多分全キャラ出るし全ユニットあると思いますが、ニーゴとモモジャン多めになると思います。
思いついた時に書いてるので不定期になると思いますが、よろしくお願いします。
「あはは!」
笑顔。
「え〜、ひどいなーえななん」
笑顔。
「ね、Kもそう思うでしょ?」
笑顔。
「雪ってばまたそういうこと言って〜」
……笑顔。
「あー、今日も楽しかった! じゃあボクはそろそろ寝るね、お疲れ〜」
テロン。
ディスプレイだけが眩く光る真っ暗な部屋に、無機質な電子音が響く。
その音を最後に、あれだけ音に溢れていたセカイに静寂が訪れる。
パソコンの電源を落とすと、光も、音も、何もかもが消えて無くなった。
何も無いセカイで、項垂れる。
うん、大丈夫……今日もボクは、可愛い暁山瑞希だった。
大丈夫、大丈夫、大丈夫。
ボクは暁山瑞希。
ニーゴの動画担当、気ままな自由人、かわいい物が好き。
頭の中で、反芻する。
暁山瑞希を……みんなの求める暁山瑞希を。
「……さて、おやすみボク! また明日!」
今日のボクを溶かして、鋳型に流し込み、しっかりと冷やす。
大丈夫、明日のボクは、きっともっと強固になっているはずだ。
□■□■□■□
『ボクってなんだろう』
4年前、ボクはそんな誰でも1度は考えるようなことに悩まされた。
結局答えは見つからず、こうなってしまった訳だけど……それでも当時のボクは、それなりに頑張った、はずだ。
はずというのも、過去の記憶が朧げなのだ。
勿論、みんなのことは覚えてる。
ニーゴのみんな、学校でできた数少ない友人、屋上でできた元同類。
だけど、そこに確かにいた筈の、ボクの姿だけがボヤけるのだ。
『ボクってなんだろう』
だから、わからなくなってしまったんだ。
今のボクは、霞む記憶を手繰り寄せ、相手の反応から予想して形成した作り物のボクに過ぎない。
あれから4年経った今ですら、誰もボクの異変に気付かない。
友達だと言ってくれた絵名なら……ボクの噂をを知って、そんなのどうでもいいと笑い飛ばしてくれた杏なら……そして、類だったら……そんな期待を、抱いたこともあった。
抱いてしまったこともあった。
そんな資格、ボクにあるはずもないのに。
□■□■□■□
今日は新曲の完成祝いにニーゴのみんなで打ち上げに行く日。
去年、ボク以外のみんなが成人した頃から打ち上げの場所はファミレスから居酒屋に変わった。
いつも通り、少し早めに来たボクは一足先にみんなを待つ。
この1人でいられる時間が好きだ。
他の席の楽しそうな声をBGMに、ゆっくりと目を閉じる。
そうすると、まるで自分がこの世界から消えてしまったような、そんな気持ちになれる。
このままみんながボクの事なんてすっかり忘れて、いつまでも来なければいいのに……。
そう思ってしまうのは、悪だろうか。
「あ! 瑞希! 相変わらずはやいね」
「ごめんね、待たせちゃって」
しかし、そんな時間は長く続かない。
だってみんなはいい人だから。
「やっほ〜絵名、奏、そっちこそいつも通り時間ピッタリだね」
高校の時と比べると、少し髪の伸びた2人が向かいの席に座る。
「まふゆはまだ学校?」
「うん、ちょっと遅れるってさ」
奏に聞かれたので、答えておく。
奏の狂気的とも言える執念の末、母親の呪縛から開放されたまふゆは看護学校への進学を果たし、自分の道を進んでいる。
「大変そうだね」
「まぁアイツは楽しそうだし、あの頃よりはいいんじゃない?」
そうだねと、奏が優しく笑う。
感情を無くし、母親の人形になっていたあの頃と比べ、今のまふゆは人間らしさに溢れてる。
救われた、そう言っていいだろう。
思い返せば今のボクは、あの頃のまふゆに少し似ているのかもしれない。
他者の求める自分を演じるあまり、本当の自分を無くしてしまう。
まふゆ、こんな気持ちだったのかな。
今更気付いたって、遅すぎるのに。
「2人はどう? 最近」
「どうもこうもクソ教授はムカつくしクソ親父は相変わらずどこまでも正しいし、腹立つことだらけよまったく」
「あはは、私はこの前お父さんと一緒に散歩に行ったよ。久しぶりに見たカーネーション、綺麗だったな」
絵名は高校卒業迄にお父さんを認めさせる渾身の1枚を描きあげることに成功し、今では日本一の芸術大学に通っている。
悪態をついてこそいるが、なんだか楽しそうだ。
奏は2年前、記憶喪失だったお父さんの記憶を音楽の力で取り戻し、無事に救うことが出来た。
あの時はニーゴのみんな、大泣きしてたなぁ。
まふゆまで声を上げて泣いてたのはビックリしたよ。
「そういうアンタはどうなのよ、ちゃんと大学行ってんの?」
「あはは、ちゃんと行ってるってば」
そしてボクは……。
「アンタがデザイナーを諦めるって言った時は心配したけど、楽しそうならよかったわ」
「ごめんごめん、まぁぼちぼち上手くやってるよ、杏もいるしね」
こんなボクに夢を追うだけの熱がある訳もなく、家から近くの適当な大学へ進学した。
好きを表現しようにも、その好きという気持ちがもうわからないんだ。
デザイナーになんて、なれるわけがない。
「ごめん、お待たせみんな」
そこへ、まふゆがやって来た。
これ以上追求されても面倒だったし、丁度いい。
「もー、遅いよまふゆ〜」
「仕方ないって、学校お疲れ様」
「ん、ありがと」
感情を取り戻したまふゆの口調や話し方は、あの頃のニーゴで見せていたまふゆとそこまで変わっていない。
しかしそこに、自然と浮かぶ柔らかい笑顔が乗っていた。
全く嫌になる。だからみんなに会うのは嫌なんだ。
否が応でも、時間の流れを、成長を自覚させられる。
まだあの時間に縋り付いているのはボクだけだ。
だけど同時に、この時間が好きでもある。
ここにいると、ボクは嫌な気持ちになる。
それによって、まだボクに感情があると、安心することができるのだ。
……そんな自分が、さらに嫌いになる。
「えーそれでは皆さん集まった所で」
しかしどんな思考をした所で、時計の針は進む、打ち上げは始まる、ボクは暁山瑞希だ。
「曲の制作お疲れ様と、今後もニーゴのみんなの活躍を願いまして……かんぱーい!」
「「「乾杯!」」」
苦い苦い苦いものを、一息に飲み込んだ。
『セカイの紹介』
一言で言えば、みんなみんなハッピーエンド。ただし瑞希以外、です。
推しは曇らせたいよね!っていう気持ちで書きました。
えななんくらい承認欲求の塊なので感想を頂けると泣きながら喜びます。よろしくお願いします。