
そのすれ違いを正し、双方に正しい理解を促すため、先駆者は戦場を駆けた。
そして彼は、異星生命体と対話するため、自らの母星を後にした。
そして、その帰路……。
* * * * *
エターナルがMS部隊と戦いを始める少し前。
その宙域の端のあたりに、一機のガンダムタイプMSが出現した。
そのガンダムタイプのパイロット、刹那・F・セイエイは一息つくと、もう一度計器をチェックしながらつぶやいた。
「量子ワープ完了……しかし、なんだったんだ。あの計器の異常は……」
そこで彼の傍らの小さい青年の姿をしたホログラム……ティエリア・アーデが驚きの声を発した。
「待て、刹那、あれを見ろ!」
ティエリアの声を受け、刹那がそちらへと目を向けた。そこには本来そこにはあるはずのないものがあったのだ。
「スペースコロニー……!? まさか……」
「いや、そんなはずはない。計算では、まだ地球圏にはつかないはずだ……!」
「どういうことだ……?」
「わからない……。それに計器で探査してみたが、ここは我々の地球圏とは微妙に違っているみたいだ」
「他の異星生命体が住む星系なのか……?」
そこにアラームが鳴り響いた。
「どうした、ティエリア!?」
「センサーが爆発によるものと思われる熱と光を感知した。どうやら戦いが行われているようだ」
「行ってみよう」
そしてガンダムタイプ……ELSクアンタはその熱と光が発生した宙域……エターナルが戦っている現場に向かったのだった。
* * * * *
そして刹那が駆け付けた宙域では、エターナルとガイアが、次々と襲い掛かってくるザクやリックドムと激しい戦いを繰り広げていた。
「やはり戦いが……使われているMSは地球圏のものとは違うようだが……」
「とにかく、今は戦いを止めなければ! クァンタム……!」
だが、クァンタの機能、クァンタム・バーストを発動させようとした刹那をティエリアが止めた。
「待て、刹那! ここではクァンタム・バーストは使えない!」
「なんだと!?」
「探査の結果、この空間に満ちている別の粒子が、GN粒子と干渉しあい、GN粒子の脳量子波伝搬効果を妨げているようなんだ。ここでは、クァンタム・バーストどころか、GN粒子そのものによる意思疎通が使えない……」
「なんてことだ……!」
そこに、その刹那のショックなど我に関せずというように、一機のザクがマシンガンを放ってきた。刹那はあわててクァンタを回避させ、その攻撃をかろうじてかわす。
「待て、俺たちは戦いに来たわけでは……!」
だが、刹那の制止を顧みることなく、ザクはなおもマシンガンを撃ちながら突っ込んでくる。
「駄目だ、刹那。向こうには聞こえていないようだ」
「やむを得ないのか……ソードビット!!」
その刹那の叫び声ともに、クァンタから二機の短剣型攻撃端末が切り離され、ザクへと向かう。
「な、なんだこいつは!? うわああああ!!」
刹那の意を受けたソードビットたちは、華麗に宙を舞いながらザクを翻弄し、その隙をついてそのザクの両手両足を瞬く間に切断した。
そしてそのザクマシンガンを、クァンタが奪い取る。
そこで、クァンタに全周波通信が入る。
「こちらはエターナル。私たちには敵対する意思はありません。攻撃を中止してください。繰り返します……」
それはエターナルからの、戦闘中止を求める通信だった。それを聞いてティエリアが刹那に問う。
「どうやら、あの艦とガンダムタイプが攻撃されているようだな」
「よし、あの艦を援護する!」
そして刹那のダブルオークァンタは、エターナルとガイアが攻撃されている宙域に突撃していった。
そして、マシンガンで的確に敵のザクを撃ち抜き、ソードビットで、リック・ドムをだるまにしていく。
そうしていくうちに、戦況はクァンタ&エターナル勢に傾いていき、ついに敵MS部隊は遁走していくのだった。
* * * * *
戦いが終わった後、ラクスとバルトフェルドは、改めて刹那と合流、対面した。
「助けてくれてありがとうございます。ラクス・クラインですわ」
「この艦の艦長を務めているアンドリュー・バルトフェルドだ」
そして一礼するラクス。それに対し、刹那とティエリアも挨拶を交わす。なお、ティエリアはラクスの配慮で人格データをハロの一機にインストールさせてもらっている。
「刹那・F・セイエイだ」
「ティエリア・アーデだ。それでさっそくだが、ここは……?」
ティエリアがそう聞くと、ラクスは困った表情を浮かべてこたえた。
「それが……私たちもこの世界にやってきたばかりで、何がなんだかわからないんですの」
「この世界にやってきたばかり? どういうことだ?」
刹那の質問に、バルトフェルドが、こちらも困惑の表情を強く浮かべたまま肩をすくめてこたえる。
「僕たちも、気が付いたらこの世界にいたのさ。ここに散らばってるMSの残骸を見るに、明らかに僕たちの知るものとは違う技術が使われてるのはわかる。つまり、ここは僕たちの世界とは違う世界と推察される。もしかしたら君たちも、僕たちと同じ身の上なんじゃないかな」
「違う世界……次元転移したというのか、非論理的な!」
明らかに信じがたいことを聞かされてティエリアが悲鳴をあげるが、ラクスはやはり困ったまま口を開いてつづけた。
「そんなことを言われても、その可能性が高いのですから仕方ありませんわ。私も正直信じたくない気持ちのほうが強いですし……」
そこで少し沈黙。そしてラクスが再び口を開いた。
「あの……それで皆さんはいかがなされるのですか?」
「そうは言われてもな……。ここが違う世界だとしたら、行くあてもないし……」
「それではよろしければ、私たちと行動を共にしてはいかがでしょう? もちろん、私たちが持つ物資の範囲内までですが、物資の支援もいたしますし、やはり戦力は少しでもあったほうがこちらとしても嬉しいですもの」
「利害は一致しているということか……どうする、刹那?」
「あぁ。この人たちからは悪意は感じない。信用していいと思う。よろしく頼む」
そして刹那はラクスと固い握手をかわした。
この異邦者たちが、このゆがめられた宇宙世紀にどのような影響を与えるのか。
それがわかる者は、この時点では誰もいない。そう、本人たちでさえも……。
ベルファストを発ったホワイトベースは、再びジャブローへの航海の途についた。
だが、その彼らを待っていたのは、ジオンの超兵器と、窮地に陥る友軍からの救援要請であった。
Re:Act.05『救出戦線』
君たちは生き延びることができるか?
※次の更新は、11/25 13:00の予定です。お楽しみに!
テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?
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