横須賀鎮守府の日常   作:イーグルアイ提督

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お久しぶりです!最近クソ忙しくて投稿遅れました!


敵新型機

「・・・何かごめん・・・」

 

「何かじゃねーよ!」

 

遠ざかる電の悲鳴を聞きながら嘆く。

どうやって誤解を解こう・・・

あんなの誰がどう見たって浮気だろう。

 

「とりあえず電を探して謝るぞ」

 

「それがいいかもね」

 

「・・・まぁお前が泣き止んでからだけどな・・・」

 

ジェームズはまだ目が真っ赤だった。

 

「じゃあもうちょい頭撫でてて」

 

「何でだよ」

 

「落ち着くから」

 

「・・・はいはい」

 

この状況をもう1度見られたら言い逃れは不可能だな・・・

なんて思ってると廊下から物凄い勢いの足音が。

あと何かエンジンの音する。

 

「誰か来たな」

 

「ん・・・」

 

ジェームズは俺から離れて自分で涙を拭っていた。

その様子を見ていたらドアがものすごい勢いで開いた。

開けたのは電さん。

さっきの状況から30秒経ってないのにいつの間にか白装束に着替えてチェーンソーを持っている。

しかもブォンブォン言わせながらエンジン吹かしている。

控えめに言って死ぬほど怖い。

 

「い、電さん・・・?」

 

「私を〜・・・差し置いてぇ・・・他の女とぉ・・・イチャコラしてたのはどなたなのですぅ?」

 

顔を傾けながらそう言ってくる。

前髪で片目が隠れてて余計に怖い。

とりあえず怖い。

 

「あの・・・電さん?少々お話宜しいでござりますか?」

 

「お話の内容次第なら聞いてあげますから早く喋りやがりやがれなのです」

 

「電、あれは誤解だ!」

 

「そ、そうだよ!あれには事情があって・・・」

 

「はて?誤解ってどんな意味のJapaneseでしたっけ」

 

Japaneseだけ無駄に発音の良い電さん。

 

「なんでそこだけ英語なんだよ!てか、ホントに誤解だ!」

 

「大丈夫なのです、初めは皆そう言いますけど1回チェーンソーで刺身にされたら本当の事喋るって教えてもらったのです」

 

「誰だよそんな過激な事教えたの!!」

 

「ごめん私・・・」

 

「犯人お前かよ!」

 

まさかの犯人はジェームズだった。

てかチェーンソーで刺身って何?おいしいのそれ?

 

「とりあえず司令官さん?優しくしてあげるのでお〇ん〇ん出すのです」

 

「何故!?あと優しくって何をする気!?」

 

「去勢なのです」

 

「お願いします許してください何でもしますから」

 

「ん?今なんでもって言ったのです?じゃあ去勢するのです」

 

「いやぁぁぁぁ!!お願い許してぇぇ!!せめて息子の命だけはぁぁぁ!!」

 

土下座しながら息子の命だけは守ろうとする海軍大佐の図である。

ちなみに半泣きだ。

 

「電お願い聞いて!私ちょっと嫌な事あって提督に相談してたの!」

 

「それで抱きついていい理由になると思ってるのです?とりあえずジェームズさんもそのたわわに実ったオッパイが許せないので切り落とすのです」

 

「待って色々おかしい」

 

ジェームズはどうやらおっぱいを切られそうだ。

 

「良かったなジェームズ、まだ子孫残せるぞ」

 

「そういう問題・・・?」

 

「まぁでも、相談内容とやらを聞いてやらないことも無いのです。電は賢いので」

 

「何かキャラ壊れ始めてるぞ電!」

 

電のキャラが壊れ始めたがとりあえず何とか話を聞いてくれそうだ。

聞いてくれそうだがちょいちょいエンジンの回転数上げてて心臓に悪い。

 

「あの、とりあえず説明するけど・・・」

 

ジェームズはことの流れを説明した。

聞いてて俺は胃が痛くて泣きそうだったが・・・

何組のTPO?何それ知らない!レズセ〇クスたーのしー!って言う連中が増えれば気が済むんだちくしょう。

しかし話を聞いた電は・・・

 

「なんだ、私の勘違いだったのです☆彡」

 

そう言ってチェーンソーを窓に向かってフルパワーでぶん投げる。

俺とジェームズはあまりの変わりように唖然としていた。

 

「にょわぁぁぁぁぁぁぁ!!!??チェーンソー!?チェーンソーナンデ!?」

 

というバーベットの悲鳴が聞こえてきた。

普段のクールさが全部どこかに旅立った悲鳴だった。

 

「全くもう、司令官さん早く言うのです!電、勘違いしちゃったのです!」

 

「まぁ・・・その・・・勘違いさせて悪かった」

 

「でも、浮気じゃなくて一安心なのです。あ、それとジェームズさん」

 

「はいっ!?なんでしょう!?」

 

突然話しかけられジェームズも普段の感じがどこかに行っていた。

 

「司令官さんの撫で撫でって落ち着くの共有できたのです」

 

と満足げな顔をして言う。

 

「・・・何突然惚気けてんだ・・・あと提督は何嬉しそうな顔してんの」

 

「いやー、ほら可愛い嫁がだな?」

 

「・・・もういいや、とりあえず部屋帰るよ」

 

「もういいのか?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ジェームズは硬直した。

部屋に帰ればまだマーフィとシンビルスクが事を致してるかもしれない。

きっとそう思ったのだろう。

 

「・・・・・やっぱここにいる」

 

「そうしとけ・・・」

 

なんてしてると電話がなる。

 

「もしもし?」

 

《大佐か?少し急な任務を頼んでいいか?》

 

「はいはい、何を頼む気ですか?」

 

《そっちの1番練度の高い航空隊と空母を至急、南方海域に送ってくれ!》

 

「はぁ・・・」

 

《敵の新型機が出たらしいんだ、次々と他の航空隊がやられてる》

 

「敵の新型ね・・・了解です」

 

そう言って電話を切る。

そういえばこの前、南方海域で機動艦隊が全滅したとか聞いた。

まぁでも、ウチのメビウスなら大丈夫だろう。

 

「電、赤城と加賀あと、翔鶴と瑞鶴呼んできてくれ」

 

「了解なのです!」

 

「珍しいね、ケストレル達を呼ばないなんて」

 

「ちょっと資源的な問題でな・・・そろそろ節約しないとヤバイし、最近ケストレル達ばかり使って他の艦娘の練度も上がってないからな」

 

「ちゃんと考えてるんだね」

 

「そりゃな・・・てか今まで考えてないと思ってたのかお前」

 

「普段の提督見てたら・・・仕方ないでしょ」

 

思い当たる節が多すぎて泣きそうだ。

とりあえず涙を堪えて作戦を考える。

 

「とりあえず護衛艦はジェームズとマーフィだ。敵の新型がどんなものか分からないが、お前らの防空圏に引きずり込める事が出来れば何とかなるだろ」

 

「まぁね・・・じゃあマーフィを・・・呼びたいけど行きたくない・・・」

 

「・・・気持ちは分かるがな・・・」

 

ジェームズはトボトボと歩いていった。

それと入れ違いのような感じで電が呼んできたメンツが帰ってきた。

 

「ただ今戻ったのです!」

 

「お、ありがとう。とりあえず座ってくれ」

 

赤城と加賀はリラックスしてるようだが、この前救出された艦娘の翔鶴と瑞鶴はどうにも落ち着かないようだ。

 

「2人とも、リラックスしてくれれば大丈夫だ。んで、ここに呼んだのは任務があるからだ」

 

「任務・・・ですか?」

 

「あぁ、敵新型機の情報収集だ。あと会敵した場合は可能なら撃破だ」

 

「新型相手に私達って提督さん何考えてるの?」

 

瑞鶴は少し怒ったように言う。

そりゃそうだ。

翔鶴と瑞鶴の練度は高い方ではない。

 

「お前らは艦隊の防空役だよ。他にもイージス艦と情報収集艦が着いてくるがな」

 

「イージス艦・・・?」

 

そうだ、翔鶴と瑞鶴は知らないんだった。

 

「まぁあれだ。めっちゃ良く見える電探と超高性能の探針義にめっちゃ強いロケット詰んでる艦種だよ」

 

「ごめん、提督さん。ぜんっぜん分からない」

 

「何!?これほど簡単に説明したのに!?」

 

「ざっくりすぎよ!」

 

「む、そうか・・・じゃあまずイージス艦には大きな特徴があってだな・・・」

 

今度はイージスシステムについて話す。

 

「つまり凄く対空が強い艦娘って事ね」

 

「まぁそうなる。とりあえず作戦についてだが、新型に遭遇したら情報収集しつつ交戦、無理そうならジェームズとマーフィの防空圏に引きずり込め。2人の艦対空ミサイルで攻撃する。あと情報収集艦アンドロメダもいるが、アンドロメダは戦闘には不向きだ、最重要目標として援護するように。まぁこんなもんか」

 

「了解しました。赤城さんとならやれます」

 

「頼むぞ、すでにこの新型に機動艦隊がやられてるらしいからな。じゃあ出撃は今から3時間後の1730だ!」

 

 

 

〜ネイサン・ジェームズ〜

 

鎮守府を出て4時間。

外は真っ暗だ。

 

「南の海に向かうって言っても・・・バカンスは出来ないよね」

 

「何呑気なこと言ってるのよ貴女は」

 

「いいじゃん、たまには平和な世界をね?」

 

「まったく・・・これでも戦争中なのかしら・・・」

 

「ふふっ、お二人共仲いいですね」

 

艦隊先頭に私、マーフィ、アンドロメダ。後方に空母4人がまとまって移動している。

今はまだ安全圏だからのんびりおしゃべりをしながら移動していた。

後ろの空母4人も談笑していた。

 

「そういえばジェームズ、貴女ってフライトⅡAだったかしら」

 

「ん?そうだけど?」

 

「いえ、私の記憶だともうフライトⅢが建造中だったはずだっからね。100隻目ならもうフライトIVとかになってるのかと思って」

 

「うーん・・・その辺の事は知らないんだよね」

 

「まぁ決めるのは大統領とかだしね」

 

「大統領・・・うん、大統領ね・・・」

 

「どうしたの?」

 

「いや・・・私、大統領は皆病気で死んじゃってたから・・・最終的には私に乗ってたけど」

 

「あ・・・ごめんなさい、あなたの知ってる事って結構辛いこと多いもんね・・・」

 

「ううん、いいよ。それよりもタバコ吸ってもいいかな?」

 

「ええ、吸えるのは今のうちよ」

 

「そうだねー・・・」

 

私はタバコを咥えて火をつける。

 

「すー・・・ふー・・・」

 

「ジェームズさんって何かタバコ似合いますね」

 

「ぅん?そう?」

 

アンドロメダが笑顔でそう言ってきた。

ちょっと嬉しい。

 

「ちょっとアンドロメダ、そんな事言ったらジェームズの吸う本数増えちゃうじゃない!」

 

「あはは、ごめんなさい、つい」

 

「もう・・・」

 

「まぁまぁ、いいじゃん」

 

「良くないわよ、貴女そんなのだと彼氏の1人も出来ないわよ」

 

「そういうマーフィは欲しくて欲しくて仕方ないんだっけ?」

 

「なっ!?」

 

「ふふっ、彼氏が居るっていいですよー」

 

アンドロメダはちょっと悪い笑みを浮かべる。

 

「あー!なによその勝者の余裕みたいなの!」

 

「あはは、良ければ紹介しますよ?」

 

「い、いいわよそんなの!・・・・ほんとは欲しいけど・・・」

 

「最後なんて?」

 

「な、なんでもないわよ!!」

 

なんて話しながら海を進んでいく。

その時だった。

レーダーの端に何かを捉えた。

 

「ん?レーダーコンタクト」

 

「あ、ホントね・・・対空目標が・・・1」

 

「IFF応答なし・・・どうする?」

 

「どうするもこうするも、確認しないと。赤城、加賀」

 

呼ぶと2人はすぐに来た。

 

「艦載機を上げて、不明機1を確認したわ」

 

だが2人は顔を見合わせてマーフィに伝えた。

 

「ごめんなさい、赤城さんと私の艦載機は夜間には飛べないわ」

 

「・・・そうだった・・・」

 

マーフィは完全に忘れていたようだ。

 

「仕方ない、確認したら私達でやりましょう」

 

「そうだね。んで・・・警告?」

 

「そうね・・・もし民間機だったら大変だし」

 

「じゃあ私がやるよ。あー・・・地点A-2-0を飛行中の航空機へ、こちらは日本海軍所属ミサイル駆逐艦ネイサン・ジェームズ。貴機の所属、飛行目的を明らかにせよ。3度警告を行うが3度とも返答がない場合は敵と判断し撃墜する。オーバー。」

 

「これで大丈夫かしら」

 

「たぶんね」

 

私達はすでに火器管制装置に火が入っている。

何時でも撃てる状態なだけに緊張が走る。

もし民間機だったらという最悪の事態だけは避けたかった。

しかし願いが通じたのか、返信がある。

 

《こちら、テクノエア357。当機は東京国際空港に向けて飛行中です》

 

私は一安心して返信した。

 

「テクノエア357、了解。突然警告しちゃってごめんね」

 

《すみません、こちらもオートパイロットの不調で航路を少し外れていたので。任務頑張ってください。交信終わり》

 

「ありがと、そちらも安全なフライトを」

 

そう言って無線を切った。

私は軽くため息を着いた。

 

「お疲れ様」

 

「ありがと・・・あーもう、なんで提督はこの時間の民間機を教えてくれないの?」

 

「ああ見えて隊長は結構抜けてますから」

 

「これ下手したら抜けてたじゃ済まない事案になってたわよ・・・」

 

「あはは・・・ごもっともですね・・・」

 

目標海域まではあと6時間ほどだ。

 

 

〜提督〜

 

「ふあぁぁぁ・・・」

 

大あくびをしながらデスクに座る。

アイツらが頑張ってるのに1人だけ寝るわけにはいかない。

 

「コーヒー飲むのです?」

 

「いや、大丈夫だよ。それよりホント昼はすまなかったな」

 

「もう誤解だって分かったので大丈夫なのです!ちょっとびっくりしちゃいましたけど」

 

「まぁ、あれは誤解されても仕方ないしな・・・」

 

「でも私に隠れてあんな事するのは許さないのですよ?」

 

「ちょっとだけでも・・・ダメ?」

 

「司令官さん〜・・・?」

 

ちょっと冗談を言ってみたら電は笑顔で俺の机の引き出しから拳銃を取り出した。

 

「電さんそれ人に向けちゃダメ!!」

 

「でもこれ説明書には敵に向かって撃ちましょうって書いてるのです」

 

「待って味方!フレンドリィ!アイム、フレンズ!ブルーオンブルー!」

 

「ふふ、冗談なのです」

 

冗談が冗談じゃない。

なんて気持ちは心にしまった。

 

「とりあえず銃口は人に向けないように!」

 

「え、でも司令官さん、私に大砲は向けてくるのに・・・」

 

「ぶっ・・・!!」

 

思い切り吹き出す。

まさかのそこですか。

 

「いやそれはその・・・」

 

「えへへ、でも司令官さんの大砲は好きなのですよ?」

 

「え、ちょ、あの」

 

何故か俺が恥ずかしくなってくる。

ていうか普段はこんな事言わないのに何でだ!!

ふと時計を見ると現在時は0100。

深夜だ。

つまり深夜テンションだ。

 

「司令官さん、今ならだれも居ないですよね」

 

「いやまぁそうだけど・・・」

 

「ちょいといい事しましょ・・・なのですっ!」

 

「ファッ!?」

 

ちょっと頬を染めながら膝の上に乗ってきた。

あれ、電ってこんなに色っぽかったっけ・・・

そこから先はイチャラブエロマンガみたいになったのは想像するまでもないだろう。

 

 

 

〜ネイサン・ジェームズ〜

 

「な、ななななにしてるんですか隊長ー!!!」

 

突然アンドロメダが叫ぶ。

 

「ど、どうしたの?」

 

「あ、えっといえ・・・なんでもないです・・・」

 

「でも顔真っ赤よ?大丈夫?」

 

「だ、大丈夫です!」

 

「でもなんでヘッドセット付けたり外したりしてるの?」

 

さっきからアンドロメダが突然挙動不審になりヘッドセットを付けたり外したりしている。

 

「ふぇっ!?え、あの!違うんです!」

 

「とりあえずどうしたの・・・誰にも言わないから」

 

「う、え、えっとその・・・」

 

アンドロメダは小声で私とジェームズに内容を話してくれた。

つまりはアンドロメダに繋いである無線の電源を入れたまま執務室で電と事を致してるようだ。

 

「ジェームズ、やる事は分かってるわよね?」

 

「うん、たぶん今の私達は心が一つだと思う」

 

トマホーク・・・攻撃用意。

目標はあのロリコン提督の脳天。

 

「な、何するんです?」

 

「大丈夫よ、トマホークが2発飛んでくだけだから」

 

「それ大丈夫じゃないですよ!」

 

「大丈夫、電には当たらないから」

 

「そういう問題じゃなくて!」

 

アンドロメダが必死に止めてくる。

これは普通に攻撃しても怒られない様な気がするんだけどなぁ・・・

 

「まぁでも・・・アンドロメダがそこまで言うなら・・・」

 

火器管制装置の火を落とす。

命拾いしたなあのロリコンめ。

 

「とりあえずおしゃべりもこの辺にしましょうか。もうすぐ作戦海域よ」

 

「了解」

 

私は空母組にもう間もなくだとジェスチャーで伝えた。

4人の顔つきも引き締まった。

だがまだ深夜だ。

対空警戒を厳にしつつ休息を取ろう。

私は旗艦のマーフィに一つ意見具申する。

 

「マーフィ、一つ具申なんだけど」

 

「なにかしら」

 

「夜が開けないと艦載機は上がれないんでしょ?だったらここで休息を取るのはどうかな」

 

「あ、それいいですね。賛成です」

 

「うーん・・・そうね・・・そうしましょうか。とりあえず私とマーフィは交代で対空監視ということでいい?」

 

「私はいいけど空母組は朝まで休憩で大丈夫?」

 

「ええ、問題ないわ」

 

「了解」

 

私はその旨を伝えるために空母組に近寄る。

日の出まであと4時間ほどだ。

休める内に休むのがいいだろう。

 

「旗艦から夜明けまで休憩って指示だよ」

 

「本当ですか?」

 

「うん、対空警戒は任せて仮眠でも取ってて」

 

「ありがとうございます。じゃあ赤城さん一緒に寝ましょう」

 

「え、い、一緒に?」

 

「ええ」

 

赤城は若干戸惑いつつも一緒に離れていった。

 

「じゃあ私達も」

 

「うん、そうだね」

 

仲いいな空母組は・・・

なんて思いながら見ていた。

私は1日2日寝なくても何とかなるのでマーフィと警戒につく。

 

「ジェームズ、寝なくていいの?」

 

「私は1日寝ないくらいじゃ大丈夫だよ。マーフィは?」

 

「私も。というか昨日休みで散々寝たし大丈夫よ」

 

「へ、へぇ・・・散々寝たんだ・・・」

 

「なんでちょっと引き気味なのかしら・・・?」

 

昨日の一件のせいで・・・

とは口が裂けても言えない。

 

「ところでさ」

 

「サラッと話帰るわね・・・何?」

 

「マーフィって本当に彼氏欲しいの?」

 

「んぇ!?ど、どうしたの!?」

 

「いや、何となく」

 

するとマーフィは顔を真っ赤にさせながら呟く。

 

「そりゃミサイル駆逐艦なんて言ってるけど艤装を取れば普通の女の子だし・・・」

 

「マーフィは女の子らしいところ沢山あるからきっと出来るよ」

 

「何よ突然・・・そういうあなたも結構可愛い所あるの分かってる?」

 

「うえ!?なんで急に!?」

 

「うーん・・・恥ずかしい思いさせられたお返しかしら」

 

可愛いなんて言われなれてない・・・それだけに恥ずかしい。

 

「そうやって可愛いで顔真っ赤にしてる所とかね。男性が見たらイチコロなんじゃないかしら」

 

「う、うるさい!・・・でも・・・彼氏かぁ・・・」

 

なんて言いながら東の空を見ると明るくなってきていた。

夜明けだ。

 

「マーフィ、夜明け」

 

「ホントね・・・じゃあ、作戦開始といきましょう」

 

「了解、みんなを起こしてくる」

 

私は空母達を起こしに向かった。

 

 

 

〜メビウス1〜

 

「アンドロメダさん、メビウス隊全機発艦」

 

《了解しました。現在レーダーに敵影ありません》

 

「了解」

 

敵の新型機・・・か。

すでに機動艦隊がやられてるって話だ。

 

《隊長、新型機の話って聞いた?》

 

「え?ううん、知らないよ」

 

《これ噂なんだけど、エンジンの音が猫の鳴き声みたいなんだって。それに機体は私達と同じような形をしてて二重反転プロペラって話》

 

「エンジンの音可愛いわねそれ・・・ていうか二重反転プロペラなんてロマンの塊を搭載してるのね」

 

《だねー、落とすの勿体無いかも》

 

「そんな事言ってないで、会敵したら攻撃!」

 

《分かってるよ》

 

毎度毎度緊張感のないこの部隊だ。

なんておしゃべりしながら飛行すること1時間。

アンドロメダさんから連絡が入る。

 

《先行する加賀航空隊から連絡!敵新型機らしきものと遭遇、交戦中との事です!》

 

「了解!メビウス全機、至急急行して増援に入るよ!」

 

《よし来た!私達の出番だね!》

 

《やったろーぜ!》

 

編隊を崩して向かう。

敵はすぐ近くのようだ。

 

「あれ・・・かな」

 

明らかに動きの違う敵がいる。

ただ、1機だけだ。

加賀航空隊は苦戦してるようだ。

 

「全機!花火の中に突っ込むよ!」

 

《了解!》

 

「加賀航空隊!こちらメビウス隊、援護に入る!」

 

《了解、助かる!》

 

最大速度で突っ込む。

その時にその敵機が横をすり抜けた。

エンジンの音はまさに猫の鳴き声だ。

ただしあんな可愛い声ではない。

それに特徴的な二重反転プロペラ。

 

「なっ、速ッ!!」

 

目標はかなりの速度だ。

 

「全機ブレイク!こいつ結構ヤバイかも!」

 

《だろうね!見た目からしてヤバそうだよ!》

 

必死に食いつこうと私も操縦桿を操る。

敵はまるで踊っているかのように飛んでいる。

 

「はぁッ、はぁッ・・・!!」

 

Gで呼吸が辛い。

 

「くっ・・・そ・・・!なんで、あんなに綺麗に飛ぶのよ!!」

 

《敵じゃなかったら一緒に飛びたいレベルだよ!》

 

《まったく同感!!》

 

そんな時だった。

敵が旋回する一瞬を捕らえた。

 

「もらった!!」

 

だが、ソイツは旋回中にクルビットと呼ばれる、高度を変えずにほぼその位置でループする機動をした。

推力偏向能力がついてるなら理解できるのだが・・・

私は逆に後ろを取られた。

 

「えっ!?」

 

《隊長!チェックシックス!!》

 

「な、なんで!?くそ!!」

 

旋回、上昇、降下あらゆる手段を使って逃げる。

 

《隊長!援護に入る!》

 

「了解!」

 

ふと振り向くとメビウス4が敵機の後ろに着いた。

 

《もらった!これで!!》

 

その時だった。

今度はコブラを行いメビウス4の後ろを取る。

 

「逃げっ・・・!!」

 

逃げてと叫ぼうとしたが間に合わない。

敵の機銃が火を吹いた。

 

《うわぁぁぁぁ!!!!》

 

「は、早く脱出して・・・」

 

翼をへし折られて錐揉み状態で落ちていく。

脱出したかしてないかを確認する余裕すらなかった。

敵はまた後ろだ。

 

「よ、よくも・・・!!!」

 

一気に急上昇して私はストールターンを行う。

機体が下を向く前に機銃を撃ち始める。

機首が下を向いた時は敵とヘッドオンのはず。

そう思った時だった。

 

「え、居ない!?」

 

ふと視界の端にプロペラが写る。

そこにはすり鉢状に横滑りしながら飛行する敵機が居た。

何もかもがスローモーションに見える。

 

「・・・!!!」

 

やられた。

この位置だと私の体に砲弾が直撃するだろう。

涙を流す暇すらない。

その時だった。

 

《隊長ー!!!》

 

そう叫びながら5番機が突っ込んでくる。

そしてコースは衝突コースだ。

それに気づいた敵機はロールして私から離れた。

 

「馬鹿っ!アンタ突っ込むつもり!?」

 

《隊長が危なかったんだから仕方ないよ!それよりも後ろ取られた!》

 

5番機を探すと背後にさっきの敵機がいた。

アイツの武装、さっき見えたけど機首に30mmクラスのモーターカノンを積んでる・・・

 

「待ってて!」

 

援護に入ろうと射線を確保しようとするが相手はフラフラと動き回り射線に捕えられない。

それどころか急減速しながらバレルロールを行い再び私の背後につく。

 

「クソ!またなの!?」

 

機動力を改造したこの零戦52型に互角どころかそれ以上の性能なんて・・・

二重反転プロペラに比較的大型の機体。

見た目からは想像出来ないほど機動力がいい。

 

「加賀航空隊!どこなの!?」

 

《待ってなさい!私がやるわ!》

 

加賀航空隊の烈風が上空から降下してきた。

そして背後につく。

 

《もらったわ!》

 

だが私はその後に起こることが想像出来て叫ぶ。

 

「駄目ッ!!逃げて!!」

 

遅かった。

敵はクルビットを繰り出した。

烈風のパイロットからしたら視界から消えたと思った次の瞬間にはその機のモーターカノンと機関砲がこっちを向いている。

 

「やめっ・・・」

《あぁぁぁぁぁ!!ーーーーー》

 

絶叫が途中で途切れる。

烈風はコックピット付近を蜂の巣にされていた。

敵機は耳障りにも感じてきた猫の鳴き声のようなエンジンを響かせてまるで挑発するように正面に出てきた。

 

「この・・・馬鹿にしやがって!!」

 

当たらないと分かっていても機銃を撃つ。

敵機はそれをサラリと躱す。

 

「・・・だったらこっちにも奥の手が」

 

作戦開始前のブリーフィングで聞いた事を思い出す。

一か八かだけどこっちのキルゾーンに引き込む。

そこまではここから15分。

私は部隊に無線で告げる。

 

「いい、聞いて。これからあの敵機をキルゾーンに引きずり込むよ。これは囮作戦になるけどね」

 

敵機は別の機体を追いかけ回している。

私の作戦を伝えるチャンスだ。

 

《大丈夫、私達はリボン付きなんだから》

 

「・・・そうだよね。うん!じゃあ作戦を言うからよく聞いて」

 

作戦といいつつ内容はシンプルだ。

私が囮になりながらジェームズさんとマーフィさんの艦対空ミサイルの射程圏内に引きずり込む事だ。

超機動といえど相手はプロペラ機。

音速の何倍で飛んでくるミサイル相手には無力だろう。

 

「いい、私が囮になってあの機体をジェームズさんたちの防空圏に引きずり込む。もし私に寄り付く敵機が居たら叩き落として。それと・・・」

 

私は一呼吸置いて覚悟を決めた。

 

「・・・私が撃墜されたら誰でもいい。囮を引き継いで」

 

こんな危険な事、仲間にやらせたくない。

だけどそうしないと被害が増えるだけだ。

 

《隊長が撃墜されたらって事だけが聞き捨てならないけど、いいよ。やろう!》

 

《そうだね!黒猫に一泡吹かせてやろうよ!》

 

《あ、その黒猫っていいね》

 

《でしょー、真っ黒な機体に猫の鳴き声のようなエンジン音だしね!》

 

「ちょっと!せめて緊張感持ちなさいよ!」

 

だがこの雰囲気が安心する。

 

《そう言えば隊長、メビウス4のパラシュート確認したよ。無事脱出してた》

 

「ほんと!?良かった・・・」

 

《艦隊にはもう伝えてあるよー。ジェームズさんから救難ヘリが上がってこっちに来てるからそれの援護が必要だね》

 

「了解!代わりに伝えてくれてありがとね!」

 

《隊長忙しそうだったからねー。メビウス4にはちょっと海水浴を楽しんでもらおうか》

 

「あはは・・・まぁこの南方だからね・・・」

 

私は気合いを入れるように操縦桿を握り直した。

 

「じゃぁ・・・行くよ!」

 

《了解!!》

 

加賀航空隊に襲いかかっている黒猫に上空から突っ込む。

それをあっさりと躱して私の後ろに着いてきた。

 

「かかった!」

 

《援護は任せて!》

 

「了解!でも絶対に黒猫に手を出さないで!」

 

《そっちがピンチにならなかったらね!》

 

ぴったりと後ろに食いついて離れない敵機。

正直怖い。

だがここで逃げ切らないといけない。

 

「防空圏まで10分・・・」

 

長い10分になりそうだ。

 




空戦描写が難しい
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