宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム 作:ひいちゃ
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。
あの達磨がやってきた、というハヤトの通信を受けたソフィーと俺は、フリーダムを急がせて、彼らが戦っている空域へと向けた。
ザクを斬り伏せ、リック・ドムを撃ち抜き、なんとかそこまでたどり着いた俺たちは、そこで衝撃的なものを見た。
達磨が放った、メガ・バズーカ・ランチャーに匹敵するゲロビームが、ルシアのヴァーチェⅡに直撃した。ヴァーチェⅡはGNフィールドでなんとか防いでいるようだったが、やがて防ぎきれなくなり、中から誰かが飛び出してきたかと思うと、ビームに飲み込まれて爆散した。
―――そ、そんな……嘘だろ……!?
「お姉ちゃんっ!!」
そ、そんな、ルシアが、ソフィーの姉が……!! なんてこった……!!
ソフィーと俺が絶望に覆われようとしたその時。
「大丈夫だ。なんとか脱出には成功した」
通信機から聞こえるルシアの声。その声で、ソフィーがほっと安堵の息をもらす。
「持ちこたえられないだろうことが早々にわかったからな。フィールドが防いでくれている間に脱出したんだ。際どいところだったが」
「よかった……。心配かけさせないでください……」
そこに、刹那さんのELSクァンタが、量子ワープで彼女のもとに駆けつけた。
「彼女は俺が、ペガサスJr.まで連れ帰る」
「はい、よろしくお願いします」
そして、ルシアを回収したクァンタは、再び量子ワープで、この場から姿を消した。
それを見送った俺たちは、改めて達磨のほうに向き直った。奴は悠然とその場に立ち続けていた。まるで俺たちを待ち構えるように。
「茶番は済んだようだな。だが、その喜びも、ここで絶望に変わる!!」
そして、達磨が突っ込んできた!! すぐにハヤトが警告を送ってくる。
「気をつけろ! 奴はビームを弾くうえに、フリーダムのビームランチャー以上の威力のビームを撃ってくる!!」
「り、了解!!」
そうソフィーが返事を返した矢先、達磨のビームライフルからビームが放たれ、俺たちは散開した。
「くそ、肩のキャノンをビームにしたのが祟っちまったか! 俺は援護や牽制しかできねぇ。済まない!!」
カイがそう悔しそうに言いながら、ガンキャノンの肩のビームキャノンを撃つ。カイのガンキャノンは、両肩がビームキャノンに換装されたうえに、手持ちもビームライフルだ。ハヤトの言うとおりだとしたら、カイの機体では達磨には無力ということになる。やはり、そのビームは、ヤツの防御を貫くことはできなかった。
アムロのガンダムがビームライフルからバズーカに持ち替え、達磨に向かって撃つ。しかし、奴はそれをもかわす。俺も、フリーダムのソリッドシューターを発射するが、バズーカよりはマシとはいえ、たやすくかわされた。
「駄目だ、バズーカじゃ当たらない!」
「私のソリッドシューターは、少しマシとはいえ、やはり駄目ですね……。どうすれば……」
アムロと言葉を交わす。そこに達磨が突っ込んでくる。
「気は済んだか? なら今度はこちらの番だ!!」
ビームサーベルを抜いて斬りかかってくる!! それをガンダムもビームサーベルで受ける。しかし。
「そのパワーでは、このジ・O・Jに立ち向かうのには不足だったようだな!!」
「なっ……!?」
絶句するアムロ。
なんと、達磨……ジ・O・Jというらしい……は、たやすくガンダムとの鍔迫り合いを押し切ってしまったのだ! さすがニュータイプの勘というべきか。アムロは押し切られると思った瞬間に後退をかけて、そのまま一刀両断されるのを回避した。
しかし、それでもジ・O・Jはさらにアムロに追撃をかける! すさまじい推力でガンダムを追い、そしてビームサーベルを振るう!!
「うわぁ!!」
なんとかかわせたが、ガンダムの左足が切り落とされてしまった!! それで態勢を崩したガンダムに、ジ・O・Jがビームライフルを向ける。やべぇ!! だがそこに。
「させん!!」
刹那さんのクァンタが量子ワープで駆けつけ、実体剣で切りつけて援護してくれた。その間に、アムロは態勢を立て直すことができた。
しかし、安心はまだできなかった。ジ・O・Jはそのパワーで、クァンタとの鍔迫り合いを押し切ってしまったのだ。刹那さんはバルカンで牽制しながらクァンタを急速で後退。奴はそれをものともせずに、クァンタに迫った。
だがそこで。
「……?」
ジ・O・Jの動きが鈍ったのだ。それまでに見せた動きやパワーが色あせたように見える。
* * * * *
ジ・O・Jのシロッコは、自分のミスに気づき、舌打ちした。
「フィールドの外から出てしまったか。このマシンの本領は、システムのバックアップがあってこそのもの。気をつけなくてはな」
そう言って、彼は愛機を後方……フィールドの内側に移動させた。途端に、コンソールのゲージが一瞬に満タンになる。
それに満足して前方に向けると、一機のガンダムらしき機体……ELSクァンタが、ビームを撃ちながら、剣を構えて突っ込んで来るのが見えた。
斬りかかってきたELSクァンタを、こちらもビームサーベルで迎え撃つ。今回もたやすく押し返すことができた。後退する敵を追撃しようとするが、フィールドの境目ギリギリで思いとどまり停止し、ビームライフルを撃つだけにとどめたのだった。
* * * * *
その頃、キシリアを乗せたザンジバル級ラグナレクは、ア・バオア・クーの、近くのスペースポートの一つへと突撃していた。対空砲火で、前方からやってくる迎撃部隊や、不正規隊の阻止をくぐり抜けてくる追撃機を撃ち落とし、ときには攻撃を喰らいながら、ただ突き進む。
やがて、ゲートが見えてくる。これまでにかなりの攻撃を受け、満身創痍になり半ば戦闘力を失いながらも、それでも突撃するラグナレクの様子からは、その闘志が薄れた様子はない。
そして、キシリアが命じる。
「総員、衝撃に備えよ!!」
言い終わると同時に、ラグナレクはスペースポートの中に飛び込んだ。迎撃砲座からの攻撃を受けながらも、なおも突き進む。
そしてラグナレクは、スペースポートの壁に激突して止まった。その後部のハッチが開き、ラグナレク乗員たちと、守備隊兵士たちの戦闘が始まる。銃火をかわしあい、倒し倒されていく。
その中、ラグナレクの艦内に隠れながら、敵を迎え撃っていたキシリアの腹心、トワニングが傍らの主に言う。
「キシリア様、先にお進みください。ここは我々が引き受けます」
「助かる、トワニング。任せる」
「ははっ。スモーク、流せ!!」
「了解!!」
トワニングの指示から間を開けずして、ラグナレクの各所から白い煙が流れ出て、スペースポート内を白く染めていく。
「よし、行くぞ!!」
「ははっ!!」
そして、アサルトライフルを持ったキシリアを先頭に、ラグナレクの決死隊は要塞内部に突入していった。
* * * * *
進む、進む、進む。
撃つ、撃つ、撃つ。
果てしないと思われる距離を走り、何回ともしれない撃ち合いを繰り広げ、キシリア・ザビたち決死隊は、ア・バオア・クーの中を突き進んでいた。その果てに、50人いた決死隊は、今や15人ほどまで減っていた。
それでも通路を突き進む。しかし、曲がり角のところで、またも兵士たちが現れた! 警備兵たちの先制しての射撃で、またしても決死隊の兵士たちが倒れた。
「おのれ!」
キシリアたちは、その場に伏せたり、物陰に隠れたりしながら敵の射線を逃れ、反撃を返す。そしてしばらくの銃撃戦の末、警備兵たちは倒したが、残った決死隊は……。
「みんな、無事か? 何人残っている?」
決死隊の隊長が答える。
「10人ほどです……」
「そうか……これまでに亡くなった者たちには済まないことをしたな……。だが、立ち止まってはいられん。彼らの死を無駄にしないためにも先に進み、ギレン・ザビの身柄を抑えなくてはな」
「はっ……」
「10人もいれば、司令室を抑えるには十分だろう。これ以上失われることがなければ、だが。行くぞ」
「はっ」
そして、キシリアたちは再び駆け出した。ひたすらに通路を突き進む。だが、しばらく進んだところで、彼らはまた警備兵と遭遇した。
互いに銃を構える決死隊と警備隊。だが、いざ引き金が引かれ、銃火が飛びかおうとしたその時。
突然警備隊の背後から、銃弾が彼らを遅い、彼らは次々と打ち倒されていった。その背後にいたのは……。
「エギーユ・デラーズ……」
「侵入者があったから、誰かと思ったが、キシリア殿下であったか」
そう、ギレン・ザビの親衛隊司令官を務める、エギーユ・デラーズ。そして彼に率いられる数名の兵士たちだった。
「お前たちは、ギレンの腹心、いわば私の敵のはず。なのになぜ私たちを助けてくれるのだ?」
キシリアがそう問うと、デラーズは強い意思の光を宿した瞳のまま首を振った。
「ギレン閣下を裏切ったわけではない。私は閣下を呪縛から解放するためなら、力を尽くし、あらゆる手段を講じる。ただそれだけのことである」
「呪縛だと?」
そのキシリアの問いに、デラーズがうなずく。その時、彼の瞳に幾ばくかの怒りが宿った気がした。
「左様。数ヶ月前にサイド3を訪れた武器商人マスクとか言う、得体のしれぬ男。あの男の甘言にのってしまった閣下は、怪しいシステムに囚われ、彼奴の操り人形とされてしまったのだ」
「そんなことが……」
「我々は、閣下をシステムから解放する術を全力を持って探った。だが、駄目であった。死以外に閣下をシステムから解き放つ術は見つからなかった」
「……」
デラーズは続ける。その口調に沈痛さと悲壮な決意が感じられた。
「ゆえに我らは、ギレン閣下を死を持って解放するため、マスクや彼の手下、操り人形とはいえ閣下に忠誠を尽くす兵。彼らの目を逃れ活動していたのだ」
そう言い切ったデラーズの瞳を、キシリアはじっと見つめる。彼の瞳には、偽りの色は一切なかった。それを見て、キシリアはデラーズへの警戒をいくらか解いた。
「そうか。ならば少なくとも、お互いの利害は一致しているわけだな。お前を信じさせてもらおう。ギレンのもとに案内してもらえるか?」
「無論。さぁ、こちらに」
そして、キシリアたち決死隊は、デラーズや部下たちの先導のもと、ギレンがいるであろう要塞司令室へと駆けていった。
* * * * *
「見つけたぞ、ギレン・ザビ!」
「き、キシリア・ザビ!!」
司令室に駆け込んだキシリアたちを見つけた士官がそう声をあげる。それが合図だったのように、司令室の士官たちと、キシリアたち決死隊との間で銃撃戦が始まった。
「キシリア殿、システムの中枢部を! あれを破壊すれば、ギレン閣下は解放される!!」
「わかった!!」
デラーズの声にうなずき、キシリアは駆け出した。銃撃戦で士官たちや決死隊の同志たちが倒れて行くなか、ただギレンのもとへと駆ける。
そしてギレンのもとへたどり着いた彼女は、椅子の真上にある球状の機械へとライフルの照準を定めた。
「ギレン・ザビ……。あなたを止め、倒そうとしたその先があなたを救うことになるとは皮肉なものだな……だが安心なされよ。私も……」
そして銃声が響く。2つも。
キシリアの銃弾を受けた機械……バイオ・リレーション・システムの制御システムが爆発する。だがその一方で、キシリアの腹部からも血が滴り落ちていた。キシリアが機械を撃つと同時に、ギレンもキシリアを撃ったのだ。
その場に崩れ落ちるキシリア。司令室を制圧したデラーズが彼女に駆け寄る中、警報が司令室に鳴り響く。
「システムが制御不能に陥りました。行き場を失ったエネルギーが暴発する恐れがあります。スタッフはただちに、当要塞から脱出してください。繰り返します……」
キシリアのもとに駆け寄ったデラーズは息を飲んだ。キシリアの腹部からどくどくと流れ出る血はとどまることを知らない。傷はまさに致命傷であることは明白であった。
「キシリア殿!!」
「デラーズか……ギレンは、兄上はどうだ……?」
キシリアに言われ、デラーズは主のほうを見た。ギレンの身体は急速に老化し、そして風化して消滅していった。その刹那、ギレンがかつての鋭利な表情を見せた……ような気がした。微笑みではなく、鋭利な表情のままなのが、彼らしい。
「ご安心あれ。見事に解放され、ご立派な最期を遂げられた」
「そうか……これで、思い残すことはないな……ごほっ」
「キシリア殿!!」
自分の名を呼ぶ兄の腹心に、キシリアは首を振り、弱々しい安堵の笑みを見せた。
「決めていたのだ……。兄上を誅したあと、私もあとを追うと……」
「……」
「これでジオンは、ギレンの兄上の狂気……いや我々ザビ家から解放される。そして、このあとのジオンは、キャスバルが導いてくれる……なら、私の出る幕はない……そうは思わんか……?」
「キシリア殿……」
そこで、キシリアは再び血を吐いた。そしてその場に倒れ込み、苦しい息で続ける。
「貴様に最後の頼みがある……。軍をまとめ……キャスバルを助けてやってはくれないか……」
「……」
「頼む……」
「わかった。この力、キャスバル殿のために振るわせてもらおう」
「ありがとう……」
そして、キシリアは目を閉じ、二度と開くことはなかった。それを看取ったデラーズはやがて立ち上がり、部下に、要塞の中の人員を脱出させる指示を行うのだった。
そして彼らが司令室を出ていった直後、司令室はキシリア・ザビを葬る窯となったのだった。
* * * * *
ソフィーと俺たちは、ジ・O・Jとやらとの戦いを継続していた。
突進した奴が変な動きを見せ、後退したことから、圧倒的なパワーを発揮できるエリアは限られていると踏んだ俺たちは、そのエリアから奴を引きずり出すように戦いを展開した。奴がエリアから出ないと攻撃できない距離からバズーカを撃ち込んだり、攻撃を当てたあと、引きずり出すように後退したり。
そのおかげか、ギリギリでありながらも、俺たちはジ・O・Jと互角の戦いを繰り広げることができた。とはいえ、あくまでギリギリ。互角の戦いをするだけで精一杯だった。
それくらい、ジ・O・Jは強敵だったのだ。そのうえに、エリアから出ると弱体化すること、それをソフィーたちが狙っていることをわかっているらしく、それを見越した戦い方を仕掛けてきやがる。
―――ソフィー、来たぞ、よけろ!!
―――は、はいっ!!
射程外からビットで攻撃していたソフィーのフリーダムに、ヤツのメガバズーカ・ランチャーが発射される!! 例のモードを発動し、なんとかそれをよけることができた。
「やあぁぁぁぁ!!」
その奴に、アムロのガンダムが、ビームサーベルを抜いて飛びかかる。ジ・O・Jは素早く振り向き、ビームサーベルで、ガンダムと切り結んだ。
一度ビームサーベルをぶつかり合わせただけで、ガンダムは急後退をかけた。だが奴は、左手のシールドから槍のようなものを飛ばしてきた! 後退中の上に、その予想外の攻撃に、アムロはそれをかわすことができず、ガンダムの左肩を貫かれてしまう。さらに、ビームライフルの攻撃! 頭部を吹き飛ばされてしまう。
「うわっ!! まだだ、たかがメインカメラを潰されただけだ!!」
いつか聞いたセリフを言いながら、アムロはガンダムを後退させながら、ビームライフルでジ・O・Jを牽制する。
「え……きゃっ!!」
さらにジ・O・Jはすかさず、後ろから襲いかかろうとしていたミハルのジム・コマンドのほうに振り向き、そちらに突進していく。
ビームサーベルを振るう。その一撃で、ミハルのジム・コマンドは両腕を切り落とされてしまう!! さらにそれで態勢を崩してしまう。つまりそれは、ミハルがエリアから脱出することが困難になったことを意味する。
「ミハルさんっ!!」
親友の危機に、ソフィーはたまらずフリーダムをジ・O・Jに向けて突進させた。だけど、無茶だ!! エリアの中では、奴は無敵なんだ。そんなところに飛び込むなんて、虎口に飛び込むようなもの……!!
「ソフィーさんっ!!」
アムロの制止を振り切り、ソフィーはそのまま突っ込む。しかし、やはりと言うべきか、ジ・O・Jの強さはすさまじく、そのビームサーベルのひと振りで、フリーダムは頭部を吹き飛ばされてしまった!! それでもソフィーはめげずに、ビームサーベルを構えて振るうも、返り討ちにあい、その左腕を切り飛ばされる!! しかも、その衝撃で吹き飛ばされた!! なんてパワー!!
「きゃあ!!」
―――くっ……!!
そこに、ジ・O・Jがとどめを刺そうと突進してくる!! 万事休すか!?
「ソフィー!!」
ミハルの悲痛な叫びが響く中、ジ・O・Jがビームサーベルを振り下ろしたそのとき!!
突然奴が崩れ落ちた。それからなんとか態勢を持ち直すも、今までの強さが嘘のように、鈍く、弱々しくなっていた。
* * * * *
「く……これは……バイオ・リレーション・システムに異常が起こったのか……」
ジ・O・Jのコクピットのパプテマス・シロッコは自らに何が起こったのか察していた。ジ・O・Jに強大な力を与えるシステム、それに致命的な異常が起こったことを。
このとき、キシリアに中心部を破壊されたシステムが制御不能に陥り、シロッコから生体エネルギーを吸いあげていたのだが、彼にそれを知るよしはない。
生体エネルギーを吸い取られていくシロッコから仮面が外れた。それは、彼の本来の年齢から遠くかけはなれたような、シワだらけの老人の顔であった。
かろうじて顔を上げた彼の目に、一機のガンダムタイプが突っ込んでくるのが見えた。それに応戦しようとするが、老化した彼の力、そしてシステムの加護を失ったジ・O・Jではそれを迎え撃つことは無理であった。
それを悟ったシロッコが笑みを浮かべた。
「私のこの世界での暗躍もここまでか……。だが、私はまた転生する。次に転生したときこそ、世界を……!」
それと同時に、フリーダムのビームサーベルが、ジ・O・Jのコクピットを貫いた!! ビームの灼熱は、シロッコの身体を焼き尽くし、分子まで分解し、この世から消滅させたのだった。
* * * * *
ジ・O・Jにとどめを刺したフリーダムが離れ、わずかな時間が経ったあと、奴はまばゆい閃光を放ちながら爆炎に包まれ、爆散した。それと同時に。
「こちらは、ジオン公国軍暫定司令官エギーユ・デラーズ中将である。ギレン閣下は悪しき者に操られていたが、先程、ご立派な最期を遂げられた。ここに最後の命令を達する。ジオン公国軍は、新地球連邦政府、タイタンズ、そしてジオン共和国との和平に同意した。戦闘をやめよ。これ以上戦う理由はない。繰り返す……」
そのアナウンスが響く中、俺の視界が光に包まれ、俺がソフィーから離れていくのを感じる。そして光が弾けたとき。
俺と結衣は、生まれたままの姿のまま、虹色の空間の中にいた。眼の前には、同じく一糸まとわぬ姿のソフィーとルシアがいる。
これは……。
「どうやら、お別れみたいだな」
「居候さん……」
「俺たちができるのはここまでみたいだ。このあとの未来は、お前たちにかかってる。頑張れよ」
「はい……居候さん、今まで、ありがとうございました……」
「いや、それはこちらのセリフだよ。今まで、大変だったけど、とても楽しかったぜ」
「ソフィーさん、ルシアさんと仲良くね」
「ユイさん……。あのっ、居候さん、私……っ」
光がどんどん強くなっていき、俺たちをかき消していく。
「おっと、俺は居候じゃないぜ。俺の本当の名前は……」
その先を俺は言うことができなかった。
* * * * *
ペガサスJr.のブリッジ。そこでソフィーやアムロたちは集まり、一息ついていた。
ギレン・ザビの腹心、エギーユ・デラーズによって語られた、黒幕の存在とギレン・ザビの死、そして彼から持ちかけられた、ジオン公国軍と、新地球連邦軍とジオン共和国、タイタンズ、そしてティターンズ残党の和平。それらは受け入れられ、戦いは止まっている。ジオン公国軍人の中にも、ギレン・ザビの異変に気づき、上層部に疑問を持っていた者が多かったのだろう。
とはいえ、全てが丸く収まったわけではない。多くの将兵は和平を受け入れたが、ギレンに深い忠誠を持った者たちの中には、エギーユ・デラーズによって語られた真相を信じず、アステロイド・ベルトや各地に潜伏して抵抗をしようとする者もいた。
ティターンズ残党の中にも、和平を不服とする者もおり、彼らもまた逃走し、潜伏を図る者がいた。
それでも、なんとか戦いは止まったのだ。そのつかの間の平穏の中で、ソフィーたちは身体を休め、今後のことに思いをはせていた。
「そうですか、ハヤトさんは軍に残るんですね」
ソフィーがそう言うと、ハヤトは真剣な表情でうなずいた。
「あぁ。俺にできそうなのは、それぐらいしかなさそうだからな。平和を守るために頑張ろうと思ってる」
そのハヤトに、カイは軽く肩をすくめて軽口を。
「お硬いこって。俺は、これ以上軍に入るなんて、こりごりだってのに」
「やっぱり軟弱なのね。あなたはどうするのよ?」
セイラに言われて、カイが応えたことは。
「俺はジャーナリストになろうかな、って思ってる。そっちのほうが面白そうだしな」
「本当にあなたは……」
そう、呆れたような怒ったような様子のセイラを見ながら、ソフィーがミハルのほうを向く。
「ミハルさんはどうするんですか?」
「私は……とりあえず、ラスティ・ハウンズの人たちのところをめぐろうと思ってるわ。洗脳されて所属されていたとはいえ、大切な仲間たちだから。その後はまだ考えてないけど……できればソフィーと一緒にいたいな」
「私もです」
そう言ってソフィーが微笑む。そこでミハルが。
「ソフィーは?」
「私は、具体的には考えてないですけど、特別な素質を持つ人たちが、軍によって不幸な目にあわないようにする活動があれば参加したいなと思っています。あと、私とお姉ちゃんのルーツが知りたいから、
「うぅん、そんなことないよ」
そう言って微笑み合うソフィーとミハル。そこに、アムロが声を出した。
「あ、あの! ソフィーさん。僕もあなたと……」
* * * * *
「……!!」
ビームで消滅させられ、命を絶たれたシロッコが目を覚ましたとき、彼を襲ったのは、腹部を貫く激しいと言うには生ぬるい痛みであった。
見ると、そこはジ・Oのコクピットで、彼の身体には、ウェイブライダーの機首が深く突き刺さっていた。
「ここは……私は、またあのときに戻ってきてしまったのか……。だが次こそは……」
そして再び彼は死んだ。
だが、彼が再び転生したとき。
「!?」
やはり同じだった。彼を襲ったのは激しすぎる痛み。またも彼はウェイブライダーに、身体を貫かれていた。
「ば、馬鹿な……!!」
そして彼はまたも死んだ。しかし、次の転生も、またその次の転生も、彼の末路は同じであった。
一年戦争での悪事がついに運命の神の逆鱗に触れたのか、彼は何度転生するも、その最期のときに転生し続けた。
そして、彼は何十回の転生の末の、ある転生において。
「これが私の運命だというのか、これは傑作だ。ふふふ…ははははは……!!」
シロッコは狂ったような笑いを上げて、そして再び死んだ。
そして彼はとうとう、考えることをやめた。パプテマス・シロッコはそのまま転生しては死ぬサイクルを繰り返し続けるのだ、永遠に。
* * * * *
「お兄ちゃん、朝だよ、起きてっ」
「ん……」
あのまばゆい光の中、聞き慣れた声……結衣の声が聞こえる。
そして、光が薄れていく。そして、光が晴れると、そこは俺が前世で住んでいた家の、俺の部屋。そして、結衣の姿だった。これは……。
「俺たちは……また転生したのか?」
「うん、そうみたい。私達の前世に限りなく近い世界みたいだけど……宇宙世紀の神様がご褒美をくれたのかな?」
「そうなのかもな……」
ソフィーたちと別れたのはとても寂しいが……。彼らとの激動の日々は、今も心に刻まれている。
と、そこで結衣が何かに気がついたように声を出した。
「あ、そうだ! もう、ガンダムの再放送やってるよ! 見なくていいの!?」
「そうなのか!? それは急がなきゃな」
そうだった。俺はあの日、ガンダムの最終回の再放送を見る直前で倒れて、あの世界に転生したんだ。あのときの後悔を今こそ晴らすとき!! でも最終回をやっている日に転生させてくれるとは、神様がいるとしたら気が利いたことをしてくれるじゃないか。
何はともあれ、俺は結衣とともにリビングを降りていった。両親はともに仕事に行ったらしく、そこには誰もいない。そして結衣と一緒にソファに座ると、テレビのスイッチを入れる。
「あ……」
そこで俺は絶句した。番組は、もうラストまで進んでいたようだが、それは大した問題じゃない。
テレビには、原作にはなかった、だが知っているようなシーンが映されていた。
会議場らしきところで、ローナン・マーセナス氏とシャアが握手をしている。そしてそれを見守る人々野中には―――。
アムロがいる。ハヤトも、カイも、ミハルも、ルシアも、俺達が今まで関わってきた多くの人たちも、そしてソフィーも……。みんな、未来への希望にあふれた表情で、拍手を送っている。
その様子に、俺は目から熱いものが流れ出すのを止めることができなかった。そしてそれは結衣も同じようであった。
感極まったように、妹が言う。
「あの世界、幸せになったんだね、お兄ちゃん……」
「あぁ……」
俺たちは、全てが終わり、明るい未来を迎えようとしているあの世界を見ながら、瞳をうるませ、テレビに見入っていた……。
超ガン全45話、ついに書ききりました。
皆さま、ご愛読、そして応援、コメント、ありがとうございました!!
自分が本作品を完走できたのは、全て皆様のおかげです!
次は何を書くかはまだ未定ですが、その時にはまた頑張りたいと思います。
楽しみにしていただけると幸いです。
それでは改めて、ありがとうございました!!
テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?
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受け継いでてほしい
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受け継いでてほしくない