宇宙世紀に転生憑依したのですが、失敗したうえにとんでもないことになってます~超?・機動戦士ガンダム   作:ひいちゃ

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※今回の話は、景山まどか先生のスパロボのアンソロジー作品『Caravan』を参考にさせていただきました。素晴らしい話を書いてくださった景山先生には、心から感謝いたします。

宇宙世紀0079、サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に宣戦布告した。
その戦いで、全人類の半数が犠牲となり、人々は己の行いに恐怖した……。

* * * * *

ノリス・パッカードの犠牲と謎のガンダムの助力で、ついに悪魔の兵器は葬られた。
だが、問題ではこれだけでは収まらなかったのだ。


Re:Act.09『太平洋、血に染めて(前)』

 連邦に対して最大の脅威となりえるかもしれなかった敵の超兵器アプサラス。俺たちの激闘の末、その超兵器をなんとか葬り去ることができた。

 

 あの後、ジャブローに連絡したところ、そう時間も経たないうちに、動けなくなったホワイトベースの代わりの艦が届けられることになった。

 艦の名はペガサスJr。まさか、小説版におけるホワイトベース隊最後の母艦と同じ名前の艦が来るとは思わなかった。

 なんでも、ホワイトベース運用の実績をフィードバックして、ホワイトベースの予備艦を改修したものなんだとか。

 

―――でも、アムロが後ろからビーム・バズーカでやられる、なんてことにならなければいいけどな……。

―――居候さん、なんの話ですか?

 

 何はともあれ、俺たちはそれに乗り換えて、ジャブローへの旅路についている。

 

 さて。悪魔の兵器を破壊することに成功して、ホワイトベース隊のみんなは歓喜に打ち震えているはずだった。

 しかし今、その艦内の食堂は暗い雰囲気に包まれていた。

 

 シロー隊長とアイナさんが重々しい雰囲気でいるからだ。いや、重々しい雰囲気でいるのは二人だけじゃない。

 第08小隊の面々も、同じく重苦しい雰囲気に沈んでいた。

 

「どうしたんだよ、二人とも。せっかくアプサラスを倒したんだぜ」

 

 カイがそう軽く言うと、シロー隊長は苦笑を浮かべた。

 

「あぁ、ごめん。そうなんだけどさ。アイナのことを思うと……」

「アイナさんのこと?」

 

 彼の言葉を受け、ソフィーが首を傾げた。

 でも、俺には隊長の言っていることがわかったような気がした。

 

――やっぱり、そうだよな……。

――居候さん?

 

 そこでアイナさんが、どこか哀しげに、でもどこか覚悟を決めたような表情で口を開いた。

 

「私はジオンの人間です。しかも、アプサラスで基地の人間を、あの機体で殺戮しました。その罪を持つ私がジャブローに行けば……」

「あ……」

 

 そこでアムロがそうつぶやいた。何か思いついたかのように。

 まさにそうなのだ。ジャブローに出頭すれば、アイナさんは裁かれることになるだろう。その結果……。

 

 その俺の考えと同じ考えを持っていたかのように、カレンさんが口を開いた。重々しい表情で肩をすくめて。

 

「まぁ、よくて無期禁固。悪ければ銃殺刑、だろうね」

「そんな……! でも、私と同じように……」

 

 ミハルがそう言い募るのを、シローが抑えた。

 

「ミハルは、ホワイトベースの情報をジオンに漏らすなどの実害をもたらす前にバレて、それでスパイをやめてクルーになったんだろ? アイナは違う。アイナはもうあの基地の隊員たちを皆殺しにするという罪を犯したんだ」

「でも……!」

「いいのです、ミハル。私もジオンの軍人、名家サハリン家の者です。覚悟はできています」

 

 軽い雰囲気は消し飛び、重い雰囲気だけが食堂を包み込んだ。

 

「でも、そんなのって悲しいですよ……。せっかく今まで生き残ったのに。ブライトさんに頼んで情状酌量とかもらえないでしょうか?」

 

 アムロがそう言うが、サンダース軍曹がそれを否定した。

 

「彼女がアプサラスで、基地の人々を消滅させたのを忘れたのか? それに、それだけの罪を犯した者を無罪放免にするなんて、法治国家のすることじゃないだろう。裁判をさせてもらえるだけありがたい、と思うべきだ」

 

 確かにその通りだが、軍曹の言い方はちょっと冷淡に映ったらしい。自分もそう思ったんだ。若年層のホワイトベースクルーたちにはより冷たく聞こえただろう。

 案の定、アムロが激昂し、サンダース軍曹につかみかかった。

 

「そんな大人の都合で……! あなた方には思うところは……」

 

 あのアムロの反発に対し、カレンさんが何かを押し殺したような声色で、降り絞るかのように口を開いた。

 

「私たちだって、別に知りたくもなかったし、考えたくはなかったさ。アイナのその後なんて」

 

 それを聞き、アムロがサンダース軍曹から手を放す。

 そう、第08小隊の面々だって、今回のことに言いたいこと、思うところがないわけではなかったのだ。ただ、彼らは軍人だから、大人だから、それを飲み込まなければならなかっただけで。

 

 再び沈黙。それがアイナさんの身に待ち受けることの重さ、それを知ったみんなの気持ちの重さを語るかのようだった。

 それを破ったのは、カイの重いながらも、彼ならではの軽さを秘めた口調の一言だった。

 

「みんな、言いたいことはそういうことじゃないだろ? 素直に言えばいいじゃねぇか、『アイナさんに生きてほしい』って。それに、まだペガサスはジャブローには着いていないんだ」

 

 それを聞き、みんなの動きが止まった。カイの言うことがわかったから。

 

 それは即ち……『彼女を逃がすなら今のうち』という意味だ。

 

* * * * *

 

 一方そのころ。太平洋の海中深く。

 

 そこには、かつてのシャアの部下、フラナガン・ブーンが指揮官を務める、マッド・アングラー級クレイジー・モーレイをはじめとする潜水艦隊が潜んでいた。

 その艦橋で、オペレーターがフラナガンに報告する。

 

「少佐、レーダーに探知あり。木馬のようです」

「木馬? シャア少佐からの要請に合ったやつか」

「はい。東、アメリカ大陸に向かっているようです」

 

 それを聞くと、フラナガンは少し考え、そして堂々と命令を下した!

 

「よし、カリフォルニア・ベースに連絡を取れ! ベースの軍と連携して、木馬をしとめるのだ! グラブロの準備を。私も出る」

「グラブロでですか? 木馬相手に危険ではないでしょうか?」

「水中でグラブロに勝てる奴はまずいない。指揮に集中するし、心配はいらんよ。ともかく、襲撃の準備を頼む」

「はっ!」

 

 そして、カリフォルニアにあるジオン基地、カリフォルニア・ベースから、ドダイに乗ったザクやドムが発進していく。

 その行く先にある獲物……ペガサスJr.をしとめるために。

 

* * * * *

 

ペガサスJrの右舷デッキ。そこでは、一機のコア・ファイターが発進しようとしていた。それに乗っていたのは……。

 

「ありがとう、アストナージさん。でも、本当にいいのかい?」

「あぁ。あんたたちには頑張ってもらったし、何よりアイナちゃんには生きていてほしいからな。気にするなって」

「ありがとうございます……」

 

 そう、シロー隊長とアイナさんだった。みんなで話し合った末、脱走を装って逃がすことにしたのだ。その準備をしていた時、メカニックの皆さんにもバレたが、意外にも彼らも同意して協力してくれたのだ。彼らも、シロー隊長とアイナさんに情がうつっていたらしい。

 

 そして、クルーの中からアムロが一歩進み出て口を開いた。

 

「これまでありがとうございました。アイナさんとお幸せに」

「あぁ、ありがとう。みんなも無事でいてくれよ」

 

 そしてソフィーも。

 

「シロー隊長、アイナさん。さようなら。二人の幸せを祈っています」

 

 ほかのメンバー、ハヤトもセイラさんもみんな、シローに別れを告げていた。そして。

 

「みんな、ありがとう。この恩はきっと忘れないよ。いいか、アイナ」

「はい、シロー……」

 

 そして二人を乗せたコア・ファイター(ちなみに予備機だ)は、ペガサスJrの格納庫を発艦していった。

 

* * * * *

 

 当然このことは、ブリッジのブライトたちにも気づかれることとなった。

 

「誰だ、誰が出撃していったんだ!? フラゥ、右舷格納庫を呼び出せ!!」

「は、はい」

 

 だが、フラゥが呼び出す前に、右舷格納庫のほうから通信があった。

 通信スクリーンに、アストナージの姿が映し出される。

 

「申し訳ありません。よそみをしていた間に、シローとアイナの二人に、コア・ファイターを奪われました」

 

 報告の内容とは裏腹に、アストナージの口調は棒読みだ。整備班はもとより、もしかしたら……いや、ほぼ確実にパイロットたちもこの脱走劇に一枚噛んでいるであろうことに、ブライトは頭を抱えた。

 

 でも気を取り直し。

 

「仕方あるまい。カレン軍曹、君がGファイターに乗り、二人を連れ戻してきて……」

「待ってください!!」

 

 そこにソフィーの声。スクリーンには、ソフィーをはじめとした少年パイロットたちの姿が映し出されている。

 彼らはみんな、必死に何かを訴えるような表情で、モニタの向こうのブライトを見つめ続けている。

 

 自分の予想が当たったことに、またブライトが頭を抱えた。

 助け船が出たのは意外なところからだった。それまでは日和見を続けていたコジマ少佐(レオン少尉は報告のため、ペガサスJrに同行していたミデアに乗って情報部へ帰還していった)が、ブライトの苦境を見かねてかそれとも他の理由か、彼の肩をたたき、代わりに通信に出たのだ。

 

「ソフィー軍曹、ただちに出撃して脱走兵を連れ戻してきたまえ。もしそれが無理な場合は、二人の生死は問わん。コア・ファイターを撃墜するのだ!」

 

 それを聞き、ソフィーをはじめとした少年兵たちの表情が和らぎ、ブライトが驚いた表情を浮かべた。彼らはみな、コジマ少佐の言わんとしたことを理解したからだ。

 すなわち、『二人の身柄をどうこうしろとは言わないから、コア・ファイターだけ破壊しろ』ということ。

 

「了解!!」

 

 元気のいいソフィーの返事とともに、通信は切れた。

 

「あいつら……。でも、いいのですか?」

「うむ。生死不明とでも報告しておけば、上層部も、そしてきっと犠牲者たちの遺族たちも納得してくれるだろう。アプサラスを倒すために命を賭けてくれたあの少年少女たち、そしてアマダ少尉と彼女へのせめてもの礼だよ。これぐらいしてもバチは当たらんだろう」

「……ですな」

 

 そこにミライが横から口を出す。

 

「ブライトは固く考えすぎなのよ」

 

 ふっと和んだブリッジ内。しかし!!

 

「た、大変です! そのアマダ少尉たちが逃亡していった先の方向から、ジオン軍の部隊が接近!!」

「なんだと!? ただちに第一級戦闘配備!! MS隊出撃準備だ!!」

「わかりました!」

「急げよ! 生死不明を偽装するつもりが本当に生死不明になったら目も当てられんぞ!!」

「了解です!」

 




脱走するシローとアイナ、それを追うソフィー、そして彼らを助けるホワイトベース改めペガサス隊。
彼らとジオンが激突し、危機が迫った時、ソフィーに謎の力が発現する。

Re:Act.10『太平洋、地に染めて(後編)』

君たちは生き延びることができるか?

※次回は年末年始のため、1/11 13:00の公開とさせていただきます。お楽しみに!

テテテUCのフロンタル、原作UCフロンタルの記憶を受け継いでてほしいですか?

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