宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム   作:ひいちゃ

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宇宙世紀0079、サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に宣戦布告した。
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。



Re:Act.44 『終わりの戦い』

 ペガサスJr.のブリッジにて。ブリッジ内にアラームが鳴り響く。

 

「前方、はるか遠く。高エネルギーが横断します!! 分析の結果、高出力のガンマ線レーザーのようです!!」

「どこからだ!?」

 

 ブライトさんの問いに、レーダー手のマーカーが震えた声で答えた。

 

「それが……ア・バオア・クーの前方に展開しているティターンズ艦隊からです! ア・バオア・クーに向けて直進していきます!!」

「なんだと!?」

 

 それを聞き、相棒のソフィーをはじめ、ブリッジにいたみんなに戦慄が走る。それはもちろん俺もだった。

 

 ソーラ・レイかと思ったら、ガンダムSEEDに出てきたジェネシス……しかも、ティターンズからだって!?

 

* * * * *

 

 ティターンズから放たれたその光は、不正規隊の前方の宇宙空間を横切り、そして、ア・バオア・クーの前方に展開していたジオン軍艦隊に襲いかかった!

 

「うおっ!?」

 

 それが、ア・バオア・クー防衛艦隊の指揮を命じられていたアサクラ大佐の最期の言葉だった。

 彼の乗ったグワジン(ギレン・ザビから、指揮を命じられるにあたり貸与されたものだ)は、光に飲まれ、そして爆発に包まれて消滅した。

 

 他にも、ガンマ線レーザーを浴びた艦が次々と爆散していく。もちろん、中にいる乗員たちもただでは済まない。体内の水分がガンマ線の熱量で沸騰し、膨れ上がり、そして破裂していったのだ。

 最後に、光線は、艦隊の後方に鎮座していたソーラ・レイに突き刺さった。そしてジオンの切り札は、一度も切られることなく、爆炎に包まれて果てていったのであった。

 

 そして、ガンマ線レーザーの斉射が終わった。この攻撃で、ア・バオア・クーを守備していたジオン軍は、戦力の半分と、ソーラ・レイを失った。しかし、この損害を受けても、ア・バオア・クーの司令室に座しているギレン・ザビは表情一つ動かさなかった。

 

「ふふふふ……ティターンズめ。今の一撃で勝った気でいるだろうが、それがお前たちの運のツキだ。……発射準備はどうか?」

「はい、既にエネルギーチャージは完了。照準も完了してあります」

「よし、ただちに発射せよ。くくく……まさかティターンズも、ソーラ・レイが囮だったとは思うまい」

 

 そう言うギレン・ザビは感情のかけらすら感じられず、まるでロボット……いや、操り人形のようであった。

 

* * * * *

 

「ふふふ……見たか、ジオンどもめ。もはや貴様たちは虫ケラ同然。一気に葬ってくれるわ」

「た、大佐、前方から!?」

「なんだ!?」

 

 その瞬間であった。ノイエ・ジェネシスの脇に展開していたティターンズ艦隊を、白い光線が飲み込んだ!!

 それは、ア・バオア・クーの上方から発射された光線だった。

 その光を浴びたティターンズ艦隊は、因果応報というべきか。いずれも、今自分たちが殲滅したジオン艦隊と同じ末路をたどっていった。

 

 そして、バスクも。

 

「ば、バカなああああああああ!!」

 

 絶叫を残して、光の中に消えた。断末魔を叫ぶ暇が与えられたのは、彼の犯した罪を考えれれば、温情というべきだっただろう。

 同じく光線に焼かれ、爆炎の中崩壊したノイエ・ジェネシスが彼の墓標だ。

 

 そして、光が発射された地点から何かが不気味に表れた。それは、液体のような金属に包まれた、月の半分ほどの大きさの球体だった。

 

* * * * *

 

 ア・バオア・クーの司令室。そこで、技術士官がギレン・ザビに報告を行っていた。

 それを聞くギレンの表情からは、やはり感情が抜け落ちていた。

 

「トール・ハンマー、発射を完了。敵艦隊の50%消滅を確認」

「そうか」

「ただ、回路に異常が発生。続けての発射は不可能です。復旧は可能ですが、少なくともこの戦いの間の復旧は不可能かと」

 

 その報告にも、ギレンは表情を動かさなかった。それが彼の不気味さを際立てていた。

 

「かまわん。ただちに復旧作業を開始せよ」

「ははっ」

「よし、これで敵の指揮系統は破壊され、戦略兵器も無力化されたはずだ。残存艦隊、前進。予備戦力も投入して、一気に押しつぶせ」

「了解」

 

 そしてジオン軍は決戦に向けて動き出し、戦端は開かれた。

 やはり、ギレンは表情を変えることはなかった。まるで機械人形のごとく、色々な装置がつながれている指揮シートに座したままだ。

 

* * * * *

 

 眼の前で行われた出来事に、俺たちはただ言葉を失っていた。

 

 ティターンズから発射されたビームが、ジオンの艦隊を消し飛ばし、ソーラ・レイを破壊したと思ったら、今度はア・バオア・クーの上方から、これまたビームが発射され、ティターンズ艦隊の大半を消滅させ、ティターンズのジェネシスもどきをふっとばした。その衝撃の光景に、ブリッジにいた誰もが圧倒され、沈黙していた。

 それはまさに、最終戦争の有様のようだ。

 

 だが、それも少しの間だけだった。マーカーが報告してきたのだ。

 

「ジオン軍が動き始めました! ティターンズの残存艦隊に向かって前進。攻撃を開始した模様です!!」

 

 その報告に、全員がマーカーのほうを向く。ただ一人、前方を見据えていた人物が言う。

 

「ジオンはギレン・ザビが健在なのに対し、ティターンズは司令部が消滅して、統制を失っている。勝ち負けは考えるまでもないだろうな」

 

 ソフィーの姉、ルシアだ。それにミライさんがかすれた声で言う。

 

「ティターンズの敗北……」

 

 そして、ブライトさんが続ける。

 

「そして、ティターンズが敗れれば、次は我々……新連邦とジオン共和国、そしタイタンズだ。奴らがあれの狙いを月や地球に向けるのは間違いないだろうな……」

 

 再び、ブリッジを沈黙が包む。しばしの沈黙のあと、フラゥが報告する。

 

「ブライト艦長、ジオン共和国のキシリア様から通信です」

「つなげ」

 

 皆が前方に向き直ると、通信スクリーンにキシリア・ザビの姿が映し出された。

 

「こちら、ジオン共和国と新連邦軍、タイタンズの連合艦隊。あと1時間でそちらに合流する」

「了解しました。でも、早いですね」

「君たちが出撃してすぐ、ジオン、ティターンズ両軍によからぬ動きがあるとの報告が情報部からあってな。それに備えるため、大急ぎで再編と出撃準備を済ませてきたのだ」

 

 とは、ワッケイン氏の答えだ。それにドズル氏が続ける。

 

「しかし、まさか兄者があのようなものを作っていたとはな……」

「ギレン・ザビの思惑がどうあれ、あれを放っておくわけにはいかない。不本意だが、ティターンズ残存艦隊の支援をしなければなるまい。そしてそれで持ちこたえている間に、ア・バオア・クーのギレン・ザビの身柄を抑えることにしよう」

「博打に近い手ですが……それしかないでしょうね」

 

 ブライトさんがそう言うと、キシリア・ザビはうなずいた。そして、背後のキャスバル首相に向き直る。そして。

 

「キャスバル。貴方のラグナレクを借りるぞ。貴方は私のグワリブに移譲してほしい」

「それは……」

「奴らにやられる前に迅速に懐に飛び込むには、ザンジバル級の機動性が必要だからな。それと、敵の懐に飛び込む任務だ。命の保証はない。そんなことに、我がジオンの希望である貴方を巻き込むわけにはいかない」

「……」

 

 キャスバル首相が黙ると、キシリアは苦笑を浮かべて続けた。

 

「心配するな。私とてそう簡単に死ぬつもりはない。……ブライト艦長。あなたたちにはラグナレクの護衛をお願いしたい」

「わかりました」

「ならば俺は、連合艦隊を指揮して、ティターンズ残党の支援を行うことにしよう」

「頼みます」

 

 それで話は固まったらしい。何も打ち合わせをすることなく、それぞれが持ち場へと走っていく。それはソフィーたちパイロット組もだ。

 

* * * * *

 

 ジム・コマンドが、ゲルググのビームライフルに撃ち抜かれ、ジムがドムのヒートサーベルに切り払われる。

 

 ティターンズ残存部隊は、今、窮地にあった。ジオンのトール・ハンマーの一撃で、戦力の大半を消し飛ばされ、さらに指揮系統をも破壊された。今や彼らは、ジオンの攻撃に対して組織だった抵抗ができず、ただ各部隊ごとに生き残るための戦いをすることしかできなかった。

 

 そのうちの一機のジムがリック・ドムの斬撃で右腕を切り飛ばされてしまう。隊長機らしきジム・コマンドが助けようとするも、新手のゲルググに襲われて防戦せざるを得なくなる。そして、ジムにリック・ドムがとどめを刺そうとしたとき!

 そのリック・ドムが横からのビームの直撃を受けて中破した! さらに一機のMSが突っ込んできて、リック・ドムを背後からビームサーベルで貫いた。

 

「よぉ、大丈夫だったか?」

 

 そう、それはイオ・フレミングの駆るジーラインであった。なんとかゲルググを撃退したジム・コマンドのパイロットが呆然としたように言う。

 

「叛乱軍がなぜ俺たちを……」

「誰かを助けるのに、正規軍だの叛乱軍だのは関係ないだろ? そういうの、全然ロックじゃないと思うぜ」

 

 そう言いながら、イオのジーラインが、接近してきたリック・ドムをビームライフルで撃ち抜いた。

 

* * * * *

 

 一方、キシリアが臨時に座乗するザンジバル級ラグナレクと不正規隊の連合部隊も、蹂躙されようとしているティターンズ部隊を援護しながら、ア・バオア・クーに向かっている。

 

 中破したジムを襲おうとしていたザクを、レイヤーのジム・コマンドがビームライフルで射撃。これを撃ち抜いて撃破した。さらに、そのジム・コマンドを攻撃しようとしたリック・ドムを……。

 

「させん!! この荒野の迅雷の目の黒いうちはな!!」

 

 荒野の迅雷ことヴィッシュ・ドナヒューのゲルググが突っ込み、ツイン・ビームソードで一刀両断した。

 

「ありがとう、荒野の迅雷。助かった」

「こちらこそありがとうだ。君とこうして背を守り合って戦うことができたのだからな」

 

 そして互いに同時に微笑みあったのは、なんの運命だろうか。

 そこに、バズーカ弾が飛んできて、二機は散開し、次の戦いに備えた。

 

* * * * *

 

 俺たちは、敵の攻撃をくぐり抜けながら、ア・バオア・クーに迫っていた。

 どうやら、ジオンはティターンズと連合軍への攻撃に戦力を向けているらしく、こちらへの妨害はそれほどでもない。それほど苦戦することなくかなり近くまで接近することができた。

 

 だがそれは、連合軍にかなりの負担がかかっていることでもある。急いでこの戦いを終わらせなければ、彼らが危うい。

 

 焦らず急いで、敵の妨害を排除しながらア・バオア・クーに迫る俺たち。だがそれも、なんとか敵の防御陣を突破したところまでだった。

 

「敵MS隊、接近!! かなりの数です!!」

「来たか……! MS隊、ただちに迎撃態勢をとれ!!」

 

 ブライトさんの指示に、すぐさまソフィーが応える。

 

「了解です!!」

「私達は一気にア・バオア・クーの宇宙港に飛び込む。ここからなら、ザンジバル級の推力でなんとか大きな損傷を受ける前に飛び込めるはずだ。敵の足止めを頼む」

「了解しました。キシリア様、ご武運を」

「ありがとう」

 

 そして、キシリア女史の座乗するザンジバル級ラグナレクが急加速をかけた。要塞からの対空砲火をものともせず、突進していく。前方から接近している敵MS隊がそれを追撃しようとするも……。

 

―――居候さん!!

―――おう、行かせるかよ!!

「行かせるものか!!」

 

 ソフィーのフリーダムからのフルバースト、そしてルシアのヴァーチェⅡからのビームバズーカとビームキャノンのフルバーストを受けて、少なくない数が撃墜され、更に残ったやつらの出鼻をくじくことができた。

 しかし、残った奴らは次にこちらに狙いを定めて突っ込んできた。俺たちを突破して追撃するのは無理だと判断したか、それとも今からラグナレクを追撃したのでは間に合わないと判断したのか。

 

 ただちに激しいMS戦が開始された。ソフィーやアムロたちがザクやリック・ドムと切り結び、セイラさんのGファイターと、スレッガーさんのコア・ブースターがそれを援護する。

 

 その激しい戦いの中、一機のゲルググが、鋭い機動でこちらの迎撃をかいくぐりながら、こちら……正確にはソフィーと俺のフリーダムに迫ってきた!!

 

「あははは、見つけたよ、羽つき!!」

「あの人ですか!!」

 

 そしてゲルググのビームソードと、フリーダムのビームサーベルがスパークを放ちながら激突した!!

 

* * * * *

 

 大破したノイエ・ジェネシスの近くの空域で、新連邦軍、ジオン共和国軍、そしてタイタンズの連合艦隊は、ティターンズの残存艦隊とともに、ジオンと激闘を繰り広げていた。

 

 その先頭に立つ、チベ級ダルムシュタット。そこでドズル・ザビは勇壮に友軍を指揮していた。

 

「ドズル閣下、敵の新手です!! 公国軍の予備戦力が!!」

「むぅ……これは厳しくなりそうだな。我が方の戦力は?」

「既に3割を喪失しました。このままでは、予備戦力が加わった敵を相手にするには無理があるかと」

「そうか……やむをえん。残存艦を集結させろ。陣をコンパクトにして……」

 

 しかしそこに!!

 

「直撃、来ます!!」

「!!」

 

 艦隊の対空砲火をくぐり抜けてきた一機のリック・ドムが、砲火の直撃を喰らいながらもジャイアント・バズを放ったのだ。直撃で態勢が崩れたおかげで、狙いはブリッジをそれたものの、バズーカ弾は高速で飛んでいき、ブリッジの下を直撃した!!

 

 ブリッジの脇を通っているエネルギー系が爆発を起こし、ブリッジを爆炎で包んだ!! ただちに自動消火装置が発動し、炎を消し止めていく。

 その煙とまだ燃え燻る炎がブリッジ内部を彩る中、副官が見たのは、全身に火傷を負い、胸を部材で貫かれた主君の姿だった。

 

「ど、ドズル閣下……!!」

「ふ、俺もここまでか……。多くのミネバを死においやってきたツケが回ってきたのやもしれんな……」

「何をおっしゃいます。傷は軽いですぞ!!」

 

 そう言う副官を手でとどめ、ドズルは苦笑をもらした。

 

「バカを言え……。胸を貫かれて何が軽いものか。しかし……ごほっ。多くのミネバを殺してきた俺が、最期は地球圏の未来のために戦って果てるか……。もしかしたら、最後はいくらかマシだったのかもしれんな……。これが逆だったら目もあてられぬわ……」

「閣下……」

「貴様は生存者をまとめて、ダルムシュタットから脱出しろ。そしてキャスバルに伝えてくれ。俺はここまでのようだ。以後の指揮権は貴様に譲る、とな……」

「……」

 

 ドズルの目が少しずつ閉じていく。

 

「さぁ行け……。貴様と生存者たちの命が、キャスバルとキシリアへの……」

 

 そしてドズルはうなだれ、言葉を発しなくなった。……死んだのだ。

 それを見届けた副官は、立ち上がって主君にしばしの間敬礼を贈り、そして主君の最期の命を果たすため、動き始めたのだった。

 

* * * * *

 

「何、ドズル閣下のダルムシュタットが……!?」

「はい。ダルムシュタットが敵MSの攻撃により轟沈。副官によれば、ドズル閣下も立派な最期を遂げられたと……」

「そうか……。惜しい人をなくしてしまったな……。あの人もザビ家だったが、生きていてほしかった……」

 

 ジオン共和国軍・臨時総旗艦グワリブ。そのブリッジで、通信士からドズル戦死の知らせを受けたキャスバルは、しばしの間瞑目し、尊敬する上官に黙祷を送った。ドレンをはじめとした、ブリッジクルーたちも同じくだ。

 

 だがそれも少しの間。数秒瞑目した後、キャスバルは目を開き、表情を引き締めた。そして指示を下す。

 

「よし、これより私が、ドズル閣下のあとを引き継ぎ、艦隊の指揮をとる!! まずは、彼の最後の指示通り、残存艦を集結させ、陣を厚くするのだ。キシリア閣下がギレン・ザビの身柄を抑え、戦いを終わらせるまで、なんとしても持ちこたえろ!!」

「ははっ!!」

 

* * * * *

 

「あははは、見つけたよ、羽つき!!」

「あの人ですか!!」

 

 あのパイロットのゲルググとの戦いが再び始まった。二度三度とビームサーベルの刃を交え合う。

 ソフィーのフリーダムが、ビームサーベルを横薙ぎにふるったのを、ゲルググは素早く後退してかわす。そしてすかさず、そのまま後退しつつ、ビームマシンガンを連射してきた!

 

―――……!!

 

 ソフィーの例の能力のスイッチが入った。こちらもまるで普通の人間の操縦ではありえないような、まるでフリーダムがソフィーの身体になったような動きで、それをかわす。もしかしたら、これがオルタナティブ・タイプの能力なのかもしれない。でも、今はそんなことを考えている場合じゃないな。

 

―――ソフィー、俺はビット制御に専念する。敵の感知やシルエットは使えないが、大丈夫だよな!?

―――はい。お願いします!

―――よし、行くぜ!!

 

 そして俺は、フリーダムの背部から四機のビットを切り離して、ゲルググに向けた。ビットたちは俺の意を受け、ゲルググに四方八方からレーザーを浴びせていく。

 

「そんなもので私がやられると思ってるのかい!?」

 

 だが、ゲルググはその疾すぎる動きで、そのビットの攻撃をもかわしていく。なんてやつだ……。そして奴は、ビットのレーザーをかわしつつ、再びこちらに迫る!!

 奴のビームサーベルによる攻撃を、ソフィーは後退してかわす。俺はビットをフリーダムの周囲に呼び戻すと、その照準を奴に合わせた。さらにシルエットも展開し、その照準も奴に。

 

―――喰らええぇぇぇ!!

 

 そして、フリーダムの肩のビームランチャー、腰のソリッドシューター、そしてビットたちのレーザーが一斉にゲルググを襲う!! しかし、それをも奴はなんとかかわし、その攻撃はゲルググの左腕を吹き飛ばしただけに終わった。くそ、俺にとっては乾坤一擲の大技だったのにな……。

 

 それからも、ソフィーのフリーダムとゲルググは激しい戦いを繰り広げていった。ある時は刃を交え合い、またある時は敵の射撃をかわしながら反撃をかわしていく。

 

* * * * *

 

「はははは!! 楽しい、楽しいねぇ!! 副作用も起こらないし、最高だよ!!」

 

 そう笑いをあげながら、カレリナ・リースは戦いを続けていった。激しい戦いに、彼女の精神が非常に高揚し、愉悦をもたらす。

 だが彼女は気づいていない。その裏に隠れた致命的なことに。

 

「敵だ、右も左も敵だよ!! あはははは!!」

 

 突然カレリナはビーム・マシンガンをしまうと、ビームサーベルを抜き放ち、近くにやってきたザクを切り払った。真っ二つに切断されたザクは何をされたかわからぬまま爆散した。

 

「敵だ、敵だ、敵だぁ!! あはははは!!」

 

 そして再びビーム・マシンガンを構えると、敵味方関係なく乱射する。その攻撃に、周囲のザクやジムが次々と撃ち抜かれて爆散していく。

 

 これを止めようと、リック・ドムが組みつこうとするが……。

 

「なんだい、私と友達になりたいのかい? 生意気なんだよ。敵のくせに!!」

 

 蹴り飛ばし、ビーム・マシンガンを乱射して葬る。爆散するリック・ドムに一瞥もくれずに、カレリナは敵も味方も関係ない戦いを続ける。そのリック・ドムのパイロットが、自分の部下であったネナカだったことなど、今の彼女には知るよしもない。

 

 今の彼女には、全ての存在が敵に見えていたのだ。

 

* * * * *

 

 ア・バオア・クーの一室で、カテリナの調整を担当していた技官が、ぽつりと言い捨てた。

 

「急に、一時間で拒否反応が起こらないよう調整しろと言われれば、そうもなりましょう。私は『安全に調整するには、2日は必要』だと言ったはずです」

 

* * * * *

 

 もう、狂戦士という他ない。

 突然、ゲルググの動きがおかしくなったかと思うと、敵味方の見境なしに暴れ始めたのだ。その有様は、まさに暴走と言っていい。

 ザクにビームサーベルを振り下ろし、ジムをビームマシンガンで蜂の巣にし、敵味方入り乱れて戦う場に乱入しては、連邦もジオンも関係なく駆逐しまくる。

 

―――居候さん、こうして見ているわけにも行きません。あの人を止めましょう!!

―――おう!!

 

 そしてソフィーと俺は、フリーダムをあのゲルググの暴れているポイントへと突撃させた。背部からビットを切り離し、ゲルググへと向ける。ビットたちがゲルググにレーザーを撃って牽制すると同時に、ソフィーがビームライフルを乱射して、奴を撃つ。

 乱戦の中、ゲルググはその攻撃をもかわしていく。だがその動きは、暴走する前とはまるで違う。獣のように荒々しくかわしていく。

 手強いが、しかし隙を突くのは難しくはなかった。さっきまでの鋭く疾い奴なら難しかったかもしれないが。

 ビットと連携して攻撃していくうちに、奴に避ける余裕がなくなっていく。そして、ビームライフルの一発が、ゲルググの右足を撃ち抜いた。

 しかし、それでも奴は戦いをやめない。攻撃の手を緩めない。近くにいる奴に見境なく襲いかかり、駆逐していく。

 そこに、ソフィーのフリーダムが、ビームサーベルを抜いて飛びかかる。そして??。

 ゲルググの右腕を切り飛ばす。両腕を奪ったが、彼女はまだ暴れまわっていた。

 

「あははは! あははははは!!」

「くっ……!!」

 

 突っ込んできたゲルググのコクピットにビームサーベルを突き立てて貫いた。それと同時に、ゲルググから感じていた歪んだ気配が薄れ、消えていったような気がした。

 

 ビームの刃を消すと、両腕と右足を失ったゲルググがゆっくりと向こう側へ流れていく。そしてかなり離れたところで爆発を起こした。

 

 なんとか倒し、ヤツの暴走を止めることができた。だが???。

 

―――なんか疲れましたね、居候さん……。

―――あぁ……。

 

 少なくとも、この戦闘の間は、あの笑い声を忘れることはできなさそうだ。

 

* * * * *

 

 カテリナ・リースの断末魔の笑い声を聞いていたのは、ソフィー・リオノウンズと、その相棒だけではなかった。

 

 ある武装商船の格納庫内。

 

「不愉快だな、この感覚は……」

 

 武装商船の主、マスク。彼の意識にも、あの笑い声が聞こえていたのだ。そしてその笑い声は、やはりマスクにも不快に聞こえるものであった。と、そこでマスクは苦笑を浮かべた。

 

(またも同じことを、私につぶやかせるとは……。本当にこの世界は度し難いな)

 

 そして、愛機であるジ・O・Jのコクピットに飛びこみ、発進準備を進めていく。その中で、苦笑が勝者の笑みに変わっていく。

 

(ティターンズはもはや首脳部を失い死に体。ギレン・ザビは既に我が手中にある。新連邦やジオン共和国、そしてタイタンズとやらは、俗人どもの集まりや、取るに足らない奴らばかり。もはや我が野望は叶ったも同然……ふふふ)

 

 発進準備が完了した。マスク……否、パプテマス・シロッコは愛機をカタパルトにセットし、そして言い放った。

 

「では行くとしよう。我が野望の総仕上げに。……ジ・O・J、出るぞ!!」

 

* * * * *

 

 ソフィーが戦っていた場所とは違うところで戦っていたアムロたちペガサスJr.のMS隊。そんな中、ハヤトのEWACジム・コマンドが『それ』を捉えた。

 

「みんな、気をつけろ。敵MSが急速接近中だ。これは……あのときの達磨だ!」

 

 そこでカイが、ヴァーチェⅡのルシアに言う。

 

「よーし、それじゃあの時のお返しと行くか! ルシアさん、俺のガンキャノンのビームキャノンと、ルシアさんのビームバズーカで先制攻撃といこうぜ!!」

「了解した!!」

 

 そしてガンキャノンとヴァーチェⅡが、迫ってくるジ・O・Jに対して、それぞれの武器を構える。そして、狙いが定まり……。

 

「くらいな!!」

「発射!!」

 

 ビームキャノンとビームバズーカが同時に火を吹いた!! 二本のビームが直進して迫る中、達磨……ジ・O・Jは回避すらせず、ただ直進するのみ。

 

 その時、MS隊の面々は信じられないものを見た! ビームは着弾することなく、ジ・O・Jの目前で弾かれたのだ。ハヤトが信じられない様子で叫ぶ。

 

「ビーム撹乱幕……それともビームバリアなのか!?」

 

 一方のシロッコは余裕の笑みでつぶやく。

 

「そんなビームで、この機体のIフィールドを貫けると思っていたのか? ふふふ……だとしたらなめられたものだな。それでは今度はこちらのターンとさせてもらおうか。経路変更。バイオ・リレーション・システムのエネルギーの50%をバスター・メガランチャーへ」

 

 そしてコンソールを操作し、ジ・O・Jの左肩のシールドに内蔵されたバスター・メガランチャーをMS隊の一機へと向ける。その砲口に光が生まれ、それがどんどん輝きを増していく。

 

「このジ・O・Jの力を見て、恐れおののくがいい!!」

 

 バスター・メガランチャーが火を吹いた!! 後の世のメガ・バズーカ・ランチャーに匹敵するほどのビームが、目標……ルシアのヴァーチェⅡに飛んでいく!!

 

* * * * *

 

 あの達磨がやってきた、というハヤトの通信を受けたソフィーと俺は、フリーダムを急がせて、彼らが戦っている空域へと向けた。

 ザクを斬り伏せ、リック・ドムを撃ち抜き、なんとかそこまでたどり着いた俺たちは、そこで衝撃的なものを見た。

 

 達磨が放った、メガ・バズーカ・ランチャーに匹敵するゲロビームが、ルシアのヴァーチェⅡに直撃した。ヴァーチェⅡはGNフィールドでなんとか防いでいるようだったが、やがて防ぎきれなくなり、中から誰かが飛び出してきたかと思うと、ビームに飲み込まれて爆散した。

 

―――そ、そんな……嘘だろ……!?

「お姉ちゃんっ!!」




※感想、募集中! あと、『テテテUC』を書いてくださる方も募集中です!

* 次回予告 *

混迷を極める宇宙。勝ち誇るシロッコ。
ソフィーと主人公は、彼から世界を救えるのか? そして、別れの時が迫る。

次回、『帰還』

君たちは、最後まで生き延びられるか?

※次の更新は、11/9 13:00の予定です。お楽しみに!!

テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?

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