〜ネイサン・ジェームズ〜
鎮守府から約500キロの洋上。
今日は、第六駆逐隊の子達といそかぜの訓練のためだ。
いそかぜは今、第二次大戦の駆逐艦と装備がほとんど変わらない。
ソナーとレーダーは強力な物のままだが。
ちなみに私はそのお守りのようなものだ。
正直めんどくさい。
しかもいつの間にか私が喫煙者って知られてるし・・・
まぁ心置きなく吸えるからいいけど・・・
早速タバコに火をつける。
「ふー・・・」
訓練海域には潜水艦達が待っている。
今日は対潜水艦訓練だった。
「いそかぜ、ソナーは何か捉えてる?」
「はい、もうバッチリと」
私はふといつもの調子を忘れてそう言った。
「なんかいつもと違うのです?」
「へっ!?い、いやいやいや!!違わないよー!」
「・・・怪しい・・・」
「怪しくないから!」
さすがに素の私を見たらみんな離れて行きそうだからね・・・
「タバコ加えながら必死に否定してる・・・」
響に疑いの目線を向けられ私は焦ってタバコを落とした。
しかも足に命中した
「うわぁぁぁぁぁあっちぃぃぃぃぃい!!!!」
自分でもびっくりするような声が出た。
・・・死にたい。
「ジェームズさん・・・もしかしてドジっ子ですね!」
いそかぜは笑顔で親指を立ててくる。
素の私がこんなんじゃない上にドジっ子扱いされてちょっとプッチン来たので、脅かしてみることにした。
「・・・言うことなし、掛け値なしのどデカ地雷を踏んだよ・・・いそかぜ」
「へっ?」
「一つ聞きたいんだけど・・・墓にはなんて・・・書いて欲しい?」
私はVLSの蓋を開く。
「はわわわわ!!!喧嘩はダメなのです!!」
電が必死に止めてくる。
「ご、ごごごごめんなさいいいいい!!」
いそかぜは涙目で謝ってきた。
そろそろ満足したので止めようかな
「・・・嘘だよ、必死になってる姿可愛いね!」
「はぇ・・・?」
いそかぜは海面に座り込んでいた。
「ど、どれだけびっくりしたと思ってるんですかぁぁぁ!!」
「あはははは!!ごめんごめん!」
「もうジェームズさん!意地悪は良くないのです!」
「あははは!ごめんって!」
なんてワイワイ話ながら進んでいると潜水艦達から無線が入る。
《ジェームズさん!聞こえるでちか!?》
「ん?ゴーヤ?どしたの?」
《所属不明の艦娘2人が深海棲艦から攻撃を受けてるの!イク達だけじゃ難しいのね!》
「了解!すぐに向かうから頑張ってて!」
そう言って無線を切る。
「セイバーホーク1発艦準備!」
「レーダーで見つけれないの?!」
「ダメ、小島が多くてレーダーの索敵範囲が限定されてる・・・」
「潜水艦は捉えてます!ここから東に50km・・・ちょうどあの島が沢山ある所です!」
「分かった、セイバーホーク1の情報を待ちつつ全速で向かおう」
「了解!」
〜U96〜
耳障りなピンガー音。
駆逐艦が私達に食いついて離れない。
「どうするのね?」
「どうしよう・・・」
敵は戦艦3、空母1、駆逐艦2の艦隊だ。
駆逐艦は耳が良いらしく、食いついて離れない。
狼が追い回される側になってしまった。
「せめて上の艦娘が片付けてくれれば・・・」
上にいた艦娘は現代艦娘のようだが1隻が大破、もう1隻がそれを必死に庇っている。
「ねぇクロさん・・・」
「なんですか?」
ユーが何かを思いついたのか提案してきた。
「私が囮になるから誘導魚雷で・・・」
「だ、ダメです!危ない!」
「でも・・・」
そんな話をしていたらゴーヤとイムヤが突然動き出す。
「な、何して・・・」
「1番練度が高いのは私たちだから!」
そう言って離れていく。
駆逐艦はそれに食いついた。
「1番2番、誘導魚雷用意!」
発射管を開く。
誘導魚雷が駆逐艦を捉えてくれる事を祈る。
「魚雷1番2番!発射!」
魚雷は磁気信管、ヤツらの腹に大穴を開けます!
「爆雷着水音!2発!」
ユーが上を向いて叫ぶ。
ゴーヤ達を狙っていた。
だがゴーヤ達はそれを躱して逃げる。
駆逐艦は魚雷に気づいていなかった。
「あと30秒・・・」
1隻が気づいて反転を始める。
だけど・・・遅いです!
大きな爆発音が聞こえた。
「フタエノキワーミー!キワーミー!」
「シズカニセイッ!」
「(´・ω・`)」
「あれ・・・ユー、何か口が勝手に・・・」
いつもの事です。
だがこれで駆逐艦は片付いた。
と、同時に艦隊が到着する。
〜いそかぜ〜
敵艦隊補足!
沈みゆく駆逐艦を通り過ぎ、敵艦隊に向かう。
「先制攻撃をかける、ハープーン攻撃始め。目標戦艦タ級、発射弾数2発。」
ジェームズさんは冷静に諸元を入力していく。
「ハープーン発射始め!!」
ジェームズさんの小柄な体から2発のハープーンが発射された。
ハープーンはブースターを切り離し低空飛行を開始する。
敵艦隊はその音に気づいてこっちを振り向いた。
タ級が3隻・・・!
「戦艦は私が抑える。あなた達は空母をお願い」
「了解しました!艦隊は私に続いてください!」
「了解なのです!でもいそかぜさん、慣れてないうちはあまり前に出ないようにお願いなのです!」
「分かってます、私はあなた達の目と耳になります」
空母を捜索する。
空母は島の影に身を潜めているだろう。
《いそかぜ、私のヘリを使って。空母を捜索させてるから》
「わかりました!」
ジェームズはさっきまでとは別人のように言ってくる。
《こちらセイバーホーク1!いそかぜさん聞こえる?!》
「聞こえます!」
《敵空母発見!だけど、艦載機の発艦準備に入ってる!そこから西約28km!積んであるペンギンミサイルを撃ったけど迎撃されちゃったからもう援護出来ないよ!》
「分かりました!大丈夫です!」
「ペ、ペンギンさんがミサイルになっちゃったのですか・・・」
電が悲しそうな目で私を見てくる。
第六駆逐隊全員がそんな目で私を見てくる。
普段クールな響が1番悲しそうだ。
「・・・戦争だもんね・・・仕方ないさ・・・」
いや、そんな悲しそう目で私を見ないでください!
何もしてないのに良心が痛みます!!
「ペ、ペンギンミサイルっていう空対艦ミサイルがあるんです!提督に言えば画像見せてくれますから!」
「ペンギンさんが爆弾かかえて突っ込んでいく画像なんて見たくないのです!」
電は軽く泣きながらそう言ってくる。
ていうか、この子達ペンギンがロケットブースターでもくっつけて腹に爆弾抱えて、さよなら天さんとでも言いながら突っ込んでいく所を想像してるんだろうか・・・
「・・・純粋なのはいい事ですよね・・・」
敵空母に進撃しつつそんなことを呟いた。
《こちらセイバーホーク1!ご主人様!空母から艦載機が上がってきた!》
《了解、待ってて。対空ミサイル撃つから》
ジェームズさんのほうを見ると複数の対空ミサイルが打ち上がっていた。
私達も空母に急ぐが障害物が多くて移動しにくい。
「ねぇいそかぜさん、何か変じゃない?」
雷は何かに気づき私に問いかけてくる。
「空母を隠すには最適かもしれないけど・・・普通護衛の駆逐艦とかつけるわよね・・・」
「・・・確かに・・・」
私は嫌な予感がしてきた。
今、ちょうど孤島群の真ん中あたりだ。
孤島に阻まれレーダーが上手く目標を捕えられない。
上空を飛んでいるヘリが唯一のセンサーだ。
「これマズイですね・・・」
たぶん空母は囮だ。
そしてその予感が的中したのかヘリから無線が入る。
《こちらセイバーホーク1!!いそかぜさん、敵駆逐艦出現!数は10を超えています!囲まれてる!》
「やっぱり・・・反転して逃げます!どこから来るか分かりません、警戒を厳にしてください!」
「了解!」
島を縫うようにして離脱を開始する。
その時、目の前に報告にあった不明艦娘を見つけた。
「味方です!大丈夫ですか!?」
一人は中破、もう1人は大破していた。
「僕は大丈夫だからこの子を・・・!」
「う、ぅ・・・わ、我輩・・・まだ・・・」
「大丈夫です!もう助かりますよ!」
「私が肩を貸すのです!」
「私もやる!助けるわ!」
「電さん、雷さん、お願いします!」
ジェームズさんに援護を要請する。
「ジェームズさん!助けてください!」
《分かってる。早くそこから逃げて》
撤退を開始した時、真後ろに駆逐艦が現れた。
私は慣れない砲で砲撃をするが当たらない。
「これが速射砲だったら・・・!」
その時、無線からジェームズさんの声が聞こえた。
《みーつけた・・・》
その数秒後、砲弾が飛来する。
《そのまま真っ直ぐ行って。ルートはクリアだよ》
「了解しました!ジェームズさんも・・・」
《私はもうちょいしたらかな》
〜ネイサン・ジェームズ〜
センサー代わりのヘリが敵艦を捉えている。
可哀想に・・・ここからは誰も逃げれないよ
私は敵に聴こえるように言う。
「ほら、さっさとかかってきなさい。それともビビってるの?」
挑発してみると背後から攻撃を仕掛けようとした駆逐艦が出現した。
「丸見えだよ」
速射で4発砲弾を叩き込む。
当たりどころが良かったのか爆発を起こして轟沈した。
「残念だったね。私はもう君たちを補足してるんだ。同情するよ、この海域からは誰1人生きては帰れない・・・ここは地獄のモーテルさ、できる限り逃げてみな。でないと・・・」
敵を全てロックオンしトマホークのVLSを開く。
「ブギーマンに喰われるぞォ!?」
トマホークを斉射する。
10発以上のトマホークが飛翔していった。
敵は慌てて逃げ始める。
「鴨撃ちだね・・・面白くもない・・・」
レーダーから敵が消滅する。
私はいそかぜ達と合流するために進路を変更した。
〜いそかぜ〜
「大丈夫ですか?」
「僕は大丈夫・・・あ、自己紹介まだだったね。僕はタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦、ヴィンセンス。彼女はオリバー・ハザード・ペリー。ペリーって呼んであげて」
ヴィンセンスと名乗った彼女は中破だがまだ余裕そうだ。
「ぺ、ペリーなんて呼び捨て・・・我輩・・・ゆ、許さないから・・・」
「今は喋らないでください!」
「あと2時間で鎮守府なのです!」
時刻は夜、まだ鎮守府の明かりは見えない。
「司令官!負傷した艦娘を連れて帰投中、あと2時間で着きます!」
《了解した!ドックは開いてる、気をつけて帰ってきてくれ!》
「了解!」
〜提督〜
「負傷した艦娘か・・・名前からしてまた現代艦娘・・・そろそろ鎮守府の財政がやばくなりそう(震え声」
「あらいいじゃない。私は話が分かる子が多くなるのはいいけどね」
「そりゃマーフィーとかにとってはな・・・」
『私も話せる子が増えるのは嬉しいです』
「うわあぉぁぁぁ!?」
いきなりシンビルスクが目の前に出てきた。
毎度ながらかなりびっくりする。
ちなみにマーフィーは慣れたようだ。
「あら、やっぱり着いてきてたの?」
「お前は随分慣れたのな・・・」
「そりゃね。そういえば艦娘の名前は何だって言ってた?」
「んーと・・・タイコンデロガ級巡洋艦、ヴィンセンスとOHペリー級フリゲートのオリバー・ハザード・ペリーって言ってたぞ」
「・・・ヴィンセンス・・・」
マーフィは険しいを顔をした。
何かあったのだろうか。
「ねぇ、貴方は船の艦歴は結構知ってる方?」
「んや、俺は元々空軍だったから艦船についてはからっきしだったからな。どうした?」
「いえ、だったらいいの・・・ただ、あの娘の艦歴、見ない方が良いわよ」
マーフィは強い口調でそう言った。
ヴィンセンスの艦歴を見ない方がいいってどういう事だ?
「何かあったのか?」
「まぁ・・・ね。まぁ調べるのは勝手だけど、もしこれが元々知ってる艦娘以外に教えたら貴方、許さないからね」
「・・・そんなにか・・・ちなみにシンビルスクは知ってるのか?」
『ええ、まぁ。可哀想な話ですよ。あの娘にとっても・・・』
「・・・」
相当大変な事が起きたのだろう。
知りたいという欲求はかなり強い。
だが、彼女達の言い方を聞く限り知らない方がいいのだろう。
「あと、彼女が自分で言ってくるかもしれないけど、その時は絶対に彼女を責めない事ね。まぁ貴方なら大丈夫でしょうけど・・・」
「分かったよ、何が起こったのか分からないが・・・まぁ大丈夫だ」
「信じるわよ」
マーフィにここまで言われるという事は相当なのだろう。
艦歴は絶対に見ない方がいいな・・・